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2021.09.13
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最近は独身研究家の荒川和久が2015年の生涯無子率は男35%、女25%というデータを出して、子供がいる人生は当たり前ではないというのが話題になっている。2020年の出生数は84万835人でもうじき80万人を割り込む見込みで、その一方で児童虐待の相談件数は年々増えていって2020年は初の20万件超だそうで、自民党の政策で社会が壊れていくしわ寄せが少子化や児童虐待や自殺という形で出ている。マルサスの​ 『初版 人口の原理』 ​を読んだ時も少子化について考えたのだけれど、重要な問題なのでまた考えることにした。

●反出生主義とは何か

反出生主義とは生きていれば何かしら苦痛を感じるので、生まれなければ苦痛を感じずにすむので子供を産まないという思想で、人間や自分が生まれたことを否定する思想と、人類を新たに生み出すことを否定する思想の二種類がある。子供が不幸になるのは親の倫理的な責任なので、不幸になる可能性が高い子供を産まないことで責任を回避するわけである。
なんで反出生主義のような考え方が出てきたのかというと、昔よりも子供の人権を重視するようになってそのぶん親の責任が大きくなったことと、技術が高度化したぶん高等教育をうけないと社会に必要とされなくなるなかで努力では覆せないほど経済格差が拡大したことと、避妊具やポルノなどの子供を作らずに性欲を解消する手段が増えたのが原因だろう。世界で格差が拡大する中で、物心ついたときには自分が置かれた状況が努力ではどうにもならない無理ゲーだと理解できるようになって若者が早い段階で恋愛や結婚をあきらめてしまって、人間にとって生まれないことが一番の幸福だというSFのディストピア的な反出生主義が現実世界でも広がりつつある。本能的に生殖が快楽と結びついているのでコンドームがない時代は快楽に負けて生殖して子供が増えていたけれど、現代では避妊で生殖と快楽を切り離すことができるので、子供を作らない生き方ができるようになったのが特に影響が大きい。DINKsは経済的な理由で子供を作らない人が多いようで、DINKs以外の共働きで子供をつくらない人は晩婚化で子供がほしくて不妊治療しても妊娠できないという理由が多いようで、倫理的な理由で子供を生みたがらない反出生主義とは違う。
単に子供の数が増えて少子化が解決すればよいかというとそうではなくて、不幸な人が増えるのでは社会としては意味がない。例えば子供を産んで虐待するような親よりは子供を産まない人のほうが倫理観が高いといえるし、社会の不幸を減らしている。反出生主義はテロで社会を破壊するのとは違って、不幸になる可能性が高い社会に平和的に抗議しているといえる。

●少子化の原因は何か

子供を産まない人が全員反出生主義というわけではない。ではなぜ結婚せず子供を産まないのか。

・男性の年収低下と女性の上方婚志向

現代ビジネスの「​ 格差拡大、貧困増大…それでも「若者の生活満足度」が高いこれだけの理由 ​」という記事によると、統計数理研究所が実施している「日本人の国民性調査」で親ガチャに失敗して努力しても報われないと諦観を持つ人が若い男性で増えているそうな。長引く不況で男性の年収が下がる一方で、女性は上方婚志向で年収〇万以上で高学歴で身長〇センチ以上で禿げデブでなくて長男以外、というように条件をはっきり示している。男性は容姿や年収で早い段階で自分は女性の結婚対象からはずれているとわかってしまうし、既婚者の話を聞いても趣味ができなくなったとか小遣い制になったとかで結婚が良いものとは思えないので、努力してまで結婚しようという気がなくなる。歌舞伎役者とか開業医とかは子供に家業を継がせるために結婚したがるだろうけれど、家業がないサラリーマンは結婚を急ぐ理由もない。男性が結婚に乗り気でない一方で、女性は条件を吟味するうちに高齢になって条件が合う男性がいても相手に選ばれなくて未婚者が増えたり、結婚しても高齢で妊娠しにくくなったりする。

