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文化祭! 竜児たち2-Cは出し物を決める段階から大騒ぎ。そして、夕飯の買い物をしていた竜児と大河の前に現れた男は、なんと大河の父親だった。大河との関係を修復したいと考える父親に従い、竜児は大河との橋渡し役になろうと努力する・・・ 一年ぶりに読む『とらドラ!』は、思わず「こんなにおもしろかったっけ」と確認したくなるほどおもしろく感じました。これぞ青春! ドタバタとした文化祭への流れに重なってくるシリアスな大河親子の関係。しかもそこには実乃梨や亜美がしっかりと絡んできます。とくにミスコン以降の盛り上げ方はすばらしいですね。颯爽と登場しおいしいところをかっさらっていったみのりんの格好よさといったら、もう最高です。まさにキーパーソン、まさに輝ける太陽。 一方、亜美は今までの4+1から抜け出し、ようやくその立ち位置を確保した感じ。きっとそれは彼女の望むところではないでしょうが。素の部分が出ているときがいいですね。 とりあえず黒い雲を一旦は追い払ったような感じですが、これからどうなるのでしょう。今までの流れだとまだまだみのりんがカギを握り続けるのかな。それにまたあの大河の父親はやってきて引っかきまわしたりするのでしょうか。2008年8月2日読了
2008.08.30
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恋愛小説家の父、若い家政婦との3人で北鎌倉に暮らす山之内荒野。中学校の入学式に向かう途中の電車で窮地に陥った荒野は、ひとりの少年に助けられた。その少年・悠也は荒野と同じクラスになったのだが、荒野の名を知るとなぜか冷たい視線をぶつけてきた・・・ ファミ通文庫から出されていた『荒野の恋』第一部、第二部に新たに第三部を書き下ろした作品。 ああ、これが現代の少女小説なのかなといった感じ。と同時に、これはやはりライトノベルではなく、一般文芸として世に出るべき作品のような気がしました。大人が読んでこそ、楽しめるのではないでしょうか。 物語は、12歳から始まる荒野という少女の成長を描いています。義兄との関係や父の女性関係、あるいは学校生活など、荒野の中学一年から高校一年までのさまざまなことも描かれます。しかし、それらの出来事は荒野の成長を彩るためのものにすぎません。飾りなのです。ですからどのようなこともあまりしつこくなく、彼女の前を通り過ぎていくのです。 また、序盤では義母や女性編集者が持つ大人の女の生々しさを嫌悪していた荒野が、成長するにつれ自身も大人の女らしさをもつようになるのもおもしろいかもしれません。まさに大人の階段を昇るのです。もちろん、それは荒野に限ったことではなく、友人たちも同じ。少しずつ大人の世界が見えてくるのがなんとも言えません。 北鎌倉という環境のためなのか、全体に静かで落ち着いた雰囲気があります。それだけに、荒野の心の動きだとか、あるいは成長だとかが際立って見えるようです。また、この落ち着きはフワフワとした印象を持つ荒野とも合っています。 物語の展開に特別な盛り上がりがあったりするわけではないので、やや物足りなさを感じることがあるかもしれません。しかし、幸せな読書の時間を過ごせたと思います。2008年8月25日読了
2008.08.29
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年齢だって性別だって職業や階級だって関係ない。自衛隊を舞台にした、ラブコメ短編集第二弾。●「ラブコメ今昔」 今村のもとにやってきた隊内紙「あずま」の取材。その内容は、30年も前の妻とのなれそめ・・・さすがに落ち着いた雰囲気のある物語。お漬物はいいですね。でも、30年も前のこういうことって、なかなか話せるものじゃないと思いますよ、やっぱり。●「軍事とオタクと彼」 新幹線で出会った彼は年下の自衛官。遠距離恋愛だが彼には秘密があった・・・彼の持っている秘密がいい味を出しています。もはや秘密でもなんでもないですが。自衛官としての一面が生きてきます。●「広報官、走る!」 映画やテレビへの協力も広報官の仕事のひとつ。カウンターパートは感じのいい女性だが、今回の撮影はトラブル続きで・・・女たらしでもそうじゃなくても、王様に理不尽にいじめられていたりしたらやっぱり助けたくなるでしょう。そのさりげなさがやっぱり女たらしなのかも。●「青い衝撃」 夫はブルーインパルスのパイロット。当然のようにもてるのだが、大胆に宣戦布告してきた女性がいた・・・めずらしくちょっとドロドロした話。でもちゃんと最後はハッピーエンドにするのが有川さんらしさかな。追い詰められていく怖さがあります。●「秘め事」 上官のすすめで女性に会った手島。だが、気があったのは女性を連れてきた上官の娘。口外できないふたりは・・・ホームドラマにありがちなベタ。「お嬢さんを・・・」って奴です。腹を括った女性の強さを感じます。●「ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編」 隊内で展示された写真に目を奪われた千尋。