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今日のまとめトルコ経済はゆっくりと内容改善に努めてきたEU正式加盟は株式市場にとって重要な材料である今はEU加盟熱は冷めている市場経済へ移行して比較的歴史が浅いトルコが市場経済に移行したのは1980年代のことです。それまでは政府部門が極めて大きく、しかも世界に対して閉じた経済でした。計画経済から市場経済へと移行する国が経験するさまざまな試練をトルコも一通り経験しました。その試練を列挙すると、ハイパー・インフレ、資本の外国への依存、経常赤字、好・不況の振幅が極端なことなどです。これまでの進捗状況トルコ経済は市場経済に移行して以来、1994年、1999年、2001年と3回大きな景気後退を経験しています。最近の経済危機は2001年に起こりました。その後トルコは経済の体質改善に乗り出し、その結果、2002年から2007年にかけてのGDP成長率は平均して6.75%でした。その後、リーマン・ショックが世界を襲い、トルコもこれに巻き込まれたわけですが去年にかけてGDP成長率は力強く反発しています。またインフレはきつめの金利政策によりここ数年、かなり安定してきています。リーマン・ショック後の世界不況の局面では臨機応変に政策金利を引き下げ、実質マイナス金利の状態が2009年後半から2010年にかけて続きました。失業率は高止まりしており、雇用をどう増やすかという課題が残っています。トルコの賃金は欧州の新興国の中ではかなり高い方に属し、競争力に乏しいです。トルコは内需、ないしは消費主導型の経済であり、景気が良い時は経常収支が悪化するという典型的な内需型国の貿易パターンを見せています。主な輸出先はドイツ(11%)、英国(8%)、イタリア(7%)、フランス(6%)などで欧州地域が輸出の57%を占めています。一方輸入ではロシア(14%)、ドイツ(10%)、中国(8%)、イタリア(6%)などが主な相手国です。なお慢性的に大幅な輸入超過となっています。次に政府部門を見ると政府の歳出は慢性的に歳入を上回っており、ここでも赤字体質が定着していると言えます。トルコ政府は対外債務の圧縮に努めています。負債比率は漸減傾向にあったのですがリーマン・ショック以降は進捗が止まってしまったように見受けられます。銀行セクターリーマン・ショックの際、トルコの銀行セクターは比較的悪影響を受けずに済みました。その一つの理由は外貨建ての債務が小さく、また貸付原資は国内の小口預金に主に依存していたからです。また家計のバランスシートはおおむね良好です。これらのことから信用成長に支えられた経済の拡大が見込まれています。トルコとEUトルコにとってEU(欧州連合)への加盟と通貨ユーロへの参加は長年の夢でした。現在は関税に関してEUと条約を結んでいます。また1999年のヘルシンキ・ECサミットで正式メンバー候補国と認定されました。トルコのEU加盟に向けての交渉は2005年からスタートしており、これは10年越しのプロジェクトになると思われます。しかしトルコのEU加盟に関してはEUの側からの反対も多いです。その一つの理由は宗教の問題です。トルコは国政としては世俗的(=つまり特定の宗教に偏らない)憲法を持つ国家ですが国民の大半はイスラム教徒です。また現政権はだんだんイスラム色を強めており、欧州に接近すると言うよりもむしろ近隣のシリアをはじめとしたイスラム圏との交流を深めつつあります。その意味では「EU加盟熱」は少し冷めていると言えるでしょう。しかしEU加盟という材料(=これを難しい言葉でコンバージョン・プレイと言います)は株式市場の投資家にするとその国への投資が人気化するひとつのきっかけであり、EU加盟機運が高まったり、逆に下がることで株式市場も乱高下するというのがこれまでの経験でした。
2011年03月22日

今日のまとめ2月は輸出の伸び悩みで貿易収支が赤字転落インフレ懸念は依然として払しょくされていない小売売上高の急減が目を引いた貿易統計中国の2月の輸出は前年同期比+2.4%の967.4億ドルでした。また輸入は前年同期比+19.4%の1040.4億ドルでした。この結果、貿易収支は73億ドルの赤字になっています。例年、春節(旧正月)前後の貿易統計は連休がどこにかかるかで数字が大きくブレます。従って1・2月の数字を通算して考えた方が良いです。いま1・2月を通算すれば輸出は+21.3%、輸入は+36%となります。物価統計中国の2月の消費者物価指数は前年同期比+4.9%でした。コンセンサス予想は+4.8%でした。2月の生産者物価指数は前年同期比+7.2%でした。コンセンサス予想は+7.0%でした。これらの数字から依然としてインフレ懸念が払しょくされていないと言えるでしょう。小売売上高一方、1・2月の小売売上高は前年同期比で+15.8%にとどまりました。コンセンサス予想の+19.0%を大きく下回っています。鉱工業生産1・2月の鉱工業生産は前年同期比で+14.1%でした。コンセンサスは+13.0%でした。以上をまとめると全体的に見て中国経済のファンダメンタルズは悪化していると思います。特に貿易統計や小売売上高などが景気の減速を示唆するものなのかどうか、来月以降の統計に注意を払いたいと思います。
