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今日のまとめ1.アウト・オブ・ホーム広告は中国では広く受け入れられている 2.フォーカス・メディアは広告関連株として重要な地位を占めている 3.同社の売上高は急成長が見込まれるためPEGレシオでは割高感は無い 4.アウト・オブ・ホーム広告市場は未知数の部分が極めて多くリスクが高い 歴史の浅いアウト・オブ・ホーム広告今日はアウト・オブ・ホーム(戸外)広告の市場について説明します。アウト・オブ・ホーム広告とは具体的には次のような媒体を指します: 1.オフィス・ビルのロビーやエレベーター付近に設置されたフラット・パネル・テレビによる広告 2.屋外に設置されたデジタル液晶ビルボードによる広告 3.ハイパー・マーケット、スーパー・マーケット、コンビニなどに設置されたフラット・パネル・テレビによる広告(これをインストア広告と呼ぶ場合もあります)アウト・オブ・ホーム広告のカテゴリー自体はたいへん歴史が浅く未だ6年くらいしか経っていません。従って世界の投資家には余りよく理解されていないビジネスであると言えるでしょう。しかしこの分野でリーダー的な存在であるフォーカス・メディア(FMCN)の急成長はすでに一部の投資家から注目を集めており同社の時価総額は既にバイドゥ(BIDU)やシナ(SINA)などのインターネットのサーチ・アド、ポータル・アドの企業のそれを越えています。 仕組みの説明フラット・パネル・テレビは大きなオフィス・ビルのロビーやエレベーター付近など人通りの多い場所に普通設置されます。これを設置するにあたってフォーカス・メディアはオフィスの管理会社に年間500ドル程度の場所代を支払います。そしてスポット広告を朝の8時から夜の8時までの12時間流すわけです。ひとコマのスポット広告はふつう15秒から30秒で、次々に色々なスポンサーの広告が流れます。そして12分から15分でサイクルが一巡し、あとは同じ内容が繰り返されるわけです。広告の内容はひとつの都市では全部同一ですが他の地方へゆくとそれぞれのローカルな広告主のニーズに合わせた内容となるため構成が変わってきます。広告はDVDに録画され1ヶ月に1回程度更新されます。今のところ更新作業は手作業ですが順次オンラインによる遠隔更新のシステムが導入される見込みです。主な広告主はチャイナ・モバイル(CHL)やトヨタ、フォルクスワーゲン、ノキア(NOK)などです。最初にフラット・パネル・テレビによる広告が登場した当時は「これは成功しない」と悲観的な見方をする欧米のアナリストが多かったです。それは主に広告が目障りだという理由からです。しかし中国の消費者はこのような訴求手段を特にうっとうしいとは感じず、むしろエレベーターの待ち時間などの時間潰しに歓迎する声もあります。ビルのオーナーもフラット・パネル・テレビの設置がイメージの低下につながるなどという懸念は持っていません。もともと中国の都市は屋外広告の費用が物価水準などから比べて高いこともあり、この新しいメディアは瞬く間に受け入れられました。下のグラフはこの業界における圧倒的リーダーであるフォーカス・メディアの売上成長を示したものですが、今年は46%程度の成長が見込まれています。 株価評価さて、フォーカス・メディアの株価評価ですが、今年(2007年)の一株当たり利益(EPS)に基づいた株価収益率(PER)は約30倍です。株価収益率をEPS成長率で割り算した、所謂、PEGレシオは0.52となります。一般にPEGレシオが1だと株価評価とその企業の成長率とのバランスが取れており、1以下だと成長率に比べて「割安である」という風に解釈されます。リスクフォーカス・メディアを巡るリスクは沢山あります。先ずアウト・オブ・ホーム広告という宣伝形態が実は余り訴求効果が無く、広告主が今後の契約更新を取りやめるというリスクが考えられます。実際に訴求効果があるか無いかに関しては未だ十分な実証データに乏しいというのが現状です。次に今は中国の景気が良いため、効果があるかどうか疑わしい媒体でも各社競ってガンガン広告を打つという事が常態化していますが、ひとたび景気後退局面に入ったらアウト・オブ・ホーム広告が先ず真っ先に契約打ち切りの対象にされるかもしれません。このことはアウト・オブ・ホーム広告自体の歴史が浅いので実際、不況のときどれだけビジネスが減るかに関しての過去の経験がありませんから何ともいえないのです。また、フォーカス・メディアが最近力を入れているインストア広告に関しては欧米先進国では過去に同様の試みが何度かされたのですが、いずれも惨憺たる結果に終わっています。中国の場合は消費者の嗜好がかなり違うのでインストア広告は有効なのかも知れません。しかしインストア広告が消費者に受容されるかどうかに関しては細心の注意を払って見守るべきでしょう。
