(上巻 p245より)
「ほんとだ!」とびっくりしました。
たしかに、「高さ」という言葉は立体に使う言葉です。
長方形の面積は「タテ×ヨコ」というのに、三角形は「高さ」という言葉がいきなり入ってくるのに、今まで何の疑問も持っていませんでした。
言語学者というのは、こんなふうに言葉のひとつひとつにこだわりをもって敏感になっておられるのですね。 日本には「タテ」「ヨコ」という言葉があるのに、西洋にはない
、というのも、初めて知りました。 外国の言葉と比べてみることで日本語の特色がより一層浮き彫りになる
というのが、この本の面白いところです。
日本語を知るには、日本語だけを知っていては分からないこともあるのですね。
「言葉」というもの自体のもつ面白さに気づかされます。
・ 日本語の順序は、さながら映画の手法だ
(下巻 p252より)
僕は中学校で英語を初めて習って、語順というのが英語と日本語で違うことを知りました。ただ、そのときは、「そうなんだ」と思っただけで、それ以上深く考えませんでした。
この本で金田一春彦さんに例を出してもらって解説してもらうと、日本語の語順のもつ意味が初めて分かりました。例は佐佐木信綱の「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲」でした。
たしかに、映画で、カメラが遠くから次第にクローズアップして、「
一ひらの雲」に迫っていくような様子を、語順から感じ取ることができます。
日本語、すごい!
(「立別れ 往なば 待つとし聞かば・・・・・・」
因幡の山の峰に生ふる松」 について)
= 二度転調してもとの旋律に戻ったもの
(下巻 p264より)
音楽の「転調」に喩えられたのが、非常に鮮やかで、とても分かりやすかったです!
これもまた、「なるほど!」と思いました。
金田一先生は国語だけでなく音楽にもお詳しいのですね・・・。
・ ワープロが盛んになると、若い人がどんどん漢字を書くのを忘れるだろうと心配する声がある。
(略)
しかし、筆者は思う。
漢字は、
手で書くときは、 それほど正確に書かなくていい字
なのではないか――。
(下巻 p286より)
天下の金田一先生が「漢字はそれほど正確に書かなくていい」とおっしゃっているのには、びっくりしました。島崎藤村の自筆の字を見ても、漢字が1画足りないことが多いらしいです。なんと!
こういうことを言っていただけると、漢字の苦手な子は、肩の荷が下りる思いがするのではないでしょうか。
漢字が1画足りなくて減点されている子の、なんと多いことか・・・。
そういえば 文化庁
も、漢字は1画足りないとか点が足りないとかしていても、その漢字だと分かればいいんだ、というようなことを言っていましたね。
(参考リンク)
▼
漢字の採点基準 | 国語の学習指導案・授業案・教材
| EDUPEDIA(エデュペディア) 小学校 学習指導案・授業案・教材
(ハンドルネーム「ともはる先生」の書かれた記事です!)
いやあ、「日本語」って、ほんとに面白いものですね。
当たり前に思っていたことの価値というものをこうやって改めて提示してくれる学者さんというは、本当にありがたいです。
日本語研究なんて堅苦しいめあてで読まなくても、読み物としても十分面白いので、オススメの本です!
学校の先生なら、一応は読んでおいた方がいいかも!?
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