未完成のブログ

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Jun 28, 2020
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異能者特務機関:TMI 第 40 話「決着」

 不動了痲( G )は拘束をすぐに解いてセレスティアの自動操縦スーツから Adele にアクセス。これまでのデータの送信を開始する。

「 G としての力は半分失ったが不動了痲の力を半分得た……これはこれで良いかもしれん」

 容姿にコンプレックスのあった五所川原振之助時代、 G になってからは非人間的な銀色のマネキンを思わせる姿をしていた。不動了痲は若く顔立ちは整っている。ギラついた眼と癖で跳ねた頭髪、どれも気に入った。

「なるほど時間停止は異次元干渉の異能……正確には時間停止では無く対象を異次元に干渉させどちらでもないあいまいな状態で置く。テレポーターのテレポートする瞬間で数秒留めるといった感じか」

 不動 G は崩れた前の体を電磁力で組み上げて座っている己の姿を作りスーツの前に置いた。そして迷うことなくエレベーターへ向かって歩き出した。

「セレスティアの目的は……フム、ならば」

 医療ポッドのあるエリアに向かう。艦内は驚くほど静かで異能兵士が来る様子も無い。

「今の私は完全に不動了痲だからな。それにセレスティアは幻赫の身内」

 エレベーターを降りて医療ポッドのあるエリアに封鎖されている部屋があった。

「ここは確か異能力制限室か。中には…… TMI のエージェント二人、あれはフローレンス・フランシスに哿希世美……どれ解放してやるか」

 電子ロックを解除する不動 G

「!?」

「ブラックヴァリーの!」

 銃を構えるフローレンスと哿。

「やめときたまえ。無駄だよ、それに自分は……まぁいいか説明は面倒だ。ともかくここから出てアイスクラーピウスを脱出したまえ。甲板に仲間が待ってるぞ」

「……わかりました」

「あなたはいつか逮捕されますよ」

「そうかい、簡単に捕まってやらねえがな」不動了痲の口調を真似て言う。

 二人が去ったのを見届けると医療ポッド室に侵入する。ポッドを起動させると Adele にメッセージを送った。

***

 セレスティアは目を緑光に輝かせ艦内の人間を見つめていく。

「私を攻撃しようとするものは居ないようですね」

「分かるのですか?セレスティア」

「ええ、異能の応用で。こっちですアナスタシア」

 セレスティアは厳重なロックを解除して進んで行く。制止する者はおらず静かに眺めるだけで声すらかけようとしない。

「ちょっと異常じゃなくて?」

「まぁこうなるように仕込みは済ませていたので。邪魔だったのは幻赫本人と直轄の異能兵士とブラックヴァリーでした。それもいません」

「え?あのさっきの若い男は??」

「同志ですよ。さぁこの先です幻赫が甘い言葉で大勢を騙していたものがあります」

 防護服に着替えエアロックを解除する。その先には 30cm 程の立方体が並んでいた。

「この夥しい量の箱は一体……この部屋に漂っているガス?みたいなものは??」

「この中の箱の一つに目的のものがあります。この部屋に漂っているものは R 粒子と呼ばれるもの。生身で触れれば取り込まれますよアナスタシア」

「取り込まれる??」

「ナノマシンの改良から偶然生まれた粒子。生物に反応し虹色の光を発し意識の共有融合や変異を促すもの。この粒子はあの例のバクテリアや異能兵士の調整に利用されています。粒子を生み出したのは一人の異能者であり研究者。彼女の脳はこの箱の一つに収められています。他の箱には彼女のサポートをさせるべく異能者の脳が入っているのです」

「そんなこと異常です!」

「幻赫は甘い言葉で世界中の経済的に豊かな者や異能者をこの部屋に誘い脳を取り出してこの装置に組み込んでいたのです。異能兵士の殆どはクローンで幻赫自身もクローンを作り隠しているのです」