2007年02月27日

今日のまとめ1.トップ10サイトの3社は中国企業で占められている 2.サーチ・アドのバイドゥは既に4位につけている 3.バイドゥの課題はシェア争いではなく、エクセキューションである 4.バイドゥの直近の決算は悪かったがサーチ市場の飽和が原因ではない サーチ・アド市場前々回のレポートで見たとおり既にインターネットのユーザー数では中国は日本を上回り世界で第2位となっています。また中国のインターネット市場は米国よりも遥かに早いペースで成長していますからいずれ世界で最も大きな市場に成長することは間違いありません。このことは既に現在のトラフィック・ランキング(サイト訪問者数)にも反映されつつあります。下の表は2007年2月現在の世界全体のランキングですが、中国のネット企業が3社ランク入りしています。(8位のオーカットはグーグルの関連会社ですが利用者のかなりの部分はブラジルです。) またサーチ・アドの企業であるバイドゥ(ティッカー:BIDU)が既にポータルであるシナ(SINA)やソーフー(SOHU:トップ10ランク外)より上位にあることも目をひきます。インターネット広告市場の規模(金額ベース)はポータル・アド市場のシェアが73%、サーチ・アド市場のシェアが27%となっています。また今後の成長率はサーチ・アド市場が年率50%、ポータル・アド市場が年率35%と見込まれています。 サーチ・アド市場における順位ではバイドゥが2位以下を大きく引き離し約60%のマーケット・シェアを握っています(金額ベース)。第2位のグーグルは18%です。グーグルが中国市場で出遅れた理由は当初中国政府からICP(インターネット・コンテンツ・プロバイダー)ライセンスが下りずアド・サーバーを国外に設置しなければならなかったこと、中国ではクレジット・カード、特に中小企業におけるコーポレート・カードの普及が遅れており、クレジット・カードを決済の手段とすることで取引手順の簡素化を図るグーグルのやり方が中国では逆に足枷になったこと、広告の販売促進ならびに決済のヘルプをする営業隊の編成の遅れがシェア拡大を阻んだこと、さらにブランディング(サーチ・サービスのネーミングなど)の面で失策があったこと、などが指摘されています。 バイドゥの近況そういう訳でサーチ・アド市場におけるバイドゥの優位は今のところ安泰です。するとバイドゥの業績が今後もちゃんと伸びるかどうかは同社自身のエクセキューション(詰めが甘いかどうか)にかかっているわけです。先日発表された2006年第4四半期の決算では売上高が市場の予想を下回りました。また今期(2007年第1四半期)のガイダンスも市場予想を下回り、この結果同社の株価は急落しました。そこで同社の売上高のパフォーマンスをもう少し詳しく分析してみましょう。バイドゥの売上高は稼動顧客数と顧客当たりの売上高(ASP=Average Selling Price、つまり平均単価)によって決定されます。バイドゥで顧客が広告を出す際、検索結果に絡めたリンクを検索者がクリックする毎に、1クリック幾ら支払ってよいかという料金を広告主同士が競争入札します。これがP4P(=Pay for Performance)と呼ばれるシステムです。そうやって1時間ごとに広告料金が入札で改定されるわけです。従って競り合いになって広告料金が吊り上ればバイドゥの側から見たASPは上昇するわけです。いま稼動顧客数を見ると成長率は鈍化しています。これはバイドゥの規模が大きくなるに従って母数が大きくなるのである程度避けられない現象です。 次に顧客当たり売上高の成長率ですが、こちらも下がってきています。こちらのほうはサーチ・アド広告を出すことが広告主(=バイドゥの顧客)にとってどのくらい利益に結びついたか?というお客さんの側での費用対効果比(これを英語ではROI=Return on Investmentと呼ぶ場合があります)に強く影響されると考えられています。なお、バイドゥは最近、価格設定に関するアルゴリズム(算法)を手直ししており、それが顧客の一時的な離反を招いた可能性も指摘されています。さて、バイドゥは中国における成功の余勢を買って日本市場への進出を計画しています。しかし日本のインターネット市場は中国より成熟した市場ですし、既存の業者の地位もかなり固まっていますのでこれからバイドゥが新規参入を狙うとしてもシェア拡大は容易ではないと懸念されます。いずれにせよ中国のインターネットの普及率は未だ10%程度であり、マーケットの飽和を議論するのは気が早すぎると思います。むしろ問題なのはバイドゥの株価水準が余りにも高い(今年の一株当たり利益予想に対して約60倍近いPER)ので、ほんの少しでも市場の期待を下回る決算になった場合、大きな落胆を誘うような状況が出来てしまった点でしょう。
