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今日のまとめ物価統計からは引き続き金融引き締めの必要が感じられる新規融資は去年の1月に比べると少なかった貿易統計では輸入の強さが目を引いた物価統計中国の1月の消費者物価指数は+4.9%でした。これは12月の+4.6%より高い数字ですが市場予想は下回りました。一方、1月の生産者物価指数は+6.6%でした。これは12月の+5.9%より高い数字であるとともに市場予想を上回っています。なお食品価格は+10.3%で相変わらず食品インフレのプレッシャーが強いことが確認されました。今回は消費者物価指数の計算の際の各要素の比重が変更されました。具体的には食品の比重が2.21%減らされ、住宅の比重が4.22%増やされました。一般にある国が豊かになるにつれ家計に占める食費の比率は低下することが知られています。従って今回の比重変更はそれに即したものだと評価出来ます。この変更のため1月の消費者物価指数は実際より過小に報告されたことになります。なお今回の統計はちょうど中国の旧正月の前にあたる時期なので特殊要因の影響を受けています。なぜならこの時期は食品価格が上昇しやすいからです。加えて今年の冬は中国北部で水不足が顕著で小麦の減収が心配されています。なお中国人民銀行は既に先週預金金利と貸付金利を0.25%引き上げ、それぞれ3.0%と6.06%にしました。従って今回の物価統計のインパクトは既に株価には織り込まれていると考えられます。ただ預金金利の3.0%に対して消費者物価指数が4.9%ということは銀行にお金を預けるよりコモディティなどに投資した方が有利であることを示唆しており未だ政策金利が低すぎることを意味します。このため中国人民銀行は引き続き政策金利を引き上げてゆくものと予想されます。銀行融資1月の新規融資は1.04兆元でした。12月の4,810億元から大幅な増加となっています。市場予想は1.2兆元でした。なお1月は旧正月の関係で例年新規融資が多くなりやすく前月との比較には意味はありません。むしろ前年と比較する方が良いです。その点、今回の数字は過去2年の1月の新規融資額より小さい数字でした。貿易統計中国の1月の輸出は1507.3億ドルでした。これは前年同期比+37.7%です。一方、1月の輸入は1442.8億ドルでした。これは前年同期比+51.4%です。輸入が増えた関係で貿易黒字は64.5億ドルに減少しました。今年は旧正月が2月3日からだったので、去年の2月14日より早いスタートでした。連休を前に輸入や輸出が1月に繰り上がったという特殊要因が1月の統計には含まれています。2月はこの反動で輸入、輸出ともに成長のペースが鈍化することが予想されます。中国と世界の各地域(EU圏、米国、日本、新興国)の貿易は軒並み30.5%~42%増加していますが、とりわけブラジルとの貿易が74.8%の増加を見ており極めて強かったです。
2011年02月16日

今日のまとめ切り下げ幅が大きかったことは予想外だった景気刺激策がもたらしたお金のだぶつきを早く取り除く必要がある次にベトナムがしなければいけないことは利上げだ市場の意表を突いた大きな切り下げ先週金曜日にベトナムがドンを9.3%切り下げました。今回の切り下げは去年から3回目ですから、切り下げが実施されたこと自体は余り新鮮味のあるニュースではありません。しかし今回は一度に9.3%と特に切り下げ幅が大きかった事が市場関係者を驚かせました。他のアジア諸国の通貨が軒並み強含む中で、なぜベトナムの通貨だけは弱いのでしょうか?インフレ懸念その最大の理由はインフレ懸念です。上のグラフは去年の10月の時点でIMFが発表したアジア諸国のインフレ率予想ですが、現在のベトナムのインフレ率はグラフにある予想値を大幅に上回り、再び12%につっかけてきています。過去においてベトナムのインフレ率は8%を超えると手のつけられない高インフレになり、株式市場に大きな打撃を与えるという例がありました。2008年の場合、インフレ率は瞬間的に23%まで上昇し、株式市場は2007年3月の高値、1,170から2009年2月には僅か235迄暴落しています。これは約80%の下落幅です。ベトナムの庶民は自国通貨の購買力がインフレで目減りすることを恐れて、なるべくドルやゴールドに換金しようとしています。これが公式レートと闇レートの間で大きな乖離を生む原因となってきました。また機関投資家が現地通貨からドルなどのハード・カレンシーに換金し、お金を引き揚げる際に、希望した金額の換金がすみやかに出来ないという問題も報告されはじめています。問題の根源それではなぜインフレがおこっているのでしょうか?この背景にはリーマン・ショックで世界の景気見通しが悪化したとき、ベトナム政府が積極的な景気刺激策を打ち出したことがあります。このときベトナム政府はGDPの5%にも相当する巨大な刺激策を発表しました。これが功を奏して同国のGDP成長率は大きく落ち込まずに済みました。しかし余り景気を刺激し過ぎたために2009年の信用創造が前年比で+40%にもなってしまったのです。カネ余りは消費を刺激するのでどんどんモノが売れます。それらの少なからぬ部分は輸入品ですので経常収支は赤字に傾きます。ベトナムの経常赤字はGDPの10%に迫る水準であり、これはたいへん危険な水準です。