『とんとこひ・セクスアリテ』
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大野晋氏著『日本語をさかのぼる』(1974/岩波新書)で、以下のような「仮説」に出逢いましたよ。 ヤ(八)という語は、日本神話の中に極めて多く現れる数詞である。「大八洲、・・・八俣遠呂智、八百万神」などである。このように神話に多く用いられる数は聖数と呼ばれる。多くの民族は、それぞれの聖数を持っている。 アーリアン民族は三またはその自乗の九を聖数としているし、ヘブライ民族は七を、アイヌ人は六を、ツングース族は大体において五を、ネイティブ・アメリカンは四を、聖数としている。ポリネシアには、四と八とを聖数とする種族がある。・・・ それが「多数」を意味することが多い。「多数」とは数えきれないということであり、無限に大きいということである。 日本の神話には八(ヤ)が多く使われるが、・・・ ヤyaという音の語に、副詞の「ヤ」がある。たとえば、・・・「や雲立つ」のヤも、やはり副詞のヤで、いよいよの意である。 副詞のヤは、イヤの形でも使われる。「イヤ益しに」「イヤ遠ざかる」・・・などと、・・・第一音節の高さが一致することの意味は、・・・その両者の語源が同じだと考えてもよいということである。 さて、先の母音交替の方式によれば、yaはyoと交替するはずである。それならば、iyaに対してはiyoが考えられる。イヨとは、イヨイヨのイヨである。・・・これまた無限にの意である。 では、イヨの名詞形は何であろうか。イヤがヤと同一であったように、イヨはヨに同一であるから、イヨの名詞形として、われわれは四(ヨ)を考えることができる。・・・ ヨ(四)はアクセントの点でも、イヨ(愈)と高さが同じであるのみならず、ヤ(八)、イヤとも高さが同じで、・・・ヤもヨも無限の意を含み、・・・このことを考慮するとき、日本でもヨ(四)もまた聖数の役割を果していた時代が、あるいは古く存在したのではなかろうか。
August 4, 2008
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