未完成のブログ

未完成のブログ

Jul 3, 2022
XML



諸田和音:ゲームはボードゲームの方が好き

ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃14「情報屋」

 ソギカワから亜瑠の携帯のデータを受け取る。

「マスターデータはアンタが持っておくのか」

「まぁね。拙者は用心深いんでバックアップは常に取っておくのです」

「……顧客から得た情報を読み込んで自分の糧にして次の仕事に繋げるのか」

「そうですねぇ。こういう商売は常に最新の情報を得てないと成り立たないっすから」

「探偵だけでなく警察や政治家とも繋がりがありそうだな」

「その辺は想像にお任せするでござるよ。表向き拙者は某有名メタバースエンタティメント施設の運営なので」



「何と勿体無い!是非来てみて下され!!」

「話は変わるが……この街で一番信用できる探偵事務所は何処だ?」

「そりゃあダントツ一番はミラージュ探偵事務所っすねぇ。探偵らは今ちょっと街を離れてるっすけども」

「守山探偵事務所とOH探偵事務所はどうだ?」

「おっとそれはノーコメントで。取引もあるので」

「もうひとつ、またアンタに依頼したいことがあった場合連絡してここに来ればいいのか」

「う~ん……仮の作業場なのでここに突然来ても拙者は居ない場合が多いですぞ。ちなみに拙者初回はサービスするんですが、次からは100万単位の報酬でないと動かんでござるよ?今回は美少女のスキャンがあるので部屋に入れましたが普段は代理人を通じてしかやり取りはせんでござるから……」

「どうすればいい?」

「連絡先を渡しておきますわ。諸田氏はお金持ってそうに見えんでござるが縁を作っておいても損はなさそうなお方ですので」

「わかった、助かる」

「もしお金が用意できなかったらまた違う一般美女をスキャンさせてくれればいいでござるよ。商売女や業界で擦れた者ばっかりスキャンしても面白くないですからなぁ」



 ソギカワと別れビジネスホテルを出る。蒐魅のバイクに乗ると柄留がじっとオレを見つめてる。

「和音君、ボク達お金要求されなかったよね。それってボクを気に入ったからなのかな?」

「かもな。お前がアイツの好みで良かった」

「ボクの顔って妹ちゃんとそっくりな訳じゃん?それって大丈夫なのかなぁって」

「似ていてもお前はお前だろ。亜瑠に似ているからとか気にするな」



「さぁな、どんな女性を好きになるか解らん」

「じゃあ和音君まだ好きになった女の子いないんだ」

「だな。所謂初恋ってのはした記憶が無い」

「へぇ~~~~~~~~~~~~」

 上目使いで見てくる柄留。こいつは亜瑠とは性格はまるで似ていない。

「女の子に興味なかったの?」

「どうだかな……自分の事で精一杯でこれまで生きてきたからな」

「そうなの?悩み事があるんだ和音君にも……」

「あるぞ。六歳頃からずっとな」

「知りたいなー……ボクに言いたくないなら無理に聞かないけど」

「そんなに複雑な事じゃない。オレの体の事だ―家についたら話してやろう」

 蒐魅のバイクで瞬栄さんの家に帰る。

 オレが周囲の人間と違う事を意識し出したのは小学生になった時からだ。砂場でクラスメイトと遊んでいた時に六年生が追い出しに来た。相撲の邪魔だと。

 オレは相撲で勝てばそっちが出て行けと言い六年生をあっさり投げ飛ばした。これで思う存分砂場で遊べると思ったが……そうはならなかった。六年生は骨折、一緒に遊んでいたクラスメイトは泣きわめいていた。状況が分からず立ち尽くしてた俺を亜瑠が手を引いてその場から連れ出してくれた。

『和音はあんなことしたらダメだよ。強いんだから』

「亜瑠ならどうしてた?」

『あたしなら……おおきい声で泣いてあの六年生を悪者にしてたかも』

「オレは男の子だしそんな事しないよ」

『でも弱い者いじめはダメ、カッコ悪いよ』

「そっか……」

『先生にはあたしが上手に言うね、和音はウソ泣きでもしてればいいよ』

「うん……亜瑠はかしこいなぁ」

 それ以来オレは自分を抑える事にした。ストレスが溜まった時は裏山で大暴れした。亜瑠は器用で上手く立ち回っていたがそれはそれで大変だったと思う。

「亜瑠ちゃんって頭脳派だったのかぁ~」

「頭脳派と言うよりは……良い結果を導き出せる奴なんだ」

「??」

「説明しにくいが……トランプのババヌキであいつは負けない」

「そーなの?」

「感覚的にどれを選べばいいか解るんだ。だから他の事でも勝って勝ちすぎてしまう。周囲の人間と合わせるのに苦労してた」

「あ~……そっかー。この前言ってた亜瑠ちゃんが次々他のものに興味移ってたのはそれが原因かぁ」

「ああ、オレとは違う悩みを抱えてたんだ」

「和音君は……超人だから苦労したって事……だよね?」

「超人なんていいものじゃない。周囲の人間全てが脆弱で儚い存在なんだ。オレが学校で全力を出せるのは勉強だけだった。休み時間、クラスメイトが全力で走ったりドッジボールをしたりしてるのを見て羨ましかったな」