・女性の社会進出と低賃金

貧乏な発展途上国で出生率が高いから収入と出生率は関係ないし貧乏なほうが子供が増えるという人が5ちゃんねるにしばしばいるけれど、そういう人は発展途上国ならではの事情を見落としている。たいていの発展途上国は宗教の影響力が大きくて避妊や中絶を禁止していたり、あるいはイスラム原理主義のように女性が強制結婚させられて教育を受けられないまま就労を制限されて家事と育児をやらされたりして、女性の人権が守られていない。女性の人権を無視して産む機械として扱って避妊や中絶や労働を禁止したりすれば子供を増やすことはできるだろうけれど、男女平等を掲げる先進国でそんな政策をやるのは論外である。子供を増やすために人権を侵害して不幸な人を増やすのではよい社会とは言えない。日本だと女性が社会進出しているけれど男性よりも収入が低いし、共働きでないと生計を立てられない中で女性が仕事を休んで子供を何人も産んで大学に行かせるほどの余裕がない。

・子供を産んだところで十分に教育を受けさせられない

マネーポストWEBの「​ 学歴による社会の分断 「日本人の3人に1人は日本語が読めない」調査結果も ​」という記事だと、以下のデータをあげていた。​

【1】日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない(正しく読解できない)
【2】日本人の3分の1以上が小学校3~4年生以下の数的思考力しかない
【3】パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない
【4】65歳以下の日本の労働力人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない

​たぶん日本語を正しく読解できなくて文章を読めない人が多いので、動画でべらべら喋って説明するメンタリストDaiGoやオリラジ中田やひろゆきとかの専門家が相手にしないような人たちが人気になったのだろう。文章を読むのは能動的な行為で読解に集中力が必要だけれど、会話を聞くだけなら誰でもできる。読解力がなくて本を読めないレベルの低学歴の人たちも動画で勉強できるようになったと考えれば悪いことでもないけれど、論文や報告書とかの長文が読めないと結局は専門性が必要なビジネスについていけなくなる。

子供応援だよりの「​ 一人の子どもの出産から大学卒業までの総費用 ​」という記事によると、幼稚園から大学まで全部公立に行かせるので約3千万円、全部私立に行かせたら約4千万円かかるそうな。世間的に高収入と言われている年収1千万円くらいの人でも子供を私立に行かせて習い事をさせたらカツカツの生活になって二人目や三人目を産んで大学に行かせるのは無理と考えるだろうし、非正規雇用で共働きで生活するだけで精一杯という家庭では昇給やボーナスが期待できないので子供を産む前から子供を大学に行かせられないとわかってしまう。子供に十分な教育を受けさせられないと高学歴の人とは勝負にならないので成人した後に高収入を得る可能性はほとんどなくなるし、高収入を得られないとQOLが下がるし結婚できる可能性も低くなるし、子供が不幸になる可能性が高いとわかっているのでまともな親は子供を生みたがらない。というわけで子供は3000万円かかる贅沢品という扱いで、教育費を捻出できずに親として子供の教育の責任を果たせないのが原因で反出生主義的な考え方になる。
中国も格差が拡大して教育費が高騰して少子化になっているので、共産党は教育費の負担を減らすという名目で学習塾を取り締まっている。

・離婚率が高い

日本の離婚率は約35%で、2019年の離婚件数は約20万9千件だそうな。中でも高知県や沖縄県や和歌山県の離婚率は約45-46%で、よくそれで地域社会が維持できるものだと思う。それにコロナ禍で収入が減って住宅ローンの返済に行き詰った人が8万人以上いるそうで、結婚して家を買った人でも家計の悪化に伴って夫婦仲が悪くなって離婚したりするし、片親だと世帯収入も減って子供を大学に行かせるのが難しくなって親の貧困が子供にも連鎖する。親の離婚を経験した子供は結婚したら幸せになるという幻想を持たなくなって結婚に消極的になるし、夫婦仲が悪くて家庭が崩壊していて親に虐待された人も家庭に幸福な幻想を持たなくなって結婚や出産に消極的になる。

