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2025.03.02
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​井戸川射子「共に明るい」(講談社)​ ​​​​​​​​​​​​​ 2021年 「ここはとても速い川」(講談社文庫) 野間文芸新人賞 、翌年 2022年 「この世の喜びよ」(講談社文庫) 第168回芥川賞 を受賞した 井戸川射子 という 1987年生まれ の若い作家を読み続けてます。 2019年 私家版 で出されて、 中原中也賞 に選ばれた 「する、されるユートピア」(青土社) という 詩集 も読みました。​​​​​​​​​​​​​
​​ 詩も小説も、読んでいて、
​​ 「フーン!?」 ​​
​  という刺激に満ちています。この 「フーン!?」 というのは
​「ねえ、コレ、おもしろかったの?」
「うん、フーン!?という感じで、なかなかいいよ(笑)。」
「何よ、フーンって。」
「そやから、読んでて、なんかありそうやな、やん?」
「何いううてんの?大丈夫?」​
​​​ ​というのが、最近、 同居人 と交わされる会話のパターンなのですが、なんのこっちゃわかりませんね(笑)​
​​ で、この 作品集
​​ 「フーン!?」 ​​
​  連発でした(笑)。​​
​ たとえば 「風雨」 という作品の書き出しはこんな様子です。
​片手を差しだせるほどにしか、小窓の部分は開かない。窓から見える木は寝るように生える松だけなので葉は揺れず、雨がどれほどの勢いか測る目安とはならない。向井は開けたカーテンを手に持ち「ビューだねえ」と窓からの景色を褒める。オーシャンビューでもないけど、何ビューと尋ねたかったが、二人はまだあまり話したこともないため、嫌みに聞こえることを恐れ、「ビューだね」と彼は答える。(P77)​
​​​​  修学旅行 五島列島 あたりにやってきた 高校生「向井」 「彼」 が割り当てられた部屋に着いた場面の描写です。​​​​
​​ で、読み手の シマクマ君 は、いきなり、​
​​ ​​「フーン?!」​​ ​​
​ なのです。頭に浮かんだのは
​この文章の書き手は誰なのかな?​
ですね。​​
​​ 具体的に言えば、
​「何で、一人が「向井」と名前で呼ばれて、もう一人は「彼」と代名詞で呼ばれるの?」​
​  という疑問というか、引っかかりで
​​ 「フーン?!」​ ​​
​  です。​​
​ この文章ですが、 「彼」 とかいう三人称の代名詞が出てきたりして、いかにもな小説的文体に見えますが、果たしてそうなのですかねえ、という疑問です。​
​​​​​​​​​ で、読み進めると、嵐のために、室内での行事を余儀なくされた 旅行団 宴会場でのシーン の描写があります。ヒマを持て余している 高校生 学年集会 で、あの 遠藤周作 の小説 「沈黙」 の一節が 国語教師 によって朗読されるという、ちょっと、普通の社会で暮らしている方には想像を絶している、まあ、その業界を知っている人間には 「いかにもありそうな、いや、なさそうな」 旅行風景 が描写されて、その後の場面ですね。​​​​​​​
​ 朗読を終えると国語教師は続けて、「実は詩作もしておりまして」と言い、どさくさに紛れて自作のも朗読し始める。本当は暗唱できるが、なにか手に持つ方が格好がつくのでそうする、強い口調で熱を帯びる。他の教師たちは夢うつつの表情だ。未見のものを読むだけ読まれ、聞くだけなので語はばらけて意味は飛び、改行も、どこにどれが繋がったのかも分からず、文というのはただただ語を並べただけのものだと生徒たちは実感する、そういう発見の場だったといえる。(P91) ​
​​​​ 今度の登場人物は 「国語教師」 ですが、 シマクマ君
​​ 「フーン?!」 ​​
 ​ は続きます。この 書き手 は、
​なんで「国語教師」の胸中がわかるんですかね。 ​​
​​​​​ ​​​​​​​​​ で、思い出したんですね。この 若い作家 は、つい最近まで兵庫県内の高校で 国語の教員 をしていた人で、 遠藤周作 はともかく、少なくとも 芥川龍之介 「羅生門」 あたりはくりかえし授業されていただろうと。
 というのは、ここで、 作家 が作り出している、これらの文章の 「書き手」 のものの見え方は、 芥川 が造形した 「書き手」 とよく似ているんですね。​​​​​​​​​

