
ReviveTheGunSword 灰蘇の剣銃
23
「怪人王と黒い影」
硬い外皮をぶち抜くには徹甲弾かそれとも……対戦車ロケット弾かな。
700 ㎜の戦車装甲をぶち抜くロケット弾ならアイツらも爆散するはず。
問題はロケット弾は無反動砲で撃つ弾って事。普通に撃てば反動が凄すぎるし多分ボクは吹っ飛ぶ。
……
…………
そうか!吹っ飛ぶならそれを利用すればいいんだ!
「グレイブラスター!」
グレイブラスターの銃口に尖がったトウモロコシ型のロケット弾を装着する。
「大層なものを出したが当たらなければ意味はない。それにここでそんなものを撃って外せば崩落の危険があるぞ?」
「大丈夫、絶対当てるから」
右手に白百合の剣、左手に対戦車ロケット弾グレイブラスター。
女王蟻のアイは後ろに下がって新たに生まれたアリ怪人が 2 体がジリジリと距離を詰めてくる。
コイツらをやっつけるのはいいけど騒ぎを聞いて外の連中とかいっぱい来て大混乱になるのは避けたい。ここはビシッと決めてアイから情報を吐かせる!
「デモンズエッジ・スキャバード!ソハヤノツルギ!!」
白百合の剣を変える。亜瑠ちゃんが動画見せてくれた刀だ、右肩に背負って投擲の構え。
「シュウアア!」「ギシュアアアア!」
同時に襲って来るアリ怪人。ボクはソハヤノツルギを投げつける。高速回転したソハヤノツルギは青白い光輪となって飛ぶ。
「グェッ!」「ギャォッ!」
右のアリ怪人の頭部をカット、肉片をまき散らしもう一体のアリ怪人の首を撥ね飛ばす。
「やった切れ味抜群!そのまま蟻アイにいけ―!!」
蟻アイは体を反らせて回避。ボクは追いかけて距離を詰める。
「この距離なら外さない!」
「バカが!オマエも巻き込まれるぞ!」
「それはどうかなー!」
軽くジャンプして対戦車ロケット弾を発射!反動で吹き飛ばされるボク。錐もみ回転しながら戻ってきたソハヤノツルギを回収。空中で勢いを殺して着地を決めた。反動で吹き飛ばされるのなら自分から飛んで体勢を整える。飛び散る色んなものからも距離を置けて丁度いい。
「どうだー!」
爆炎の向こうに人影が見える。よかった、木っ端みじんになってたらどうしようかと思ったよ。
「グオオオオオ……」
胴体の外殻は吹き飛んでズル剥け状態。昆虫っぽい触角やかぎ爪も所々無くなってた。
「ヨクモ……ワタシをこんな姿に……」
「もう一発ぶち込まれたくないなら質問に答えて欲しいな」
「……口を割ったらもう終わりだよ。ワタシは破滅だ、話すわけないだろう」
「そりゃそーか。じゃあ無理やり喋ってもらおうかな」
剥き出しの皮膚が無くなった胴体に催眠弾を 3 発撃ち込んだ。
「ギャアアアアアアア」
「さっさと喋ってね~こんな所に 1 秒もいたくないんだから」
血と肉とありとあらゆる体液、薬物の混ざりあったこの空間は常人だととっくにおかしくなってる。ボクが光と闇の最強スーパーヒーローガールで良かったね。
「 DMC のトップは誰?」
「 D …… DMC のトップは……トキナガ様……スズ様の両名」
「そいつらは何者?」
「怪人王よ……圧倒的美しさと気品さを合わせ持つ男女……知ってるのはそれだけ」
うーん……その二人の事は情報屋ソギカワに調べさせるかな。
「 DMC はこんな怪人モンスターカルト教団なのはなぜ?」
「元々は違った……ファッション的な悪魔崇拝で外に出回らない特殊なドラッグや条約で禁止されてるペット、他では見れない体験できない残酷なショーを楽しむセレブの娯楽集団だったのよ……」
「へぇ~……(なるほどね、蒐魅も激怒するわけだ)それで?」
「ある日小汚い服を着た少女をトキナガ様スズ様が VIP ルームに連れてきた。最初は皆特別なショーの犠牲者かと思ってた……野獣の檻に入れて食べさせたり絶対に脱出できない死のゲームに参加させたり毒を食べさせてのたうち回らせたり焼きゴテで全身を焦がしていくのか何なのか楽しみにしてたわ」
「……聞くだけでめちゃくちゃ嫌な気分になった」
あまりに惨い内容。左手のグレイブラスターを理性で抑える。
「隣にいた男性らは解体して何処を食べるかなんて話をして……」
