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2007年01月12日
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 夜明け前、友雅は藤姫の袿を手に御帳台を出た。

(なかなかの味だったよ。今まで私を愛した誰よりも、ね。)
 乱れた髪を掻き上げ、ふっと口元だけで笑う。童殿上の頃の甘く苦い想い出がよみがえる。
(宮中はきれいごとだけではないのだよ……神子殿は元の世界に戻って良かったのだ。)
 御簾をくぐり、廊下へ出た。神子の部屋の前から帰ろうと思った。
 いつも通り、階に腰をかけて有明の月を探す。
(どこまで邪恋に穢れているのか。こんな私を、神子殿も、藤姫も、許してはくれないだろうねえ……)
「許して差し上げますわ。」

 藤姫がいた。
 藤姫は何も言わず、友雅の後ろに膝をつき、細い両腕を背から回して友雅を抱きしめた。
 友雅は前をむいたまま、小さな両手を握りしめた。そのまま胸に押しつけ、目を閉じた。
 神子を失った穴が埋められ、黒くよどんだ瘴気が浄化される気がした。
 藤姫と一緒に生きていくんだね……。
 神子の声が聞こえた気がした。
 友雅は手を離した。
「今宵は……あなたと逢えますか、藤姫。」
 藤姫は返事の代わりに、更に友雅を固く抱きしめ、背に頬をすり寄せた。
 その腕をそっとほどいて、友雅は階を降りた。
「では、これをそれまでの身代わりに。」

 友雅の体温で暖かい単衣。藤姫は友雅に抱きしめられたように感じた。
 藤姫の袿を羽織って、友雅は帰っていく。
 藤姫はその後ろ姿をいつまでもいつまでも見送っていた。





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最終更新日  2007年01月12日 18時58分10秒
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