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《香樹院語録》より《五七。仏祖の供養物》
仏祖の供養物と云うは、如来聖人を御供養申す御食物のことなり。然らば、何を以って御養い申すと云うに、「恭敬の心に執持して、弥陀の名号称すべし」とも『和讃』に説き給えることなれば、如来聖人の御食物は、面々の称える念仏なり。然るに、信心も決定せず、念仏も称えずして、邪見やら我慢やらに身をはたして、如来聖人えは食物をも捧げず、心底より浄土参りと思うて居ても、夫は仏祖の御意に叶はぬ。昔も永観律師の御安置の御木像が、日々におやつれなされたに就き、永観律師も不思議に思い毎夜祈念なされたれば、七日満ずる暁に、貴僧一人枕の許に来りて告げ給はく、汝、常に念仏懈怠なる故、御木像も御嘆きなさるる程に、早く信心決定し念仏を称えて、御木像を御養い申せと云いつつ、とび去り給う御相、大菩薩たる勢至と変じて、光明と共にうせ給いしと。是より永観律師も心底を改めて、常に念仏遊ばされたりと。道理なるかな、天親菩薩『浄土論』に「愛楽仏法味禅三昧為食」とあれば、如来様の御食物は、念仏三昧なりと仰あり。
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