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2024.04.28
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カテゴリ: 鈴木藤三郎
鈴木藤三郎報徳日めくり

28日

明治39年、二宮翁の50年祭を東京に催すや、君率先してその議に参加し、ついで我が報徳会の創立者の一人となりぬ。後、自ら巨費を投じて、報徳文庫を、野州今市に建設し、二宮翁の遺書万巻を納む。これより翁の遺教、ますます世に顕わるゝに至る。

君の事業は永く天地の間に存して、君の志は千歳の下必ずこれを知る者あらん。

岡田良平


「斯民」第8編第7号(大正2年10月1日) (34~55頁)



鈴木藤三郎氏の逝去
鈴木藤三郎氏は大正2年9月4日午前2時に亡くなった。享年59歳、法名は報国院偉徳道勲居士。6日深川で仮葬式を行い、9月14日郷里の森町での本葬式が営まれた。

森町における本葬式
 氏の遺骸は、仮葬式後荼毘(だび)に付せられ、郷里なる静岡県周智郡、森町に送られ、9月14日を以て、いと丁重荘厳なる本葬式は行われたり。今その模様を略記せんに、同日自邸出棺前、大広間にて衆僧の読経あり。午後3時号鉦一打出入の人々先駆をなし、故勲4等鈴木藤三郎柩と大書したる銘旗1旗、次に岩下清周、福川忠平、三井物産会社、その他寄贈の造生花40余対、森町尋常高等小学校惣代、周智農林学校生徒これに次ぎ、親戚故旧会葬者粛々としてこれに随い、式場に向う。場は周智農林学校校庭を用い、正面には大導師日置黙禅老師を中心として、左右に20余名の衆僧着席す。葬列式場に着し席定まるや、会葬者の弔詞、導師の香語あり。次に近親故旧会葬者の焼香礼拝あり。午後5時半式全くおわる。当日会葬者千余名、みる者道に満ち、実に空前の盛儀なりき。会葬者の重なる者は、
 中央報徳会代表者大日本報徳社長岡田良平、貴族院議員江原素六、松島千湖、藤田周智郡長、(以下略)にして、又弔電の重なる者は、
 原敬、床次竹次郎、一木喜徳郎、岩下清周、秋野孝道(以下略)にして本会の弔詞左のごとし。
 我が中央報徳会に、かつて久しく評議員として力を致されたる鈴木藤三郎君逝けり。君は遠州周智郡森町の人、少にして、つとに二宮尊徳翁の事に感じ、長じて、翁の教えを工業界に活用せんことを期せり。君人となり、明敏綿密にして最も発明創作の才に富み、つとに各種の器械を工夫して、内外の特許を得ること、200余種の多きに達し、我が国における発明界の第一人者を以て称せらる。初めその家業に因みて製糖の法を案出し、ついでこの器械を発明して、すなわち新製糖の業を東京に起こし、爾来連(つが)りに改良拡張して、大製糖会社の基を開く。我が国糖業の今日ある、君の企画経営に負う所少なからずという。後、醤油醸造の新法を発明し、既にして日本醤油会社の事あり。一たび蹉跌しては、自己の全財産を提供してその責に任じ、敢て逃避する所なし。而して発明起業の初志を固守し、更に勇を鼓して、発明部、水産部の事業を経営し、特に自ら煙酒を禁じて摂生に努め、最も勇猛精進して、私に捲土重来の日あらんことを期せしに、今や卒然としてこの事あり。何ぞ哀悼に禁うべけんや。
 君、分度の余力をもって公共に尽くす所少からず。特に道徳経済との調和をもって任とし、 明治39年、二宮翁の50年祭を東京に催すや、君率先してその議に参加し、ついで我が報徳会の創立者の一人となりぬ。後、自ら巨費を投じて、報徳文庫を、野州今市に建設し、二宮翁の遺書万巻を納む。これより翁の遺教、ますます世に顕わるゝに至る。 而して今やその業独り存して、その人則ち亡し。ああ悲しいかな。
 去冬以来、君が家不幸何ぞ頻繁なりしや。一月には、嗣子嘉一郎君病んで歿し、2月にはその経営したる農業に火あり。5月には、養大孺人(養母)に喪せり。君哀傷の故をもって志を緩めず。いよいよ発憤勉励してやまざりしに、この夏、たまたま病を感じ、終に癌腫の診断を受く。然れども意気毫もために沮喪せず、人事の限りを尽くさんことを期し、医の慰諭するをも聴かず、強いて請うて手術を受け、不幸これがために発熱して、終に起たず。時に大正2年9月4日、生まれし安政2年をへだつること50有9年なり。
 君意志最も堅剛にして、成るに淫せず、敗るゝに荒まず、栄枯盛衰をもって動くなし。不幸中道にして病を得るや、不治の故をもって喪心せず、病苦をもって懊悩せず、堅忍確持、泰然として後事を区処し、もって最後の一呼吸に至る。偉丈夫に非らざるよりは、いずくんぞ能くこのごときを得んや。ただそれ窮通は命なり。寿夭は天なり。つとに天命に安んじて、人事を尽くせり。 君の事業は永く天地の間に存して、君の志は千歳の下必ずこれを知る者あらん。 君の英霊こいねがわくはもって瞑せよ。
  大正2年9月6日 東京中央報徳会評議員総代 岡田良平





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最終更新日  2024.04.28 00:00:22


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