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今日のまとめ チャイナキャッシュは幹部の辞任が暗い影を落としているダンダンはキャッシュフロー管理が良いキャメロットはIT業界に対する投資家の不信で株価低迷ノアはIPOブームでファンド商品が好調ヨウクは強気の公募増資で需給関係が悪化 チャイナキャッシュ(ティッカー:CCIH) チャイナキャッシュは中国のコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)の会社です。CDNとは独自のサーバや光ファイバー網を所有することで顧客のホームページのダウンロード速度を速くするサービスを指します。 同社の第1四半期はEPS面で予想を下回りました。 EPS 予想 8¢ 実績 2¢ 売上高 予想 2,010万ドル 実績 2,080万ドル また第2四半期の売上高見通しに関してはアナリスト・コンセンサス2,075万ドルのところ新しい会社側予想は2,200万ドルから2,280万ドルと発表されました。 第1四半期の売上高成長率は+79.6%でした。 今期はモバイル顧客からの売上高が前期比でマイナスになりました。これは季節要因と契約更新の際、ひとつの顧客の契約が縮小されたためです。従って一時的な問題だと思われます。 チャイナキャッシュの設備投資負担は高水準で、今後も当分こうした状況が続くと思われます。 長期での需要の展望としては米国で見られたようなスマートフォン普及に伴うモバイル・ネットワークへの負荷増加がいずれ中国でも起きると思われます。これは同社にとって大きな商機です。 チャイナキャッシュの株価はこのところ冴えませんが2月にCOOが退社したことが投資家の信頼を損ねる原因になっていると思われます。 イーコマース・チャイナ・ダンダン(ティッカー:DANG) イーコマース・チャイナ・ダンダンは「中国のアマゾン」と呼ばれる電子コマースの企業です。 同社の第1四半期はEPS面でも売上面でも市場予想を上回りました。 EPS 予想 0¢ 実績 1¢ 売上高 予想 1.034億ドル 実績 1.05億ドル また第2四半期の売上見通しに関してはアナリスト・コンセンサスの1.2億ドルに対し会社側の新しいガイダンスは1.2から1.22億ドルでした。 同社の売上の大半は書籍、CD、DVDなどの所謂、メディアであり、一般商品の取り扱いは開始されてから比較的日が浅いです。 ダンダンはキャッシュフロー・マネージメントが上手く、売掛金の回収に要する日数は3.1日と中国企業としては極めて短いです。その一方、業者に対 する支払いの指標である買掛金の支払いに要する日数は158日です。言い換えれば顧客からはサッサとお金を集金する一方で支払いはなるべく先に延ばすこと で手元にキャッシュが滞留する期間の極大化を目指しているわけです。 なお在庫日数は148日でありこれは少し多いですが品揃えと配送の早さがいのちとなるビジネスですので仕方ないと思います。 キャメロット・インフォメーション・システムズ(ティッカー:CIS) キャメロット・インフォメーション・システムズは中国のITアウトソーシング企業です。 同社の第1四半期はEPS面では予想通り、売上面では予想を上回る決算でした。 EPS 予想 10¢ 実績 10¢ 売上高 予想 5,040万ドル 実績 5,360万ドル また第2四半期に関してはアナリスト・コンセンサス19¢のところ会社側の新しいガイダンスは20¢でした。 しかし2011年通年に関してはアナリスト・コンセンサスEPS87¢に対して会社側の新しいガイダンスは86¢にとどまりました。 同社は中国の他のITアウトソーシング企業に比べて国内企業顧客比率(91%、但し台湾を含める)が高いです。これは中国経済が海外の経済よりも急成長している環境下では同社にとって有利な条件になります。 またキャメロットは金融機関(売上の3割)に強いです。中国の金融機関は長期のITアップグレード・サイクルの中にあります。 同社の中核顧客のひとつであるIBMとの契約更新はこれまでのほぼ同じ条件(=つまり値引き無し)で4年間の長期契約が延長されました。