・東京一極集中と核家族化

地方の生産性を上げるには高速道路や港や空港などのインフラに投資をしないといけない。しかし生産性が低くて少子高齢化している地域に投資してもしょうがないという逆のロジックで地方への投資が行われないので、地方は企業を誘致できないし、ろくに仕事がないので若者は都会に仕事を探しに行くしかなくなる。しかし都会は家賃が高い割に部屋が狭いし幼稚園に空きがないし核家族化で子育てに親を頼れないし子供の売春や夜遊びなどの誘惑は多いし治安が悪いし、あらゆる面で子育てする環境には向いていないので、親の負担が大きくて必然的に少子化になる。親が仕事で忙しくて子育てをする余裕がないと児童虐待やネグレクトなども起きる。
内閣府が地方創生のために移住支援金や企業支援金を出しているけれど、条件が厳しい割には単身世帯は最大60万円で支援金額がしょぼいし、そもそも地方には介護とか農業とかのキャリアに合わない仕事しかないから大卒の若者が都会に行くわけで、政府が東京一極集中を解決しようという気がない。首都直下型地震が起きるかもしれないといわれているのに、首都機能移転でまったく進展がない。たぶん日本の政治家たちは低収入の高卒と老人だらけの地方都市が消滅しようがどうでもいいと思っているのだろう。
日本以上に少子化が深刻化している韓国ではソウルへの一極集中が問題になっていて、財閥系企業以外にはろくに仕事がなくてチキン店を開業するか餓死すると揶揄されている有様で、熾烈な受験競争に勝って英語ができる優秀な人が韓国に見切りをつけて外国に逃げている。日本も格差が固定されていい就職先が縁故で占められて努力ではどうしようもなくなると韓国みたいになるかもしれない。

・政治経済のリーダーの理念のなさ

こないだのメンタリストDaiGoのホームレスや生活保護の人への発言が典型的だけれど、理念のない金持ちは今だけ、金だけ、自分だけのことを考えて、生産性のない人や税金を払わない人は社会にいらないという考え方をする。税金を納めない中小零細企業は潰して統廃合したほうがいいというグローバリストや、LGBTは生産性がないとかいう人も同類で、こういう人は同じ国家の国民同士だという共同体意識がないので自分の基準に合わない人を排除したがる。企業なら優秀な従業員だけ集めればいい成果が出せるけれど、生産性が高くて役に立つ人だけが生き残ればいいという思想で社会を作ろうとすると、社会が分断されて荒廃する。それに資産数十億の金持ちが庶民の10倍子供を産むわけでもないし10倍優秀な子供が産まれるわけでもないので、格差が拡大して金銭的に結婚する余裕がある中間層が没落して余裕がなくなっていくほど子供が減って、多様な才能が減って社会が停滞して成長しなくなっていくのに、政治経済のリーダーが目先の利益を考えて未来の事を考えていない。小泉進次郎が「悲観的な1億2千万人の国より楽観と自信を持った6千万人の国の方がよっぽど強いと思う」と言ったけれど、悲観的な1億2千万人の国がこのまま衰退して人口減少したらさらに悲観的な6千万人のどうしようもない国になるだろう。優秀な人もそうでない人も健常者も障碍者も若者も老人も皆で一緒に良い社会を作るのが国家のあるべき姿だろうに、政治経済のリーダーが自分と仲間だけよければいいという拝金主義者や縁故主義者だらけなので、社会から疎外された人が落ちこぼれて子供を作らないようになって、最近は少子化なのに子供の自殺が増えているし、親子の無理心中事件もときどき起きている。政治家が政策を間違うと最初に弱者にしわよせがいくけれど、利権とコネで子孫まで安泰なリーダーたちは国が亡ぶ最後のときまで自分が路頭に迷うことはないので、社会が壊れつつあることに鈍感で危機感がないのである。

●内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)は何をしているのか

政府はエンゼルプランや新エンゼルプランとして出産一時金とか待機児童を減らすとかの政策で既婚者の子育て支援をしている。しかし既婚女性の出生率を表す合計結婚出生率は1970年代からだいたい2ぐらいなので、結婚した人の支援をしてもたいして子供が増えることはない。既婚者を支援して合計結婚出生率を維持したところで総出生数が減ったら少子化対策として意味がないし、未婚者が結婚できるような政策や、シングルマザーが子供を大卒まで育てられる政策をやっていないことが問題である。自民党や財務省は財政均衡派が主流なので、若年層の雇用の不安定と貧困化が原因だとわかっていながら財源がないといって人口が多い氷河期世代を支援せずに世代ごと見捨てて、就職氷河期世代の女性が40代になってもう子供を産めなくなって少子化が決定的になって出生数が急減して、少子化対策が失敗したといえる。

