2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全4件 (4件中 1-4件目)
1

今日のまとめ 1.南アフリカの株式市場は高度に発達している 2.ADRで個別に取引できる銘柄も多い ■アフリカ最大の経済 南アフリカの株式市場は比較的高度に発達しています。これはイギリスの資本市場のノウハウが古くから移植されてきた歴史によるところが大きいですし、財務戦略に長じた鉱業コングロマリットが同国の資本市場をフルに活用してきた歴史にもよります。 いま南アフリカ株式市場で時価総額上位を占める企業を見ると鉱業コングロマリットのBHPビリトンとアングロ・アメリカンが抜きん出た存在であることがわかります。トップ10企業だけで南アフリカ株式市場全体の時価総額の8割を超えています。つまり極めて上位集中度の高い株式市場であるということです。■ADRが多い 南アフリカ市場のもうひとつの特徴は国の大きさに比べて個別銘柄でADRを出している企業が多いことです。NY証券取引所ならびにナスダックで取引出来る主要ADRを挙げると以下のようになります。金融セクターを除くと大体の主要株は米国の市場で取引出来ますので、個別銘柄への投資を好む人にとっては面白いマーケットであると言えます。 下の企業のうちBHPビリトンやアングロ・アメリカンは南アフリカのみならず、英国やオーストラリアの企業が合併を繰り返して出来たコングロマリットですので取引市場としては南アフリカだけではなく、オーストラリアやロンドンにも株式が上場されています。このように複数の上場がある企業のことをデュアル・リスティングと言います。次に簡単にこれらの銘柄を紹介したいと思います。■BHPビリトン(BHP) BHPビリトンは世界最大の鉱業コングロマリットです。25カ国で事業を展開しており総従業員数は3万8千人です。銅、鉄鉱石、アルミニューム、石炭、マンガン、ウラン、ニッケル、銀、チタニウムなどの素材の他、石油、液化天然ガスの事業も展開しています。現在、業界第2位のコングロマリットであるリオ・チント(RTP、上場ロンドン他)に買収提案をしています。 この買収は鉄鉱石や石炭の搬出のボトルネックを事業統合することで解消する目的でなされています。しかしとりわけ鉄鉱石の市場においてサプライヤーの寡占が強まることが考えられるため同社の顧客である中国は今回の買収に対して警戒感を強めています。■アングロ・アメリカン(AAUK) アングロ・アメリカンは歴史の長い南アの鉱業コングロマリットです。世界でのランキングで言うとBHP、リオ・チント、CVRDに次いで世界第4位です。同社の主な商品はダイヤモンド、プラチナ、ゴールド、石炭などです。このうちダイヤモンドは傘下の企業であるデビアース社を通じて事業を展開しています。デビアースは南アの事業家であり政治家のセシル・ローズが始めた会社であり、世界最大のダイヤモンドの生産者です。またダイヤモンドの流通を支配するDTC(ダイヤモンド・トラスト・カンパニー)はダイヤモンドの卸売、品質の維持に関して隠然たる影響力を持っています。 プラチナについては傘下のアングロ・プラチナム社が事業を担当しており、世界のプラチナ生産の37%を占めるNo.1企業です。ゴールドについてはアングロ・ゴールド(AU)を通じて事業展開しているのですが、この部門については徐々に持ち株比率を下げてゆく計画であり、現在はAUの発行済み株式数の17%強だけを残しています。■サソル(SSL) サソルは総合石油、ガス、化学会社です。同社は石炭を生産するほか石炭を合成燃料(シンセティック・フュエル)に転換する事業を展開しています。フィッシャー・トロプシュ製法と呼ばれるこの手法を使うと石炭や天然ガスを自動車の燃料などに転換することが出来るのです。石炭を転換する技術をCTL(コール・ツー・リキッド)、天然ガスを転換する技術をGTL(ガス・ツー・リキッド)と呼んでいます。 南アはアパルトヘイト時代に貿易のボイコットを受けた経験があり、その際、国内にふんだんに存在した石炭を自動車燃料に転換するノウハウが極められたわけです。こんにち同社のGTL技術はカタールのオリックス・プロジェクトで実際に活用されています。■アングロゴールド・アシャンティ(AU) アングロゴールド・アシャンティは世界第3位の産金会社です。ヴァール・リーフという名前で1944年に創業された金山がその母体です。後にアングロ・アメリカン社の金山のポートフォリオと事業が統合され、現在の体裁になりました。同社は10カ国で金の採掘を行っています。2006年の金生産量は560万オンスでした。このうち45%は地下採掘、45%は露天掘り、残りの10%はガーナ、ナミビア、ギニア、マリ、タンザニア、オーストラリア、米国、アルゼンチン、ブラジルなど南アフリカ以外の国々に於ける地下採掘です。