撮影した吉敷は雑誌にも投稿していたが、会ってみると・・・本当に職業とか階級とか、レッテルを超越するんですよね、恋愛って。いや、それをわかっているからこそ千尋は今村二佐にも突撃できるのか。 同系統の短編集『クジラの彼』とは異なり、他作品からのスピンアウトはありません。全体にすごく甘くてベタベタな作品がそろっているはずなのですが、すっかり免疫がついたのか、それほど甘くは感じません。それがいいのか悪いのか。 隊内紙「あずま」が出てきたときに、このインタビュー記事の形式だけで1冊の短編集を作ってしまってもおもしろいんじゃないかと思ってしまいました。『ぼくのミステリな日常』のように。いえ、別に最後にひっくり返さなくてもいいんですがね。収録作:「ラブコメ今昔」「軍事とオタクと彼」「広報官、走る!」「青い衝撃」「秘め事」「ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編」2008年8月16日読了
2008.08.22
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イベント続きの二学期。初めての単独ライブを前にナオたちはうたい、走る。そんな折に来日したヴァイオリニストのユーリは、かつて真冬と演奏旅行をともにしたこともある美少年で、しかも真冬のギターの師でもあった。文化祭でのライブを間近に控え動揺するナオ・・・ 合唱コンクール、体育祭、文化祭と盛りだくさんの二学期。流れこそ連続しているものの、それぞれがそれぞれのおもしろさを持っています。ひとつひとつのイベントに1冊を費やしてもおかしくないほど。かなり充実しています。 とにかくナオがあきれるほどに鈍感ですね。普通ならばもっと早くに気付いているでしょうに。これだけ真冬や千晶がほのめかし、ユーリが問いを投げかけているのですから。いや、真冬の気持ちに気付きながらも、自分の気持ちをただひたすら真っ直ぐに言葉にし、行動で表現するユーリのほうが普通じゃないのかも。いいキャラですけどね。 対して、口下手ながらも一生懸命に気持ちを伝えようとしたり、あるいは躊躇したりする真冬。でもそのひとことひとことが妙に印象的だったりします。「困るの! もっとしっかりしてくれないと! あなたは、わたしの――」(P127より) このあとに続く言葉はなんだったのか? どうぞ最後まで読んでください。 一方、ナオにはすっかり放っておかれた状態の千晶が不憫でなりません。こんなに言葉を尽くしているのに。本当に距離が近すぎるゆえの悲劇です。 楽しませてくれる音楽もの、青春ものだったのですが、ただ最後の切り方はちょっと残念。これはこれできれいに終わっていますが、何かもうひとつふたつあってもよさそうな感じです。それを期待してしまっただけに。関連作:『さよならピアノソナタ』『さよならピアノソナタ2』2008年8月14日読了
2008.08.21
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大正時代の芸妓、戦前の妾、戦中の女中、そして終戦直後の政治家の娘。時代は移り変われども、女はただひたすら一途に男を思い続けた。いまだ女性に自由がない抑圧された時代を駆け抜けた女性たちの恋物語。 宮木あや子さんの3作目はデビュー作『花宵道中』のような雰囲気を持つ連作集でした。『雨の塔』のような現代ものよりもお気に入りです。●「天人菊」 同じ置屋に売られてしまった菊代と雛代の姉妹。旦那もいるけれど、菊代が気になるのは黒田という男・・・ままならぬ恋の切なさが強く伝わる一編。『花宵道中』同様、この世界は作者のお手のものでしょうか。●「凌霄葛」 父が残した借金のために女学校を中退し、三島の妾となった泉美。突然現れた男は、三島の長男吉明だった・・・誇りを捨てない生き方。女性の強さを感じます。どんなに苦しく、つらいものでも耐え、待ち続ける強さを。●「乙女椿」 酒田から女中奉公のため福岡へ来た千恵子。漆間家のお嬢様和江はたいそう気難しく・・・戦争という無情に引き離されてしまう女性たち。その時代に身を置かなければ本当のところはわからないでしょうが、自由にならない時代だからこそ、感情を突き動かされるような激しい恋をするのかも知れません。三編をつなぐこの書き下ろしの展開には脱帽です。●「雪割草」 ぼやけてゆく記憶の中、和江が思い出すのは正文と出会ったころのこと、そして・・・戦後の自由を獲得しつつある時代、残された遺物との戦いでしょうか。そして、間に合ったのかどうか気になって仕方ありません。 内容から言っても長さから言っても「乙女椿」が中心で、あとはプロロ-グとエピローグのようなものかもしれません。ただし、決してそれらはおまけではなく、それぞれの時代の女性の強さと弱さ、そして儚さを描いた作品です。 各編のタイトルでもないのにこの作品集に付けられた『白蝶花』という書名。読後に扉にある紹介文を読み返すと、この女性たちの強さがより深く身にしみるような気がします。収録作:「天人菊」「凌霄葛」「乙女椿」「雪割草」2008年8月11日読了