「もういい、お前たちの趣味の話は吐き気がする。その謎の子供と DMC の変化となにが関係あるっていうの?」
「小さな黒い箱を手に持ってた。それを開けると真っ黒な泥のようなものがあふれ出てきて、マジックか何かだと思って全員見ていたら……気が付いたら足首まで泥に浸かって動けなくなってた。そして目の前でトキナガ様、スズ様は異形の姿へと変わられた。角の生えた悪魔のような姿に……」
「それで?」
「トキナガ様が言ったの『 DMC は世界を変える。その為に私とスズは生まれ変わったのだ』と言って宙に浮いて見せた。そして目から光線を放ってシャンデリアを落としたの。落ちてきたシャンデリアをスズ様が空中で受け止めてそっと泥の中に置いた」
「それから?」
「特別なドラッグを渡すと言われて全員に錠剤の入った小瓶を配られた。箱を持って現れた小汚い少女はその日以来見ない」
「……お前は何時から怪人に?」
「怪人王のお二人に貰った小瓶のドラッグにどっぷり嵌って気が付いたら見たことも無い病院のベッドに寝ていてその時にはもう怪人化していたわ。それからドラッグは副作用も無く楽しめるようになったの」
なるほど……和音君が倒したハンマーキングこと全裸怪人も同じような事言ってた。それにしても怪人王の横に居た謎の少女の正体は何者?……でもこれは怪人王の二人を捕まえて聞き出すしかないかーいや~かなりの収穫。
「怪人王のトキナガとスズに会うにはどうすればいい?」
「わからない……こちらから連絡を取る手段はない。いつも違う使者が来て集合場所を告げられる……」
ふーむ……このくらいかな?催眠を解除する覚醒弾を撃ち込む。
「こここここここころされる……ころされるううううううううううう!!怪人王にころされるううううううううううううっ!!!!」
頭を抱えて床に伏す蟻アイ。この後コイツがどうなってもボクは知らない。さっさと脱出しなきゃ。
「ぃおふぇjぽえjヴぇおpう S いpwqkふぉぺあおいvじおうおくぇおぴpwん」
肉塊が呻いてる。アレはどうしたらいいのか。放っておいても怪人の素材にされそうだしここは介錯してやるかー。
「よーし」
グレイブラスターでグレネード弾を撃って肉塊を爆裂させた。
ホールの扉のロックをソハヤノツルギで破壊して階段を上って行く。服を預けた所まではキャリバーの姿で行くしかない。さっきまで居た門番とか案内の奴が消えてる。逃げたのか別の誰かに知らせに行ったのか。
服を回収してグレイブラスターをしまってキャリバー姿を解除する。着替えて外に出るとサイレンの音が聞こえてきた。誰かが消防に通報したのかな。
「ん?」
大勢の足音が聞こえる。こっちに向かってきてる。
「ここはキャリバーにもう一回変身しておいた方がいいかも」
キャリバーに変身するボク。数秒後に黒マントフードの連中大体 30 人くらいが現れた。
「キャリバーだ……」「奴はやっぱりまだ居たのか」「前と少しちがうな」
「二代目だからね」
目の前の黒マントフードたちは次々と変身していく。蟻アイのような上級会員の幹部怪人じゃなくて下っ端の戦闘員怪人かな。上級怪人は幹部だけだからそんなに居ないはず。
「トキナガとスズもしくは謎の少女知らないかな?」
「やはりトキナガ様達を狙っているのかキャリバー!!」
「スーパーヒーローガールとしては無視できない存在なんでね」
コイツらを叩きのめしたところで何も情報は得られないだろうし適当にあしらってバイバイするかー。
閃光弾を放って隙を作り煙幕を張りながらグレイブラスターの噴射でビルの屋上まで上がって退避。
「キャリバーのスーツをちょちょいと弄ってウィングスーツに変えてここから滑空しよ」
ムササビのように滑空!大都会のネオンの中を飛ぶ!!このまま飛べる所まで飛んでタクシーを拾って和音君が待ってる功太朗の家まで向かおう。
グレイブラスターにデモンズエッジ・スキャバード。二つの武器はボクに馴染んできている。
「蒐魅もこうやって飛んでたのかな……亜瑠ちゃんはどうしてたのかな」
キャリバーの蒐魅を追いかけてたのなら飛べてたと思うけど。白魔女というくらいだからホウキみたいなのに乗ってた?
