風が伝えた愛の詩
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今の家に来て早や一年以上が経ち、その間に乗らなくなり、乗れなくなった自転車を放置していた。先日の雨の日にふと見ると、濁った水が籠に取り付けた防犯袋に溜まっている。ボウフラがわき、たくさんの蚊を発生させたのでは、との罪悪感でこの防犯袋を撤去する決意をした。雨の上がった久しぶりの休日、今日。ビニール袋と雑巾用に考えたタオル、手には手袋をして出掛ける。アパートの敷地内に置き去りにされた自転車が恨めしそうにこちらを見たように感じてこの自転車にもわるいな、との思いがした。自転車の後ろの車輪を上げて二メートルほど動かし、雑草の生い茂ったところで車体を傾けた濁った水がこぼれる。袋を取り外そうとチャックの半ばまで開いた辺りに手をかけた時、数匹の虫が飛び立った咄嗟に蜂だと気がついたので、三歩、四歩、あと少し遠ざかる。蜂が飛び去ったのを待って、こけた自転車を起す。もう一度、今度は慎重に籠の袋のめくれた部分を裏返すと、直径5センチほどの蜂の巣ができていた。蜂がすべて飛び去っていることを確認し、蜂の巣を袋ごと取り外し、用意したビニール袋に入れて封をした。奈良の二月堂からの帰り道に趣のある石畳の階段があり、その土でできたような壁を思い出した。その壁に小さな穴が無数にあり、その穴から蜂が数匹出入りしていた。その風景を思い出した。
July 10, 2015
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