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私立碧陽学園生徒会。その役員は人気投票で決められる伝統で、美少女ばかりがぞろっている。そこに成績優秀者の「優良枠」を獲得して加わった杉崎鍵は、公然とハーレムエンドを目指すと宣言した・・・ いろいろなところで好評らしいので、読んでみました。 生徒会室で駄弁る、たったそれだけのことなのに、どうしてこんなにおもしろいんだろう。 7+αの短編で構成されるこの一冊には、とにかくネタが満載。おそらくメインヒロインであろう生徒会長・桜野くりむですら、そして、お子サマ生徒会長・桜野くりむは、今日も生徒会室の中心で身勝手を叫ぶ。「ただの人間には興味あ(自主規制)」なんてパロディ。もうやりたい放題。 こんなネタがいくつも続けば、普通なら飽きやマンネリを感じさせるものかもしれません。しかしながら、シリアスな部分とのバランスがいいのか、ネタの使いどころがいいのか、はたまたネタやギャグを拾いきれていないためなのか、この生徒会の駄弁りが非常に気持ちよいのです。 また、ハーレムエンドを目指すと宣言しながら、実際のところ4人のヒロインに尽くし、「皆好きです。超好きです。皆付き合って。絶対幸せにしてやるから」とまで言い切る杉崎も好印象。 ただ残念だったのは、4人のヒロインが杉崎に好感を持っているのが明白なことと、ゲーマーズの購入特典冊子をもらえなかったことでしょうか。これはすごく気になります。収録作:「駄弁る生徒会」「怪談する生徒会」「放送する生徒会」「更正する生徒会」「恋する生徒会」「遊ぶ生徒会」「振り返る生徒会」「えくすとら~創作する生徒会」2008年2月27日読了
2008.02.28
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「求む奇談!」その言葉を目にして「strawberry hill」を訪れた者たちは、この世の話とは思えない奇談を口にする。奇談蒐集家の恵美酒は喜ぶが、傍らにいる美貌の助手氷坂は奇談の謎をたちまち解き明かしてしまうのだった。 この世の奇談を解き明かす安楽椅子探偵もの。●「自分の影に刺された男」 子どもの頃から怖がりだった仁藤。その日も仕事帰りに自分の影のひとつが動き、背中を刺されたと言う・・・都市伝説のような現代の奇談。身につまされる人も多いのでは。●「古道具屋の姫君」 学生の頃、矢来が本を買う予定だった金で買った姿見。そこには美しい姫君が住んでいる・・・過去だけでなく現在をも打ち砕くような真相に衝撃。●「不器用な魔術師」 フランスで出会ったパトリスという若者は、不思議な予言で美智をアパルトマンの火災から救うと、姿を消してしまった・・・美しい思い出の苦い真相。●「水色の魔人」 子供を消してしまう「水色の魔人」。ニッキやタッシと探偵団を結成していた懋は、魔人を捕まえようとたくらむが・・・少年探偵団、魔人という乱歩をイメージさせるような道具立て。もちろん、ストーリーも怪奇幻想的。●「冬薔薇の館」 季節外れの薔薇が咲き乱れる館。智子はこの館で暮らすことを誘われ、準備のため家に戻るが・・・真相の想像はつくが、なんとも幻想的な妖しい雰囲気が漂う作品。●「金眼銀眼邪眼」 交通事故で妹を失った小学生大樹は、ナイコと名乗る少年に連れられ夜の世界へ足を踏み込んだ・・・この世代の奇談を大人の事情とうまく絡めてあり、その結末に感心するばかり。●「すべては奇談のために」 作家になることを夢見ていた男は、本業の傍らライターとして都市伝説を探していた・・・書下ろしの一編は、今までとは異なるアプローチでまとめにかかりますが、やや強引だったのでは。 全体に、奇談を語り終わると簡潔かつ速やかにその真相が明かされ、謎でもなんでもなくなってしまいます。しかし、そこには現実だけではなく、奇談が持っていた幻想的な余韻が残されています。巧みですね。 奇談に力が注がれた分、ミステリとしての盛り上がりは若干欠けますが、それを期待するような作品ではないでしょう。奇談の持つ幻想性、神秘性や、ノスタルジックな雰囲気を楽しむべきです。収録作:「自分の影に刺された男」「古道具屋の姫君」「不器用な魔術師」「水色の魔人」「冬薔薇の館」「金眼銀眼邪眼」「すべては奇談のために」2008年2月25日読了
2008.02.26
