2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全8件 (8件中 1-8件目)
1

ダニー・ボイル監督といえば『トレインスポッティング』『ザ・ビーチ』『28日後...』。どれも斬新で、絶妙な勢いと、巧みさがあったっけ。アカデミー作品賞を受賞した本作も、圧倒的なうまさだった。ヒンドゥー語を大事にしつつ、外国語作品にならないよう、前半には英語字幕が投入されている。そんなところも、とてもスマートだ。 インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”で、この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、ついに誰も辿り着けなかった、残り1問までやって来た。ところが1日目の収録後に、イカサマ容疑で警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児がクイズを勝ち抜けるわけがないというのだ。執拗な尋問に対し、ジャマールは自らの無実を証明するため、答えを知るに至った、ストリートでの過酷な過去を語り始めるのだった・・・・・・。クイズ・ミリオネアのドキドキと、二重の回想形式で語られる構成の見事さ! 120分が短く感じられるほど、物語に引き込まれていく。教育を受けていないはずのジャマールは、なぜ問題の答えを知ったのか。その答えは過去にある。あの頃のスラムの生活が、あの事件が、あの偶然が・・・いまへと繋がる大切な伏線となっていく。気を逸らさないドラマチックなエピソードのひとつひとつが、瑞々しくて痛々しくて切なくて、たまらない。詳しい内容は割愛するが、過去が現在に追い付いたとき、物語は、最後の一問を残すのみ。同時に、ジャマールの一途な恋の行方も、ミリオネアを賭けた運命の行く手とともにある――。なんて巧いんだろう!「クイズ・ミリオネア」という番組のいやらしさを、存分に利用した内容もさることながら。出来過ぎなラストは、きっと映画ファンでもうなるはず。往年の名作へのオマージュと、映画愛に溢れていた。舞台は映画の都ムンバイ。エンドロールでしっかりと、ボリウッドらしいダンスを披露して幕を閉じる、粋な演出。作品全体で、インド特有の生命力とカラフルさと魅力を表現してしまえているところも、素晴らしい。初恋相手をずっと追い求めているスラムドッグの優男を演じた主演のデヴ・パテルは、時にみせる強い眼差しが、とても魅力的な俳優さんだった。(カラー/120分/イギリス=アメリカ合作)
2010.05.28
コメント(4)

「面構 足利尊氏」 片岡球子(1905~2008年)は札幌出身の日本画家。5月末まで、札幌芸術の森美術館では『開館20周年記念』として、没後初の回顧展を行っている。大胆な色遣いと、型破りな構成。個性的な絵画は、幼稚だとかゲテモノとか、いろいろに揶揄されたそうだけれど、なんとなくユーモラスで、ピュアで、たのしい作品が多かった。信条は「日々勉強」、とてもガンバリ屋さんだったのね。ビビットな色使いは、晩年までずっと変わることなく、作品からもものすごいエネルギーを感じる。人物を描いたどの絵でも、着物の模様がかなり細かく描きこまれている。そのデザインは個性的で、何作見ても飽きないのだ。風景画であっても、手前の木々はデザインされた模様のようで、そのまま布の柄にして使いたい感じ。こういうところは女性らしさかしら。インパクトある、火山や富士を描いた風景画も良いけれど、私的には「面構(つらがまえ)」というくくりのなかにある作品群がとても好みだ。「面構 足利尊氏」(1966年)もそのひとつ。いい顔してて、眺めていると親しみが湧いてくる。他にも、日蓮や白隠を描いたものが気に入った。 「学ぶ子等」1933年 「春の富士(梅)」1988年 学校の先生をしながら、絵の勉強に励んで、病気のとき以外は床には就かなかったという。ゆっくりのんびりしたためしがない―――とは、なかなか言えない台詞だ。わたしはゆっくりのんびり、したいもんね。その暇なく、ひたすらに人生103年描き続けたなんてすごい。 「有島武郎旧邸」 行きはちょうど一時、雨が上がって、ドライブ日和。雨に洗われた緑は清々しく、自然豊かな「芸術の森」は木々からいい匂いが漂ってくる。散策するには最適な日。けど帰る頃には、また雨がすこし降りだしてきた。今日はじめて、有島武郎旧邸のなかも見学してみた。大正2年に建てられたお邸を移築復元した、あじわいある建物は、広々とした室内ほぼすべてを見ることができる。他にも見学者の方が数人いて、みなさん口々に、「こんな家に住みたいね~」と連呼していたよ。「わたしも住みたいよ~」と独りごちながら、やはり気持ちのいい山道を車走らせ帰路についたのでした。
2010.05.25
コメント(2)

いつだったか、そう、ちょうど一週間まえのことです。咲くのも遅ければ、出かけるのも遅くて、見事に散り落ちたあとの円山公園へ、お花見にでかけました。弁当持って。まだ花見客はちらほらといて、緑の下で楽しそうに宴に興じる姿がたのしそうでした。仕事帰りに寄ったから、時間的にも気持ちが良かったなぁ。 円山につきもののカラスはあいかわらずでした。公園内は、ヒッチコックの『鳥』ですよ。黒い大群に囲まれて餌やりながらイチャイチャしてるバカップルは、後ろからケリ入れてやりたかった。鳥ギライな家人が来て、ここで弁当はムリだと言うので、円山神宮の境内で、美味しくいただきました。マルヤマクラスのお弁当。 境内に、植樹した桜園があり、なぜかここだけは満開の桜。ほんの一画だから白けるけど、すこしでもお花見気分を味わえた唯一の場所でした。 帰りは道草しながら、夜の市内を抜けて帰路につきました。 さて。明日は(ってもう今日になってる) 休日ですよ、うれしい。雨降りの予報だけど車に乗って出かけようと思います。ひさしぶりの「芸術の森」で、『片岡球子展』 をみてこよう。
2010.05.24
コメント(0)

五十歳を迎えて仕事にも家族にも行き詰まり、人生に疲れているジャン=クロード。結婚を目前にして幸せなはずなのに、どこか満たされないフランソワーズ。ある日、ふたりはタンゴのレッスンで出会い、それぞれの人生は変わりはじめていく―――――― 老いと、結婚。 悩みは違えど、ちょうど同じ人生の岐路に立っている男女の、年齢を越えた愛を描く。 物語は、バツイチのジャンが老いを実感して、以前から気になる事務所向かいのタンゴ教室に通いはじめる、一大決心をするところからはじまる。そこでフランソワーズと出会うのだ。一方、結婚式を控えたフランソワーズは、式で踊るためにタンゴを習いにきて、ジャンと出会う。(じつはふたりは彼女が子どもの頃に、面識がある同士)明るい彼女は、素直にジャンに近づき、自然のことのように惹かれていく。しかし、彼女が結婚の決まった身であることを知ったジャンは深く傷つき、彼女を避けるようになってしまうのだった・・・・。長く生きれば生きるほど、自分が傷つかないように臆病になっていくものだけれど、よりによってジャンは、職業柄気持ちを表に出さないことが癖になっていて、そのうえ人付き合いが超苦手。週末には施設にいる偏屈な父親をイヤイヤ見舞い(でも見捨てられず・・・)、別れた妻に会う気はなく、最低限の繋がりのなかだけで孤独に生きてきた。そんな彼が、初めて一歩大きく踏み出して手に入れた恋は、大人の純愛だった。幾度も繰り返される、タンゴの調べは、この映画のために作曲されたのだとか。ダンスシーンはじっくりと冗長気味に感じるかもしれないが、ラストシーンにきて初めて、それがベストであったのだとわかる、計算された尺なのだった。ふたりの想いが飽和するのと、ロマンチックな旋律とタンゴ―――。想像していた以上の胸の高鳴りで幕を閉じる。ジャン=クロードの一家の家族関係はおもしろどころ。一家は父も息子もそのまた息子も、代々、裁判所の執行官。憎まれ役となる職業のせいか、家族の性質か、みんなが滑稽なくらい不器用なのだ。家族なのに会話はほとんどなく、強がってみたり、本音を隠してみたり。父親は、毎週会いに来るジャンに、ほんとうは嬉しくて感謝していることを言えない…。執行官の職にも父親にもうんざりしているジャンの息子は、事務所をやめたいことを父に言えない…。そんなもどかしいほど不器用な彼らの日常に、一筋の光のように差しこんだ、真っ直ぐなフランソワーズという存在がキラキラと輝いて見えた。(演じているアンヌ・コンシニは実際うつくしい!)これだけは偽りたくない――――そんな強い想いに出会えたジャンは幸せ者でしょう。そして、彼が変わったことで家族にも変化が訪れて、孤独な父も、内向的な息子も、ほんの少し救われ、幸せに向かっていく余韻がたまらない。監督はフランスの新鋭、ステファヌ・ブリゼフランス。こちらで長編2作品目。フランス映画の小品には、短尺でまとまった良作が、ほんとに多い。完成度が高くて、見ごたえあって、ため息がでるのぅ。----------------------監督/ ステファヌ・ブリゼ 製作/ ミレーナ・ポワロ ジル・サクト 脚本/ ステファヌ・ブリゼ ジュリエット・サレ 撮影/ クロード・ガルニエ 音楽/ エドゥアルド・マカロフ クリストフ・H・ミュラー 出演/ パトリック・シェネ アンヌ・コンシニ ジョルジュ・ウィルソン (カラー/93分)
2010.05.20
コメント(0)

わたしは毎日、コーヒーばかり飲んでいる。子どもの頃、砂糖とミルク入りで飲んでいたのを合わせたら、人生の大半にコーヒーが共にあったといっても、過言ではないと思う。豆の品種や生産地にこだわりはなく、行きつけの豆屋さんで、その都度飲みたいのを買ってくる。無くなれば、缶コーヒーだってなんだって飲む。最近は缶だと、ブラック以外はほとんど飲めなくなってしまったけれど。そんなコーヒー愛飲家のわたしを、ちょいと考える人にしてしまったドキュメンタリー映画。年間売上800億ドルを超える、石油に次いで世界で2番目に取引金額の多いコーヒー。ここにきてくれる方の中にも、愛飲家はきっと多いことでしょう。フェア・トレードについてはあまり知らないけれど、いつか通った珈琲教室で、サステイナブルコーヒーについては、少しだけ教わったことがあった。その時の先生が開いているHP情報によると――サステイナブルコーヒーの定義は。オーガニック、フェアトレード、シュードグロウンを目指すもの。有機無農薬、公正な交易、環境保護が三本柱なのだそうだ。コーヒーの原産地は、主に南米やアフリカなどの発展途上国で、生産国と輸入国との間には大きな格差と不公平があるのは、みんなが知っている。それを是正しているのが、本部をイギリス・ロンドンに置く国際コーヒー機関なのだが。協定の破たんを機に、いまコーヒーの価格は、30年前の値まで下落してしまった。 おかげで生産者は貧困に喘いでいるというのだ。愛飲家としては、聞いていて気持ちがいいわけがない。本作では、エチオピアに焦点を当てて、農協の責任者である男性の仕事を追いつつ、裕福な輸入国の日常風景をシニカルに、対比して映し出す。世界のコーヒー市場を支配する、大手企業をやんわりつついてみたり、バリスタ選手権の模様を流してみたり。スタバ1号店を取材した映像は、なんとも気の毒。ノー天気な店長から感じられるのは、企業の利益追求体質で、スタバを見る目が多少変わってしまうかもしれない。・世界第3位の輸入国である日本が持つフェア・トレードのシェアは、レギュラー・コーヒー市場においてわずか0.2%。・消費者が大勢いるからこそ、ひとりひとりの日々の選択が、世界に大きな影響をもたらす。そう言われちゃうと、黙っていまのまま、コーヒーを飲んでちゃいけない気になってくる。エチオピアの人々が喘ぐ、責任の一端の一端は、自分にあるような気にさせられちゃうよね。つい、単純で、オンランショップのサステイナブルコーヒーを探してみると、エチオピア産ばかりではなく、ブラジルやマレーシアやコロンビアや東ティモールなどいろいろあった。たまーには、ネットショップで買い求めることにしよう。100グラム500円~800円なら、べらぼーに高いわけじゃない。このたまーにを、続けることが大事なのだろうし。 レインフォレスト・アライアンス認証コーヒーちなみに、最近コンビニのコーヒーに、このマークがついてるのをよく見かける。<レインフォレスト・アライアンス認証>のマークなのらしい。アメリカ・ニューヨーク州の、サステイナブルを目指す団体のマークなのだそうだ。--------------------監督/ マーク・フランシス ニック・フランシス (カラー/78分/イギリス=アメリカ合作)
2010.05.16
コメント(4)

16歳の若者アーリーが、周囲にいるアウトサイダーな人々との出会いを経て、終わりのない旅へと船出する――――。 ジャームッシュ監督の大学卒業製作作品であり、デビュー作。音楽、アンニュイな雰囲気、そして憎めない主人公、すでにジャームッシュらしさがちゃんとある。仕事、税金、家、家族・・・・そんなものに縛られることなく生きる、16歳のアーリー。失うものも守るべきものも持たない彼こそが、無敵に見えてくるからおもしろい。社会的に弱い立場で、はみ出し者で情けないはずなのに、わたしたちの価値観を揺るがせるおもしろさ。アーリーには冷めてはいるけれど、恋人がいる。会話のない部屋で、アーリーが突然踊り始めるシーンが好きだった。超脱力のヘンテコダンスは、冷めた恋人さえ微笑ませる。それから、摩天楼が遠ざかっていく、ラストシーンがとても素晴らしい。終わりのない旅に出ることを決意させるのは、アウトサダーな人々との出会い。どんな人の言葉にも耳を貸せる、心根の優しい主人公が持つ人間味に、ハッとさせられた。今回はふとカウリスマキ作品を思い出した。持っているものを捨てたくさせるところとか。カッコ悪さがカッコ良さである、ところとか。ちなみに、作中に出てくる映画は『バレン』、本はロートレアモンの『マルドロールの歌』だった。ちょっと調べてみたくさせる。監督・製作・原作・脚本/ ジム・ジャームッシュ 音楽/ ジョン・ルーリー ジム・ジャームッシュ 出演/ グリス・パーカー リーラ・ガスティル ジョン・ルーリー (カラー/75分)
2010.05.15
コメント(0)