同社の可採年数は約11年と見られており、これは業界の中では短いほうです。 現在の採掘コストはUS$357/Oz.です。採掘コストは南アフリカ・ランドの上昇、賃金の上昇、輸送コストの上昇などが原因で上昇トレンドにあります。同社は年間生産量の約3割程度をヘッジしています。今後、このヘッジが取り除かれると金価格への業績の連動が高まり、同社株の再評価につながる可能性があります。また同社の親会社であるアングロ・アメリカンは以前から同社の株式を処分すると発表してきました。 従ってこれが株価を抑える要因になっていたのですが、6710万株が最近プレースされ、アングロ・アメリカンの持ち株比率は42%から17%へと減少しました。このため目先はこの再編成からくる売りプレッシャーは取れたと考えてよいと思います。■テルコム(TKG) 同社はアフリカ大陸最大の通信会社です。固定電話ならびに携帯電話、インターネット・サービス・プロバイダーのビジネスを展開しています。売上高に対する貢献度は固定電話が57%、携帯電話が40%、その他が3%となっています。固定電話のビジネスは携帯電話に顧客を奪われているため成長していません。長年の過少投資が祟ってメンテナンスの出費が多く、設備投資負担は増えています。 一方、携帯電話事業は関連会社、ボーダコム(50%所有)を通じて展開されています。ボーダコムの売上高は17%程度で成長しています。顧客数は2300万人で、年率15%程度で加入者が増えています。ARPU(ユーザー当たり単価)は119ランドで前年比4%ほど下がっています。ボーダコムはボーダフォンとのJVですが、その関係はかならずしも上手くいっているとは言えません。場合によってはテルコムはボーダコムの50%株式を処分し、携帯電話事業から撤退する可能性もあります。■ゴールド・フィールズ(GFI) ゴールド・フィールズは世界第4位の産金会社です。同社はクルーフ、ドリィフォウンテェイン、サウス・ディープなどの南アの由緒正しい金山を所有しています。加えてガーナ、オーストラリア、南アメリカに金山を所有しています。同社の確認埋蔵量は9000万オンスを超え、バリック・ゴールド、ニューモント・マイニングに次いで世界で3番目に大きいです。また確認埋蔵量を年間生産量で割ったリザーブ・ライフ(可採年数)で言うと24年で、大手では世界最長です。またゴールド・ヘッジを全く用いていないことも同社の特徴です。■サッピ(SPP) 同社は世界的なコート紙のメーカーです。同社のコート紙は本や雑誌はもちろんのこと、カタログやカレンダー、ワインのラベルなどに使われています。コート紙はいろいろな紙製品の市場のうちで最も高い成長率を維持している分野のひとつです。同社は原料を100%自社調達できる点が他社との差別化のポイントです。 同社の北米の製紙部門はもともとSDウォーレンとして1854年に創業された歴史の長い製紙会社です。また同社はサッピ・フォーレストという植林事業部を持っており、同部門は54万ヘクタールの土地をアフリカ大陸に所有しています。同社のハードウッド・パルプ(紙の原料)は植林から伐採までが10年と、ブラジルについで収穫までの期間が短く、これがコスト競争力の源泉となっています。
2007年12月25日
今日のまとめ 1. アフリカ民族会議(ANC)の党首選挙ではズマ氏が勝利した 2. ズマ氏はポピュリスト的なイメージがある 3. 実際には中道をゆく堅実な政策が維持される公算が高い 注目されていた南アフリカの与党、アフリカ民族会議(ANC)の党首選挙が終わり、前副大統領ジェイコブ・ズマ氏が圧倒的な勝利をおさめました。南アフリカの大統領はこれまでターボ・ムベキ氏が過去8年にわたって務めてきました。南アフリカの場合、与党の党首がそのまま大統領に就任する可能性が高いので、2009年にムベキ現大統領の任期が満了になると次期大統領にズマ氏が推される公算が高まりました。 ムベキ現大統領は経験豊かなテクノクラートで、これまで南アフリカを極めて手堅く治めてきました。しかしアフリカ民族会議内の左派に対しては極めて冷淡な姿勢をとっていたため、大統領としての実績は素晴らしかったにもかかわらず、今回の党内選挙で敗れたわけです。一方のズマ氏はポピュリスト的なイメージがあり、社会的弱者の味方であるという風に国民には受け止められています。南アフリカは失業率が25%近くもあり、近年の経済の好調にもかかわらず、社会の底辺の人々の暮らし向きは良くなっていません。それがズマ氏の人気の一因です。 ズマ氏は過去に汚職その他の疑惑で追及を受けた経歴があります。南アフリカでは大統領候補の人間が汚職疑惑で追及された場合、大統領選に出馬できない規定になっています。人気の高いズマ氏が大統領選に出馬できなくなると南アフリカの政治が混乱することも考えられます。