「だから異能兵たちはあんな異形な姿に変わっても臆することなく……」

「オリジナルがあれば生き返れると信じているからでしょうね。実際は幻赫がデータを取っているだけです、あの者が更に自分自身を強化するために。次のステージに上がる為に。この装置の事を知っているのは私を含めごく一部の者だけです」

「セレスティア貴女の目的は?」

「中央に置かれている脳が入った箱。アデル・ホワイトが収められている箱です」

「それって……」

「私の大切な人です。彼女を救い、このアイスクラーピウスをふさわしい者に使わせる。その為にここまでやってきたのです」

「そのアデル・ホワイトという人は貴女よりアイスクラーピウスにふさわしいの?」

「ええ、アデルに比べれば私などただの凡人でしかありません」

「それほど……」

「私自身、彼女に生み出されたクローンですからね。オリジナルの私はアメリカでアデル誘拐の際に殺されています。幻赫の手の者によって」

「え、え……そんな……」

「わたしは何人かいるセレスティアクローンの一人です。ささやきの魔女の魔法が通じなかった理由もこれです。既に私のオリジナルは居ないのですから」

「貴女がクローンなら長生きできないのでは?」

「それはとても古い情報ですよアナスタシア。 2016 年の時点でそれは否定されています。 1965 年当時に短命と発表されていただけですね。テロメアに関してもいくつかの論文でクローンの短命説には異論が唱えられています。アデルの生み出したセレスティアクローンはむしろ若いまま長寿出来るのは無いかと。実際少女の容姿のままの者もいますので」

「貴女は何も思わないの?クローンであることに」

「生まれ方がオリジナルと違うだけで私は私です。オリジナルのセレスティアとは別人ですし生前のセレスティアの記憶は全員持っているのですが他のクローンと記憶の共有もしていませんので個として一人の人間として存在しています。異能者とただの人間との違いくらいの認識です。アナスタシア、私の事が嫌になりましたか?」

「そんな事ないです!ただあなたの境遇を考えると悲しい気持ちになるというか……」

「後でゆっくりと話しましょうアナスタシア。今はアデルの救出です」

「その箱を持ち出しても彼女の体は無いのでは?」

「ここはアイスクラーピウスですよ。脳移植用の素体ボディくらいあります。オートドクターによるオペと医療ポッドによる治療を行えば大丈夫です。彼女の容姿は Adele に保存してありますしバイオプリンターで既に素体ボディの調整を行っています」

「あ……ずっと貴女が異能を発動しているのは AI の Adele とリンクして作業していたのね」

「その通りです。ふふ、アデルが復活した時には AI の名前を変更しなければなりませんね」

 セレスティアはロックを解除してアデル・ホワイトの入った箱を取り出す。

「感じますアデルの脳波を。ええ、抜かりなく準備は進めていますよアデル」

***

 テレポートで甲板に出た哿とフローレンス。事情をその場に居たルキナとマイケルに伝える。

「事情は分かった、セレスティア博士の戦闘スーツはまだ無事?それならあたしがハリケーンの壁をぶち抜いてあげるからその隙に連続テレポートで行って。弱まったハリケーンならやれるし!」

 ルキナはテントの中にある戦闘スーツの入ったケースを指さして言った。

「アリナは念爆者・幻赫を斃したんだよな?それなら安心してアポート射程範囲に来た仲間をドンドンこの船に呼び込めるぜ後の事は俺たちに任せてアリナを救出したら離脱しろ」