2008.08.16
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幌右の前に現れた二つの世界。それは世界が二つに分岐したことを意味していた。ひとつは未来を見ることができる詩夏のいる世界。もうひとつは詩夏のだいしんゆーである絶交少女・夜空のいる世界。どちらかが事故で死んでしまう? 幌右はどちらを選ぶ? 選ぶことができる? 二つの平行世界を扱ったパラレルワールドもの、あるいは過去に戻って選択肢を選びなおすタイムリーブもの。 ただし、なかなか予想したとおりの方向へは進まず、よい意味で期待を裏切り続けてくれます。時にはバッドエンドかと思わせるようなことも。このストーリー展開が丁寧に作られていたのがよかったです。最後のエピローグまで含めて。 不満といえば、タイトルにある“死神ナッツ”についてイマイチ説明不足で、その役割が不明確なところでしょうか。タイトルになっているくらいですから本来はもっと重要な存在であるべきだと思うのですが。まあ、大筋には影響しないのでよしとしますか。 説明不足といえば、詩夏の未来を見る力や夜空の人の心が見えてしまう力なども説明不足だとは思います。 しかしそういったことがこの物語のメインではなく、あくまでもごく普通の(と呼んでも差し支えないであろう)少年と少女が、自分たちが願い、「こうでなければならない」と希望する未来のために自己犠牲も厭わず全力であがき続ける物語なのです。 ですから、やはりパラレルワールドもの、タイムリーブものであること以上に、青春ものというべきなのでしょう。2008年7月30日読了
2008.08.12
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教室に忘れたノートを取りに、夜の学校へ忍び込んだ地梨琢己。ピアノの音色に魅せられて音楽室に行くと、弾いていたのは奇抜な行動で知られる先輩音城トリルだった。彼女に気に入られたことでクラスでは白い目で見られるが、それに一番反応したのは琢己の幼馴染で天才バイオリニストの七瀬凛音・・・ タイトルからもたらされる得体の知れないイメージはさておき、とても楽しく透明感のある作品でした。『アンサンブル!』という仮タイトルの方に良いイメージを持っていたのですが、読んでみるとこれはこれでしっくりきます。そういうことなのか、と。 奇人変人のようにいわれるトリルが、思っていたよりもまともなのがちょっと拍子抜けでした。もっとぶっ飛んだ設定かと思っていましたよ。その辺は、なんとなく中途半端でした。いや、この程度のほうがいいのかな。 また、琢己が一旦離れていた音楽にふたたび触れてその楽しさに惹かれていくのと、幼馴染の凛音ではなくトリルに少しずつ魅かれていくのがリンクしているようで、なんとも言えずよかったです。本人がその辺を自覚しているのかわかりませんけどね。 とにかく、音楽の楽しさが伝わってくる作品。これで琢己も彼女たちのように天才的な才能を持っていたりすると全然違うのでしょうが、琢己が愚民というか凡人であるがゆえに、余計に伝わりやすくなっているようです。そのほうが、僕のような凡人でも感情移入しやすいですし。 まだまだ恋は気づいたのかどうかもわからないような状態。ぜひともこの先を読んでみたいと思わせる、明るく楽しい良質のぶよぶよした小説です。 それにしても、「エロいむえっさいむ」って。2008年7月28日読了
2008.08.07
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夏といえば海! 二週間で集めたタロットはたった4枚。タロットとの遭遇率の悪さを指摘された秋人は、長期戦になることを覚悟し気分転換に臨海学校にでかけた。しかし海では籐子が陰謀を企て、メイドの志津乃とともに実行に移さんとしていた・・・ あれ、タロットは? って感じの第3弾。ペースが遅いことを指摘されておきながら、臨海学校なんて行っていてもいいのかって気もしますが、その辺は1枚の収穫でよしとするべきでしょうか。それくらいタロット集めは忘れられているようでした。 籐子と志津乃の暴れっぷりは本当にあっぱれで、それはそれでおもしろいものでした。破天荒というか常識知らずというか何というか。 ただし、今回のメインは表紙にもなっているように三崎美咲。「運命の輪」として上下左右を操るだけでなく、冷静な判断と明晰な頭脳が本当に実用的。彼女がいなかったらどうなっていたでしょう。もう物語が終わってしまいます。 残念といえば、やはりあまりタロットに触れられていなかったこと。終わりごろになって取ってつけたかのように扱うのでは、ちょっと物足りませんね。 また、結夏や香澄の活躍の場が少なく、あまり目立たなかったのも残念ですね。これから集められたタロットの数が増えてくると、さらに目立たなくなるのでしょうか。それもどうかなあ。関連作:『タロットの御主人様。』『タロットの御主人様。2』2008年7月27日読了
2008.08.04
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