このところの南アフリカ株式市場の神経質な展開はそうした政治リスクを反映したものであると考えられると思います。 ただズマ氏は国民が考えているほど極端なポピュリストではなく、若し彼が大統領に就任した場合でもターボ・ムベキ現大統領が続けてきた堅実な政策を継承する可能性は極めて高いというのが長く南アフリカの政治をフォローしてきたウォッチャー達の見方です。したがって南アフリカにとってのリスクは今の流れ通りにズマ氏が次期大統領に就任することではなく、逆にスキャンダルの多いズマ氏が大統領に出馬する前に汚職疑惑で追及され、出馬資格を剥奪されることにあるのです。これによって後継者争いが泥沼化するというシナリオが怖いわけです。南アフリカが白人支配から脱却して13年になりますが、おおむね穏健で実業界寄りのリーダーシップに恵まれてきました。その期間に南アフリカの政治がどれだけ大統領個人の人徳に依存する体質から政治システムそのものの堅固さに依拠する体質に変わったかが今、試されているという風に解説できると思います。
2007年12月21日

今日のまとめ 1. 高度安定成長が続いている 2. 成長のエンジンは消費からインフラ投資へ移る 3. 経常収支の悪化が懸念材料■アフリカ最大の経済 前回見たように南アフリカはアフリカ大陸の国々のうち最も大きな経済の規模を誇っています。今年のGDP予想は2745億ドルです。近年の南アフリカのGDPは極めて安定的に成長してきました。 近年の南アフリカの経済成長が好調だった理由は消費者クレジットの普及などにより消費が好調だった点が指摘できます。初めて住宅ローンを組めるようになった消費者の間で持ち家ブームが起こりました。 南アフリカの一人当たりGDPは5760ドル程度です(2007年予想)。南アフリカには世界を代表する鉱業コングロマリットが幾つも存在するため、昨今の商品市況の高騰でこれらの企業は好況を迎えています。しかしインフレ・プレッシャーは地下資源のみならず穀物の世界市況にも影響を与え始めています。一般にアフリカ諸国は食料品の価格高騰には弱いです。南アフリカもこのところ消費者物価がじり高を辿っており、金利は引き上げられ始めました。 このことは今後持ち家ブームや自動車などの高額耐久消費財の好調に経済成長を依存することがだんだん困難になることを示唆していると思います。その一方で南アフリカ経済の今後の牽引役として期待を集めているのが建設などを中心とする投資部門です。 南アフリカは2010年にサッカーのワールド・カップを控えており、これに備えて政府は向こう3年間で500億ドルにのぼる投資を予定しています。従って南アフリカのGDP成長は高い水準を維持できる可能性が強いです。南アフリカはアジア諸国に比べると貯蓄の水準が低く、またトレンド的にも漸減しています。これは懸念材料のひとつと言えるでしょう。一方、南アフリカの財政収支は大体健全です。 しかし同国の弱点としては今後貿易収支ならびに経常収支がかなり悪化することが見込まれている点です。 これは上に述べたように今後投資を増やすことに絡んで資材などの輸入が増えることが主因です。海外からの直接投資の資金の流入はこれまではまちまちの様相を呈していたのですが、最近では中国工商銀行がスタンダード銀行の20%株式を取得するなど大型の案件が動き始めています。外貨準備のカバレッジなどを見ても南アフリカ・ランドが急激に売り込まれるような危険性は少ないと思います。但し世界的に素材の価格が急落するような局面があれば、そのときは南アフリカ・ランドにも気をつけて下さい。
2007年12月14日

今日のまとめ 1. アフリカ経済は現在好調である 2. 資源が経済の動向を左右している 3. 南アフリカの資本市場が最も整備されている■好調なアフリカ経済 サハラ以南アフリカのGDP成長率の予想はIMFによると2007年は6%、2008年は7%です。これは同地域の過去四半世紀の中で最高の部類に入る成長率です。 また同地域のインフレ率も過去30年で最低です。このようにサハラ以南アフリカの経済は今、絶好調であると言えるでしょう。IMFはこの原因としてサハラ以南アフリカ諸国の経済政策が良くなったことを挙げています。 具体的には財政赤字縮小の努力が指摘されています。また外在的な要因としては2006年から始められた対外債務減免イニシャチブ(MDRI:Multilateral Debt Relief Initiative)、2000年に設定されたミレニュウム開発目標(MDG:Millennium Development Goals=初等教育の徹底、男女平等、幼児死の防止、妊産婦の健康促進、HIV/AIDSやマラリアに対する対策など)の実践などが指摘されています。 しかし何と言っても経済成長に一番寄与している要因は昨今の商品市況の高騰と、中国などの新しい経済大国が積極的にアフリカへ投資資金を投下しはじめたことだと思います。