第二地区のネオンが少ない通りに入って着地。キャリバースーツを解除する。早速和音君に連絡しなきゃ。
「和音君、潜入成功した!情報も集めて来たよ」
『よくやった。自力で戻ってこれそうか?』
「タクシーでも拾おうかなと。ダメそうだったら守山探偵事務所にかけてみる。そっちは何も無かった?」
『……襲撃に一度あったが撃退した。この前の工作員の仲間だった』
「あー……ブラックヴァリーとかなんかだっけ。って事は功太朗を狙う院瀬見の派閥に居場所知られちゃったのかな」
『ああ、そうだな。それと罅助からも連絡があった、襲撃のことを話したら隠れアジトのガレージに移動すると言ってた。比留山刑事には話を通して置いてくれると』
「オッケー、じゃあすぐに戻るね」
***
タクシーは捕まらなかったから守山探偵事務所の男の子に運転してもらって家に戻った。家の周辺が穴ぼこだらけ、和音君と襲撃者が戦った後かな。
「ただいまーお外凄い事になってるね」
「ん、無事だったか。襲撃者は思いの他暴れる奴だった、捕らえて警察に突き出したが」
和音君がキッチンでコーヒーを入れてる。
「おかえりなさい。柄留さん」
服がボロボロの罅助が奥の部屋から出てきた。
「ボロボロじゃん!」
「ガレージにたどり着くまでに色々ありましてね」
「功太朗は?」
「憔悴しきっていたので薬を飲ませて今しがた寝付きました。ガレージに移動する前に少しでも休んで置いてもらいましょう。さて、自分と皆さんの話をしましょうか」
「うん」「だな」
ボクは DMC の集会所で蟻アイから得たトップ二人のトキナガとスズそれと謎の子供のことを話した。
「怪人王二人と謎の子供……か」
「トキナガと言う人物……恐らくは院瀬見の派閥の長の一人、時田麻村(おむら)かと」
罅助が写真を見せる。時田は自信満々で傲慢を絵にかいたような顔をしていた。
「名前は時田で派閥の長だから【時・長】トキナガって訳か」
「でしょうね。もう一人のスズという女性は恐らく……時田の妻の樹鈴(ジュレ)」
これまた底意地の悪そうな腹黒い顔をした女。
「確証を得るためには会うしかない……か」
和音君が言った。
「二人に会うには……功太朗さんには悪いのですが彼に協力してもらっておびき寄せるのが手っ取り早いでしょうね」
罅助はサイバーゴーグルを装着して仮想タブレットを忙しく操作して色々調べながら言った。
「でもどうやって話を持ちかけるの?功太朗がいきなり会いたいっていっても警戒されるんじゃ?」
「そこは……不本意ですが七曲キョウヤを利用しましょう。第六地区の守護の借りを返させる形で話を進めればいけるかと」
「派閥繋がりのある七曲キョウヤなら時田の居場所も判る……か」
「ええ、第六地区の襲撃を計画した鈴村影彦の派閥は失敗できない。完全に撃退すれば他の派閥は動きをみせるはずです。そのタイミングで七曲キョウヤに話を持って行きます」
「七曲キョウヤを雇っている派閥が時田だったらどうするの?」
そう、もしかしたらって考えちゃう。
「それはそれで良いでしょうね、狙いがハッキリしますから。心配なのは他の派閥が協力して全て敵に回った場合です。功太朗さんは今でも院瀬見内で影響力はありますが社員に協力を頼んでも精々時間稼ぎくらいが関の山でしょう。取り込まれた元メンバーが無茶できるとは思いませんしね」
