2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
全3件 (3件中 1-3件目)
1
今日のまとめ 1.ロシアとNATO(北大西洋条約機構)が「敵対する時代は終わった」と宣言 2.より緊密な経済協力へ道をひらくリスボン会議先週の土曜日、ポルトガルのリスボンでNATO(北大西洋条約機構)の首脳会談が開かれ、その席上、NATOとロシアの双方が「敵対する時代は終わった」と宣言しました。これは欧州外交上の大事件だと言えます。今回の共同宣言がいかに大切かを理解するには少し歴史を遡る必要があります。第二次世界大戦終結前夜未だ第二次世界大戦が終焉する前、1943年頃に連合国の巨頭たちは戦後のヨーロッパがどうあるべきか? についての話し合いを開始しました。当初話し合いに参加したのはソ連のジョセフ・スターリン、米国のフランクリン・ルーズベルト、英国のウインストン・チャーチルらです。一連の話し合いの過程でジョセフ・スターリンはヒトラーのロシア侵攻を喰いとめ、ドイツ軍を撃退したことから戦争が終わったあかつきにはポーランドなどの領土をソ連に入れることを主張しました。また英国と米国がDデイでノルマンディーから上陸し、ドイツを挟み撃ちにすることを約束しました。この作戦は成功し、連合国は第二次世界大戦に勝ちます。冷戦時代の幕開けしかしジョセフ・スターリンの東欧への領土的野心は第二次世界大戦後も消えるどころか一層強まり、これは東西の冷戦へと発展します。それは資本主義と社会主義というイデオロギーの戦いになりました。欧州の疲弊第二次大戦直後のヨーロッパの状況にはかなりひどいものがありました。たとえばドイツの都市部の住宅の50%は破壊され、鉄道の90%は不通になっていました。フランスでも180万件の住宅が破壊され、機関車の70%が破壊されました。乗用車の10台に9台は使用不能でした。全ての運河と鉄道と港湾施設は使えない状態でした。鉱工業生産はフランスでは戦前の40%、ドイツでは戦前の20%にまで落ち込んでいました。マーシャル・プランアメリカは最初、ドイツの産業を復興させるのはためらいました。なぜならドイツが再び戦争をはじめるかもしれないと考えたからです。しかし1946 年にはすでに米ソは冷戦と呼ばれる対立関係に入っていたためソ連の脅威から疲弊しきったヨーロッパを守るためには強力な産業政策が不可欠だという考えに変わります。つまり欧州は共産主義の防波堤になる必要が出てきたのです。しかし経済復興を進めようにもヨーロッパにはブルドーザーもクレーンも製鉄所も無ければ、産業をはじめる資本もありません。そこで米国はマーシャル・プランという経済支援プログラムをはじめたのです。ソ連の計画経済対アメリカの資本主義という構図です。だからマーシャル・プランでアメリカから資金を貰う国には 1.自由価格、2.自由貿易の振興、3.所有権の確立、4.投資の奨励などを固く約束させました。EUのおいたちそれと同時に欧州石炭鉄鋼共同体、ECSCを設立し、石炭や鉄鋼の生産量の割り当てを決めることに各国は合意しました。これでドイツがどんどん鉄鋼を生産してもそれが軍事産業などへ向かわないように監視でき、ドイツが欧州で突出した鉄鋼の生産力を持っても、それを仲良くヨーロッパ全体の国々を市場として分かち合う約束ができたわけです。これが現在の欧州連合(EU)の前身です。つまり欧州連合のルーツは第二次世界大戦をはじめたドイツを許し、ヨーロッパ全体に市場を広げる事で戦争の危機を繰り返さないようにしようという点にあるのです。勢力拡大を狙うソ連を喰い止めようとする以上、欧州連合も常に拡大を目指し力の均衡を取る必要があります。別の言い方をすれば、EUはそのルーツからして拡大志向を運命付けられていたわけです。復興の軌跡マーシャル・プランでは米国が4年間にわたり130億ドルを供与しました。