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「適当な人材を探していたの」皆瀬梨夏のその言葉で予備校「雙羽塾」のアルバイト講師に決まった高須賀克志。だが、その実態は学校では優等生でありながら塾では無気力な問題児斎宮瞑の監視役だった・・・ 恐ろしく頭が切れる美少女瞑と殺害現場の写真撮影を趣味とする大学生スカのコンビによる連作短編集。表紙になっている大きなヘッドフォンをした瞑や、三雲さんの過去の作品のイメージからバリバリのSFミステリを予想していましたがそんなことはなく、ストレートな現代ミステリでした。●「Crumbling Sky」 小学生の頃、除幕式中にスカの目の前で担任が亡くなった。空から降ってきた何かが当たったらしい。しかし、スカには曖昧な記憶しかない・・・収録された5編中、これが一番わかりにくく、そして釈然としないものが残る作品でした。理解できても、そこに作為的なものを感じてしまうのです。●「四番目の色が散る前に」 廃業したファミレスの駐車場で見つかった少女の死体。そこにはあるはずの右腕がなかった。やがて左腕のない死体も・・・有名な古典作品がうまく利用されています。そんな名前の●●があるなんて知りませんでした。●「Fallen Angel Falls」 机の中に入れられたガラス片で手を切ったり、駅の階段で突き落とされそうになった少女は、自分は呪われていると言う・・・人間消失ネタをうまく絡めた一編。心中事件絡みですから当然といえば当然な心理が生かされています。●「あなたを見ている」 もう何年もストーキングされている少女。家の中にいたストーカーを刺したが、部屋に逃げ込んだ間にスト-カーだけでなく、事件の痕跡も消えていた・・・これも人間の心理というか感情を活用した作品。また、この作品を時系列的にこの位置へ置き、次へつなげるのはうまい構成ですね。●「静かな密室」 スカが試験監督をしている間にもう一人の試験監督が撲殺され、スカは容疑者に。しかも彼は翌日部室で火災事故に遭い、入院していた・・・これまでとは異質なトリック重視の作品。瞑がバッサリと事件を切る様がなんとも爽快です。ただ、それだけに今まで重視されてきたロジックは若干見劣りするかも。 ミステリとしてきれいにまとまっている作品集です。積み重ねられたロジックが人間の心の奥底にあるものを読み解くことで解明されることに感心するばかり。また、トリックは決して大掛かりなものではなく、いたってシンプル。スカではわからないのに、瞑が説明すると非常にわかりやすいという絶妙なライン上にあります。 しかし、全体的には瞑のキャラクターで引っ張っている印象が強く残ります。スカに対する口調はどこか冷たく突き放したかのようですが、それでいて好意を持っている様子もそこかしこから垣間見ることができます。少しずつ縮まりながらもなかなかはっきりしない二人の距離も魅力的。 「静かな密室」でシリーズ的にはまとまっているので続編は出ないかもしれませんが、ぜひ続きを読ませて欲しいと思わせる作品でした。というか、皆瀬から『i.d.』や『レベリオン』にもつながっているそうで、そちらも読みたくなりました。収録作:「Crumbling Sky」「四番目の色が散る前に」「Fallen Angel Falls」「あなたを見ている」「静かな密室」2008年2月20日読了
2008.02.21
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渋谷の月待ち女。それは、毎月満月の晩に渋谷のハチ公前で亡くなった恋人が帰ってくるのを待っている変人と噂される女性、イズミ。噂を知った新谷は彼女を遠くから眺めただけだったが、ハチ公前に行くたびに彼女がその日も待っているのか気になりだした・・・「つきこい」 表題作「つきこい」とイズミがハチ公前で待ち続けるようになったきっかけの物語「月下少年」の中編2作を繋いだストーリー。 正直、「つきこい」の路線でいってくれたほうがよかったです。「つきこい」は大学生でバンドをしている新谷の青春と恋愛が、イズミのミステリアスな雰囲気と相まって幻想的な雰囲気のラブストーリーになっています。しかし、その前日譚にあたる「月下少年」にはファンタジー的な要素が入ってきて、微妙な感じがしてしまいます。ちょっと浮いてしまって。いや、それぞれ独立した物語ならこの要素も割り切って考えられたのかもしれませんが、密接な関係にある2編だけに、なかなかそのようには割り切りにくいのです。 もちろん、「つきこい」から始まってイズミに月待ち女のエピソードがついているのですから、何らかの形でそのきっかけを語る必要はあるでしょう。しかし、そこにこれというのはちょっと残念でした。 でも、こういう構成できれいにまとめられているのは好きですね。収録作:「つきこい」「月下少年」2008年2月16日読了
2008.02.18
