未完成のブログ

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Jan 19, 2019
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異能者特務機関:TMI 第一話「終夜アリナ」
 終夜(よもすがら)アリナの目の前には4メートル四方の立方体のコンクリートブロックが連なって並べられている。
 彼女は輝く金髪で顔は整っており、炯々とした鋭い眼光は猛禽類あるいは肉食獣を思わせた。
『いつでもいいよアリナ君』
「では……」
 ゆっくりとコンクリートブロックの前に進む終夜アリナ。左足を前に少し腰を落とした体勢から右の正拳突きを繰り出す。1つ目のコンクリートブロックは砕け四方に散り、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ目まで割れていき、10個目のコンクリートブロックは大きく後方にずれた。
「良いです。付け心地は悪くないです。フルパワーで打ってみてもよろしいですか?」
『待て、それはこの施設が耐えられない。チタン合金製のブロックを用意してからにしようか。一応君のフルパワーを想定して作られたグローブだ、ブーツも同じ素材で用意した。要望通りワイヤーとアンカーボルト、ベヤリング弾のギミックを仕込ませたよ』
「ありがとうございます博士」
『では戻りたまえ、長官がお呼びだよ』
 終夜アリナはサイコキネシストであり能力は身体強化である。
 ***
 上空1万メートルに浮いている白い塔。
 そこが異能者特務機関(Talent's secret military institutions通称TMI)の本部である。
 白い円卓の置かれた本部の大会議室から出てきて、浮かない表情をして廊下を進み日本支部の部屋に入ったのは……眉間に深いしわを刻み、切りそろえられた口ひげを蓄えた人物、ジェームズ・スチュワートであった。ジェームズは磨き上げられたオーク机、最高品質の牛革の長官の席に腰を下ろした。
「哿(かなり)くん!お茶を!!」
「は、はい」
 ジェームズの呼びかけに答えたのは白いスーツの哿 希世美(かなりきよみ)。整った顔立ち、白い肌、スラリとした細身の体。一見すると女性だが哿は男性である。しばらくすると哿は人間国宝が作ったとされる湯飲みを持ってジェームズの前に置いた。
「…………ふ~~~~やっぱり哿くんの淹れた茶は最高だな!茶葉それぞれの淹れ方を心得てるねえ!いやぁ明日から哿くんには振袖でも着てもらおうかな」
「あの……長官、僕は……」
「哿くん!楽しみにしてるよ!!」
 哿が言いかけたその時ジェームズは大きな声でそれを遮り押し切った。
「は、はあ……」
 机に置かれた書類を眺めながらジェームズはわざと足を高く上げて足を組む。そしてますます眉間にしわを寄せ葉巻に火をつけた。
「各国の支部長の連中はなっとらん!長官の私をなんだと思ってるのか!いい加減日本支部も誰かに任せたいんだがね。哿くんがもうちょっと育ってくれれば……いや身体的な意味では無いよ?」
「そ、そんな……僕には……」
「それはさておき、さっそく任務の話をしようか。あの二人はもうそろそろ着いているはずだ呼んできてくれたまえ」
「承知いたしました」
 哿が長官室のドアを開けると一瞬白い光に包まれ次の瞬間、そこは既に上空に浮かぶ白い塔の廊下ではなく、青いカーペットの敷かれたビルのフロアーに変わっていた。窓の外の景色は上空1万メートルのものではなく、四方をビルに囲まれたオフィス街である。フロアーには6つの席が並んでおり今は二人の女性が座っている。
 一人は白い軍服風の制服を身に着けた終夜アリナ。机の上には宅配ピザの箱が山積みになっている。新たなピザの箱に手を伸ばし食べている。
 もう一人はナース服の上に白軍服を羽織った黒髪の少女。どこか冷めた眼差しはミステリアスな雰囲気を醸し出している。机の上には様々な薬品が並んでいるのが見える。ノートパソコンのキーを叩き書類を作成している彼女の名前はフローレンス・フランシス。
「あ、あの……アリナさん、フローレンスさん、長官がお呼びですよ」
 哿がそう言うとピザの箱を持ったまま終夜アリナは立ち上がった。続いてフローレンス・フランシスが医療用マスクをつけて立ち上がった。二人は哿の後をついていく。
「お呼びですか長官」