「え~白状だなーメガコーポのサラリーマンって……」
「そんなものでしょう皆生き残りに必死ですからね」
「怪人王と謎の子供についてはそれで追うとするか。罅助、ガレージの方はどうだった?」
「ボクも聞きたい!」
「わかりました話しましょう」
罅助は一度深呼吸をして座る体勢を変えた。
「念のために自分の持っている最高の装備を持って地図を元に第五地区の廃地下鉄に向かいました。通信は途切れないように光伝送通信の携帯中継器を持ってまずは水路から地下に入りましたしばらく進むと悲鳴が聞こえて来ましてね」
「悲鳴?」
「ええ、恐らく地下水路を溜まり場にしているならず者のサイバネでしょう。隠れながら見に行くと……案の定サイバネ連中で、既に 3 人は無残な肉塊になってました」
「それで奴らを肉塊にしたのは?」
「サイバネ同士の争いかと思ったのですが……残った二人はしきりに濡れた地面を気にしてヒートハンマーと電磁ボウガンを構えてました。すると二人の背後の水たまりから音もなく飛び出す物がありました。あれは鮫かなにか背ビレのような物……しかしあの水たまりの浅さではあり得ないんです。背ビレに気が付いた電磁ボウガンのサイバネが撃ちました。一瞬で背ビレは消え電磁ボウガンの足元から黒い影が飛び出し両足を食いちぎったのです。慌てて飛びのいたヒートハンマーのサイバネに黒い影は頭から飛び掛かり頭部を食いちぎりました」
「ええー!?なにその黒い影??」
「シルエットは鮫のようなイルカのような感じでしたね。で、両足を失ったサイバネは地面に這いつくばったまま逃げようとしますが下から物凄い勢いで打ち上げられ天井に叩きつけられ落ちてきた所を食いちぎられて死にました。幸いアジトに向かう方向に黒い影は去っていかなかったのでそのまま完全に姿を消すのを待ってから移動しました」
「罅助は普通の人間なんだからそれで正解だよ」
「はは……これでも高価な戦闘用インプラントの装着と制御ドライバーを持ってるのですが……まぁ和音君は言わずもがな柄留さんにも並ぶかどうかですね」
「それからどうした?」和音君が聞いた。
「地図に従って廃地下鉄の線路に入りました。想像してたよりもかなり危険な場所でした、重火器を装備したセキュリティロボットを殲滅するのに手こずってこの様です。功太朗さんはそんな物がいるとは言ってなかったので驚きましたよ」
「……黒い影と重火器セキュリティロボ、第五地区の地下で活動している者がいるのか」
「でしょうね……なので心配したのですが功太朗さんのガレージアジトは無事でした。見つけられなかったのかそれとも扉を開けるのを断念したのか」
「ガレージの様子は?」
「一言で表すならシェルターです。頑強な壁に区画壁、生活に必要なものは全て完備にサイバネ手術台にロボドクター、武器に弾薬に保存ボックス。全体の面積としては 4 人くらいが住めそうな広さです」
「へぇ~よさそうじゃん」
「ここよりは安全か……オレが撃退したようなのが何度も来ると面倒だ」
「えー!?和音君何があったか話してよ」
続く
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