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ずーっと気になっていたはずなのに、いつの間にか忘れていた本を、本屋さんで見つけてやっと購入しました。忘れていたなら気になってないんじゃ、という矛盾については、いつものごとく自己スルーしておくことにします。ただ、気になっていたとは言っても、タイトルと表紙の絵がラ・トゥールだということだけで気になっていまして、中身に関してはあんまり知らなかったのですね。しかししかし、こんなに面白い本だとは思いませんでした。放置していた自分がうらめしいぐらいです。『歴史の裏に通じているからこそ、こういう秘話を掘り起こせる』『読み終わった途端、われ知らずつい口に出た。絵ってすごいなあ』『「名画の見方」を借りた、知的でスリリングな文学体験』帯に書かれている書評の抜粋ですが、まったくもって、誇張じゃありませんでした。この本を読むと、絵の見方ががらっと変わりますし、絵画の謎を解き明かしていく中野京子氏の文章は、まさしく上質なミステリーのそれだと思えます。この本では中世から近代にいたる様々な様式の20の絵画について、その絵の描かれた時代背景、画家について、絵画の様式や寓意などなど、様々な見地から絵画にこめられた意味を解き明かされていきます。とりあげられる作品は、ドガの踊り子、ティントレットの受胎告知、ブリューゲルの絞首台の上のかささぎ、といったメジャーなものから、ダヴィッドのマリー・アントワネットの肖像やジョルジョーネの老婆の肖像など、有名画家のマイナーな絵まで多岐にわたっています。この、絵について語る中野京子さんの文章がほんとうにすばらしいのです。知識にほれ込んでしまいます。絵画の鑑賞体験というものを、視覚的な「すごい」「きれい」で終わらせない、その絵画が表している人間の本質や社会・時代の本質に、怜悧な言葉のメスでぐっと切り込んでいく。画家の無意識まで切り込んでいるんじゃないかと思わせるぐらいの、どこまでもその絵画の秘密を暴いていこうとするその姿勢や情熱に、ぞくぞくしてしまうぐらいでしたね。1日1作品、と決めて大事に読み進み、読了すると同時に続きを買ってきてしまいました。また1日1作品ずつ、じっくり読み進めていくつもりです。
2013年06月30日
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梅雨入りを前にして、こちらも大分暑くなってきました。とはいっても、25度に達さない程度ですから、南の土地に比べたら暑いうちにも入らないかもしれませんね。<概要>数学は、ヒトの脳が作り出した文化的な産物であるはずなのに、これまで実に美しく自然現象を説明し、実に精密に物事の動きを予測してきた。また、流行り廃りのある科学理論一般に比べ、数学の成果は紀元前の昔から一貫しており、科学上ある難題が生まれる100年以上も前にそれを解く「ツール」が、そのつもりもない数学者によって用意されていた、といった例も少なくない。あたかも万能の存在であるかのように、なぜ数学はこんなに一貫していて、こんなに現実の役に立つのか。数学者たちが冗談交じりに言うように、創造主=神に数学の知識があったなのだろうか。『黄金比はすべてを美しくするか?』などで、その説明のわかりやすさととっつきやすさに定評のある著者、最新の数学解説。最新の数学解説、という風な紹介になっていますが、数学の知識が中学高校レベルでほぼ止まっている私でも十分に楽しめました。特に数学の専門的知識が必要とされるものでもなく、非常に面白かったです。数学、というより数学史や科学史を通して、テーマについて語られている印象です。帯に「だって数学って、非力な人間の産物にしては全能すぎるじゃないか」「数学はなぜ、ありえないほど役に立つのか」とあるとおり、数学が何故現実世界の法則を―科学だけでなく社会学や神経生理学にいたるまで―説明できてしまうのかについて、ひとつの問いをたてて考察を進めています。その問いが、「数学は発見か、発明か」。この世界は数学で記述される自然法則に貫かれて成立していて、数学者はその法則を自然の中から発見しているのか。それとも、数学は人間の思考の中でのみ成立し発展していく人間が発明した学問であり、それが自然法則に当てはまるのは単なる偶然なのか。ピタゴラスやプラトンに始まり、アルキメデスやガリレオ、ニュートン、そして近現代の数学者がその問いについてどういう立場をとってきたのかを紹介しながら、数学というものが普遍の真理としてこの世界にあるものなのか、それとも「言語」のような人間の発明なのか、考察が進みます。結論はおいておきまして、その時代時代の数学に対する考え方ひとつとっても面白いですし、数学者たちが数学と世界との関係をどうとらえていたのか、ということに関しても興味深く読みました。しかし、本当に不思議ですよね。人間の作り出した言語のひとつである「数学」が、どうしてかくも自然法則を説明し、かつ予言することまでできてしまうのか。今まで考えたこともなかったですが、とても興味深い問いです。読むのに時間はかかりましたが面白かったので、前作『黄金比はすべてを美しくするか?』も買いました。読み終わるのはいつになることやら。
2013年06月16日
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いい加減、『めがね』や『かもめ食堂』クラスの作品を期待するのはやめよう、そもそも監督さんが違うんだし、と思いながらも、ついつい借りてしまうシリーズです。『かもめ食堂』『めがね』と、それに続く『マザーウォーター』『プール』と、ひとと場所のつながりをシンプルに見つめてきたこのシリーズ(amazon情報)。『かもめ食堂』と『めがね』までは荻上直子監督で、その後は違う方が監督しており、作品の雰囲気はなんとなーく似ていても、おもしろみはかなり開きがある作品になっていることは、結構な数のレビューで言われていますし、私自身もそう思います。『めがね』『かもめ食堂』、そしてシリーズではありませんが、『トイレット』といった荻上作品は、DVDが欲しいなと思うぐらい。残念ながら『マザーウォーター』、『プール』は途中で寝てしまう、という……歴然とした差があります。ですので、たぶん個人的な好みとは違うだろうな、と思いつつ借りてしまうんですよ。役者さんが同じなのもあって、もしかしたら、面白いかもしれない、と。そして結果は、まあ、眠る寸前でした、という。三人の脚本家による作品で、場面は大まかに3つに別れています。ストーリーというストーリーはなく、ほんとにただ、たまーに変わる風景と、登場人物の会話メインに物語は進んでいきます。しかし、残念ながらこの登場人物の会話の雰囲気も、魅力的とはいえませんでした。あれだけの役者さんを集めておいて、ここまで個性のないキャラクタ設定をするのも、ある意味ではなかなか難しいのかも……と思ってしまうぐらい。こう、なんとなく、言葉にとてもメッセージをこめているようでいて、残念ながらそれが裏目に出ているといいますか、しらじらしくなってしまうんですよね。ひとはそこまで整然とした会話をすることもないし、とリアリティに欠けるような雰囲気。と、総じて批判的な雰囲気になってしまいましたが、80分という短さでも、個人的にはきつかったです……唯一、予告編集で紹介されていた『レンタネコ』という荻上監督の作品が気になったかな、という感想で終わってしまった今回。もの足りないな、と思いつつ、でも続編があったら、借りてしまうんだろうな。
2013年06月02日
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