 長官室に入る二人。終夜アリナはピザの箱を開け一つを口に運んだ。
「アリナくん!それはないだろう?長官の前でそれは……」
 ジェームズは眉間のしわをますます深くしながら言った。
「食べられる時に食べておかないといざという時に困りますので」
 終夜アリナは、鋭いまなざしをジェームズに向けながら淡々とピザを食べる手を止めずに言った。
「……フランスでもそうだったのかねアリナくん」
「そうですが何か?……長官、わたしが転属になったのはこれが原因だとお考えで?」
「フランス支部長シャルルくんからキミが手に負えないと言われててね。経歴や任務の報告書を見たが問題は無かった。いやむしろ超優秀だったよ、どうしてかと思ってたら……性格だったとはね」
「わたしとフランス支部長シャルルさんとの関係は悪くなかったですよ」
 終夜アリナはピザを食いちぎりながら今にも飛び掛かろうとする目つきで言った。
「彼は言ったんだ『彼女をinarrêtable(止めることはできない)』とね。気持ちはわかるね……腹すかせた猛獣とずっと一緒にいれば精神が参ってしまうよ」
「長官、わたしはお腹いっぱいおいしいものが食べれるのと、とある目的がある為TMIに所属しています。わたしの事が気にくわなくてクビにしたいならどうぞ。わたしはわたしのやりたいように生きますので」
「そうは言ってないよアリナくん……ただねもうちょっとお行儀よくしてくれないかな、他の異能者の目もあるからね」
「度し難いですね。そんな事を言うために呼んだのですか?任務の話では?」
 終夜アリナはピザを完食して言った。横にいた黒髪の少女がアリナにウェットティッシュを渡す。
「フローレンスくんからも何か言ってやってくれないかね……」
「アリナはこれでいいのです。彼女の能力は膨大なエネルギーを必要としますので。長官、任務の詳細をお願いします」
 黒髪の少女、フローレンス・フランシスは無表情でそう答えた。
「う、うむ……そうか、ではさっそく任務の話といこう。今回の任務は高校生の異能者二人の確保だ。この学校に交換留学生、および研修生として入りターゲットを確保して欲しい。ターゲットの資料、潜入用の制服などは用意してあるので早速明日からお願いしたい。何か質問は?」
 気を取り直したジェームスは余計な事は言わずに任務の説明をする。
「ターゲットは生死問わずですか?」
 アリナはフローレンスが手渡したペットボトルの水を一気に飲み干して言った。
「必ず生きて確保するように。それが日本支部のやり方だから慣れてくれ。昨日の敵は今日の友という言葉あるだろう?アリナくんは日本に住んでたこともあるから知ってるだろ」
「昨日の友は今日の仇ともいいますね」
 その言葉を聞いてジェームズは小さくため息をつく。
「そうですね……アリナ、半殺しまでは良いでしょう。私が治しますので」
「フローレンスくん……それはちょっと……」
「長官、大丈夫です。私の能力があれば死にさえしなければ復活できます」
「は~……哿くん……ちょっと胃薬を持ってきてくれんかね?」
「は、はい……」
 小走りで給湯室に向かう哿。ジェームズは頭を掻きむしって再び葉巻に火をつけた。
「君たちあれかね?私がスキンヘッドで電動車椅子にでも乗ればカリスマが溢れて言うことを聞いてくれるのかね?」
「は?おっしゃってる意味が分かりませんが?……長官、資料と潜入用の服はどこに?」
 ジェームズのジョークを無視してアリナは言った。
「ああ~それは哿くんから受け取ってくれたまえ。ではこれより17時間後任務開始となる、解散!」
 ***
 ―17時間後
 終夜アリナ、フローレンス・フランシス、哿 希世美の三名を乗せた黒いワゴン車は私立菊彩学園高等部の裏門に停車した。表向きには普通だが全寮制のこの学校には異能者ばかりが集められている。
「僕は教員研修生、アリナさんとフローレンスさんは交換留学生ということになっています」
「はい、資料で確認した通りですね」
 アリナは6つ目のハンバーガーを食べながら言った。
「それよりもこの衣装おかしくないですか?菊彩学園の物とは違います」
 フローレンスはプリーツのロングスカートの裾を引っ張りながら言った。
「哿さんの女装はいつもの事だけど、私とアリナのこれは……」
「長官がそれがベストだと……『学校潜入のジャパニーズスタイルSUKEBANだ!』だそうです。その黒色のセーラー服……と赤い手袋、ハチマキ」
 哿が気まずそうに言った。
