
ReviveTheGunSword 灰蘇の剣銃 22 「柄留と蟻」
ボクは第二地区のクラブに向かう。 DMC の集会に潜入する為。
途中まで罅助が車で送ってくれた。
夜になると第二地区はネオンでギラッギラ!酔っ払い、派手な格好の客引き、何処から湧いて出たのか揉め事が好きそうな連中……
「ヘイお嬢さん!」「黙れクソ野郎」
話しかけてきた息の臭いチャラ男の眉間にグレイブラスターを突きつけた。
「甘苦いドラッグの息吐いて話しかけるんじゃねーヨ」
「銃!?噓でしょおもちゃ?」
「試してみるか?」
なんかボク凄くノリノリ。多分これは蒐魅の側面がかなり出てきてるからだね。
「この場所に案内しな」
招待状を見せる。グレイブラスターは左手で腰撃ちに構えたまま。
「うえぇ!?それってグレイブラスターじゃん!?うっそ……じゃあアンタは」
「鬱陶しい、さっさと案内してくれないかな?知らないならそうと言えよ?」
「顔が違うんで気付きませんでしたぁ…… DMC のクラブっすね、こっちっす」
蒐魅はちっさくて童顔だったからナメられやすかったんだろうね。だからこんな無理して野蛮な口調で話してたんだ。亜瑠ちゃんと話す時とは別人だ。
でも……このまま蒐魅っぽく振舞うのはどうなんだろう?亜瑠ちゃんの前では絶対やめた方がいい。別人格ってわけじゃないけど蒐魅っぽさはあんまり全面に出さない方がいいかも。今はいいけど……
「あの…… DMC の集会なんてなんで参加を?」
「はぁ?決まってんだろカチコミだよ。今夜で DMC を終わらせてやんだよ」
「ひいいえええ……流石っス。最近見なかったのは準備してたからなんすね整形とか」
「まぁ色々とな」
「た、大河さんはどちらに?」
「オメーに関係ねえだろ?余計な事言ってっと撃ちこむぞ」
チャラ男に案内させた後口封じのため睡眠弾で眠らせた。
クラブの入り口はビルの路地を進んだ所にある小さな鉄製の扉。監視カメラとアーマーを着込んだ奴がいる。
「招待状は?」「ある」
アーマー男はサイバーゴーグルからレーザーでスキャン、招待状を確認する。
「本物だ、通ってよし」
扉をくぐり抜けると地下に向かう螺旋階段。螺旋階段を降りると彫刻で装飾された大げさな門の前に出た。照明はホログラムの炎、門の前には細長い冠を被った筋骨隆々全裸の男二人が槍を模したプラズマライフルを持って立っている。
「招待状を」
招待状を見せると男は赤黒い液体で濡れた指で招待状に×を描いた。
「これを」
もう一人の男が真っ黒なフードマントを渡してきた。門が開かれ中に入る。映画のファンタジー世界を思わせる石造りの廊下だった。まるで異世界に来たような感覚。後ろで門が閉められ鍵がかけられる音がした。
「ファイヤーテンプル……」
壁の刻印にそう書かれていた。途中監視カメラで見られている感覚があった。もし何かあった場合このファイヤーテンプルに侵入者を閉じ込めて始末つもりなのかもしれない。進んでいくと扉があってその先にはまた下りの螺旋階段。今度はかなり長そう。
長い階段を降りるとまた装飾が大げさな門。のっぺらぼうの猫のコスプレをした女が二人出迎えた。
「ここより先、現世の物を持ち込むことはあたわず。ここに全て置いて行かれますようお願いいたします」
のっぺら猫が指したのは壁に埋め込まれた金庫のようなロッカー。ご丁寧にファンタジーっぽい装飾がされている。
「受け取りになられた黒衣のみ着用でお願い致します」
え……
フードマントの他は何も身に着けるなって?おや?これって昼間襲ってきた変態怪人と同じ恰好では?