2007年02月19日

今日のまとめ1.食品、飲料、薬品、不動産、化粧品などの企業が主な広告主 2.ポータル・アド市場は依然ネット広告の中で最も大きい市場である 3.総合力ではシナが他のポータルより抜きん出ている 4.株価を占う上でポータル・アドが鍵を握るのはシナとソーフーの2社 5.シナがソーフーに対してリードを広げている インターネット広告の顧客インターネットを多用する広告主はどういう企業か?というのを調べてみると、食品、飲料、薬品、不動産、化粧品などが多いです。このうち特に食品と飲料の広告支出の増加が目を引きます。これらの広告主が上位を占めていることは前回見た中国のインターネット・ユーザーの特徴(若くて高学歴で独身)からも頷ける内容となっています。また今後急増が予想される分野としては金融サービス、教育、リクルートなどが挙げられます。ポータル・アド市場このところグーグル(GOOG)やバイドゥ(BIDU)などのサーチ・アドの企業が話題になっているのでポータル・アド市場は比較的話題になりません。しかし前回見たようにポータル・アドはインターネット広告市場の売上高の7割以上を占有していますし、今後徐々にマーケット・シェアをサーチ・アドに奪われるとはいえ当分の間は最も重要なセグメントであることには変わりません。ポータル・アドにおける各社の占有率は以下の通りです。 マーケット・シェア首位のシナ(SINA)はユーザーの年齢層ならびに収入水準が高いのが特徴です。またネットイーズ(NTES)のユーザーも収入水準が高いです。一方、テンセントは若いユーザーに支持されています。各社のサービスの特徴をまとめると下の表のようになります。 総合的に見るとやはりシナのポータルが一番充実していると思われます。ソーフーは北京オリンピックの公式スポンサーに指名され、これを機に挽回を図っています。さて、ネットで最近伸張が著しいサービスとしてはブログ、オンライン・リクルート、ネット・ショッピングなどです。ブログの分野ではシナが有名人のブログを積極的に展開し大きくリードしています。しかしこれらの新しいサービスは未だ始まったばかりで、広告主にとって重要なのは従来のニュースなどのポータル・サービスです。 ポータル各社の事業内容次にポータル各社の売り上げ構成比を比べてみることにします。下のグラフは各社の総売上高に占めるポータル・アド売り上げの比率を比較したものです。ソーフーのポータル・アド比率は64.1%、シナは63.3%であり、この2社は「本業はポータル・アド事業である」と言って良いでしょう。一方、ネットイーズの場合は売り上げの大半はオンライン・ゲーム、テンセントはインターネット付加価値サービス、トム・オンライン(TOMO)は携帯付加価値サービスです。それらの銘柄の場合、株価を占うにあたってポータル・アド事業は重要ではありませんので、ここではシナとソーフーの2社に絞って最近のトレンドをもうすこし詳しく見てみましょう。 下のグラフはシナとソーフーの部門別売上高の推移を示しています。シナの場合、2005年の年初の段階では携帯付加価値サービスから上がる売り上げのほうがポータル・アドの売り上げよりかなり大きかったです。ポータル・アド部門の売り上げはソーフーのそれとほぼ互角でした。しかし現在の両社の売上高を見るとかなり格差ができました。つまりシナのほうが早いペースで成長しているわけです。事実、先週発表された2006年第4四半期の決算ではシナのポータル・アド部門は+43%の成長(前年同期比)を記録したのに対し、ソーフーのそれは+30%にとどまりました。 一方、携帯付加価値サービスのビジネスは中国政府の方針で規制が強化されている折、各社とも業績的には苦しい展開が続いています。シナ、ソーフーの場合も例外ではなく、同部門は縮小均衡する過程にあります。
2007年02月13日