『アリス』『オテサーネク』の監督、ヤン・シュヴァンクマイエルは、チェコスロヴァキア、プラハ生まれの芸術家。シュルレアリストで、アニメーション作家で、映画監督でもある。本編は、初期の映像作品から『オテサーネク』までの制作秘話や、チェコで催された展覧会の準備風景を交えつつ、豊富なインタビューと証言で彼の作品の魅力を解き明かすドキュメンタリー。氏の作品に、少なからず興味をお持ちの方は、きっと楽しめるに違いないドキュメンタリーだった。なぜ今どきシュールレアリスムなのか? この質問には、ヤン自身がしっかり応えてくれている。そして氏の創作活動に欠かせない、最大のパートナーであるエヴァとの関係を見ることができるのもうれしい。2005年、『ルナシー』で美術・衣装を担当したエヴァは、完成後に65歳の若さで亡くなっている。それ以降、ヤンに新作がないのは、最大のパートナーを失ったことが影響しているのかもしれない。 個人的には『オテサーネク』の撮影風景がとてもたのしかった!あのオテサーネク(切り株)が、どのようにして調達されてきたか。木に命が吹き込まれていく様を見るのは興味津々。動きを出すために用意された、幾種類も切り株に囲まれて、まるで孫のようにオテサーネクを抱いているヤンが、かなり嬉しげだ。隣家の少女・アルジュビェトカを演じる子役のオーディション風景なども興味深い。あえて可愛らしい子をチョイスしないのは、こだわりなのか(笑) このクリスティーナちゃんも、『アリス』のクリスティーナちゃんも、お世辞にも美少女とは言えないのだった。求めているのは個性か? ともかく作品にはいろんな子どもの頃のトラウマが、影響しているらしいことを知った。主人公に女の子が多いのも、照れ隠しのためなのだそうだ。時代遅れだと揶揄されてもなお、シュールレアリストとして様々な作品を造り続けるのが、シュヴァンクマイエルの道。そこに驚くほど、エヴァのデザインや絵が魅力をもって投入されてくる。本編中に登場する作品は、やはりどれもわたし好みで、見ているだけで楽しかった。こんどはいよいよ初期の短編を観ていこうかな。買わないと、観れないけれどね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・監督/ ベルトラン・シュミット ミシェル・ルクレール 出演/ ヤン・シュヴァンクマイエル エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー (カラー/58分)
2010.05.12
コメント(0)

1993年製作「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」を、6年後、主演の二人が再結集して検証した、オリジナルビデオ。大好きな岩井俊二監督は、元は、フジテレビのレイトタイムに放映されるドラマを撮っていた。こちらも『ifもしも』という、ドラマ企画のスペシャル版。『FRIED DRAGON FISH THOMAS EARWING'S AROWANA』も、もとは同じTVドラマシリーズだった。「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」は幾度も観ているけれど、その後出た本作は初鑑賞。フジテレビ企画部の方々の証言、岩井監督自身による証言を交えて、当時のエピソードを振り返る。岩井作品の中で、とくに好きだ!というわけではなかったのに、あとからあとから、じわじわと切なさが湧いてくる。当時はまだ子どもだった奥菜恵と山崎裕太が、自分たちの青春のひとコマである場所を訪れる。懐かしみながら、照れながら。こちらは、大人になったふたりに、感慨深くなったりする。映画の内容はここでは割愛するけれど、♪Hold me like a friend. Kiss me like a friend~と流れたら、もーうダメだった。挿入歌「♪forever friends」には未だに泣けてしまうのだ。確信犯的な岩井監督の意外な一面や、ここから後の映画へと繋がっていった経緯をはじめて知ったなぁ。DISCASの予約リストにずっと載っかっている『見知らぬ我が子』『殺しに来た男』『マリア』『蟹缶』・・・・・・などなど、初期のドラマを早く見てみたくなったよ。 監督・企画/ 岩井俊二 出演/ 奥菜恵 山崎裕太 小橋賢児 麻木久仁子 深浦加奈子 (カラー/90分)
2010.05.07
コメント(6)
全8件 (8件中 1-8件目)
1