グレイブラスターでいう事聞かせて門を開けても良いけどまだ目立つわけにはいかないし……
「どうされましたか?お手洗いは中にごさいますのでご安心を」
仕方ない。和音君にしか見られたくないけどやるしかない。マントフードで隠せるしいざとなったら弾着でキャリバーに変身すれば良いだけ。
のっぺら猫が門を開けると緑のカーテンの通路。そこを抜けると―
大きなホールだった。スモークが焚かれ薄暗い照明ですぐ隣にいる者しか見えない。これなら裸マントでも大丈夫かな……
「サクリファスシップにようこそお嬢さん」
スモークで良く見えないけど女が話しかけてきた。
「あんたは?」
「今夜この集会を取り仕切る【 I (アイ)】です」
「……あんたがアイか」
確かコイツの雇った工作員をビルの屋上でぶちのめしたんだった。
「随分と緊張されてるのね……貴女にはスモークの効きが悪いみたい」
「かもね」
「今夜は存分に楽しんでいって……狂乱の宴、最後まで残るといいわね」
アイが消えた。照明は雷のように点滅を始める。
『まもなく宴を始める……ここでは誰もが只の人間。欲望を解放し貪り尽くせ』
アイの声だ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!!!!」
歓声が上がる。見えないけどこの感じだと 100 人くらいの男女がいる。
10 からのカウントダウンが始まった。そして0になった途端に超爆重低音 BGM が流れ始めそれを合図に周囲の気配が動き始めた。
「……」
薬物スモーク、激しく点滅する照明、爆音の BGM 。普通ならすぐに正気を失う空間だ。
「ウバガアアアアアアアアッ!!」
黒マントを脱ぎ捨てた肥満男がボクに掴みかかってきた。顎に肘打ちを入れると歯と血をまき散らしながら錐もみ回転で霧の中に消えて行った。
「ちょっと強く殴りすぎたかな……」
むせかえる程の人の匂いが立ち込め始める。汗、体液、血が飛び散り肉と肉がぶつかり合い狂乱の宴は盛り上がっていく。ボクはマントを触る奴体に触れてくる奴をぶちのめしながらアイを探す。
「臭いしうるさいし目はチカチカするし」
床は色んなものが飛び散ってヌルヌルするけど滑らなかった。小さな穴がいっぱい開いたパンチング加工され流れ出る仕組みになってるっぽい。
「アイはどこ……」
BGMが代わって天井から雨のように水が降り始めた。
「シャアアアア!」「キュアアアアアアア!!」
周囲の全裸人間たちが狂暴化した気がする!!襲ってきた男女を蹴り飛ばしてアイを探す。そろそろ素手で殴ったり蹴ったりする面倒になってきた。
「デモンズエッジ・スキャバード!」
刃のついてない木刀をイメージして抜く。鞘と木刀剣で発狂全裸人間を殴って殴って探索を続ける。
「邪魔邪魔ぁー!アイはどこー!!」
倒れてるおっさんの腹を踏んでジャンプ!蛸踊りしてるおばさんの頭を踏んで更にジャンプ!マントフードを翻して空中回転、鞘と剣でモッシュ上等ダイブなぎ倒し!!
「ヤバ……こんな格好でこんな風に暴れるの変態すぎー!!」
と言いながらちょっと興奮した。……多分これはミレーヌの側面。
『どこからそんな武器を取り出したの?貴女は生身で身体検査も通ったはず』
アイの声がする。
「出てこーい!ボクと一緒に踊ろうよ!!」
『まさか異能者が紛れ込んでいた?その様子だとカテゴリー 2 以上……』
「は?異能者?なんでもいいけど隠れて高みの見物キメてないで出てきたら?」
片っ端から殴りまくったらいつの間にか襲って来るのがいなくなった。
『……とんでもないのが紛れ込んだようだねぇ。でもサプライズでそういうレア物を味わうのも悪くないわ』
ズルズルと何か水分多めの物が引きずる音がした。べちゃりぐちゃり。
「デモンズエッジ・スキャバード!」
剣を鞘に抜き差しして形状を変える。トゲトゲのこん棒型。
「そこだぁー!」
トゲこん棒を投げつける。肉に当たった音がした。
『狂乱の宴クライマックスです』
天井から降り注ぐ水は止まってうるさい BGM も消えた。ゆっくりとスモークが晴れていくとそこには……肉の集合体が姿を現した。
「でぃおふぇjぽえjヴぇおpう S いpwqkふぉぺあおいvじおうおくぇおぴpwん」
男女の肉体がぐちゃぐちゃに集合体になっている。その天辺にアイらしき奴がいる。
「 100 の肉 100 の欲望が混ざりあい生まれ変わる。貴女というレア物を喰らい皆がステージを上げる……なんという素晴らしい日でしょう」
「気色悪……」
あの全裸男女たちはもう助からない?でも生まれ変わるとか言ってるし何か再生する術があるのかも?
「そいつらはどうなるの?」
「私が産み直します……混ざり合わせより強い絆をもつ集団として……」
アイの体が黒く変色していく。皮膚は硬質化して髪の一部は触角のように。両手足はかぎ爪状に変化して顔は昆虫のように変わっていく。
「アリ……!?」
「女王蟻です……ここは私の巣。サクリファスシップは……夢の国。偉大なる存在に選ばれた私は―」
「 DMC の幹部なら他にもアジト知ってるよね?吐いてもらうからー!!」
トゲこん棒を引き戻して鞘と合体。左手にはグレイブラスターを出現させる。
「弾着!キャリバー!!」
全身をピッタリとしたスーツで覆う。顔はサイバーゴーグルをイメージした形状に。
「キャリバーだと……生きていたのか」
「違うね!ボクは二代目!!光と闇が合わさった最強の戦士!!(でまかせだけど)」
言ってて恥ずかしくなるような言葉だけどミレーヌの側面のせいかノリノリで言える。
「キャリバーなら容赦はしないここで始末する!!」
口から何かを吐き出した。ボクは大ジャンプで回避。床が煙を上げてるのが見える……酸かな?
