U チーム
終夜(よもすがら)アリナ: 16 歳 能力(身体強化)
哿(かなり)希世美: 18 歳 能力(テレポート)
フローレンス・フランシス: 16 歳 能力(生体コントロール)
チームエンジェル
早乙女ルキナ: 16 歳 能力(空気操作)
カレン・ユン: 22 歳 能力(未来予知)
マイケル・カルーヤ: 20 歳 能力(転送)
異能者特務機関: TMI 第 10 話「レインボーフォリナー 3 」
ブラウン博士の用意した抗生物質とバクテリア抑制剤を打つ TMI のメンバー。
「……長官、つまり NY のテロリストってバクテリア感染異能者って事っしょ? 」
ルキナが髪を弄りながら言った。
『そうなんだけど 【 感染した】にしては数が多すぎる。これは誰かが意図的に人を集め【感染させた】んじゃないかと思うんだよ』
「集団催眠とか?」
『強力なテレパスなら可能だろうね。日本の施設はまだ大丈夫だと信じたい。ミッシェルの未来予測では無事だったからね。 NY は起きてしまった、日本はまだ起きてない君たちの奮闘にかかっている』
「了解!」
「アポートの準備完了だぜぇ!いつでも皆を転送退避してあげれるぞぉ!」
マイケルは全員と握手を終える。マイケルのアポート能力は手で触った対象を手でかざした場所に転送するもの。マイケルが持ち上げられる質量と覚えている数を転送できる。距離は半径 10 ㎞まで有効である。
「それじゃ行くわよカレン!」
「ええ行きまショ、ルキナちゃん」
博士の ID カードを受け取ったルキナとカレンは非常階段へ向かう。
「二人から合図があったら僕が博士とフローレンスさんを連れてテレポートします」
哿が言った。
「長官聞きたいことが」
アリナは単独通信で長官に繋ぐ。
『……アリナくんどうしたね?』
「異能バクテリアテロの犯人の目星はついてるのですか?」
『現時点ではなんともいえないね、だがサイコメトラー達のおかげで容疑者はある程度絞れている。博士がバクテリアを無力化して君たちが施設を完全制圧したらサイコメトラーを日本に送り込む。犯人の追跡はそれからだよアリナくん』
「わかりました」
***
非常階段を降りていくルキナとカレン。地下 5 階に到達する。
「 1 分先まで何もおきませんネ」
「マジでガチの警戒でいくわよ」
扉を少し開けて空気の流れで扉の外を探るルキナ。
「変な臭いがするんだけど」
ゆっくりと扉を開けるルキナ。静まり返った廊下、右にはエレベーター。正面には非常灯がついた薄暗い廊下と右側に部屋が見える。地下 5 階からはコ字型に廊下が作られている。エレベーターが使えない今、端から端まで移動する他に別の階に行くことはできない。
「カレン、離れてて。次の予知ができるようになるまで」
「了解」
非常階段のドアを閉め壁に背をつけるカレン。ルキナはエレベーターの前に立ち風を起こして左右の廊下を探る。
「……ルキナちゃん、 2 番目の扉に気を付けて。何かが飛び出して来まス!!」
「オッケー……」
2 番目の自動扉が開く。ルキナは全身を風のバリアーで包み込んで備える。
「タス……ケて……」
扉の中から聞こえてきたのは助けを求める声、ルキナは空いた扉に近づく。中に居たのは異常なまでに腹の出た男性。
「!?ちょっとあんた……」
「タスケテクレ……空腹が……収まらない……」
男の目は白く濁り肌は土気色で生気はまるで感じない。
「オサマラナインダヨー!!」
口から飛び出す赤い物体。風のバリアーがそれを上に弾く。
「なに……なんなの……」
男の口から垂れ下がる長い舌、ゆっくりと口の中に収めると今度は大量に吐瀉物を床にぶちまけた。男の口からは赤黒い内臓がぶら下がっている。
「ヴォエ……骨は消化に悪くてイケナイナ」
吐き出されたのは動物の頭蓋骨に皮の一部。
「一応確認するけどあんただれ?」
「オレか?オレは……蟇田東護。帝都大学卒の研究員だ!」
垂れ下がる内臓に着いた骨片をすべて落とし体内に戻す蟇田。
「スマンスマン、オンナノコにこんな場面見せちまって。ああ心配シナクテイイ。これはオレの特殊能力……生体コントロールを【進化】させたメタモルフォシス……ケケ、頭の悪そうなオンナノコには難しかったかナァア?」
「あたしたちは TMI よ!異能者なら聞いたことくらいはあるわよね?」
「あーシッテルシッテル。この大天才のオレの才能を見抜けなかった無能の馬鹿集団ダロウ?何がオレはカテゴリー 1 だ!オレは成長途中なんだ勝手に低い評価ツケテルンジャネーヨ!……アアソウカ、ここで才能をミセツケテヤレバ認めざるを得ないだろうよ」
超低空タックルを仕掛ける蟇田。ルキナは羽毛の如く軽い動きで空中回避。飛び上がった蟇田は壁に張り付いた。
「イイ、イイゾ!良い反応だ!ここにいた実験動物じゃあ相手にナラナクテナ!」
「あんたバクテリアに感染してるんじゃ?」
「ケケ!何だシッテルのか?話が早い、オレはバクテリアに選ばれた。こんな研究施設でくすぶってる器じゃない、歴史に名をノコスオトコナンダヨー!カテゴリー 5 にだってナッテヤルー!!」
弾丸めいて跳躍する蟇田、ルキナの体は再び羽毛の如く軽く舞って空中に留まる。
「ケケケケケケケケー!サイコキネシスか。だが、人間の反応速度でオレに対応するのは無理ダゼ! 0.1 秒を上回る速度で攻撃スル!!」
壁を蹴り天井を蹴り床を蹴り跳ねまわる蟇田。
「アンシンシロ、一瞬で殺してヤル!終わったら後ろのオンナもダ!」
