マジック・ザ・メイカー 11 話「魔女と魔女2」
「それは……どうかな!今やスフィンクス!!」
地上からスフィンクスが突撃、チャリオットは下からの衝撃を受けてきりもみ回転、冥珂は間髪入れず軽機関砲でチャリオットに攻撃。
「もいっちょオマケや!」
剣の6の光線でさらに追撃。
「ぬうおおおおおおおおおおっ!」
リアダンのチャリオットは青白い炎に包まれながら墜落した。地面に激突しバラバラになったチャリオットは大型犬に姿を変える。リアダンは激突寸前に飛び降り着地に成功したものの両脚のサイバネ義足から火花を散らせその場で膝をついた。
「まだまだ!このクソサイバネ足が!!動けよおおおおおおおおお!!」
「あほなことしたなぁ、生身の足やったら魔女なら回復できるのに」
「だまれだまれだまれえ!クー・ホリンと同化しつつあるオレにはもうこんな足は必要ねえんだよおお!」
「なにがしたのんあんた?人間を捨てて魔女になって足を捨ててサイバネ取り付けて、今度はよう分からんもんに手を出して自分を捨てて」
「だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれえええ!!」
リアダンは大型犬に跨がろうとする。それを見たスフィンクスは弾丸めいて飛び出し、大型犬にタックルした。大型犬とスフィンクスはそのまま転げてもみ合う。
「ちっ!まだまだぁ!足がぶっ壊れたくらいでオレは止まらねぇ!!」
首から下げた笛を咥えるリアダン。足元の土が盛り上がり熊の形に成っていく。下半身を包み込みリアダンの壊れた義足の代わりとなる。
「魔女の無尽蔵のダークパワー!クー・ホリンの武器の力!オレは誰にも負けねぇ!!」
リアダンは更に地面から召喚した数十匹の蛇を螺旋状の棒状に変化させてガエ・ボルガ銃を咥えさせた。
「右手にガエ・ボルガのガンランス!そして左手にはクルージーン!」
「ええとこ取りに思えるけど、どっちも中途半端やでリアダン!魔女の力はその銃に合ってないし、その銃のから出てるクー・ホリンの力はあんたでは扱えきれてへんように見えるな!」
冥珂は 14 番アート(技術)のカードを取り出す。
「だまれと言ってるだろう!オレは全てを手に入れる!誰にも邪魔はさせない!」
武器を構えて飛び掛かるリアダン。
「 14 のアート!」
突如地面から出現した壁に激突する。
「ちっ!こんなものっ」
クルージーンで壁を破壊し、ガエ・ボルガを構え突進するも、そこに冥珂の姿は無い。
「剣の10」
リアダンの背後から声がした。振り向く前に 10 本の剣が上空から降り注ぎリアダンを囲んだ。
「そこか!」
ほうきに乗った冥珂に向けて衝撃波を放つリアダン。軽い動作で回避する冥珂。
「なんや動きが鈍って来とるで?最初の勢いは無いな!はっ!!」
冥珂が手をかざすと 10 本の突き刺さった剣から稲妻が発生しリアダンに直撃する。
「あばばばばばばばばばばば…………舐めるなぁああ」
電撃を受け全身に走る痛みに耐えながらガエ・ボルガを構えるリアダン。皮膚が裂け全身から出血する。
「あばばばばばばばばばばば…………」
目鼻口耳から血を垂れ流し、苦悶の表情を浮かべながらリアダンはガエ・ボルガを冥珂に向ける。
「それやったら!追加でこうや!」
杖の9のカードが発動する。電撃は増大され巨大な電撃の柱が出現しリアダンは指一本動かせない。
「あばばば…………もっと力を……そうすれば全て……」
黒焦げになったリアダンはその場に倒れこむ。全身に亀裂が入り崩壊が始まる。
「ここまでやな、じゃあ回収させてもらうで。テクニクス・マジック・コンパクト!」
コンパクトから蔦の腕が伸びリアダンの体に突き刺さる。心臓から一枚の本のページを取り出した。
「よし……ついでにガエ・ボルガも回収しとくか」
再び蔦の腕が伸びガエ・ボルガに触れようとした時、突如として黒焦げのリアダンが飛びあがる。
「おっと……そいつは……勘弁願いてえな……」
「まさか!?」
「この女はもう死んでる、んでもってお前が魔女の力を奪ったんでオレが完全にこの体を使ってる。だがこんな今にも崩れそうな体とはな……お前に頼みがある、ガエ・ボルガの所有者になってくんねえか?そのバケモノのいる所にしまうはやめてくれ」