「ブッシャアアア!!」
酸を連続で放つアイ。ボクはグレイブラスターから炎の噴射で空中ダッシュ回避。
「おのれちょこまかと……私のフェロモンが効かない時からオマエはマークしていたよ」
「うげぇ~あのスモークってオマエのフェロモンなの?気色悪……」
ブラストダッシュで独楽回転してこん棒を蟻アイに叩きつける。肉の塊から吹っ飛ばした。だけど手ごたえはそんなに良くない。
「硬ぁ……」
DMC の怪人は硬い。昼間戦った変態怪人もボクの攻撃でダメージはあんまりだったし。
「だったら……」
デモンズエッジ・スキャバードを変形。今度は鉈に変えるこれで叩き斬る!もっと強力な武器に変える事も出来るけど消耗が激しいしここぞという時まで温存する!
「よくもこの私を殴ったね……」
肉の大塊にかぶりつく蟻アイ。おぞましい悲鳴を上げる肉塊、痛覚はあるみたい。
「嬲り殺してくれる!!」
蟻アイの腰から次々と手のひらサイズの羽アリが飛び出してきた。巨大羽蟻の大軍でボクを食い尽くすつもりかー!
「グレイブラスター!」
散弾をマシンガンめいて発射、巨大羽蟻を木っ端みじんに迎撃する。
「クキイイイイイイイイイイイイイイッ!!」
肉塊に潜り込みながら喰いあさる蟻アイ。あんなに食べたら生まれ直し出来る人数減るんじゃないかな?
「ギシャアアアアアッ!!」
蟻アイが肉塊から飛び出て右手に付いたニードルで刺突してきた。軽く鉈で弾いて反撃の切り返しを昆虫の形になった顎に叩きつける。
「のろまな刺突!?舐めるな!【剣の魔女】を!!」
……っとミレーヌの側面が。
「グシャアア」
仰け反る蟻アイ。ナメた刺突されて俄然燃えてきた。
「デモンズエッジ・スキャバード!」
鉈をサーベルに変える。
「白百合の剣!」
蟻アイのニードル攻撃を全ていなして逆に刺突をいれる。
「ブシャアアア!」
酸攻撃もなんのその。剣の捌きで全て散らして口内を突いてやった。口の中は硬くなかった緑の体液を吐いた。
「ギャエエエエ……バカな……なんの異能者だ……物質転送じゃないのか」
「だから異能者じゃないって。光と闇の力を合わせ持つスーパーヒーローガール二代目キャリバーだ!」
「おのれキャリバー……」
「フェロモン、酸、それに見たところそのニードルにも毒が付いてる。これまで腕自慢もサイバネも圧倒してたんだろうけどボクには通じなかったね」
「……お前がハンマーキングも斃したのか?」
「ハンマーキング?……もしかしてスキンヘッド全裸の変態怪人?」
「やはりお前か………」
「違うよー……あの変態は超イケメン最強ドラゴンに瞬殺されたんだよ」
「何?……何だって?ドラゴン??それにハンマーキングを瞬殺だと……!?」
「そう、瞬殺。何もできないままイケメンドラゴンにやられてたよ」
「バカな!人間を超越した我らがそんな!!でたらめだ!!」
「でたらめかどうかすぐにわかるんじゃない?それにボクなんてイケドラに比べたら全然なんだよ。 DMC はそのイケドラにターゲットにされてるから終わりだよ?死にたくなかったらここで知ってること全部吐いて牢屋に入っちまいなって~」
「ハイそうですかって言えるもんか!ここでお前を殺して私はそのドラゴンとやらに備える。 DMC はやがて世界を征服するのだ!!」
「第二ラウンドってわけだね」
肉塊から二体の蟻怪人が這いずり出てきた。なるほど、早速産み直しをした訳だ。
「3対1だキャリバーお前に勝ち目はない」
「それはどうかな~」
でも正直余裕はない。こいつら硬すぎてグレイブラスターの弾丸が効きにくいから速撃ちで瞬殺って訳にはいかないから。
続く
ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃40「和音と亜… Feb 25, 2023
ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃39「エピロー… Feb 19, 2023
ReviveTheGunSword灰蘇の剣銃38「柄留と亜… Feb 12, 2023
PR
Free Space
Freepage List
Calendar
Category
Comments
Keyword Search