 マイケルは栄養ゼリーを飲み干して言った。

「日本支部が心配よ、さっきから來美ちゃんの全体テレパスが聞こえないもの。それに通信も駄目で……」

 ルキナは通信機も試みるが反応は無かった。

「虹色の光を見てからだな……アレはアリナか幻赫の仕業か?」

「マイケルさん詳しい話は後程。急ぎますので」「ルキナさんお願いします」

「よーし!!ヴォルテックスバースト!!」

 ルキナの空気砲弾を後を追いかけるようにテレポートする哿。フローレンスの腕をしっかりとつかんでいる。

 連続テレポートで島にたどり着く二人。

 「アリナが倒れてからここまで約 3 分……まだ大丈夫!!」

 フローレンスは自身の生命力を使い切る勢いで異能を発動させる。

「内臓、骨、筋肉、皮膚全て万全……呼吸はしているし私の異能にも反応している……アリナの体に問題は無い。なのに意識が戻らない!!」

「フローレンスさん、護衛艦に戻ってそこから病院に行きましょう!」

 頷くフローレンス。アリナを背負い、フローレンスの手を取ってテレポート。連続で

繰り返し待機している護衛艦に向かう。

 護衛艦に到着するとミカエル・パウマンが出迎えた。

「貴方は……長官の甥の……」

「 G.D.III の WW 副統括ミカエル・パウマンだ。君たちの声は聞いていた。一刻を争う自体では?ここから TOKYO までテレポートするのは骨が折れるでしょう。私が運んで差し上げる」

「いえ、大阪の KK 大学病院でお願いします。僕の親族が教授をしているので」

 哿は腕の端末に地図を表示して言った。

「了解です。さぁ私の体に捕まって」

 ミカエル・パウマンの背後に浮いていた漆黒の飛行ユニットが羽を広げたように変形し全員を包み込む。

「乗り心地はあまり良くないが我慢して頂きたい」

 ゆっくりと浮き上がり音も無く上昇していく。そして爆発的な勢いで加速を始めた。

「 G.D. ユニットの内部は気圧の変化は感じないですが加速による揺れは出ます」

「大丈夫です。体調の変化は私が常にチェックしています」

 アリナを抱きしめたままのフローレンスが答えた。

***

 ――

「わたしは何もできない」

 漠然と感じるエネルギーをどこか遠い所から眺めている。

 エネルギーはフローに哿さんにミカエル氏。

 フローに抱きしめられているのは情報として認識できる。感触は無く音も匂いも感じない。リアルタイムで夢を見てるような状態。

 動かせない、指の一本も動かない。幻赫に全てを込めた一撃を放った後。幻赫の死亡を感じ取った後、わたしは動けなくなった。二人との共有も切れてしまった。

 幻赫に最後の一撃を放った後の時間は数分のはず。今の私にはそれが一瞬のようでありとてつもなく長くも感じる。

TMI の塔から膨大な情報が流れ込んで来た。わたしは圧倒されない為に流した。

 わたしの中から大きなものが消えた気がした。体の中心にあっていつも燃えていた何かが無くなってしまったような感覚。

 きっとわたしは二度とあのような一撃を放つことはできない。屠龍伏虎も理想の形で仕掛けることはもうないだろう。そうする気が無くなってしまったとも言える。

『終夜アリナ』

TMI の管理者の声がする。

『幻赫は討たれあの者の仕掛けた五感を封じる異能も消えました。目覚めるのです』

「そうするつもりなのですが上手くいかないのです」

『あなた自身が真にそう考えていないからです。この次元は肉体というものはありません。意思がここでは何よりも優先されるのです』

「そんなことは……」

『幻赫を討つことだけが貴女の存在意義ではありません。ジェームズの後を継ぎ TMI の長官として異能者を導いていくのです。この星のヒトはあまりに未熟。人類が次の段階へ進化するには異能者が必要なのです。異能者共有はその為の鍵です』

「……」

『貴女はまだ成人ではない、少し時間を与えます。ここでの事は記憶から消えます、その時が来ればまた今日の続きを』

「管理者……」

『あれほど強かった貴女も今では年相応の子ですね。それでもジェームズよりは落ち着いていますが。強制的にこの次元からあなたを出します。本来は自分意思で行いこの次元で知識を得てを持ち帰ってもらう予定だったのです』