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終戦後、生活のために警官になった安城清二。希望通り駐在勤務になった安城は、職務の傍ら、非番の時には男娼殺しや国鉄職員殺しを調べていたが、駐在所の隣にある天王寺の五重塔が焼け落ちた夜、火災現場から姿を消し、謎の死を遂げた・・・ 終戦直後から現在にかけて、清二、民雄、和也と三代にわたる警官一族と昭和の風俗、事件、そして警察を描いた大河小説。 第138回直木三十五賞候補作。2008年版このミステリーがすごい!第1位。 清二の頃に起きた2つの未解決事件と清二の死の謎を軸に、3人が遭遇する事件や警官生活を組み合わせるような構成です。ただし、その組み合わせた部分の比率が大きく、軸の部分は若干ぼやけがち。また、怪しい人物を比較的早い段階で予想できてしまうので、謎解き的な部分は期待できません。 しかし読み応えは抜群、圧倒的な作品でした。 中でも圧巻だったのは民雄の活躍。特に北大での潜入活動は大きな効果をあげるのとともに、民雄の精神が徐々に病んでしまう過程が迫力満点に描かれています。本当に民雄の辛さ、苦しさが伝わってくるようでした。 同じ血を引く三代の警官であっても、志しというか考え方、生き方が違うのは当然かもしれません。それが、時代の流れであるとか事件の時代性というようなものときれいにかみ合い、上下巻で700ページを超えるという長さをあまり感じさせません。 また、警察組織における犯罪の捉え方、警察の正義について考えさせられる物語でもありました。ミステリ的な体裁をとっていても、佐々木さんが本当に書きたかったのはこの部分だったのでは。 親子三代にわたる壮大な物語。時間と気持ちに余裕を持って一気に読むことをおすすめします。2008年2月14日読了
2008.02.15
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パルスに感染し、姉を取り戻すために囚人ゲームでの必勝を誓う福原駿介。ダンスパーティーに招待されるが、それは男女ペアで戦う新たなゲームへの入り口だった。福原はカレンと組んでゲームに臨むが・・・ 前作を読んだときに「ややキャラクターが弱い」という感想を持ったのですが、それはかなり払拭された気がします。主人公の福原は当然ですが、エージェントの舞やパートナーのカレン、敵陣営の立花や出番は少ないもののヒロイン(?)の由紀など、個性的なキャラクターが揃いました。 ゲームは今回も緊迫感があっておもしろいものでした。初心者向けということかルールもわかりやすく、今までに比べると随分簡潔になったようです。 ただし、ゲーム内で資金を集めたり使ったりする機能がありながら、それが「多い」「少ない」以外の以外の要素として使われることがほとんどなく、設定としてはもったいなく感じます。福原の資金が限りなく少なくなって危機的な状況に陥るとか、あるいは配分を間違えるとかあってもよかった気がします。それにしてもオーレはどこに? また、今までの傾向から今回も敵キングとの間で極限状態の心理戦が行われるのかと予想していましたが、予想に反して内向きなものでした。これはこれでおもしろかったのですが、少し残念かも。 福原の置かれた環境も少しずつわかってきました。ますます次回が楽しみです。関連作:『ツァラトゥストラへの階段』2008年2月11日読了
2008.02.12
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依田いつかには記憶があった。この3ヶ月の間に起こることの。生まれた甥は〈満塁〉と名付けられ、ジャスコの向かいのビルにあるパブの看板は撤去される。そして同級生の誰かが自殺するが、それが誰なのかわからない。いつかたちは、誰かわからない同級生の自殺を食い止めるため奔走する・・・ これはまいりました。期待を裏切りません。 自殺したのは誰か、どうしてタイムスリップしてしまったのか、という謎を追うSFミステリとして疑うことなく読み進めました。これがとても楽しいのです。 物語の中心はこの自殺の阻止で、なかなかの緊迫感を持って進められます。特に究極の予防策を発動するあたりは圧倒的で、かなりハラハラさせられました。 相変わらず伏線の回収は巧みで、そのことを念頭に置いていればこんなにきれいにやられることはなかったのかもしれませんが、迂闊にも依田いつかがつくりだした世界に没頭してしまい、真相にはまったく気付きませんでした。 登場人物の印象も今までの作品とは若干違います。どちらかといえば内省的で説教臭さすら感じさせかねない過去作の登場人物に比べ、主人公のいつかは熱中することのない自堕落な人物で女性にだらしない人物。でも、こういう主人公だからこそ、物語に厚みがあります。 ただし、エピローグはその表現に少々疑問。僕自身は読み進めるうえでまったく差し支えありませんでしたが、読者によっては結末、というか発端を理解できないのでは。若干不親切だった気がします。もっとも、こういう遊びは好きなので、これからも続けてほしいですね。 実際の問題として、これだけ多くの人間があらかじめ定められた期間とはいえ他人のために動くというのはなかなかできない気がします。年を重ねればなおさら。それだけに、いまだ動ける高校生の若さと友情が羨ましく、そして懐かしかったりします。 グリル・さか咲みたいな洋食屋、行ってみたいなあ。2008年2月5日読了
