わたしのこだわりブログ(仮)

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2009年07月12日
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最後の審判 1 (ダンテの神曲)

最後の審判(Last Judgement)とダンテの神曲
キリスト教における終末論
2度行われる神の裁き
ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)(1265年~1321年)
神曲 地獄編


ミケランジェロ作の「最後の審判」は、バチカン のサンピエトロ寺院、 システィナ礼拝堂 の正面祭壇に描かれた フレスコ 画です。
と言う紹介は前回しましたが、「そもそも何が最後の審判か?」と言うところは、キリスト教徒ではない人、聖書を読んでいない人にはわからない世界です。
今回は、それを簡単に紹介できれば・・と思います。
​​
星ミケランジェロの描いた「 最後の審判」の絵は 、一言で説明すれば イエス・キリストがすでに亡くなっている死者達に復活か否か?  生前の罪を審判して振り分けの裁きを下している図 ・・です。​​


最後の審判 3

キリスト教における終末論
イエス・キリストは 神の国が到来するから悔い改めよ 」・・・と言いっています。

つまり、 この世が滅んだ後に神の支配する世界が到来する。しかしそこには良き者しか入れない。でも、悪しき者達でも、今から悔い改めればまにあうぞ・・ と言う事です

そして、 その滅びの日(終末)は突然やって来る のだそうです。
まるで、天変地異のような状況下で・・。

そうした考えから キリスト教世界では人の世界の終わりを「終末論」に位置づけています。

もっとも中世より現在にいたっても、世の中が悪くなると終末論は取りざたされ、今にも来る・・的な扇動を教会関係者がしていますが・・。(実際未だ終末は来ていないわけで・・)


ところで終末に対する考え方は旧約聖書(ユダヤ教)と新約聖書(キリスト教)では若干考え方が異なるようです。

旧約聖書(ユダヤ教) ・・・悪がはびこり、やがてこの世は破滅する。
               でも、神を信じていれば救われる?
新約聖書(キリスト教) ・・イエスを信じれば、今から救いが約束される。
               つまり「神の国へのチケットが今もらえちゃう・・的な発想です。

イエス・キリストを認めていないユダヤ教には終末はあっても、「最後の審判」は存在しない。
キリスト教の言い分では、 終末に神の代わりに裁きをする役目をキリストが負っているのだから、天国か? 地獄か?  キリスト次第 ・と言う事のようです。

とこ ろで 神の国は来世か? と言うと、私達の思う来世とは別物のよう なのです。


2度行われる神の裁き
キリスト教には審判は2度あるようです

1度目は実際に死んだ時 ・・ その時点での 生前の行いに分けられて、魂の行く場所が違う ようです。

「ハデス」(地下世界)と呼ばれる 魂の待機所は 、(「ダンテの神曲」によれば) 天国、地獄、煉獄、辺獄(リンボ)と言われる区画に別れています

2度目が最後の審判の時 ・・ イエス・キリストにより、再び振り分けられる。
その時は生前の肉体を持って審判され振り分けられるの 、天国も地獄も肉体を持って入る事になるらしい。
(カトリックで火葬しない風習は、肉体が無くなると審判の時に困る
からです。)


下は「最後の審判」の図の解説図です。
最後の審判 4
A.天使、キリスト、他選ばれた者達。
B.ラッパを吹く天使と本を持つ天使。
C.よみがえる死者達。
D.天に昇る救われた者達。
E.地獄に落ちる者達。

上の図と下を見比べて下さい。
最後の審判 2

E.左上の拡大図です。地獄に引きずりおろされようとしている絶望の姿です。
最後の審判 7

E.の図には現れていませんが、礼拝堂の絵では一番右下です。
地獄に落ちる者を尚、船から落としているカロンがいます。
最後の審判 6

これらの神の国に至る最後の審判の図の地獄風景を描く為に、 ミケランジェロは、同じフィレンツェ出身の詩人、ダンテの「神曲 地獄篇」からモチーフを得て描いたと言われています。

ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)(1265年~1321年)
フィレンツェ生まれの詩人、哲学者、政治家。
代表作「神曲」(La Divina Commedia)は長編な叙事寓意詩。
ダンテ自身は、単に喜曲と呼んでいたそうです。
神曲の書き出し部分はフィレンツェを追われた自分の彷徨う姿から始まっています。全編彼が主人公です。

神曲 地獄編
推定西暦1300年の聖金曜 日、暗い森の中に迷い込んだダンテは出口を見つけられずに彷徨っていた。
するとそこで古代ローマの詩人ヴェルギリウスに出会う。
そこから逃れるすべのない彼は、 正しい道に出る為、地獄、煉獄へと
ヴェルギリウスに導かれて長く苦しい旅に出る事になる。


ヴェルギリウスは地獄の九圏を通ってダンテを案内する。地球の中心部、魔王ルチフェル(サタン)の幽閉されている領域まで至るまでが地獄編です

「神曲は」ラテン語ではなく(イタリア)トスカーナの庶民語で書かれている。
※ 誰でも読んで理解できるようにそうしたらしい。
ミケランジェロは皆の知っているイメージを使ったとも考えられます。実際、 ダンテの新曲のイメージこそが世間の地獄のイメージとして形造られるのである。

​神曲 煉獄篇、天国篇​
二人は、地獄から悔い改めの煉獄山を登り、再会したダンテの永遠の淑女ベアトリーチェの導きで天界へと昇天 する。
さらに各遊星の天を巡って、神に選ばれたダンテは、神の住む至高天(エンピレオ)へと昇り見神する。

それが神の支配する来世の場所?  もはやそこは宇宙空間ですぽっ

神曲( La Divina Commedia)」は 1307年より執筆の始まった。
​「三篇(地獄篇、煉獄篇、天国篇)で構成され、それは三行を一連とする「三行韻詩」で書かれている。​​

​​「神曲」全体の構成まで含め、 聖なる3の数字 にこだわっていると言われ、 叙事詩なのに幾何学的構成美のある作品なのだそうだ 。​​

イタリア文学最大の古典と位置づけられている。

「神曲」が完成したのはダンテの死の直前1321年。その頃はラベンナにいたようです。

ところで、ダンテは1301年政治的理由による一方的裁判でフィレンツェを永久追放されています。
今や、「神曲」はイタリア文学最大の古典だけでなく世界の古典です。
追放したフイレンツェが今更ながらダンテの墓の変換をラベンナに要求するくらい、彼の損失を悔やんでいるようです。

ダンテの当時の知り合いや、古典の著名人が多く出演する書物なので、かなりのサブ知識が必要です。まして、カトリックを知らない私達が読むにはかなり事前のお勉強が必要ですが、「デビルマン」を描いたマンガ家の永井豪 先生がコミックでダンテの神曲を出版されているので、まずはそこから入るのが良いかもしれません。

「最後の審判」は、つづく

リンク ​ 最後の審判 2 (福音書と黙示録)

リンク ​ ヨハネとヨハネの黙示録 in Patmos

2018年07月「ダンテの描いた地獄の図 & 法務省を語る詐欺師」の中「ダンテの地獄図」と「地獄の解説」を入れています。

リンク ​ ダンテの描いた地獄の図 & 法務省を語る詐欺師






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Last updated  2021年02月22日 15時57分40秒
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