今日のまとめ 1.中国の広告市場は既に世界で3番目に大きい 2.今後はGDP成長より早いペースでの成長が見込まれる 3.中国の広告市場は都市に偏っている 4.中国人は最先端の広告媒体を活用し消費者に訴求している 5.テレビ、新聞が最も大きい媒体だが大手は上場していない 6.インターネット株は中国の広告市場の成長を買うのに適している 消費へのシフトがおこりつつある中国中国の広告市場の規模は約300億USドルで米国、日本に次いで既に世界で3番目に大きい市場です。しかもモダン・アドバタイジング社の予想では中国の広告市場は年率16.3%で成長しており、これは中国のGDP成長よりかなり早いペースです。中国の広告市場が経済そのものより早いペースで成長しているひとつの理由はそもそも消費自体が中国の経済の成長より早く成長すると考えられているからです。中国経済の歩みを振り返って見ると近年は高水準の海外直接投資の流入を背景としてインフラ投資や事業投資が経済のリーダーシップを握ってきました。その影で2003年くらいまでは個人消費はGDP成長より低い成長率に甘んじていたのです。しかし経済の成熟に合わせて中国の消費者も都市生活者を中心にかなりの富を蓄積しつつあります。今後、経済成長の担い手が次第に消費セクターに移ってゆくと考えられるのはこのためです。そこで今日から数回に渡って中国の広告市場について考えてみたいと思います。中国の広告市場の潜在成長力現在の中国の一人当たり広告費は年間US$12に過ぎません。アメリカがUS$875、日本がUS$450であることを考えると随分低い水準です。しかし、中国は人口が多いので一人当たりの数字を基に潜在成長力を考えると間違ってしまうかもしれません。そこで経済の規模、つまりGDPの大きさと広告費の大きさを比較してみると中国の広告費はGDPの1.3%で米国は2.2%です。中国の広告市場の特徴さて、中国では北京、上海、天津、広州などの都市住民と地方の住民とではかなり所得格差があります。地方の住民の所得は都市住民の半分から場合によっては4分の1程度しかありません。広告は所得や消費に密接に結びついたビジネスですから当然お金のあるところに集中するわけです。このため中国の広告売り上げの実に7割以上が都市で発生しています。さて、皆さんは中国の経済が先進国より遅れているので広告の媒体も昔風のメディアが主体だろうとお考えではありませんか?。なるほど確かにテレビや新聞などのメディアも重要であることは間違いありません。実際、広告収入ではこれらのメディアが第1位と第2位を占めています。しかし成長率で言えばアウト・オブ・ホーム(戸外)広告の躍進が圧倒的に他を引き離しています。また、インターネットを媒体とした広告も急成長しています。このようにいきなり最先端の媒体を活用して消費者に訴求している点が中国の広告業界のひとつの特徴である点をよく押さえておいていただきたいのです。中国のインターネットの普及状況残念ながら中国本土の大手テレビ局や新聞社の殆どは現在のところ株式を公開していません。そこで中国の広告市場に投資しようとするとインターネット・ポータルの株を買うか、アウト・オブ・ホーム広告の株を買うということになります。そこで先ず中国のインターネット市場に焦点をあてることにします。下のグラフを見ていただきたいのですが、中国におけるインターネットの普及率はほぼ10%です。日本とアメリカの普及率はそれぞれ67%と70%です。つまり中国はまだまだ今後成長の余地を残しているわけです。因みにY軸の成長率は2000年~2007年の期間における成長を示しています。このグラフから読み取れるもうひとつのことは中国のインターネット人口は既に日本のそれを上回っているし、今の成長率を維持すれば早晩アメリカも追い越して世界最大になるという点でしょう。 なお中国のインターネット市場はもっぱら都市を中心とした現象であって、地方における普及は著しく遅れています。都市での普及率は約17%、地方は2%程度です。また、ユーザーの属性から分析するとインターネット・ユーザーは若くて高学歴なのが特徴です。独身と既婚者という観点からすると独身のほうが多いです。また学生がユーザー層の中で最大のグループであり全体の約35%を占めています。インターネット広告市場インターネットを媒体とした広告が中国の広告市場全体に占めるシェアは何%か?ということに関しては色々な調査会社の調査結果にかなりばらつきがありますが大体1.5%から4%の範囲内に収まっています。インターネット広告市場は大別してポータル・アド市場とサーチ・アド市場の2つに分けられます。ポータル・アド市場はブランド・アド市場などと呼ばれる場合もありますが、要はヤフーなどのポータル・サイトのバンナー広告などをイメージして頂ければ良いと思います。一方、サーチ・アドはグーグルのように検索結果に絡めた広告のことを指します。現在の両者のシェアは下のパイ・チャートのようになっています。なお、ポータル・アド市場は今後年率35%程度で成長し、サーチ・アド市場は50%程度で成長すると考えられます。
2007年02月05日
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