「わたしは……」

『しばらくの間、ただの終夜アリナとして過ごしなさい。私は塔とジェームズを通じてあなたを見守っていますよ』

「管理者、あなたに一つ質問が」

『いいでしょう言いなさい』

「数か月後に訪れる全世界の危機を乗り越えられるでしょうか?わたしはこの次元で見たのです」

『未来は枝のように分かれています。その中には貴女やジェームズを失ってしまったものもありますがそれも想定済みです。未来は不安定なのです、この発言もまた何らかの影響を及ぼしています。しかしあえて言うのであれば人類絶滅の危機は避けられるでしょう。それがどんな形であれ』

「……そうですか」

『終夜アリナ、そろそろ目覚めなさい』

***

―日本支部

 ブラックヴァリーの襲撃を受け応戦をしていた TMI のエージェント達は苗木來美の超広域テレパスと通信機の故障で連携が断たれ一時的に混乱したがすぐに立て直し支部からすべてブラックヴァリーを排除することに成功していた。

「何が起きたってんだ?」

 パイロキネシスのイグネイシャス・ファイマンは目の前のブラックヴァリーを戦闘不能にさせてつぶやいた。

「流れが変わったね……一度本部に戻って皆状態を確認しに行きたいがここを任せてもいいかなイグネイシャス君」

 長官ジェームズは弾倉を交換しながら言った。

 ジェームズは日本支部長室にもどり椅子に腰かける。念じると本部へと転送された。

 転送される一瞬に管理者から念爆者が撃たれたとのメッセージを聞いた。本部の自室の椅子から立ち上がりフロアーに出ると全員が昏倒していた。

「これは……どういうことですかな?管理者よ」

『終夜アリナの発したエネルギーが私を通じ皆に伝わってしまったのです。大丈夫ですただ意識を失っているだけです』

「……ではアリナくんは次の……」

『ええ、ジェームズ貴方の後を継ぐのは彼女です』

「私はイグネイシャス君が選ばれると考えていたのですがね」

『彼も候補ではありました。終夜アリナは杉田幻赫との戦闘中に覚醒、候補に入りそのまま資格を得たのです』

「あなたのいる次元への干渉と認識、異能の次のステージ……カテゴリー7」

『ジェームズ貴方も一時期その位置に居ましたね』

「ええ、ですが幻赫を斃しきれずカテゴリー 7 の力は二度と発動させることは出来なくなりました……大切な人を亡くして異能者共有の要を失ってしまった……仮に今でも私がカテゴリー 7 の力を使えたとしても幻赫を斃せたかどうか。あなたはその事すら知っていたでしょうけどね」

『異能の力の極みはカテゴリー6ですが7に到達できるとは限りません。幻赫は 7 に到達することはありません。他者に対する思いやりや信頼、共感力といったものが重要なのです。カテゴリー 7 の力は結果を得る力、あなたはあの時自分にとって一番大事な人物よりも大勢の命を救う方を選びなしとげた。その結果が今に繋がったのです』

「私のカテゴリー 7 としての力はあの時、人類を幻赫から救う為にあったのですね……アリナくんのカテゴリー7は討つ力だった」

『そういう事になりますね』

「アリナくんはこれまで生きてきた人生の目標を成し遂げた。その為のカテゴリー 7 ……その後彼女はどうなりますか」

『彼女にとって幻赫に匹敵する敵が現れない限り再びカテゴリー 7 の力を使う事は出来ないでしょう。ですが大勢の異能者を共有の力に目覚めさせるきっかけにはなりました』

「この大勢が昏倒している現象……」

『未知の力に対しての恐れは理解することで解消できます。終夜アリナの放った力は私を通じほんの僅かな時ですが本部にいる者と共有した。この経験は大きな可能性の種を蒔いたのです』

「異能者の未来は明るいと考えて良いのですね」

『そうですね。ようやくここまできました』

続く






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Last updated  Jun 28, 2020 11:03:20 PM コメントを書く


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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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