これは投資家を安心させるニュースだと思います。 中国のITアウトソーシングのセクターは競争相手の1社であるロングトップ(LFT)に会計疑惑が出ておりロングトップ株の商いがニューヨーク市場で停止されています。このため投資家がITアウトソーシング株を見る目は極めて厳しくなっています。 ノア・ホールディングス(ティッカー:NOAH) ノア・ホールディングスは中国の裕福層に対する金融サービスを展開しています。 同社の第1四半期はEPS面でも売上高面でも市場予想を上回りました。 EPS 予想 8¢ 実績 11¢ 売上高 予想 1,200万ドル 実績 1,510万ドル 同社は企業家などの、一代で富を築いた富豪を相手にキャッシュ・マネージメント商品やファンド商品を販売しています。 売上の柱になっているのはベンチャー・キャピタルなどのプライベート・エクイティ(PE)ファンドで、今期の売上高の66%を占めています。 キャッシュ・マネージメント商品というのは高利回りの不動産関連信託を指します。これらのファンドは銀行が不動産開発会社に対する融資を銀行本体の バランスシートから取り除く際に利用されるスキームであり、融資を抑え込もうとしている当局からは取り締まりが強化されつつあります。 このためノア・ホールディングスではキャッシュ・マネージメント商品からPEファンドへのシフトを急いで進めています。 現在はアメリカにおける中国株ADRのIPOが相次いでおり、同社がタイアップした米国の著名VC、セコイアの中国ポートフォリオ企業の株式公開も熱を増してきています。 問題点としてIPOサイクルは極めて気まぐれであり、ブームは長く続かない点です。IPO市場が冷え込むと同社はまた別の商品を企画しなければいけません。 ヨウク(ティッカー:YOKU) ヨウクは「中国のYouTube」というあだ名がつけられている動画配信サイトです。 同社の第1四半期決算はEPS面でも売上高面でも市場予想を上回りました。 EPS 予想 -8¢ 実績 -7¢ 売上高 予想 1,680万ドル 実績 1,950万ドル 今期のブロードバンド・コストは売上の44%でした。これは去年の90%からかなり下がっており、将来の黒字転換への期待を持たせる傾向です。 同社のもうひとつの大きな費用項目であるコンテンツ・コストに関しては今期から償却方法が変更されました。 以前はストレート・ライン(直線的)にコンテンツのライセンス期間に応じて償却のペースを決めていたのですが、同社のコンテンツの消費されるパターンが実績としてだいぶ見えてきたことから、前倒し的に償却を進める方法に変更されました。 例えばテレビ・ドラマの場合は4年の償却期間を想定しますがそのうちの50%を初年度で計上します。映画の場合は初年度計上が70%となります。 こうした前倒しの費用計上により売上高に占めるコンテンツ・コストは今期が22%と去年の同期の17%より増えてしまいました。若し償却方法の変更が無かったと仮定したなら今期のコンテンツ・コストは売上高の19%だったと言われます。 いずれにせよ今回の償却方法変更は会計的にはより保守的な手法であり、好ましいと言えます。 なおヨウクは今回の決算を発表した後で公募増資を発表、実施しており、それが需給関係を壊したので株価は下落局面にあります。 しかし長い目で見れば公募は流通株数を増やし、大手の機関投資家にとっては投資しやすく なります。また同社のビジネスはブロードバンド・コストやコンテンツ・コストなど、当面多大な先行投資を必要としますので資金調達出来るときに積極的に増 資するのは教科書通りの戦略であると言えます。
2011年05月23日

