わたしのこだわりブログ(仮)

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2011年12月30日
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星


「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼」9月以来の再登場です。
本当はハワイに行く前に終わらせたかったのに、一番おいしい所がお預けになってしまいました。
年内に終わらせたい・・と言う思いもかなわなかったし・・・しょんぼり

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 14 (ボタフメイロ・プロビデンスの眼)
ガリシア州、ア・ コルーニャ県サンティアゴ・デ・コンポステーラ

プロビデンスの眼(Eye of Providence)
ボタフメイロ(Botafumeiro)
振り香炉

前回は「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 13 (聖ヤコブの棺、聖なる門)」を載せたのは昨年ハワイに立つ直前の9月25日。
すでに忘れた方も多いと思いますが、巡礼の一番のクライマックスが今回紹介するボタフメイロなのです。
「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼」 イコール 「ボタフメイロ(Botafumeiro)」と言っても過言でないくらいの目玉 だったのです。


身廊と翼廊が交差するクロッシングの部分天井
サンティアゴ・デ・コンポステーラ 55


2010年7月3日、「神眼・・・プロビデンスの眼」で紹介した事がありますが、これは 1米ドル札の裏に描かれた眼と同様のものに間違いありません  びっくり

プロビデンスの眼(Eye of Providence)
ラテン語の providentiaから由来し、「Divine Providence」で神の摂理を意味するものです。そして、眼は「神の眼」を示し、正三角形は「三位一体」を示す ものだそうです。

詳しくは、「神眼・・・プロビデンスの眼」の回を見てね。
リンク ​ 神眼・・・プロビデンスの眼

前回「最初に正三角形の中に眼が描かれたのは16世紀後半の宗教絵画の中」と紹介していましたが、このサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は11~13世紀に現在の聖堂の形がほぼできたと言われていますから、プロビデンスの眼はもっと前からあったのかもしれませんね。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 57
問題は天井ではなく、そこからつり下げられた香炉にあります。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 56

1604年、祭壇手前になるクロッシングには、2mもある巨大な香炉を吊す装置が付けられたそうです。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 58
基本的には毎日吊り下げられているわけではありません。
香炉が下げられるのは本来は7月の聖ヤコブの祭りの期間

これから巨大香炉をたく・・と言う儀式が行われます。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ 59
賛美歌を歌っています。
前列の方にいるギャラリーはスペシャルにお金を払った方々です。


ボタフメイロ(Botafumeiro)
ボタフメイロとは、スペイン語で「香を炊く香炉」を意味する言葉 です。
が、この サンチャゴ大聖堂では、堂内で巨大な香炉に香をたいて翼廊沿いに振り子のように振り回す事により煙りを立ち上らせる行為 を指しています。
要するに「振り香炉」の超ビッグ・バージョンなのです。

振り香炉
今は、カトリックよりもむしろ 正教会の方で多く見られる気がしますが、祈祷の時に香を炊くと言う行為は、旧約時代からの伝統 だったそうで、今は大きな公的祭典でしか行われなくなってきたようです。
香には乳香が用いられ、置き型もありますが、祭典には香炉を使う事が勧められたようです。

ギリシャ正教会では振り香炉ではなく手持ち香炉なども用いられると言います。


「香を炊く」意味 1
天に香を炊きあげて神の御前に届かす・・それは神に祈りを届ける事と同じ意味を持 つようです。

実は 「香を炊く」・・・と言う行為は 、キリスト教はもとよりユダヤ教以来 神に捧げる鑽仰(さんぎょう)の印とされています。
(鑽仰(さんぎょう)・・聖人や偉人の徳を仰ぎ尊ぶこと)

旧約聖書のレビ記2章2節では主への捧げ物の件があります。
そこでは 主のなだめの香りとして、祭壇で上等のオリーブ油のかかった小麦粉と乳香を混ぜた物を燃やしています。

詩編141章2節の中では 「私の祈りを御前に立ち上る香りとし、高く上げた手を夕べの供え物としてお受けください。」 と読まれています。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 60
香炉振りは8人がかり。

こんな諺もあるそうです。
「More incense,less nonsense」

incense・・香、香煙、かおり、尊敬、敬意
nonsense・・・無意味な言葉,たわ言

「敬意すればするほど(香りを炊けば炊くほど)無意味な事はない?」
本意は「祈れば祈るだけ、意義がある。」と言う事なのでしょう。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 61
おそらく炭と乳香が入れられているのだと思います。

堂内は燻煙に包まれる。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ 62

「香を炊く」意味 2
ところで、 香をたく意味 が実はもう一つあります。
実際の所、神に捧げる祈りの煙よりも、むしろ教会内部の悪臭を消す(消臭)・・と言う意味。

教会には長い道のりを着の身着のまま旅してきた巡礼者がたくさん集まります。しかも宿をとらず教会内部に寝泊まりする者も多かったようです。
当然教会内部はかなりひどい悪臭が立ちこめた事でしょう。

教会の浄化と、信者の衣服の臭い消し、これがボタフメイロの真実かもしれません。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 63
香炉は翼廊に沿って横に振り子のように大きく振られます。それで香が堂内に回るのですが、かつてはしばしば 窓から飛び出すと言う事故もあったそうです

因みに正確な確認はしていませんが、 カトリックは翼廊に沿った横振り。
正教会では身廊に沿った縦振りと言われています

東西での違いの理由は不明だそうです。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 64

実は、本来は決まった時にしか行われない儀式のはずですが、最近はある程度まとまった希望者がいれば(前日までに申し込めば)有料でやってくれるようです。
浄財集めと香炉振りがパフォーマンス化した・・と言う事なのでしょうか?

サンティアゴ・デ・コンポステーラ 65

振り香炉、ボタフメイロは、
祈りが天に届く事を祈願し記憶するという精神的な意味あいも含まれている・・と言う事で長い巡礼の旅の最後にふさわしいお土産になった事でしょう。


サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼長くひっぱってしまいましたが、今回で終了です。
途中からの方、最初から見てもらった方が嬉しいです。f^^*) ポリポリ

Back number
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 1 (巡礼)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 2 (中世の街)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 3 (ブルゴス 1)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 4 (ブルゴス 2)
リンク ​ ブルゴス(Burgos)番外編 エル・シド
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 5 (ブルゴス 3) ​​
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 6 (ブルゴス 4)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 7 (レオン)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 8 (オスピタル・デ・オルビゴ橋)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 9 (オ・セブレイロ峠)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 10 (聖ヤコブの墓地)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 11 (栄光の門)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 12 (聖域、ヤコブ像)
リンク ​ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼 13 (聖ヤコブの棺、聖なる門)







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Last updated  2022年01月29日 02時50分49秒
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