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2007年01月20日
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 貴族は、橘の家のお殿様でした。若君が5人にて、それぞれ宮廷でときめいておいででした。

 その夜も、若君はどこかの姫君との逢瀬を楽しんで、夜明け近くにお帰りになりました。
(寝る前に湯浴みすることにしよう。)
 湯殿へ行くと、頭に鉢をかぶった不思議な娘が控えていました。
(これが例の鉢かづきか。)
 宮中の宿直と毎夜の夜歩きでほとんど家に居着かない少将様は、鉢かづきを見るのが初めてでした。
 頭こそ鉢をかぶって妙ですが、よく見ると、水仕事や薪割りで荒れているとはいえ、手入れをすればほっそりと優雅な手、上品な物腰など、ただの村娘とは思えません。
(返事をさせてみよう。)

「今日は少し疲れているから、少し熱めの湯に入りたいのだよ。わかしておくれ。」
「かしこまりました。」
 何と細い、透き通るような声! それまで逢ったどの姫君よりも美しい声でした。少将様は、もっと鉢かづきをよく知りたくなりました。
「背中を流してもらえまいか。」
 お湯に体を浸しながら、少将様は外の火焚き口にいる姫に声をかけました。
 姫はびっくりしました。背中を流してもらったことはあっても、他人の背中を流したことはないのです。でも、主である館の若君には逆らえません。姫はおずおずと湯殿に入りました。
 少将様は、湯殿に入ってきた姫の手を取り、自分の方へ引き寄せました。
 初めて男の腕に抱かれた、しかも裸の男に抱きしめられた姫はもうどうしていいかわかりません。少将様のなさるとおり、されるがままになるしかありません。
 少将様も、邸の下働きの娘などに遠慮はありません。どんどんとことを進めて、とうとう、姫を我が物となさってしまいました。
 姫のすべてを知った後に少将様が感じたのは、姫への限りないいとおしさでした。
(この人のために自分はあったのだ。もう、離さない。)

「君の、本当の名前を知りたい。」
「……あかね、と、申します。」
「あかね……!」
 少将様はあかね姫を強く抱きしめました。二度と離したくない。でも、夜明けを告げる鶏の声が遠くから聞こえてきます。
「若君さま……夜が明けます……」

「友雅さま……」
 離れがたい気持ちをこらえて、二人は今宵の逢瀬を約束して別れたのでした。





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最終更新日  2007年01月20日 20時56分20秒
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