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【226】 伊藤発身 曰 く、 翁 の 疾 重 れり、 門人 左右 にあり、翁曰く、 予 が 死 近 きにあるべし、 予 を 葬 るに 分 を 越 ゆる 事 勿 れ、 墓石 を 立 つる 事 勿 れ、 碑 を 立 つる 事 勿 れ、 只 土 を 盛 り 上 げて 其 の 傍 に 松 か 杉 を一 本 植 ゑ 置 けば、 夫 にてよろし、 必 ず 予 が 言 に 違 ふ 事 勿 れと、 忌明 に 及 んで 遺言 に 随 ふべしと 云 ふあり、 又 遺言 ありといへどもかゝる 事 は 弟子 の 忍 びざる 処 なれば、 分 に 応 じて 石 を 立 つべしと 言 ふあり、 議論 区々 なりき、 終 に 石 を 建 てしは、 未亡人 の 意 を 賛成 する 者 の 多 きに 随 へるなり。
【226】伊藤発身が言った。「尊徳先生の病気が重くなって、門人が左右にいたとき、尊徳先生がおっしゃった。『私はまもなく死ぬであろう。私を葬るに分を越えてはならない。墓石を立ててはならない。碑を立ててはならない、ただ土を盛り上げてその傍らに松か杉を一本植えて置けば、それだけでよろしい。必ず私の遺言に違ってはならない』と。
忌が明けるに及んで遺言に随うべきだという者があり、また遺言があってもそのようなことは弟子として忍びないから、分に応じて墓石を立てるべきだとと言う者があって、議論がまちまちであった。ついに墓石を建てたのは、未亡人の意志に賛成する者が多かったからである。」
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