2008.02.07
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今朝も相変わらず寒く、車の窓が凍っていました。お湯をかけて出勤。 しかし、その途中で気が付きました。ネクタイを忘れたことに。 なんとなくいつもよりも慌しく出発したので何か忘れている気はしたのですが、それはネクタイだったのです。 特別「ネクタイをしなくてはいけない」と決まったいる職場ではないのですが、仕事柄やっぱりちょっと不自然になってしまいます。しかも、いつもは事務所から出ませんが、今日に限っては外出しないといけないかも。 仕方がありません。急遽郊外のショッピングセンターへ。 ここは通勤路沿いで24時間営業。開いててよかった。安いネクタイを急いで買ったのでした。
2008.02.05
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敗戦直後の高等女学校。三輪小枝から阿部欣子に渡されたのは「倒立する塔の殺人」と題された1冊の本。それは、少女たちによる回し書きの手記になっており、小枝にはどうしても解けない謎が残されていた。 理論社のミステリーYA!。 初めて読む皆川さんの作品にもうくらくら。フィクションとして書き出された作中作「倒立する塔の殺人」とこの時代を生きる少女たちの世界。そのどちらとも謎めき、魅惑的で、没頭したがために両者を隔てる境界線がどこなのかすっかりわからなくなってしまいました。 身近な人が亡くなる、いなくなるというのが半ば日常的であった時代。敵機による爆撃で焼け出され、学ぶことすらできずに工場でひたすら軍需にいそしむ。そんな中でも輝きをなくすことのない少女たちの強さ、美しさに頭が下がる思いです。おそらくは少女たちと同世代で、同じような体験をされたであろう皆川さんだからこそ可能だった作品ではないでしょうか。 この世界を、まだまだ読んでいきたいと思わせるのに十分な作品。ただ魅力のすべてを書き尽くせないのが悔しい一冊です。2008年1月31日読了
2008.02.04
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昨日から天気予報で今日は雪になると言われていたので、どれだけ雪が降るのか楽しみにしていました。 しかし、雪はまったく降りません。降る気配すらありません。 そもそもこの辺は雪が降るなんてめったになく、一時的に粉雪が舞うなんてことが年に数回、うっすらと地面が白くなるなんてことが数年に1回という地域です。雪は、寒い季節のささやかな楽しみなのです。 どちらかと言えば比較的寒さがやわらいだ一日。寒くないから雨になったのか、雨だから寒くないのか。 雪で困ったいる人には申し訳のない話です。
2008.02.03
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順調なスタート。でも後半もう少し読みたかった気もします。 1/2 山口雅也 『垂里冴子のお見合いと推理』 講談社文庫 1/5 山口雅也 『続・垂里冴子のお見合いと推理』 講談社文庫 1/8 小路幸也 『HEARTBLUE』 東京創元社 1/9 土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段』 電撃文庫 1/10 杉井光 『さよならピアノソナタ』 電撃文庫 1/11 北森鴻 『香菜里屋を知っていますか』 講談社 1/14 大倉崇裕 『オチケン!』 理論社 1/17 宮木あや子 『雨の塔』 集英社 1/21 桜庭一樹 『GOSICK5 ゴシック・ベルゼブブの頭蓋』 富士見ミステリー文庫 1/22 桜庭一樹 『GOSICK6 ゴシック・仮面舞踏会の夜』 富士見ミステリー文庫☆1/28 伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』 新潮社 1/31 皆川博子 『倒立する塔の殺人』 理論社 今月のベストは『ゴールデンスランバー』です。
2008.02.01
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