今日のまとめ 輸入は市場予想を少しだけ下回った物価はゆっくり鎮静化の方向に向かっている小売売上高は予想より低かった鉱工業生産高も予想を下回った 貿易統計 中国の4月の輸出は1556億ドル、輸入は1442.6億ドルでした。 輸入の伸び率はエコノミストの予想より少し低かったのですが、特に異変を感じさせるほどではありません。 物価統計 中国の4月の消費者物価指数は前年同期比+5.3%でした。これは3月の+5.4%より少し改善しました。なお市場予想は+5.2%でした。4月の 生産者物価指数は+6.8%でした。これは3月の+7.3%よりインフレが鎮静化していることを示しています。なお市場予想は+7.0%でした。 中国人民銀行は金融の引き締めによりインフレ退治の努力を続けていますが、それがゆっくりと効き始めている印象を受けます。 小売売上高 中国の4月の小売売上高は前年同期比+17.1%でした。これは3月の+17.4%より若干低い数字です。コンセンサス予想は+17.6%でした。 鉱工業生産 中国の4月の鉱工業生産は前年同期比で+13.4%でした。これは3月の+14.8%より少しだけ減速を感じさせます。エコノミスト達のコンセンサス予想は+14.6%でした。 以上をまとめると、輸入がほんの少し予想を下回ったこと、生産者物価指数の上昇幅が予想を下回ったこと、小売売上高や鉱工業生産高の伸び率が予想より低かったことなどは全て中国経済の成長のペースが少しだけ鈍化していることを示唆しています。 これはインフレ退治を経済運営の最重要課題に据えている現在の中国政府の意図する通りの結果であり、好ましいトレンドです。
2011年05月12日

今日のまとめブラジル経済のリーマン・ショックからの立ち直りは早かった消費者のマインドは良いこれと対照的に事業主はブラジルの先行きに懸念を持っている新政権が実業界寄りでないこと、工業サイクルの暗転、インフレなどが懸念点ブラジルは比較的早くリーマン・ショックから立ち直ったブラジルは世界の中では比較的早くリーマン・ショックから立ち直りました。同国の去年のGDPは+7.5%で今年は+4.0%が見込まれています。このような力強い回復の背景にはブラジルの貿易相手でありさまざまなコモディティ価格に大きな影響を与える中国の経済がしっかりしていたことがあります。現在のブラジルの鉱工業生産は安定的に推移しています。鉱工業部門の好調を背景にブラジルの雇用市場は長期での拡大トレンドを堅持しています。2003年には12.3%だった都市部失業率も現在は6%台に下がっています。また貧困比率(定義:月収137レアル以下)は2003年の28.17%から2010年には14.69%へ下がりました。雇用市場が安定しており賃金が増えていることから消費者のマインドは強いです。そのような消費者の強いマインドを背景に小売売上高も好調に推移しています。ブラジル経済の懸念点それではブラジル経済には死角は無いのかといえば、幾つかの懸念点があります。先ずブラジルの事業主は経済の先行きに関して余り楽観していないという点です。下はブラジルのビジネス信頼感指数ですが、先ほど見た消費者信頼感指数とは違い、どんどん下がっていることがわかります。ブラジルの経営者が懸念していることは新しく政権の座に就いたジウマ・ロウセフ政権がこれまでの実業界寄りの政策を改め、よりポピュリスト的な政策に傾倒するのではないかという事です。実際、ロウセフ政権はブラジルを代表する大企業であるペトロブラスやバーレの経営にかなりあからさまに口出ししています。株主の権利を後回しにしてまで政府のアジェンダを優先する姿勢には1970年代の、昔流のブラジルの産業政策を彷彿とさせるものがあります。またグローバルな工業サイクルの拡大ペースにはピークアウト感が出ており、これが銅などをはじめとする工業コモディティの価格下落をもたらしています。ブラジル中央銀行がインフレ対策で後手に回っているのではないかという懸念もあります。下は消費者物価指数のグラフですが最近の上昇の背景にはサービス業におけるインフレの進行が影響しています。これを受けブラジル中銀は政策金利を引き上げ12%としています。ブラジル株式市場ブラジルの株式市場は年初来の安値近辺をウロウロしています。冴えない理由は上に述べたブラジル政府の実業界への口出し、グローバルな工業サイクルのピークアウト懸念、ブラジル国内のインフレ懸念などによります。こうした不透明感を避けるためには消費関連セクターを物色の中心に据えるのが良いと思います。
2011年05月09日
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