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今日のまとめインド経済はリーマン・ショックからすぐに立ち直った物価の上昇リスクがあるユーロ安でITアウトソーシング企業の業績は悪化する危険性がある上場維持基準の変更で一部企業は増資を迫られる最近のインド経済の状況について述べます。GDP成長率インド準備銀行は2009-2010年度のGDP成長率として7.5%、2010-2011年のGDP成長率として8.0%を予想しています。なお2010-2011年のGDP成長率の予想は上方修正される可能性が高いとしています。インド経済は比較的閉じており、リーマン・ショックの後遺症も比較的軽かったです。鉱工業生産2010年2月の鉱工業生産は+15.1%と1月の+16.7%、去年12月の+17.6%より少し減速しています。貿易インドの輸入は金融危機後11カ月連続して減少した後、2009年11月に+2.6%と上向きはじめ、2009年12月には+32.4%、2010年1月には+35.5%、2月には+66.4%と急激なペースで拡大しています。一方、輸出の方も金融危機後12カ月連続して減少した後、2009年10月以降増加に転じています。インフレインド経済は順調に拡大していますがインフレ圧力はいろいろな方面に現れつつあります。卸売物価指数は2009年9月に+0.5%の増加を見た後だんだん騰勢を増し、2010年3月には+9.9%にまで加速しています。インド準備銀行のターゲットは+8.5%なので現在のペースは好ましくありません。なおインフレの中身についてはここ数カ月でかなり変化が見られ、食品価格が季節要因で騰勢に衰えを見せた点が指摘できます。一方工業製品の値上がりについては生産者の価格決定力が強まっており、今後インフレが悪化する危険性もあります。金融政策インド準備銀行の現在のスタンスは:レポ・レート5.25%(最近引き上げられました)リバース・レポ・レート3.75%(最近引き上げられました)キャッシュ・リザーブ・レシオ6.0%(最近引き上げられました)となっています。株式市場の話題インド株式市場の話題としては先ず最近のユーロ安で欧州の売上比率の高いITアウトソーシング企業の業績に不安が出ています。これは逆に言えばユーロ不安が収まればそれらの銘柄が見直される可能性があるという風にも言えます。代表的なITアウトソーシング企業にはインフォシス(ティッカー:INFY)、ウィプロ(WIT)、パトゥニ・コンピュータ・システムズ(PTI)、サティヤム(SAY)、WNSホールディングス(WNS)などが挙げられます。次にインド財務省が上場維持基準を変更したことも話題になりました。具体的には一般株主に流通する浮動玉が発行済み株式数の25%に満たない企業はすみやかに新株を発行するなどして株式の流動性を維持しなければいけないというルールです。実際にはこのルールに抵触する企業の大半は政府系の公共セクターの企業です。しかし一部の民間企業はこのルールにひっかかります。ADRの出ている企業の中ではウィプロ(WIT)がそれに相当します。このため上場維持のための公募など、株式の需給が悪くなるリスクを抱えていると言えるでしょう。
2010年06月14日

今日のまとめ 物価は相変わらず騰勢を見せている 鉱工業生産の伸び率の鈍化が目立つ ユーロ安の悪影響は未だ出ていない 不動産価格の上昇が続くうちは金融政策に変更は無い 物価 5月の消費者物価は市場予想を上回る+3.1%でした。生産者物価指数も予想より高い+7.1%でした。 ある意味では今回の物価統計の市場に与える影響は限定的だったという風にも言えます。その理由はフォックスコン、ホンダなどの工場で賃上げ闘争が起 きておりインフレ・プレッシャーは既に賃金へと波及しているからです。 賃金はいろいろな物価の中で最後に上昇しはじめる項目です。ひとたび賃金が上昇しはじめるとそのトレンドを抑え込むのは容易ではありません。従って 今回の消費者物価指数ならびに生産者物価指数の数字がどうであれ、人民銀行は警戒を緩めるわけにはいかないのです。 銀行融資 5月の銀行融資は6394億人民元で4月の7740億人民元より若干減りました。 小売り売上高 5月の小売り売上高は+18.7%で市場予想を若干上回りました。 鉱工業生産 5月の鉱工業生産は+16.5%と市場予想を下回りました。また先月の+17.8%からまた一段と鈍化しており工業部門の変調を感じさせます。 貿易統計 5月の輸出は1318億ドル、輸入は1122億ドルでした。 貿易収支の黒字幅は195.3億ドルへと拡大しました。注目された欧州向けの輸出はぜんぜんスローダウンが見られませんでした。しかし多くのエコノ ミストは或る程度のタイムラグを伴って今後欧州向け輸出が鈍化すると予想しています。 輸出(赤)と輸入(青)の前年同期での変化率を見ると予想通り輸出が追いついてきていることがわかります。 なお5月の都市部の不動産価格は相変わらず+12.4%と高水準の上昇を見せており、 この面からも人民銀行が金融政策を変更する可能性は低いと思われます。
2010年06月11日

今日のまとめ リニューアブル・エネルギーのセクターは大きく調整した ドイツやスペインの重要性が低下し、中国国内の需要が重要になった 太陽光発電より風力発電の重要度が増した 中国が追加の景気刺激策を打ち出すかに注目 大きな調整を経験したリニューアブル・エネルギー関連セクター リニューアブル・エネルギーとは持続的利用可能エネルギーの意味で、具体的には風力発電や太陽光発電などを指します。それらはクリーン・エネルギー という風に呼ばれる場合もあります。 これらの代替エネルギーのセクターはアル・ゴアの『不都合な真実』を契機としてブームになりましたが、その後、金融危機を経て今は熱が冷めていま す。 例えば代表的な太陽光発電の上場銘柄には過去最高値から9割も下落した銘柄も見られます。 リニューアブル・エネルギー市場の概観 そこでリニューアブル・エネルギー市場全体の環境変化について考えてみましょう。 2009年はリニューアブル・エネルギーへの先行投資額が前年比でマイナスを記録しました。 どの国のどのテクノロジーがリニューアブル・エネルギーへの設備投資をけん引しているかという点に関しては金融危機を境に重要なリーダーシップの交 代が見られました。 具体的にはこれまでリード役だったスペインやドイツの重要度が下がり中国の重要度が増しました。 スペインやドイツでは太陽光発電の占める割合が大きいですが、中国では風力発電が主流です。 国別のリニューアブル・エネルギーの発電能力を見ると中国の地位の向上が顕著です。 中国の成長率は年率約140%と極めて高いので、今年は中国がアメリカを追い越し、世界最大のリニューアブル・エネルギー国になると見られていま す。 去年1年の単年度での投資額は中国が他を圧倒しています。 中国の今後の政策が鍵を握る 以上のことから投資先としては風力発電のセクターの方が有利だったことがわかります。この分野での代表銘柄には中国のチャイナ・ハイスピード・トラ ンスミッション(00658)があります。 一方、太陽光発電はスペインの景気後退の影響を受けました。また最近のユーロ安は欧州向けの輸出が一層やりにくくなることを意味します。 なお風力発電や太陽光発電は政府の補助金や景気テコ入れ策によって大きく左右されます。 一部には中国政府が近く追加の景気刺激策を発表するという観測もあり、その中でリ ニューアブル・エネルギーが大きな予算の割り当てを受けるのではないかという見方がされています。
2010年06月07日
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