青空のように

青空のように

2005年08月24日
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へんろみち・結願


朝7時、「栄荘」を出発。
ここの女将さんは本当にやさしい方で、前日の夕飯を僕が残したので、体調が悪いのではないかと気遣ってくれ、おまけに、昼食のお弁当まで持たせていただいた。ありがとうございます。

86番・「志度寺」を打ち、87番・「長尾寺」まで7キロは街中の道。
結願の寺が近いためか、きれいな休憩所が、一気に増える。

休憩所2

昨日突然思い出したのだが、僕が「お遍路」として歩き始めたのは、偶然にも去年の今日なのであった。
四国に入ったのは18日だが、1番・「霊山寺」門前の宿で眠れぬ夜をすごし、不安いっぱいで歩き始めたのが19日なのである。
あれから1年が経った。「霊山寺」の売店で買った杖はずいぶん短くなった。
僕は成長しただろうか。

1年前、徳島に向かう列車の中で、ずいぶん変わった名前だなあと思ったが、1年後歩いて通りすぎることになるとは。

オレンジタウン
見にくいけど、ORANGE TOWN と看板がでてます。

朝露
これも見にくい。朝露に濡れる稲穂。きれいだったんだけどねえ。

87番から街中を離れ、車道をゆっくりと上ってゆく。
途中で、「お遍路交流サロン」というところに寄る。
建物に入ったとたん(まさしく入ったと同時です)、ザーッと雨が降り始める。サロンで、バッジと、「四国八十八ヶ所遍路大使任命書」なる賞状(?)を貰う。

降り始めと同じように、ピタリと雨がやむ。
国道沿いのベンチで頂いた弁当を食べ、いよいよ最後の難関、「女体山」越えに入る。あと7.8キロだ。

大窪・のぼり


山に入ったとたん、蒸し暑さと虫の大群に驚く。携帯の蚊取り線香も虫除けスプレーも全然役に立たない。
ものすごい数のブヨとアブで、パッと下を見たら、ズボンの周りがブヨだらけで、気絶しそうになる。
特に耳のそばのプ-ンという羽音は、蚊嫌いの僕には耐えられない。しかも、耳の中まで入ってくる。

しょうがないので、タオルで頬かむりし耳をふさいで歩いた。ほとんど泥棒コントのような姿であったでしょうね。

のぼり2

ようやく虫は消えたが、頂上に近づくにつれ道は険しくなり、山頂手前はほとんどロック・クライミング状態で、ガケを這い登る。
そう簡単に結願はできないのだよ、といいたそうな最後の試練であった。

がけ
角度がわからないですねえ。

木の枝をつかみ、一際大きな岩の横を、必死で登りきると、そこが山頂だった。

表紙

僕のほかにも、多くの歩き遍路が持っていた。
この表紙の写真、僕は石鎚山だと思っていた。

そして、「女体山」山頂で僕が撮った写真をご覧頂きたい。

山頂

そう、この表紙の写真はここなのであった。

再び雨が降り始める。
山頂奥のあずま屋で雨宿りする。
誰もいない中、どしゃぶりの雨がたたきつける。
あとはもう下るだけだ。
この1年の、いろいろなことを思い出す。

お寺の風情などは、あまり思い出さない。
思い出すのはやはり、出会った人であり、歩いた道だ。
不安な気持ちで歩いてた1日目、雨の中を追いかけてきてタバコをくれたおばちゃん。
歩き遍路の大阪の大学生くん。
葛飾のご夫婦。
焼山寺への道で出会った案内犬。
麻薬中毒のおにいちゃん。
仙台のフリーターくん。
僕を騙したおじいちゃん。
みんな元気でやってるかい?

どこまでもどこまでも、果てしなく続くかと思われた室戸への灼熱の国道。
台風に閉じ込められた3日間。
足が痛くて、これはもうダメだと思いながら、這いずるようにたどり着いた、どしゃぶりの今治駅。
いくつもの遍路転がしの山道。

「お遍路交流サロン」で貰った賞状にはこう書いてある。
「貴方は四国八十八ヶ所歩き遍路約1200キロを完歩され・・・」
しかし僕は、四国一周の旅に来たのではない。
1200キロ歩くことがスゴイことなのかどうかもよくわからない。

信心深くなったわけでもないし、真言宗や空海について理解できたわけでもない。
ただ僕は、「四国八十八ヶ所をお遍路で歩く」と自分と約束したので、その約束を守った・・・ということです。
僕は約束は破りたくないと思う。
誰に強制されたわけでもない、自分で決めた約束だ。
これからも守っていきたいと思う。

歩いた意味がわかるのは、ずっとあとになるんでしょう。
くじけそうになった時、突然その意味を悟るのかもしれません。

雨はやみ、最後の下り。いろんな思いが交錯し、どんな道だったか憶えてない。
何度か、涙ぐんだ気もする。

そして、88番・「大窪寺」が突然現れた。
当たり前のように僕ひとり。
最後だ。大声で般若心経を叫んだ。
杖は奉納した。

原爆
ここに「原爆の火」があるとは知らなかった。
後ろは、奉納された杖たち。

大窪寺・ラスト
さようなら。
ありがとうございました。

門前の民宿、「八十窪」に泊まる。お祝いとして、お赤飯をだして下さる。客は僕ひとり。
10番・「切幡寺」までは20キロだというので、翌日お礼参りに行く事にする。
「切幡寺」までの道は特に書くこともありません。

最後に、

当たり前ですが、僕ひとりで結願できたわけではありません。
御接待して下さった多くの皆さん、ありがとう。
庭先を心良く通して下さった皆さん、ありがとう。
「おはようございます」、大声で挨拶してくれた子どもたち、ありがとう。
すべての四国の皆さん、ありがとう。
僕の稚拙な般若心経を、失笑しながら(たぶん)、聞いてくれた御大師さん、ありがとう。
りゅう君をはじめ、常に僕を励ましてくれた友人たち、ありがとう。
このページで、常に僕を励ましてくれた友人たち、ありがとう。
そして、僕の背中を押してくれ、一緒に歩いてくれた母よ、ありがとう。
記して感謝します。
また歩けることを願いつつ・・・。

               遍路日記 終わり


ラスト





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最終更新日  2005年08月24日 19時13分49秒
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