■アフリカ経済の位置づけ IMFによるとアフリカの人口は約9.13億人であり、世界の14%を占めています。また人口の成長率は年率2.3%程度と世界の他の地域よりかなり高いです。一方、GDPは世界の4%に過ぎません。 今、アフリカの中で最大の経済規模を誇る南アフリカが世界のGDPの約1%であることを考えると残りのアフリカ諸国は3%しか無いわけです。サハラ以南アフリカの主要国のGDP規模を示したグラフを掲げておきます。 アフリカとBRICsを比べてみるとどうでしょうか?。南アフリカを含んだアフリカ全体のGDP総額は1.1兆ドルであり、これはブラジルの1.1兆ドル、ロシアの1.2兆ドルにほぼ匹敵する規模です。 なお、アフリカの国々をGDPの大きい順から並べると1位は南ア、2位はナイジェリア、3位はアルジェリア、4位はエジプト、5位はモロッコという順番になるのですけれどこのうちのアルジェリア、エジプト、モロッコは文化圏、経済圏的に少し異なります。 これらの北アフリカの国々は中東諸国と一緒に括ってMENA(Middle East & North Africa)という風に形容されることがあることからも分るとおり、経済のダイナミズムとしてはその他のアフリカと一緒にしない方が良いと思われます。このため今回はサハラ以南アフリカを中心に見て行き、MENAはまた別の機会に譲りたいと思います。■比較的閉じているアフリカ経済 世界の貿易に占めるアフリカの比率は僅か3%に過ぎません。アフリカ諸国のGDPに占める輸出の割合は3割程度にとどまり、しかもそのうちの7割程度が天然資源や一次産品のようなコモディティーで占められています。 またアフリカの歴史のところで見たようにアフリカ諸国は植民地支配を受けた時代に道路などのインフラが作られたために大半の道路が国から国へと横断する形で整備されておらず、まっすぐ海の方へ伸びているのです。 このためお隣さん同士の国でも貿易などによるモノのやりとりが極めてやりにくいというハンデを負っています。植民地時代の「負の遺産」の例だと思います。そんなことも影響してアフリカ域内での貿易はまわりくどく、複雑かつ非効率なシステムに依存しています。実際、貿易の仕向け先を見ると欧州が42%、北米が20%なのに対してアフリカ域内は僅か10%に過ぎません。■資源は比較的豊富 アフリカは比較的資源に恵まれていると言えます。世界の石油の埋蔵量の約10%がアフリカに存在し、主な産油国としてはリビア、ナイジェリア、アルジェリア、アンゴラ、スーダン、エジプトが挙げられます。またナイジェリア、アルジェリア、エジプト、リビアに関しては天然ガスも採れます。またボツワナではダイヤモンドが沢山採れ、同国の輸出の8割を構成しています。 またコートジボアールとガーナはカカオの産地として有名でそれぞれ輸出の4割程度を担っています。ザンビアは銅の産地で輸出の5割を占めています。ジンバブエはニッケルの産地で輸出の25%を占めています。また南ア、ガーナ、タンザニアでは金が採れます。■中国の参入 こうした豊富な資源に目をつけた中国はアフリカに積極的に投資を開始しています。ナイジェリアの油田に出資したり、アンゴラで鉄道を建設したのは皆さんもニュースなどで聞いたことがあるかと思います。2002年まではアフリカにおいては先行投資の資金が枯渇していたのですが、商品市況が上昇するとともに世界の投資資金がアフリカにも入ってくるようになり、現在は資源開発ブームになっています。 アフリカの歴史のところで見たようにそもそも19世紀末期に列強がアフリカの分割に乗り出した背景には産業革命に伴うコモディティー・ブームがあったわけです。その意味では今回の投資ブームは歴史が繰り返されているという風に考えられないこともありません。■アフリカの資本市場 アフリカの資本市場の発達は一部の国だけに偏っています。 このグラフからも分るとおり南アフリカの資本市場が他を圧倒しています。我々個人投資家が受け渡しなどを心配することなく安心して参加できる市場はこの南アフリカのみだと言えるでしょう。なお、南アフリカの資本市場や銀行システムは長くイギリスの影響を受けて発達してきましたので極めて整備されているし信頼度は高いと思います。 またエジプトを除けばアフリカで唯一しっかりした資本市場を有していたということから、サハラ以南アフリカへの投資をする際、南アフリカがゲートウエイとなって資本がアフリカ各地に割り振られている面があります。 特に事業会社の資金調達面などでこの傾向は顕著です。このことは南アフリカの株式市場に上場されている株式に投資することで、ある程度アフリカの他の国々へも「代理による投資」が可能であることを示唆しています。
2007年12月04日
全4件 (4件中 1-4件目)
1