​​​​​​​​​​​​​​​  「羅生門」 という小説の特徴の一つは 「語り手」 としての 「書き手」 なのですね。ようするに 「物語」 とか 「昔話」 語り手 語り方 書き始める書き手 です。ただ、 芥川 には 「平安朝の下人のサンチマンタリスム」 というような描写を挿入することで作品を現代的(?)な 書き手 による 小説 として成立させんとする、だから、
​​ 書いているのは現代のインテリなんですよ! ​​
​  という、 書き手 の姿というか、位置というかが書き込まれますが、 井戸川さんの作品 にはそれがないんです。​​​​​​​​​​​​​​​
​​ というわけで、いきなり
​​ 「フーン?!」 ​​
​  なのですが、 作家 は何がしたいんですかね?。​​
皆同じようにカステラの長い一本、限定の袋麺、靴下などのお土産を手に持つ。高校生なのでもう指も長く、カゴなどなくとも色々なものを挟み込める。彼はベンチに座り、お土産はその太ももの上にのせる。彼の脚は膝から上が長いため、たくさん置くことができる。体育教師は母を待つ子に、飛行機と飛行場の車のおもちゃのセットを、あの子たちは違えば争うので、同じものを二つ買う。
 飛行機内部には、人々を何とか落ち着かせようとする音楽が流れる。美術教師はこの旅でまた買った、教会内部の写るポストカードを眺める、昔買ったものと比較する、家に帰れば語る先を失う。CAさんの仲間への、顔の横でするグッドのサインは可愛いが、翼の上の傷は、この剥がれ部分は大丈夫だろうか、唸る風でどうにかならないかと、それが見える席の生徒は敏感に考える。あの、今まで出ていた速度をいなす、無事だが激しい着陸を待つ,上手くいけばいいがと皆思う。(P114)
​​​​​​​​​​ 結局、 「彼」 が、なぜ 「彼」 と呼ばれるのか、 「向井」くん だけが、なぜ個有名なのか、 教員たち はなぜ 「美術教師」 とか、 「学年主任」 とかというふうに呼ばれるのか、実は、全くわかりません。
 作品全体を通して、ある高校の修学旅行の場面、場面を、あたかも客観性に支えられた 「三人称的な世界」 として描写しているかに見えますが、 三人称的な客観的描写 の世界では、ある人物が 「彼」 と呼ばれ、ある人物が 「向井」 と呼ばれたりはしないでしょう。​​​​​​​​​​

あの、今まで出ていた速度をいなす、無事だが激しい着陸を待つ,上手くいけばいいがと皆思う。
​  ​​​​​​​​​​​と結ばれる、この作品の 「皆」 の中に 作家自身 はいるのでしょうか、いないのでしょうか、と、まあやっぱり、
​​ 「フーン!?」 ​​
​  で終わるところにこの 小説 の、あるいは、 この作家 の面白さがあるというわけなのですが、
​作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。​
​  と書いた 芥川 でも、 がネタにした平安以来の 物語の語り手 でもない位置に
​​ 書き手の場所を探そうとしている井戸川射子!​ ​​
​​ という 作家 がいるように思うのはうがちすぎなのでしょうかね(笑)。​​​​​​​​​​​まあ、それにしても工夫にあふれていて面白がらせてくれる 井戸川射子さん には 拍手! です。もう少し追いかけ続けますよ(笑)。​​




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最終更新日  2025.03.05 23:25:12
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Re:週刊 読書案内 井戸川射子「共に明るい」(講談社)(03/02)  
ミリオン さん
おはようございます。
本を読むのが楽しいですね。大好きです。頑張って下さい。 (2025.03.02 07:32:54)

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