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2026.07.26
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カテゴリ: 報徳
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報徳外記

(現代語訳)
 第十六 助貸(下)
 国家の憂いは、荒地と負債とにある。その憂いを除こうと望むならば、貧民を豊かにすることにある。貧民を豊かにしようと望む者は、資材を貧民に施すのでなければ豊かにできない。そしてみだりにこれを施すときには、資財が尽きてしまい、広く救済することができない。これが私が助貸法を創設した理由である。そもそも助貸の徳というものは、欲が有るのではなく、欲が無いのでもない、損が有ることも無く、益が有ることが無いとはどういうことか。十金を貸して十金を受け取り、百金を貸して百金を受け取るからである。僅かな一百の資金も、助貸が循環することが60年に及ぶときには、その貸した金額は一万二千八百五十五金になり、しかもそれによって荒地は開墾され、負債は償還され、貧民は富み、衰村は復興し、廃国は興る。ああ、その資金は増すことなく減ることがなく、しかも広く救済の功が成就する。
恵んで費さず、欲して貪らないものということである。しかしながら、その方法を行おうと望む者は、貧におらず、富におらず、借りる者の心を察しなければならない。貧民というものは、借りる時の心と償還する時の心と食い違う。なぜならば、家を富ませ、財を豊かにする道は、人事を尽して天命を得ることに在ることを知らないで、いたずらに借りる所の財を費やしてその求める所を得ることができない。人事を尽さないで人をとがめ、天命に背いて天を怨み、ついに仇(かたき)を以て恩に報いるようになる。これは誠に嘆くべきことである。世の人は、種を播く時に当たって、種子を借りる者は、秋の収穫を得るに及ぶときは、損益を計らないでこれを償還し、厚くその徳に報い、ますます親睦をなすことは必然である。いやしくも助貸を行う者は、よろしく明らかにこの理をわきまえ、予め借りる者の心を察してその生計を利するゆえんを図らなければならない。ここに貧民が有るとする。数々の不慮の災いに罹って、負債によってこれを補い、そしてこれを償還しようと望んでも、ただその利息を出すだけで元金を償還するに至らないことを遺憾とする。ここにおいて、私の助貸の資本を借りて、旧の負債を償還することを願い出る。すなわちその負債の元金・利子、あるいは田畑山林の収入、及び一年間の経費を細かく調査をして、天命の分度を探って、その利息及び贈答の礼物にかかる費用、五年あるいは七年、もしくは十年の支出を通算して計算し、助貸の額とする。もし旧の負債を精算するのに足らないときは、山林及び不要不急の衣服や器物を売り払うべきである。なお足らなければ、債権主の昔からの恩情を慕って、数年の後にこれを償還すること願い出、そして奢りや怠慢を改めて、倹約と勤労を守り、一年の仕事が終わって後に、更に助貸を願い出てその古くからの負債を清算すべきである。それ人の糞尿を論ずること無く、あるは馬糞・魚油、あるいは酒かすや醤油かす、もしくは腐草・朽葉、もろもろの不清浄の物で田畑を培養して、穀物や野菜・果実など清浄の物を生じさせる。地においては荒地、人においては負債、皆、家道を腐敗させるゆえんのものである。今は荒地を開墾して穀物を生じ、負債を精算して利息をとどめ、その憂える所を除いてその安んずる所を与える。これがまた不清浄の物を用いて、清浄の物を生ずると同じである。
ああ、荒地の憂いを除いて田畑に変え、負債の憂いを取り除いて債務を精算させ、貧窮の憂いを取り除いて富裕とする。ああ、助貸の徳というものは、またなんと大きいではないか。  


 第十六 助貸(下)
 国家の憂ひは、荒蕪と負債とに在り。夫れ其の憂ひを除かんと欲すれば、貧民を賑はすに在り。、貧民を賑はさんと欲する者、財を施すに非ざるよりは能はざるなり。然り而して猥りに之を施すときは、則ち財尽きて而も広済の功廃せらる。是れ我が助貸法の創設せらるる所以なり。夫れ助貸の徳為るや、欲有るに非ず、欲無きに非ず、損有ること無く、益有ること無きは何ぞや。十金を貸して十金を取り、百金を貸して百金を取ればなり。僅々たる一百資金も、助貸の循環すること一周度に及ぶときは、則ち其の貸額一万二千八百五十五金に至り而も荒蕪墾かれ、負債償はれ、貧民は富み、衰邑は復し、廃国は興る。嗟呼、其の資金は増さず減ぜずして、而も広済の功成る。恵みて費へず、欲して貪らざるものと謂ひつ可きなり。然りと雖も、其の法を行はんと欲する者は、貧に居らず富に居らず、以て借者の心察せざる可からざるなり。貧民の若きは、則ち借りる時の心と償ふ時の心と齟齬す。何となれば則ち家を富まし財を優にするの道は、人事を尽して以て天命を得るに在るを知らず、徒に借りる所の財を費やして其の求むる所を得ること能はず。人事を尽して以て天命を得るに在るを知らず、徒に借りる所の財を費やして其の求むる所を得ること能はず。人事を尽さずして而も人を尤め、天命に背きて以て天を怨み、遂に仇を以て恩に報ゆるに至る。是れ誠に歎ず可きなり。世人、播種の時に当たり、種子を借りる者、秋実を得るに及ぶときは、則ち損益を計らずして之を償ひ、厚く其の徳に報ゐ、益々親睦を為すや必せり。苟も助貸を行ふ者、宜しく明らかに此の理を弁じ、予め借者の心を察して以て其の生計を利する所以を図るべし。此に貧民有り。数々不慮の災ひに罹り、負債して以て之を補ひ、而して之を償はんと欲すと雖も、唯だ其の利を出すのみにして本金を還すに至らず、以て遺憾と為す。是に於てか、我が助貸の資を借り、以て旧負を償はんことを請ふ。乃ち其の負債の母子、或いは田畝山林の入、及び一歳の経費を細査して、以て天命の分度を探り、其の利息及び贈遺の礼物に係るの資、五年或いは七年、若しくは十年の出を通計し、以て助貸の額と為す。若し夫れ以て旧負を清くするに足らざるときは、則ち山林及び不急の衣服什器を散鬻すべし。猶ほ且つ足らざれば、則ち債主の旧情を慕ひ、約するに数年の後之を償ふを以てし、而して奢怠を改め、倹勤を守り、歳課畢りて後、更に助貸を請ふて以て其の旧負を清くす可きなり。夫れ人の屎尿を論ずる無く、或いは馬矢魚膏、或いは酒糟醤粕、若しくは腐草朽葉、諸々の不清浄の物を以て田畝を培養し、以て穀粟菜果清浄の物を生ぜしむ。蓋し地に於ては則ち荒蕪、人に於ては則ち負債、皆家道を腐敗せしむる所以なり。今は荒蕪を墾きて以て穀を生じ、負債を清くして以て利息を留め、其の憂ふる所を除きて其の安んずる所を与ふ。是れ亦た不清浄の物を用ひて、以て清浄の物を生ずると同一般なり。吁、荒蕪の憂ひを取りて以て田畝に易へ、負債の憂ひを取りて以て清債に易へ、貧窮の憂ひを取りて以て富優に易ふ。吁、助貸の徳為る、亦た大ならずや。





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最終更新日  2026.07.26 07:37:16


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