「……はぁ~」
手をかざすルキナ。次の瞬間蟇田の体が吹き飛ばされ廊下を滑っていく。ルキナは圧縮して固めた空気を弾丸のように打ち出していた。
「ゲブッ……い、今のがサイコブラストってやつか」
「意外と頑丈じゃん、常人なら全身の骨が砕けるほどの威力だったのに。ちなみに今のはサイコブラストじゃないし」
宙に浮きながら蟇田に接近していくルキナ。立ち上がった蟇田は前に出るが違和感を感じる。
「なんだ?進めない?壁……」
「あんたがメタモルフォシスでカエルか何か知らないけど、もうあたしに近づけないし」
「念動力でオレを押してるのか」
「は?一々説明すると思ってる?訳も分からないままつぶれたら?」
ルキナは空気を壁にして押していく。
「オレヲナメルナー!!ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
蟇田の体の筋肉が盛り上がりを鱗が覆っていく。
「ブロック塀を破壊するパワーでオシカエシテヤル!!」
空気の壁に拳ラッシュを叩き込む蟇田。
「無理無理、あんたこそあたしを舐めるんじゃないわ!どこぞのパワー馬鹿ならまだしも、そんな程度じゃあどうってことないし!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
徐々に押されていく蟇田。その後ろには金属の防火壁がある。
「さーてその防火壁とアンタの体どっちが頑丈かな?」
「ナメルナアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
防護壁に押し付けられる蟇田、防火壁が軋み始める。
「グゲゲゲゲゲゲゲゲゲ」
「あははっ!さぁさぁもっと強くいくわよ!」
蟇田は既に抵抗できず、両開きの防火扉は歪み隙間が空いていく。
「これがカテゴリー 5 の力よ!思い知った?」
防火扉は圧力に耐えきれずに歪んで開く。蟇田の体は放たれた矢の如く飛び出して後方のコンクリートの壁に激突した。
「ゲボガッ……」
「まだ意識あるんだ、じゃあもう少しあたしの力を見せてあげる!」
ルキナは蟇田の体の周りの空気を操作して宙に浮かせる。
「衝撃には強い事が分かったし今度はこういうのどう?」
ルキナが手をかざすと蟇田の肩の鱗が吹き飛び鮮血がほとばしる。
「エアカッター。言っとくけど真空刃じゃないし、うすーく固めた空気を飛ばしたのよ。やったことないけど人間の首くらい軽く刎ね飛ばせると思うし」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!」
手足をバタつかせて着地する蟇田、両手は分厚い鱗に包まれ指は 3 本に、爪は鋭く刃物を思わせる形状に。
「テリジノサウルスの爪だあ!この 90cm の爪でヒキサイテヤル!!」
「残念無理!」
ルキナは蟇田が飛ぶよりも速くエアカッターを放ち脛を切り裂く。鮮血と共に鱗が飛び散った。
「グギャア」
「何とかサウルスとかどうでもいいし!あんたはあたしに何もできない」
倒れた蟇田に手をかざすルキナ。顔の周辺の酸素濃度を変える。
「グゲゲゲゲゲ……ゲ……ゲゲ……」
蟇田が気絶するのを確認したルキナはジェームズに通信する。
「長官」
『どうしたねルキナくん』
TMI の通信機はテレパスを介したものであるため遮蔽物は関係ない。
「自称バクテリア適合者を倒したけどどうしたら?」
『 TMI の能力制限手錠や首輪は一応効果あると NY の報告を聞いてる。それで拘束しておきたまえ』
「はーい」
『やはり日本の研究施設もバクテリアが広がってしまってるようだね』
「大した事なかったしあの程度なら余裕よゆう」
『油断禁物だよルキナくん。 NY のメンバーも 3 名の死傷者が出てるんだよ』
「え!マジ!?誰が……」
『ビンセントくん、ラッキーくんが死亡、ミレーナくんは意識不明の重体だ……』
「そんな……」
『辛いが今は任務に集中してくれたまえ』
「はい……」
地上で待機していた哿、フローレンス、ブラウン博士に連絡が入る。哿はテレポートで連続移動し二人を連れて地下 5 階のエレベーター前に移動する。
「博士、エレベーターは停止していますね」
「地下 5 階からのエレベーターは一人では作動できない仕組みになっている。行きたいフロアーに連絡してお互いがボタンを押さないといけない。スロープを使えば各階に降りることはできるがその都度フロアーの中を端から端まで通らなければならない。廊下はいくつもの隔壁で閉ざされている」
博士が説明しているとルキナとカレンが現れた。蟇田を引きずっている。
「哿……さん、くん?コイツお願い」
「あ、はい」
足で転がされる蟇田を見て哿はうなずいた。麻酔を打ち込んだ後テレポートを連続して行い 1 階のワゴン車に拘束する哿。
「目を覚ましてもわたしが制圧しますので」
様子を見ていたアリナが言った。
「お願いしますね」
哿は再びテレポートで地下 5 階に戻っていく。
「……何か嫌な予感がします」
アリナはベヤリング弾を手に周囲を警戒しながら言った。
「オー、君は未来予知能力ないはずですが勘ってやつですかぁ?」
マイケルはガムを噛んで言った。
「いいえ、勘とは違います。この感覚は説明はしづらいのです」
続く
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