これにより欧州は機械などの生産設備を米国から購入し、工場を修理することができました。そして今度は製品を作り、それを輸出することで外貨を獲得できるようになったのです。米国はマーシャル・プランを受け入れる国に対しては価格統制を廃止し、自由価格を守るとともに為替レートを固定し、均衡財政を敷くことを条件付けます。なにも無い焼け野原のところへアメリカの資本、アメリカの生産設備、大量生産のノウハウなどがドッと入ってきたので、最初の頃の投資リターンは極めて高かったです。それに加えて朝鮮動乱の勃発でドイツの鉄鋼産業は特需に沸きました。NATO(北大西洋条約機構)はなぜ出来た?当初ドイツの再軍備に対して欧州各国は神経質になっていました。しかしソ連の脅威に対抗するためには軍事力を持たないわけにはゆきません。そこで西ヨーロッパの各国は北大西洋条約機構(NATO)を締結し、軍事力をNATO軍という形でプールすることを決めました。これでドイツの軍国主義化を恐れずに経済復興に専念できるようになったのです。所期の目的を果たした各プランマーシャル・プラン、ECSC(のちのEU)、NATOなどの枠組みでドイツが再び戦争を始める事は不可能になりました。またドイツが猛烈な勢いで経済復興してもそれが昔のように領土拡大の野心につながらないような仕組みが出来ました。このため安心して巨大な生産力をドイツに許すことができたのです。マーシャル・プランはその役目を終え、ECSCもその後欧州連合(EU)へと発展解消しました。その一方でソ連は崩壊し、計画経済から市場経済への移行を完了しました。ロシアは欧州へ天然ガスや石油を輸出する資源輸出型経済に転向しました。同国の長期的な成長計画を見ても欧州への輸出拡大は重要な礎となっています。その場合、大事なお客さんであるドイツをはじめとする欧州諸国が「仮想敵国」では国家戦略が矛盾するわけです。ロシアの成長戦略ロシアの今後の成長戦略を簡単にまとめれば、国際市場で重宝される天然ガスはなるべく輸出に回し、国内では石炭など安価なエネルギー源への代替をすすめるというものです。そしてシベリアや北極圏での石油や天然ガスの探索に際しては外国企業へも門戸をひらき開発費用をねん出するとともに長期的な顧客関係を確保するということです。この計画に沿ってロシアは再び政府の所有する政府系企業の持ち株の国際的な売り出し計画を始動させています。それらの売り出しが成功するためにも今一度、ロシアへの関心を高める演出が必要だったというわけです。
2010年11月22日

今日のまとめ物価の上昇が懸念材料その他の統計は若干の成長鈍化を示唆物価統計中国の10月の消費者物価指数(CPI)は+4.4%でした。これは9月の+3.6%より加速しているし、コンセンサス予想の+4.0%をかなり上回る数字でした。一方、生産者物価指数(PPI)は+5.0%を記録しました。これは9月の+4.3%を上回る数字であり、コンセンサス予想の+4.5%を上回っています。今回の物価統計は明らかに好ましくない展開です。特に消費者物価指数の上昇ペースの加速は政府がターゲットとしている年間平均3%というインフレ率を達成できなくするリスクを孕んでいます。また、生産者物価(赤)のベクトルが再び上を向き始めているのはたいへん良くない兆候です。これは中国経済のインプット・コストが上昇していることを示唆し、それはいずれマージン圧迫というカタチで製造業の収益性に悪影響を及ぼします。中国人民銀行は預金準備比率(リザーブ・リクワイアメント・レシオ)を50ベーシス・ポイント引き上げ、17.5%にすると発表しています。10月の末には預金金利と貸付金利をそれぞれ0.25%利上げしており、このところの人民銀行の関心事は景気の浮揚ではなく、もっぱらインフレの抑え込みに集中していることがわかります。