2011年03月11日

今日のまとめ中欧の優等生として確固とした地位を保っている若い世代を中心とした内需主導型経済財政赤字圧縮への取り組みが必要中欧の優等生ポーランドはドイツの東に位置する中欧の新興国です。尤もその歴史は古く、「新興国」という呼び方はふさわしくないかも知れません。ポーランドが新興国グループに括られている理由はワレサ議長らを中心とする「連帯」による民主化運動の末、1989年に同国の民主化が実現し新しい国としてスタートしたことによります。それまで東側ブロックで馴染みが薄かったのが、この政治変革で世界の投資家に紹介し直されたのです。ここ10年ほどのポーランドの経済運営は急速度に改善しており、現在は「中欧の優等生」として中欧・東欧のエマージング・マーケットの中では中核を占める投資対象国となっています。ポーランド国民の半分は35歳以下で、この地域としては若年層が占める割合が高いです。その若者たちを中心にポーランド経済は内需主導型の経済構造となっています。輸出がGDPに占める割合は33%に過ぎず、これは中欧・東欧諸国の中では最低の部類に入ります。ワルシャワ取引所は中欧では最も活気のある取引所のひとつで株式の新規公開など調達市場としての機能もちゃんと働いています。GDP成長率先週発表された2010年第4四半期のポーランドのGDP成長率は好調な消費を背景に4.4%としっかりした数字でした。今回の四半期GDP成長率は2008年第3四半期以来最高です。因みに2010年の通年のGDP成長率は3.8%でした。またポーランド財務省の公式予想では今年のGDP成長率は4.2%が見込まれています。2011年1月から付加価値税(VAT)が増税されました。この関係でそれに先回りする買い物で消費が伸びたという面があることを指摘しておく必要があると思います。なお、先週発表された製造業購買担当者指数は53.8と1月の55.5から少し下がっています。これは投資成長が鈍化していることによります。去年以来のユーロ危機で欧州の新興国に対する海外直接投資の動きが鈍っていることが関係していると思います。今後海外直接投資を積極的に誘致する必要があります。インフレ率次にポーランドのインフレ率ですが足元の数字は少し悪化しています。1月のインフレ率は3.8%にジャンプしました。因みに去年の12月は3.1%ですからずいぶん急激な上昇です。政府のターゲット・インフレ率は2.5%です。この突然のインフレは先ほど言及した付加価値税(VAT)増税絡みだと理解できます。去年10月に発表されたインフレ予想は2.5%~3.5%でしたが、ポーランド政府は今回、インフレ予想値を2.8%~3.7%に引き上げています。ポーランドの現在の政策金利は3.75%です。上に書いたように最近、直接投資の成長に若干陰りが見えることからポーランドの中央銀行(NBP=National Bank of Poland)は先週の政策金利決定会合では利上げを見送ることを決めました。失業率ポーランドは近年、失業問題への取り組みでかなり成果を上げました。経常収支経常収支の面では欧州周辺国の間では同国のパフォーマンスが特に悪いということではありません。しかしもともと輸出型経済ではないということと内需が強いということから今後も経常収支の改善には少し時間がかかりそうです。今後の課題ポーランドでは個人に対する外貨建て融資がかなり普及していました。このような外貨による借入は市場環境が急変したときにリスク要因になります。そこで個人への外貨建て融資を抑制する必要があります。次に政府の財政赤字を一層圧縮する必要があります。現在、財政赤字はGDPの8%くらいに増えてしまっています。公的部門での雇用が急に増えてしまっている点も懸念事項です。いまのところポーランドは欧州の優等生と見られているので政府の借入には問題はありませんが多くの欧州周辺国が政府負債の借り換えに苦労している折、ポーランドもガードを緩めることはできません。因みに同国の国家負債の対GDP比率は55%です。ポーランドは欧州連合の通貨統合プログラムのひとつであるERM IIへの参加は積極的です。これはポーランドの通貨、ズウォティの対ユーロでの変動幅を一定の範囲内にとどめるというプログラムです。現在はユーロ危機の影響で通貨ユーロ使用国の拡大は余り人気のある話題ではありませんが、ポーランドはユーロ通貨圏という価値観を広める上で極めて重要なパートナーです。
2011年03月07日
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