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2011年01月26日
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カテゴリ: 仕事
さて、私の二十歳の頃の精神薄弱児入所施設の話を続けよう。

私は、高校生の頃「福祉関係の仕事をしたい」とは考えたが、
実際の福祉関係の知識は皆無に近かった。
短大では、一応栄養士を目指した勉強だったので、
ボランティアで老人ホームや養護施設を「慰問(当時はそう言っていた)」に行った程度。
精神薄弱児施設にぞのような子ども達が生活しているのかは、
単純に「知恵遅れの子ども達がいる場所」と想像していただけだった。

しかし、今の言葉で知的障害と言っても、その原因は一人ひとり違う。
最初に「ん?」と思ったのは、

つまり、とても顔が似ている人たちが何人もいたのだ。
勘の良い人はすぐピンとくるだろうが、そう、「ダウン症候群」の子どもたちだった。
私が職員に「兄弟で入所しているのですか?」と、
今から思えば赤面するような質問をすると、
笑いながら「蒙古ちゃん達よ」と教えられた。
その頃は、ダウン症候群というより、「蒙古症」と呼ばれていた方が多かったのだろうか。
そして、染色体の異常による先天的な障害だと知った。

また、「あの子は分裂病だって」と教えられた子は、
職員の言うことは全く聞かず、猛スピードで走りまわっていることが多かった。
今思い返すと、彼は典型的な「自閉症」だったと思う。
まだ当時は、「自閉症」という障害名はあまり知られていなかったようだ。


脳性マヒであった。
しかし、一応歩くこともできるし、身の周りのことも自分で出来る。
掃除や配膳の仕事も、時間はかかるけれどできる子だったし、
言語障害はあっても、私ですら「この子は知恵遅れじゃないだろう」と思った。
まだまだ施設が不足していた時代だから、

そうそう、軽度の知的障害ではあったかもしれないが、
中学を卒業後入所した女の子もいた。
彼女は中学で勉強した英語を知っているので、その施設ではエリート扱いであった。
また、一般の家庭なら知的障害としてこの施設には入らなかっただろうと思われる少年もいた。
どんな事情があったのかは知らないが、「知恵遅れ」として施設に入ることになったようだ。

その施設では、その頃成人施設を併設する準備を進めていた。
児童施設での年齢を超えた若者たちの、その後の受け皿がないということから、
同じ敷地内に成人施設を作ろうとしていたのだ。

台所の仕事をしながら、私は少しずつ彼らが抱えているハンディについて学んでいった。
そして、人間の不条理さを改めて考えることになった。
本人達には何も責任が無いのに、
そのようなハンディを抱えて生を受けた人たちがたくさんいる。
それはどういうことなのか。
この人たちの幸せって何なのだろうか。
さらに言えば、「生きている価値は何なのだろう」ということだ。

自分自身の存在価値に疑問を抱いていた私には、
彼らが生きているということ自体が謎に近いものがあった。
しかし同時に、私の心の中にはとても自己中心的で姑息な感情も芽生え始めていた。
「彼らが生きていて良いとするなら、私だって生きる価値があるはずだ」。
大変申し訳ないことなのだが、
私は自分を彼らの能力と比較して、自信を持とうとしていたのだ。

そこはキリスト教を母体にした施設であった。
園長先生は言った。
「この子たちこそ、神様に愛されているのだ」と。
私の頭は混乱した。
神様に愛されるということは、理不尽にもハンディを持つということ?
毎日、施設内の教会でミサがあり、園長先生が聖書の話をわかりやすくしてくれていた。
なるほど・・と感じることもあったが、
「どうしてそうなるの?!」という気持ちも同じくらい抱いた。
教会に掲げられているキリスト像は、何とも悲惨な姿であった。
神様って、どうしてそんなに試練を与えるのか。
愛するってことは、試すことか?
私以外の職員の人たちはみんなクリスチャンで、次々と参考書を貸してくれたが、
私の心にストンと落ちる感じではなかった。

色々な障害について知り、それぞれの子ども達のことを知るにつけ、
私の胸の中は「?マーク」がどんどん膨らんでゆくのだった。
だからこそ、私は仕事中は「没入、没入」とつぶやかなくてはならなかったと言える。







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最終更新日  2011年01月26日 10時50分36秒
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Re:私の仕事遍歴1 「施設での住み込み(3) 様々な障害を持つ子ども達 」(01/26)  
msk222  さん
僕の現在つきあっている彼らは、「働く意志と意欲がある(が、一般就労は難しい)」というところが前提ですから、健常者といわれている人たちとそれほど差はありません。むしろ、部分的には優れていたりします。

それを、せめて彼らの代で断ち切ってあげられないかと、そんなことを考えながら仕事をしていますが、さて…。
また、先輩としてのご意見をお聞かせください。

僕の友人の夫で自衛隊幹部だった人が定年になったということで、赴任地から帰ってきました。今は目的が無くなってしまったのか毎日パチンコで時間を潰すしかしなくなって、勤めていた頃の凛々しかったことが嘘のようだと嘆いております。
生活は楽でも、なにか充たされない老後を送るのではつまらないとカルチャーに通っているのですが…。
(2011年01月30日 19時50分25秒)

Re[1]:私の仕事遍歴1 「施設での住み込み(3) 様々な障害を持つ子ども達 」(01/26)  
msk222さん、こんばんは。

>ただ、理不尽なハンデを負っている彼らのほとんどが、家庭や、血類の歴史的な負の遺産をひきづってしまっている気がします。

よくわかります。私が以前働いていた就労継続支援事業所を利用している人たちも、そうでした。

>それを、せめて彼らの代で断ち切ってあげられないかと、そんなことを考えながら仕事をしていますが、さて…。

断ち切ることは易しいことではないけれど、本人の前向きな意思と周囲の支えと、とりまく一般の人たちの理解があれば、不可能なことではないと信じています。
諦めず、粘り強い継続が必要ですが、人間ですから疲れたり思わぬ事態に傷ついたりすることでしょうが、そのあたりは大らかに乗り越えていただきたいと思います。

>生活は楽でも、なにか充たされない老後を送るのではつまらないとカルチャーに通っているのですが…。

できれば、仕事をしている間に、やってみたいことに少しでも手をつけておいた方が良いのでしょうけれど。
年齢が高くなると、新しいことを吸収したり身につけたりする力は弱くなりますから、面白くなる前にめげてしまうということもあるでしょうからね。
-----
(2011年01月30日 20時07分49秒)

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