鉱工業生産10月の鉱工業生産は+13.1%でした。これは9月の+13.3%、8月の+13.9%などと比較するとだんだんモメンタムが失われていることが確認出来ます。因みに10月のコンセンサス予想は+13.4%でしたから、コンセンサスも下回っています。銀行融資10月の銀行融資は5,877億人民元でした。これは9月の5,955億人民元より減っています。しかしコンセンサスは4,500億人民元でしたので、市場予想は上回りました。小売売上高10月の小売売上高は+18.6%でした。9月は+18.8%ですので少しペースが落ちたことになります。コンセンサス予想は+18.8%でした。貿易統計10月の輸出は1,359億ドルでした。一方の輸入は1,088億ドルでした。前年比での輸出、輸入のペースは先月とほぼ変化ありません。
2010年11月12日

今日のまとめ米国FRBの追加的量的緩和政策で商品価格に上昇プレッシャーがかかったいちばん値動きの悪かった原油価格もついに動き始めたロシア抜きに原油を語ることはできない最後のコモディティ、原油にいよいよ動意が先週、米国のFRBが追加的量的緩和政策を発表しました。この政策の狙いは通貨の供給量を増やすことにより広範なインフレ圧力を作ることで不動産価格下落により生じるデフレ圧力を緩和する点にあります。問題はその過程で米国の供給する余った流動性が世界に漏れ出し、コモディティ価格の上昇を招く危険がある点です。実際、既に穀物、金、素材などの価格は高値圏にあります。これまで出遅れていた原油価格もついにブレイクアウトしました。これまで原油価格が出遅れてきた理由として原油は世界の消費に占める米国の割合が大きく、「アメリカが不景気だからガソリン消費も振るわないだろう」という考えから敬遠されてきたことが挙げられます。しかしその原油価格もついに動きはじめたということは今回の追加的量的緩和政策がかなり腰の入った動きであると言えそうです。原油高で恩恵をこうむる国さて、我々が比較的容易に投資できる国の中で原油価格上昇から最も恩恵を受けるのはロシアです。なぜならロシアは確認埋蔵量でこそサウジアラビアに遠く及びませんが、年間生産高では世界第1位だからです。さらにロシアは天然ガスの生産でも有名ですがロシアの天然ガスの輸出価格はブレント・オイル価格を根拠に算出されるため原油価格高は天然ガスのトップ・プロデューサーであるガスプロムにとっても良いニュースです。有力エネルギー企業が目白押しのロシアロシア株式市場には多くのエネルギー関連企業が上場されています。先ず世界最大の天然ガスの会社であるガスプロムを挙げる事が出来ます。次に大手石油会社としてはロスネフチとルクオイルが有名です。強いて言えばロスネフチの方が積極経営で機関投資家ウケする経営がされていると言えるでしょう。一方のルクオイルは短期での増産や確認埋蔵量の追加を強調せず、長期での持続可能な成長戦略を重視する保守的経営で知られています。どちらのスタイルが良いかはファンドマネージャーの好みが分かれるところだと思いますが、経営手腕の総合点では似たりよったりというところではないでしょうか?それ以下の銘柄となるとタトネフチやスルグトネフチガス、ガスプロムネフチなどとなりますが保有資産(つまり油田の生産性やポテンシャル)という点ではかなり見劣りします。ロシア関連ファンドの組み入れ状況さて、ロシアの株式に投資する投資信託の代表的なところでは「HSBCロシア」、「DWSロシア」、「三井住友ロシア」などのファンドがあります。以下はそれらの投信が組み入れている上位10位の銘柄の組み入れ比率を示したものです。これを見るとガスプロム、ルクオイル、ロスネフチという、ロシアの「エネルギー御三家」を一番素直に組み入れているのは「HSBCロシア」ということになります。
2010年11月08日
全3件 (3件中 1-3件目)
1

![]()