「あかんて言うたら?」
「最後の力を振り絞ってお前を殺してでも止めさせる……あんな所にしまわれるくらいなら消滅を選ぶ」
「そう言うてもいい場所って他に思いつかんしなぁ……あ、でも……無い事も無いか」
冥珂は晴凛の為に用意していた新しいカードの事を思い出した。
「所有者はアタシじゃなくてもいい?可愛くてめっちゃええ子なんやけども」
「バケモノの所じゃなければいい。気にくわねぇ奴なら自滅を選ぶまでだ」
「絶対気に入るって、じゃあとりあえずアタシが持っておくわ」
コンパクトをしまい黒焦げのクー・ホリンに近づく冥珂。クー・ホリンはゆっくりと直立し静かに冥珂の手の上にガエ・ボルガを置いた。次の瞬間黒焦げの肉体は崩れ落ちる。
「このガエ・ボルガ……」
リアダンが消滅したことで大型犬も消え後に残ったのはトランペットだけであった。銀の鎧騎士に姿を変えたスフィンクスが持って戻ってくる。
『冥珂こっちはどうするよ?』
「アタシは楽器できひんしな、それはアレの所行きや」
『じゃあ俺様が持っててもいいか?』
「ええけど……あんた楽器なんてできたっけ?」
『今はできねえ、けどいいんだよ!』
「ふーん……ま、ええわ」
戦闘モードを解除し肩をもむ冥珂。 UFO の方に視線を向けるとドイラ・バが出てきた。
『見事だったメイカ。感謝する、君を見ていると記録にあった地球人ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーを思い出す』
「え!?……そうなん??あ~……は~……うん、うん」
『彼女の事は知っているのか?』
「せやね……それなりに。友達の友達というかまぁ知り合いやね」
『そうであったか』
「あ、そうそう。昨日言ってた物持ってきたで」
冥珂は 10 番フォーチュンのカードを取り出しワゴン車を出現させ後部ドアを開けた。そこにはコンテナがいくつも積みこまれてあった。
「さ、 UFO に運びこも」
『ああ、感謝する』
―翌日
学校終わりに冥珂の家に寄っている晴凛。目の前に出された戦車のカードをじっと眺めている。
「これを私に?」
「そ、スフィンクスじゃなくてごめんな」
「いやいやとんでもないですよ!というかこのカードも貰っていいものか……」
「晴凛ちゃんクー・ホリンて知ってる?」
「くーほりん?なんですそれ??魔女のなにかですか?」
「知らんでも全然いいねん、これから知っていくことになるからね。その新しい戦車のカードにはクー・ホリンってアイルランドの大英雄の……一部が入ってるんよ」
「え?え??アイルランドの大英雄ですか??なんでそんなすごい人を??」
「色々あって……アタシが持ってるより、魔法少女になる晴凛ちゃんの方がいいと思ってね。クー・ホリンがそばに居てくれたらアタシも安心して任せられるし」
「いやいやいやいや!魔法少女確定なんですか!?やるしかないって流れなんですか!」
慌てて立ち上がる晴凛、その拍子に椅子が倒れ後ろの本棚に激突、本棚に置いてあった小瓶が落ちてくる。晴凛の頭に直撃かと思われたが筋骨隆々の手が受け止めていた。
『なんだそそっかしい小娘だな』
その手は戦車のカードから現れた朱色の外套をつけた金髪長髪の男。背は晴凛とあまり変わらない。
「あ……あ……だ、誰です!?」
『クー・ホリンって呼ばれている者だ』
「え!あの……本郷晴凛です!えっとその……ありがとうございます」
きれいに 90 度の礼をする晴凛。
「な?いい子やろクー・ホリン」
冥珂は煙草に火をつけて言った。
『顔の相は悪くないな。エメルほどじゃあないがオレ好みだ』
「……あんたも男やもんな。ところでその姿で晴凛ちゃんとは一緒に居られへんで?何か動物になるとかせんとカードから出たら面倒なことになるし」
『お前の銀色使い魔のようにか?……ならオレは……』
クー・ホリンは金色の毛並みの 70cm ほどの大きさのアイリッシュ・セッター似の犬の姿になった。
『これでどうよ?』
「か、かわいいい!きれい!」
晴凛はしゃがんで犬の姿のクー・ホリンを抱きしめる。
『なんだ犬が好きなのか!?』
「動物は基本的には好きだよ!」
『そうかそいつは良かった』
晴凛は戦車のカードを手に取る。
「冥珂さん、クーちゃんと一緒なら魔法少女やれそうな気がする!」
『クーちゃんだと!?』
「ぶふっ………そ、そう!そら良かった。じゃあ戦車のカードはステッキに吸い込ませてしまっときな」
「はーい。あ、冥珂さん昨日つけてくれたアマちゃんお返するね」
晴凛はカバンに止まっていたオウムを手に乗せて差し出した。
「アマちゃん……ああ、アマトの事ね。でもまぁアマトはこの街に置いとくわ。晴凛ちゃんの様子見たりするのに必要やしね」
冥珂はそう言うと声を出さずにクー・ホリンに話しかける。
『クー・ホリン、あんたカードに入ってるときは良いけど外に出たら消耗激しいのとちゃうの?あのガエ・ボルガの性質からして……』
『ルーンを学んだオレにとってお前のルーンで作ったこのカードとは相性がいい、ガエ・ボルガも少しずつ安定してきている。外には長時間出れないのは感じているな、表現しがたい飢えを感じる。このガエ・ボルガを作った野郎がそういうもんにしたんだろうな』
『クー・ホリンほどの者やし飢えに支配されることは無いやろうけど、リアダンの時みたいなあんな狂暴な状態にはならん?どうすれば解決できるか分かってる?』
『あの魔女の時のオレは極限に飢えてたんだ……その飢えが血に対してのものというのは分かってきた。ならばそれに近いものを摂るか……例えば乳とか』
『せやな、この時代のこの国ではミルクは簡単に手に入るし不自由はせん思うわ。誰かに見られても動物がミルク飲んでても何にもおかしないしな』
『基本的にカードの中に居ればいいんだよな?それにしてもあの娘はただの人間だぞ?どうしてオレを?』
『魔女のアタシよりも晴凛ちゃんの所の方があんた的にも良い。そのガエ・ボルガを復活させた魔法が魔女の力とは合わへんし』
『ほう?』
『復活させた魔法は詳しく調べてみないと何とも言えへんけど、ガエ・ボルガから血の眷属の力を感じるんよ』
『その辺はオレには良くわからないが、今のオレがあるのはその眷属の力のおかげて事か』
『そういう事』
「冥珂さんどうしました?」
「え?いやなんでもないよ、今日の夕飯なににしようかなーって……」
晴凛の呼びかけにあわてて答える冥珂。
『それにしてもリアダンがエイリアンの持ってる粉になったアレを狙った理由は全然分からんな……』
今度はスフィンクスにだけ聞こえるようにつぶやいた。
『リアダンの背後にいる奴が注文したんだろうな。このままその黒幕野郎は諦めると思うか?』
『もう一回くらい誰か寄こしてくる可能性はある……宇宙人らが無事帰るまではこの街にいるつもりやけど。リアダンにガエ・ボルガを渡した奴とあの粉を欲しがってる奴は一緒なんかもなぁ。』
『それにしても血の眷属ねぇ……相性といえば魔女と血の眷属と獣人族はの力は合わねぇからな。晴凛に持たせたほうがクー・ホリンも存分にやれるだろうよ。そういや冥珂、次は未来予知で見たここから東の大きな街に行くんだったよな?確かそこにはこの国古来の血の眷属がいるんじゃなかったか』
『え?……あ!ほんまや!!何ちゅう偶然や!!いや……これは色々と繋がってるのかもしれんで。うわぁそうかあの街、京都……嫌やなぁ魑魅魍魎だらけというか。東京も大概やったけど』
『知ってるくせに何を今更……』
『虹色のほうき星のこと無かったらあの街にはできれば行きたくないねんなぁ。面倒事多いし昔行って懲りたし』
『ま、大概お前から巻き込まれにいってるんだけどな』
『そうやったかなあはは……』
「冥珂さんってば~そんなに夕飯何しようか迷ってるなら私が決めます、カレーです!」
晴凛が冥珂の目の前で手を振ってそう言った。冥珂は灰の落ちそうな煙草を慌てて消して「お、カレーええな!」と言い新しい煙草に火をつけた。
続く
マジック・ザ・メイカー24話「魔女と少女… Jan 6, 2019
マジック・ザ・メイカー23話「魔女と覆う… Jan 5, 2019
マジック・ザ・メイカー22話「魔女と覆う… Jan 2, 2019
PR
Free Space
Freepage List
Calendar
Category
Comments
Keyword Search