「下着まで用意してあるのが度し難い気持ち悪さですね」
 アリナはカバンを覗き込みながら3つ目のドリンクを吸い上げて言った。
「一応ここの学校は白の下着のみと決められてるので……」
「武器はこれを使えって事ですか?」
 フローレンスはアタッシュケースを開けて超硬合金製のヨーヨーと折鶴を手に取った。
「アリナ使う?」
「必要無い……ですが、そんなものが武器として使えるのか試してみたいのでヨーヨーをください。では着替えたらすぐに行きましょう、この程度の任務一日で終わらせましょう」
「え?ええええ!?慎重に調査してデータを集めないのですか?」
「しません。それは哿さんのやりかたです。わたしのやりかたはシンプルです。発見即制圧です」
「くれぐれも荒っぽい真似は……」
「生きてさえいればフローが治せるのでそのくらいの手加減はします」
 三人は正門に回り寮から続く一本道に入った。周りの生徒からは「なにあれコスプレ?」「何かの撮影?」「まさか……謎の転校生とか?」といった声が聞こえる。
『ターゲットの二人、狼谷 猟と虎屋 伝は校舎の中に既に入っています。アリナさん、フローレンスさん、どうか慎重に』
 耳に取り付けた通信機から哿の声が聞こえる。哿は職員室に、アリナとフローレンスはそれぞれ1組と2組の教室へと向かった。
「(ターゲットの狼谷 猟は……)」
 アリナは教室のドアを開けて見渡す。教室の全員がアリナに視線を浴びせる。
「なんだお前?」
 机に乗せていた脚を下ろして立ち上がったのはターゲットの狼谷 猟。
「(いましたね)」
「ああ、もしかして昨日先公が言ってた例の交換留学生か?なんだその恰好、コスプレ学園から来たコスプレ女かよ!」
「狼谷 猟ですね?ホームルームまであと15分ほど時間があります、話があるのでついてきてください」
「おい、名前くらい名乗れよ。俺は狼谷 猟、この学校最強コンビの一人だ」
「ここで話をするつもりはありませんよ。さぁこちらに」
 踵を返し早歩きで廊下に出るアリナ。あわてて狼谷 猟は追いかける。二人が去ったあと教室はざわめいていた。
「え?今の誰?」「あの制服何?」「さっきの人ハーフ??」「狼谷君に用事?」
 早歩きで廊下を行くアリナ、まっすぐに屋上に向かう。前日配られた資料の地図は完全に頭に叩き込んであった。
「ちょっと待てよ!」
 渡り廊下から外階段を上り屋上庭園へと向かう。ホームルームの時間が迫っている為人影はない。アリナは屋上に続く金属製の防火扉に手を掛けそのまま開ける。その際、金属の鈍い音がした。屋上はコンクリートの壁に囲まれ下には芝生を敷き詰めた庭園で、他の人影は無かった。
「あ?屋上の鍵は俺と虎屋、用務員しか持ってねぇはず、鍵はかかってたはずだが……かけ忘れたのか……まぁいい、こんなところまで来て何の話があるってんだ?」
「狼谷 猟16歳。身長187cm体重93kg。この学園の理事長、狼谷創の息子。サイコキネシス」
「それがどうした?」
「お前を……制圧拘束します」
 アリナは超硬合金製のヨーヨーを取り出した。
「セイアツだと?はは~ん……テメェ誰かに頼まれた異能者だな?まぁ俺たち最強コンビは恨みも買ってるからなぁ!かといってこの学校の雑魚共にはどうにもできねぇしよぉ!!」
「ハッ」
 ヨーヨーを投げつけるアリナ。弾丸めいて放たれたヨーヨーは狼谷の耳をかすり後ろのコンクリートの壁を粉砕、鉄骨が顔をのぞかせている。使い方を知らないアリナはチェーンを指にかけずそのまま投げつけた為ヨーヨーは戻ってこない。
「てめぇ!いきなり何だコラ!!」
「なるほど、頑丈にできてますね。では……」
 チェーンを指にかけ、先ほどより倍はある速度でもう一つのヨーヨーを放つアリナ。壁のコンクリートは粉砕され穴が開いた。チェーンで引き戻したヨーヨーは変形している。
「これ以上はヨーヨーが壊れそうですね。では狼谷 猟、やりましょうか」
 ヨーヨーをスカートのポケットにしまう。
「ほ、ほほう、念力で飛ばしたのか?……だが当たらなければ意味がないぞ!(なんだ今の速度!?)」
「どうしました?かかってくるのでしょう?来なければこちらから行きます」
「いきなりケンカを売って来るとはいかれた女だな!後悔させてやるぜ!!」
 走って勢いをつけ飛び上がる狼谷、巨体からは考えられない高さからドロップキックを放つ。
「くらえ!サイコドロップキック!!」