「ふ~ん……ライオンとハムスターみたいな?じゃあさ、将棋とかは?」

「小学生の頃は体力をもてあましてたんでな、集中できなかった。今は気分転換に時々やるがな。まぁそういう訳で異性に興味を持つどころじゃなかったんだ」

「そっかぁ……和音君のその特殊体質ってなんなの?」

「詳しい事はまだ解ってないが……夢で見る龍が関係してるようだ。亜瑠も龍の夢を見ると言っていた。曾祖父がまだ生きていれば話を聞けたのだがな」

「龍……ドラゴン……あぁ~だからブレスで怪人を吹き飛ばしたりしてたの……?」

「しっかり見ていたようだな。あれは曾祖父の残した手記を読んで家の裏山で色々試して身に着けた『龍の息吹』だ。その気になれば炎や凍結するのも吹ける。使う機会などないだろうが」

「ええ~!!凄い凄い!!亜瑠ちゃんもできるのかな?」

「あいつはできない、五感を少し高めたり一時的に身体能力を上げる程度だ」

「龍の力かぁ……和音君にビビり散らかしてた奴らってそういう力感じてたのかな」

「かもな、出来る限り抑えているが……同じような体質の者には解るらしい。兜金大河のようにな」

「そーなの!?アイツも龍?」

「いや、四足の獣のようなものを感じた……名前に関係しているのなら虎か」

「大河だからタイガーって……出来すぎでしょ。じゃあ他にそういう特殊な感じしたのは居た?」

「守山罅助は……全身を流れる脈が常人とは違う、異能者、所謂エスパーの類かも知れん。七曲キョウヤは……普通の人間に近いが怪人に似ているところから最新の生体サイバネ手術を受けている可能性もある。お前は……よく解らない、今まで見たことも無いタイプだ」

「ボクが見たことないタイプってどんな風に?」

「ぼんやりしているんだ。何者でもない」

「ええ~……それって和音君みたいに特殊でもなく、異能者でもなく、怪人でもない……」

「オレに判るのは特殊体質、異能者、怪人や魑魅魍魎の類、サイバネに動物くらいだ。その他の存在ならオレにはぼんやりと見えるのかもしれん」

「あははー……ボクってエイリアンだったりして?」

「確かに宇宙人はまだ見たことがないな」

「冗談だって!も~~~~~~~~~!!」

 自分の事をこんなに他人に話したのは初めてだ。こいつには打算も嘘も無い。共に行動していてストレスを感じなかったのは今まで亜瑠しかいなかった。

「ん?どうしたの和音君、ボクを見つめて。チューするタイミング?」

「フッ」

「あー!鼻で笑った!ボクから仕掛けるぞー!!」

「やめろ」

 ソギカワから得た亜瑠のデータの事もだが確認するよりも先に柄留の事だ。柄留の居場所も確保しなければならない。今日は瞬栄さんが帰って来る。上手く説明しなければ。

「柄留、グレイブラスターで姿を変えるんだ」

「え?なんで?」

「亜瑠と同じ顔の人間が家に泊まりますは説明に困るだろう」

「そう?正直に全部言っちゃえば?」

「……無理だ」

「じゃあ無理に家に泊めてくれなくてもいいよー。ボクは24時間営業のマスドか公園のホームレスキャンプですごすから。和音君と同衾したかったけど伯父さんが帰って来るならちょっと激しい運動は出来ないしね」