経常収支が赤字に傾き始めると外貨準備も減り始めます。外貨準備が減り始めるとそのトレンドを喰いとめるために通貨を割安に導かなければいけなくなります。経済をスローダウンさせることが唯一の解決法自国通貨が割安になれば輸出競争力は増し、逆に輸入品の価格は上昇するわけですから輸入品の消費は抑えられます。そうやって再び輸出と輸入のバランスを取り戻し、ゆっくり外貨準備を積み上げてゆく他に解決法はありません。さて、今回のドンの切り下げは輸入品価格の上昇を招きますのでインフレ助長要因となります。従って次にベトナム政府がやるべきことは利上げです。利上げすると景気が悪くなりますが、いまベトナムにとって必要なことは身の丈以上の高水準の消費を維持することではなくて一度通貨を切り下げ、さらに利上げしてインフレの息の根を止めてから、ゆっくり輸出主導型で経済を立て直すことなのです。
2011年02月15日

今日のまとめ北アフリカや中東での反政府デモの一因は食品インフレにある米国の低金利政策はインフレの原因に違いないが新興国にも非がある利上げは後になるほど株式市場崩落のリスクが増大する北アフリカ・中東での相次ぐ反政府デモの陰にインフレあり今年に入ってからチュニジア、エジプト、イエメン、ヨルダン、スーダンなどの各国で大規模なデモ行進がおこり世界の注目を浴びています。反政府デモの直接のきっかけは国民の声を政治にもっと反映して欲しいという要求にあると思いますが、それと同時にこれらの国での出来事の背景には食品インフレが共通して起こっていると言う指摘がなされています。つまりインフレからくる生活苦が国民の不満を増幅しているわけです。バーナンキ議長は米国の金利政策がその原因であることを否定さて、この件に関して最近、ベン・バーナンキFRB議長は「FRBが緩和的な金融政策をとっていることで新興国にインフレ圧力のシワ寄せが行っているという考え方は正しくない。なぜならば新興国は金利を上げるなりして独自にインフレ退治する手立てはいくらでもあるからだ」という趣旨のコメントをし、FRBに責任があることを言下に否定しています。FRBが実質マイナス金利を維持し、景気テコ入れに躍起になっていることは世界の投資家に良く知られていますが、それでは今インフレに苦しんでいる新興国の政策金利は適正な水準なのでしょうか?一部の国を除けば世界の金利は低すぎるそこで現在の政策金利からインフレ率を引いた実質金利※がどうなっているかを見てみましょう。上のグラフを見るとブラジル、オーストラリア、南ア、日本の各国は政策金利の方がインフレ率より高く、これはノーマル(平常)な状態だと言えます。一方、実質マイナス金利になっている各国は物価の安定より経済のテコ入れを優先した金利政策になっていると言って良いでしょう。米国は確かに実質マイナス金利になっていますが、その他にも欧州中央銀行やイングランド銀行も実質マイナス金利の状態を放置していることがわかります。その意味でアメリカだけを責めるのは公平ではないことがわかります。また最近、反政府デモが荒れ狂っているエジプトも実質マイナス金利になっており、インフレに対してガードが甘かったことは明白です。ノンコアの重要ささて、各国の消費者物価指数は国によってその構成要素の比重が異なり、横並びに比較出来ません。国によってはガソリン代や食品などの比率が高いところも多いです。これらの項目はアメリカをはじめとした先進国では「ノンコア(=中心ではない)」項目と言って、雑音扱いされる場合が多いです。なぜならそれらの項目は価格変動しやすいからです。しかし発展途上国の人々にとってはノンコア・インフレこそが生活に直接響く重要な項目ですから、むしろこれを基準に政策金利の水準の適正さを吟味した方が意味があると思います。そこで食品やガソリン価格が重要な国の、ノンコア実質金利をグラフにすると次のようになります。シンガポールが極端にマイナスになっているのは同国が小さな島国であるという特殊事情によります。なぜならシンガポールはエネルギーや食品のかなりの部分を輸入に頼っているからです。上のグラフを見ると確かにバーナンキFRB議長が言うように「新興国の側でもインフレ退治の努力が足らない」という指摘は痛いところを突いているのがわかります。投資家として気をつけなければいけないこと利上げは最初の1回や2回は株式市場に悪影響を与えません。なぜなら金融緩和から金融引き締めに転換する瞬間というのは悪かった景気がようやく持ち直したことをシグナルするので、経済成長という面ではむしろ歓迎すべき事だからです。しかし経済成長が高すぎると今度はインフレの方が心配になります。どこかでブレーキをかけなければいけなくなる…。株式市場にとってリスクがあるのはまさにこういう時なのです。現在の新興国の景気はリーマン・ショック後の緊急事態の状態をとっくに脱却して、再び過熱が懸念される段階に来ています。だから今後の利上げは株にとって悪い利上げにならざるを得ないのです。※ 実質金利の定義は本来であれば短期の預金金利から消費者物価指数を引いた数字になりますが、アフリカや中東の国々は銀行預金金利のデータが取りにくいところもありますので、ここでは単純に政策金利で代用してあります。
2011年02月07日
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