 狼谷はそう叫びアリナにドロップキックを浴びせる。アリナは腕をクロスして受け止める。後方に数センチ下がったところで停止した。
「な、なに?(なぜふっ飛ばねえ!?)」 
「……」
 狼谷は全身に冷たいものが走るのを感じた。自分自身の体重と触ったものの重量を操作できるサイコキネシス。範囲は自分の体と同等の質量までの触れているものに限られる。サイコドロップキックは瞬時に体重を減らして飛び上がり衝突の寸前爆発的に増加させるもの。能力検査での衝撃力は5トンをマークしていた。この学校の誰も、狼谷のサイコドロップキックを受け止めれるものはいない。
「(こいつの能力で当たる寸前で止められた?いや、そうじゃねぇ、確かにこいつの体に俺の足はヒットした、どうなってやがるんだ?)」
 体重を減らし飛び上がる狼谷 猟、空中回転し後方に静かに着地する。
「(じゃあ次はヒットの瞬間、テメェの体重を減らしてぶっ飛ばしてやる)」
 狼谷はアリナをにらみつけ右腕を回しながら叫んだ。
「うおおおおおおお!!サイコラリアットオオオオオオオオオオオ!!」
 体重を減らし加速する、十分加速したところで体重を戻し右腕でアリナを狙う。アリナは腕をクロスしてガード。
「(かかったな!このままぶっ飛びな!!)」
 体重を減らされたアリナの足が床から離れる。狼谷は右腕を振り、アリナを壁に投げつける。
「(俺から離れた瞬間能力は解除されて体重は戻る。その速度で元に戻った体重で壁に叩きつけられれば全身の骨はバラバラだぞ?さぁどうする?テメェ能力でどうにかするか?)」
 アリナは空中で姿勢を制御し回転、足の裏から壁に衝突。その衝撃で横の窓ガラスは割れ落ちた。アリナはそのまま何事も無かったかのように着地しセーラー服の裾を払ってゆっくりと狼谷に向かって歩いていく。
「なに!?今の衝撃で何ともないだと!?(近づいてくるって事は遠距離攻撃は持ってねぇか……さっきのヨーヨーには注意が必要だが使う様子はねえ)」
「ホームルームが始まる前に終わらせたいのですが」
「ああそうかい!舐めやがって!じゃあこれで終わりだ!!」
 再び体重を減らし壁を蹴って飛び上がる狼谷、両腕をX字にアリナめがけて落下する。
「サイコクロスチョップアタック!からの!サイコ大外刈りバスター!!(2段構えの回避不可能コンボだ!!)」
 落下しはじめたところで体重を増やして手を伸ばす狼谷。それに対しアリナは回避行動を取らず、腰を落として拳を握りしめた。狼谷の真下に潜り込み突き上げる。
「ごぶああああっ!!」 
 アリナの拳が狼谷の腹部に食い込んだ。体を曲げ巨体が浮き上がる。そのままうつ伏せに地面に叩きつけられ血と胃の内容物を吐いた。
「体重操作が仇となりましたね。とりあえず即死しないように手加減しました」
「が……あが……(バカなこの俺が……こんな……)」
 意識が遠のきながら狼谷 喧は考える。これまで自分の能力が通じなかった相手はいない。最強コンビの相方、虎屋 伝でさえ実力を認めている。体重操作の能力は柔道とレスリングを学んだ自分には最適の能力で敵などいない、校内の連中は全てねじ伏せてきた。学校の外の連中だろうが負ける気はしなかった。
「(テレパスであろうがサイコキネシスだろうがパイロキネシスだろうがテレポーターであろうが校内の雑魚など俺の敵ではなかった!その俺がこんな女に!!)」
「狼谷 猟、お前はこの学校で好き放題やっていたと聞いています。お前にこんな風にやられた生徒も少なくないのでは?」
「あが…ごぼっごぼぼ……(クソが!説教……か!!)」
 激痛のあまり気を失う狼谷。
「まずは一人……哿さん聞こえてますか?狼谷 猟を制圧しました。フローを連れて屋上に場に来てください」
 アリナは狼谷 喧の動脈を触り生きていることを確認した後、ゆっくりとヨーヨーを拾いながら耳の通信機を押して言った。
続く





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Last updated  Jan 19, 2019 08:41:30 PM コメントを書く


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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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