「顔を変えてくれるだけでいい。後は上手く説明する」

「……和音君のスルー力にボクはくじけないから」

「とりあえず……Mの顔にしてくれないか」

「いいけど……む~~~~~~」

 グレイブラスターを自分に撃つ柄留。Mの顔に変化する。

「……」

「どうしたの和音君?失敗してる?」

「いや、大丈夫だ。ぼんやりしてたお前の気が少しはっきりした」

「そーなの!?ちょっと顔見てくる」

 柄留は洗面所に走って顔を確認しに行く。

「思ったより違和感ないねーやっぱりボクはMなのかも?」

「Mだとしても本名も素性も解らないがな。亜瑠の顔と同じ謎もある」

「グレイブラスターの謎も」

「ああ」

 柄留の服は派手過ぎるのでオレのジャージを貸してやった。本人は大喜びだ。

「着替えてる間に瞬栄さんからメッセージが入った。そろそろ帰って来る、オレは夕飯の準備をするからお前は2階でおとなしくしてろ」

「ふぁい」

 1時間ほどすると瞬栄さんが帰ってきた。顔色が良くない、疲労困憊のようだ。

「瞬栄さんおかえり」

「ああ、ただいま和音君。ご飯の用意までしてもらって悪いね。昨日は栄養ドリンクしか摂ってなくてまともな食事をするのは24時間ぶりだよ」

「瞬栄さん実は友人が来てまして」

「ああ、靴があったね。女の子か、和音君もこの街に女の子の友人いたのかい。亜瑠ちゃんも連れてきてたなぁ」

「そうなんですか」

 声を聞いた柄留が2階から降りてくる。

「こんにちわー」

 瞬栄さんは柄留を見て意外な事を言う。

「やぁ君か。そっかそっか……ついに和音君も女の子を連れ込むようになったかと思ったけど亜瑠ちゃんと共通の知り合いだったとはね」

「……」「え、あの……えへへへ、どもです~」

「こいつを知ってるんですか瞬栄さん」

「ああ、2回くらい見たよ。名前は確かエム(M)さんだっけか」

「そそそそそうです!ボクはM!!」

「Mさんなんかすっきりした顔してるねぇ。前に見た時はとっても深刻な顔してたから……亜瑠ちゃんがあんなことになって顔見せなくなったしどうしてたのかと思ってたら和音君とも知り合いだったとはね」

「瞬栄さん、亜瑠が何をしていたか聞いたことありませんか?」

「う~ん……友人を助けたいとかなんとか。自分は寝る時しか家には居なかったから亜瑠ちゃんとは結構すれ違ってたしちゃんと話はできなかったからなぁ」

 そう言うと瞬栄さんは風呂場に向かった。あがったらすぐに食事して寝たいらしい。

「ふ~焦ったぁ~………柄留だよーとか言わないで良かった……」

「Mの顔に変えて良かったな。思いがけない情報が手に入った」

「やっぱり亜瑠ちゃんとMは一緒に行動してたんだ。蒐魅と繋がっていくのかな?」

「蒐魅との繋がり……食事の後はデータの確認だな」

「和音君、晩御飯は何?」

「鯖の塩焼きだ」「おっけー」

「瞬栄さんの前でMのボロが出ないようにあんまりしゃべるなよ?」

「わかった……」

 瞬栄さんは特に何も言わずテレビをぼんやり眺めながら食事をしていた。柄留は大人しく食事をしてすぐに2階に上がっていった。

「さて……明日も早いからもう休むよ。遅くなるかもしれないし晩御飯はいいからね」

「はい」

 瞬栄さんは自分の部屋に入って行った。オレは食器を片付け2階に上がる。

「柄留」

「……あ、和音君」

 例の剣と鞘を構えていた。

「何か形成しようとしてたのか?」

「うん……龍の話聞いたからちょっと和音君の本を見て気になったのを再現してみようかなって」

「どれだ?」

「骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)っての。龍の刀身彫りってのあるから」

「ほう……やってみてくれ」

「ぬ~りゃあああああああ!!」

 柄留の体の力が腹に集まっていくのが見えた。ゆっくりと鞘から刀身を抜いていく。龍の刀身彫りが施された刀が出現した。

「今回はうまくいった……ちょっとコツみたいなの思い出した?っていうのかな?さぁどうぞ和音君、ボクの骨喰藤四郎を見て」

 柄留から受け取る骨喰藤四郎。柄を握ると熱を感じた。そして徐々に刀身が輝き出す。

「……」

「え?ええ?何が起きてるの??」

 亜瑠の携帯が鳴った。柄留に確認させるとまた例の奇妙なメールが入っていた。

「この暗号のようなメール……ソギカワに解読依頼すればよかったな」

「和音君それよりも刀が……」

「問題ない」

 熱は冷め輝きは収まっていく。骨喰藤四郎はオレの力に反応した。

続く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jul 3, 2022 10:46:15 PM
コメントを書く
[ReviveTheGunSword:灰蘇の剣銃] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Free Space

Profile

長月(ながつき)

長月(ながつき)

Calendar

Archives

Oct , 2026
Sep , 2026
Aug , 2026
Jul , 2026
Jun , 2026
May , 2026
Apr , 2026
Mar , 2026
Feb , 2026
Jan , 2026

Comments

長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
長月(ながつき) @ Re[1]:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) こちらもFO4までに終わらせるつもりです!…
くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: