子供扱いにすることねえじゃねえか
初めての博打で儲かって浮かれているところへ、お喜代が現れ臺を振ると言ってきます。
お喜代に、儲けたものを男らしく全部はって勝負をといわれた栄次郎は、二人きりの一本勝負に全部をはります。
お喜代が壺をふります、しばらく考えた栄次郎が「半」と言いますと、お喜代が「お気の毒様らしいわね」と言い壺を開けると、 壺の目は「長」と
出ました。
そのころ、海老屋には武井のども安の一味が殴り込みをかけ、甚八はども安に斬られてしまいます。
そんなことになっているとは知らず、二人の間にはほのかなものが・・・賭場からの帰りの途中、博打で稼いだ金子をお喜代が返そうとしますが、栄次郎は「いらねえ」と拗ねています。お父つぁんが連れて帰れといったから・・、
栄次郎「俺はね・・おせっかいな女なんか、嫌いなんだよお」
お喜代「そんなに、あたいが嫌いなの ?
」
栄次郎はお喜代の傍によってきます。
お喜代「好きなんでしょ、あたしが。ねえ、ほんとのこと言ってよ」
栄次郎はお喜代が振り向くと離れます、しばらくして、お喜代に自分の気持ちを言います。
栄次郎「ほんとはねえ・・俺の親父が・・ お前さんに惚れたっていいよ・
・・って
いったんだけれどなあ」
お喜代「 ほんと
」
栄次郎「うん」
お喜代「わかった・・だからあたしにお美しいって言ったんでしょう ?
」
栄次郎「 いってねえよ・・おっ喜代さん
」
お喜代「 はーい
」

栄次郎「俺って男はねえ、もうべたべたに惚れられねえと、 惚れねえたちなんで
ねえ
」
お喜代「うっふふん、自惚れてるわ、好きなくせに」
栄次郎「あれ、 おっしゃいましたね
」
お喜代「じあ、あたしが惚れたと言ったら」
栄次郎「そうだな、まあまあ、 心に止めておきましょう、ってとこだな
」
お喜代「嫌い」
栄次郎「 あっそう
」
お喜代は優しい声で「大嫌い」と言い財布を栄次郎に投げつけます。

こんな二人の甘―い現場に婆やの慌てた声が聞こえ、ども安一家の殴り込みを知らされます。
栄次郎が急いで海老屋に帰りますと、ども安一味はもう逃げていませんでした。甚八は栄次郎の声に「お喜代を頼む」と言い残しこと切れます。
その夜、栄次郎は旅支度をして出かけようとしています。
栄次郎「 後のことは、おねげえ申します
」
栄次郎「あっしという男はねえ、こうと思ったらどうしても後に引けねえ、やくざ
な気性でしてねえ・・みなさん、お世話になりやした」
と 挨拶をして行こうとしたとき、お喜代が奥からやって来ます
。
お喜代「栄次郎さん、お願い、待って」
栄次郎「待てねえんだよ」
お喜代「せめて、次郎長親分がみえるまで」
栄次郎「そんなことは、俺の知ったこっちゃねえ」
栄次郎は泣きながらひき止めるお喜代に言います。
栄次郎「お喜代さん、おう、俺が大前田のせがれだからって、 おめえさんまで子供
扱いにすることねえじゃねえか
」
お喜代はハッとします。
栄次郎は、お喜代と子分達を見ながら言うのです。
栄次郎「何故・・ 何故この俺に事情を教えてくれなかったんだよう
」

栄次郎「ひでえよう」
お喜代は謝り、「ゆかないで」といいますが、栄次郎は「いやだ、止めちゃならねえよ」と。そして、お喜代の傍に行きじっと見つめお喜代に言います。
栄次郎「おめえのお父つぁんはなあ・・・ 俺のお父つぁんに・・・なるはずだった
んだぜ
。・・・そうだろう、お喜代さん。・・・・ 命があったら、またお
会いする・・こともござんしょう
・・・ご免なすって」
みんなに別れを告げ足早に去って行く栄次郎です。

翌日、次郎長が海老屋に着きます。
甚八から海老屋を預かった以上、ども安とは次郎長一家が勝負をすることになる、次郎長は大前田の栄次郎とは面識がないので、これから追いかけてひき止めても聞き入れてくれないと思うので、お喜代にお願いしたいということで、お喜代も次郎長と一緒に旅立つことになります。
続きます。
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