●なぜ人口減少の解決策は移民ではだめなのか

イギリスはEU加盟中に移民が増えてアイデンティティの問題が起きて、ブレグジット後に移民政策を変えて非熟練労働者へのビザ発給を厳しくした一方で、熟練労働者の移民は歓迎してる。英語が使える熟練労働者は条件がいい欧米に出稼ぎに行って、日本の低賃金と労働条件の悪さはもう知れ渡っているしわざわざマイナー言語の日本語を覚えないと働けないので高度人材が来ない。景気が悪くなると解雇されて次の就職先が見つからないレベルの能力しかない非熟練労働者の移民を短期的な労働力目的で入れたところで、日本の経済成長につながるどころか治安悪化要因になる。
自民党と経団連は人手不足を補うために移民の受け入れを推進してきたけれど、ブラジル人移民が無免許運転で死亡事故を起こして母国に逃げたり、ベトナム人移民が集団で農作物を窃盗したり、イスラム教徒が地蔵を偶像崇拝扱いして破壊したりして、移民が問題を起こしても呼び寄せた企業が責任を持たなくて地域住民が被害を受けている。移民の親についてきた子供への教育も不十分で日本語での勉強についていけなくて不良化していて、移民一世は低賃金でも母国よりはましなので就労意欲が旺盛なのに対して、子供は言葉が理解できなくて日本への共同体意識もなくて就労意欲が低いフリーライダーになりかねない。世界中の紛争はたいてい宗教と民族の違いが原因で起きていて、例えばユーゴスラビア紛争はボシュニャク人(イスラム教)、セルビア人、クロアチア人、アルバニア人(イスラム教)の自治政府の対立で起きた。他宗教他民族のインドもイスラム教徒のパキスタンとバングラディシュ(東パキスタン)が独立した。キプロス島という東地中海にある青森県くらいの面積しかない小さい島でさえ北側のトルコ系住民の北キプロス・トルコ共和国と南側のギリシャ系住民のキプロス共和国に分断されたまま何十年も経っている。アフガニスタンも多民族国家で、イスラム教の中でも多数派のスンニ派のパシュトゥン人のタリバンが少数派のシーア派のハザラ人を虐殺している。異教徒が少数派のうちはおとなしいけれど、ある程度人数が増えると宗教的価値観に基づく自治権を求めるようになる。左翼が話せばわかりあえるとか軍隊はいらないとかというのは平和ボケで現実を見ていなくて、話せばわかるなら紛争は起きないし、アフガニスタンでアメリカが撤退したとたんにタリバンがすぐに支配地域を広げたように、武力を前にしたら非武装の市民が何を言っても殺されるだけである。わかりあえないからこそ国境を作ってそれぞれの民族が価値観を共にする共同体を自治して武力で縄張りを維持しているわけで、言語や宗教が異なる民族を国内に増やすのは紛争の原因を作ることになる。
移民がすぐに脅威になるわけでもないけれど、数十年後に日本が過疎化する中で離島や過疎地に移民の子孫が集結して乗っ取って自治権を求めて独立運動することだってありうる。すでに中国が沖縄独立を工作しているし、ロシアは北海道を狙って工作している。共同体意識がなくて安易に外国にかぶれる日本人には国を守る意識も文化や伝統を受け継ぐ意思もないだろうし、竹島や尖閣諸島の問題も解決できない自衛隊や政治家は国内で独立運動が起きても何もできないまま、日本という国家が分割されて小さくみすぼらしくなっていくだろう。100年単位のスパンで日本の将来を考えたら、日本語を学ぶ気もなくて日本の文化を尊重しない経済目的の移民を入れてうわべの人口を維持しようとするのは下策である。

●私の意見

私は社会は皆が幸福になるために存在するべきだと思うし、結婚して子供を産んで幸福になれる人は子供を作ればよいし幸福な人が増えるならそれがよいけれど、政治家や経営者の都合で経済規模を維持するために不幸な人をつくるくらいなら産まないほうがましだという消極的な反出生主義といえる。産めよ増やせよ地に満ちよと国家の繁栄のために個人の権利や幸福がないがしろにされて搾取されるような希望がない国で生まれたところで、そんな社会に誇りを持たないだろうし頑張る気も起きないだろうし、日本の少子化も将来不幸になる人が減ったという点では良いことだと思う。






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最終更新日  2021.11.12 12:30:22
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