未完成のブログ

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Jan 9, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその1

『―勇者編―』

 夜の森を駆ける少年、名前は【ユウ・シーア】
 剣を背負い腰にはバッグを下げている。


「はぁはぁはぁ……」

 暗闇を疾走する相手を追い続けていられるのは彼の左目に秘密があった。

【魔眼】

 ユウの魔眼は痕跡を追う事が出来る。



 ユウの魔眼に映るのは黒衣の逃亡者。痕跡を浮かび上がらせたその逃亡者は少年よりも速くすぐに離される。動画のリプレイのように何度も視ることが出来るが使用時間には限度がある。新しければ新しい程精度は増し視た瞬間から徐々に失われていく。

 逃亡者の痕跡を浮かび上がらせ斬撃を入れるには少年の攻撃速度も考える必要があり、現状の目の前の逃亡者を浮かび上がらせても攻撃は届かない。

「1秒、いや0.5秒でも動きを止めなければ」

 ここで変身するか?

 ユウは迷う。手持ちのカードは4枚。

 獅子王
 蛇の暗殺者
 チョウチンアンコウ
 僵尸(キョンシー)


「獅子王使いたいけどこれは切り札に残しておきたい……」

 世界的に有名なカードゲームによく似たデザインのカード。それもそのはず。ユウの一族が経営する会社が発行しているのが世界的有名な【ワールドファンタジーデュエル】



 「くそ……さっきペガサスナイトを使うんじゃなかった。不安はあるけどこの中で一番速いのは蛇の暗殺者か」

『セット』

 腰のバッグからカードを取り出しバックルに取り付けたホルダーに刺しこむ。

『蛇の暗殺者』

 蛇の暗殺者は鱗に覆われた細身の人型上半身、下半身は完全に大蛇の姿。



 体を光が包み込む。鎧となった蛇の暗殺者を纏うユウ。

「あーあ……」

 モニターを眺めるのは片目を髪で隠した別の少年。名前は【ケン・シーア】ユウの弟である。

「この試練ではランダムでデッキから選んだ5枚を使いこなさないといけない。それなのに一番スピードの出るペガサスナイトを最初の索敵に使って消費なんて呆れるよ。俺だったら最初に蛇の暗殺者を実体化して居場所を確認させたらペガサスナイトに乗って上から接近、武器に獅子王をセットして範囲攻撃で仕留めるね。着装は必要ない」

「ふむ」

 少年の横で見ているのは体格の良い中年の男性。ユウとケンの父親である。

「だがユウは着装適性が高い、まだ分からないぞ?」

「ですが父さん! いくら着装適性が高くても馬鹿で不器用なアイツは駄目です!!」

「ケン、ユウが嫌いなのは知っているが自分の兄の事をそんな風に言うものじゃないぞ、お前が優秀なのは解っている」

「……はい」

 ケンと呼ばれた少年は納得いかない表情で口をとがらせて言った。

「ユウが試練を乗り越えても何も困る事は無い。ケンはケンが目指す勇者になればいい」

「ですが勇者と認められるのは一人です、ユウが目指す意味はありません」

「どうかな? そう考えているのはケンであって私はそうではない」

「……」

 ケンは拳を握りしめる。ユウを罵倒してこれ以上父親の評価下げたくなかった。

「ハァハァハァ……」

 蛇の暗殺者を着装したユウは息を切らせながら徐々に遠ざかる逃亡者の背中を視る。実際の蛇のように蛇の暗殺者は温度で周囲を感じることが出来る。魔眼との合わせ技でユウは逃亡者を捉え続ける。

「追いつけない……追いつけないけど……」

 獅子王
 チョウチンアンコウ
 僵尸(キョンシー)

 残りはこの三枚のカード。

「僵尸(キョンシー)を召喚! チョウチンアンコウのカードを持たせて逃亡者に突撃!」

叫ぶユウ、顔色の悪い腕を伸ばした僵尸(キョンシー)が出現、チョウチンアンコウのカードを僵尸(キョンシー)の指に挟んで突撃させる。両足を揃えたジャンプ、ミサイルのように前へ飛んだ。

「僵尸(キョンシー)が飛んだ!?」驚くケン。

「ほう、あれは飛僵(ひきょう)だな。長い年月を経た僵尸(キョンシー)は神通力を使い飛ぶのだ」

「たまたまレア個体を引いたのかな」

「いや、ユウは手持ちのカードを鍛えていた。ユウはたった1デッキ、ケンのように7デッキも持っていないがその分磨きをかけている」

「手札が多い方が臨機応変に対応できます」

「そうだな、しかし今回の試練のような場合ユウのデッキは強い」

「俺なら僵尸(キョンシー)なんてデコイに使う程度ですよ」

「魔眼の特性もユウとケンでは違う。ユウは過去の痕跡を見て浮かび上がらせるのに対しケンは未来を見て浮かび上がらせる。戦法も違ってくる」

「俺の魔眼の方が戦闘向きですしリスクも少ないですしね」

「ユウとケンが戦えばケンが圧倒的有利だろうな。だが勇者の適性とはまた別だ」

「強い者が勇者にふさわしいです」

 父親とケンはモニターを見つめたまま話している。

「ハァハァハァ……もう3分経ったか? チックショーこれでもうケンの記録は超えられないかー! せめて試練はクリアしたい」

 弟のケンは既に去年2分47秒で試練をクリアしている。

「あと7分でクリアしねーと今回も失敗してしまうぞ」

 スマートウォッチのタイマーを確認するユウ。

 飛ぶ僵尸(キョンシー)が黒い逃亡者に到達する。

「今だ! チョウチンアンコウを召喚!!」

 僵尸(キョンシー)の指に取り付けておいたカードが発動する。召喚されたのは小さな魚のモンスター。

「――」

 気が付いた逃亡者は振り向きざまに僵尸(キョンシー)を攻撃、黒い直刀の斬撃が僵尸(キョンシー)の腕を切り落とした。その時小さな魚が逃亡者の肩に食いつく。

 チョウチンアンコウのオスは小さくメスに取りつき融合される。ユウの召喚したチョウチンアンコウのモンスターも同じような性質を持っている。
 違いは本物のチョウチンアンコウのオスは繁殖の為に融合するがモンスターの方は気付かれないまま生命力を吸い取り道連れにする。

「間に合うかな」

 追うユウ、チョウチンアンコウの効果で逃亡者は体力を奪われ徐々に速度が落ちている。

「この調子で弱っていけば時間内に倒せる」

 残りのカードは獅子王のみ。現在着装している蛇の暗殺者は解除するとデッキに回収され試練中は使えない。

「……よし、魔眼発動! 過去の痕跡を浮かび上がらせる!」

 前を走る逃亡者の数秒前の姿の幻影が浮かび上がった。ユウとの距離は3m。

「この距離なら届く!獅子王ー!!」

 獅子王のカードを発動、全身を黄金の鎧で固めている獣人が出現。

「うおおおおおおおおっ! 着装!!」

 ライオンモチーフの兜、重厚で豪華な黄金を纏うユウ。背負っていた何の変哲もない自分の両刃剣を抜き上段に構える。獅子王の力で黄金の輝きを発する。

「凄剣イクスバーン!!」

 ユウが名付けた必殺技。実際には獅子王の力を込めて一気に放つもので名称は無い。
 逃亡者の残像が光の剣で両断される。同時に前方を走る逃亡者も同様に両断される。

「やった!」

 ユウの魔眼で浮かび上がらせた過去の残像に起きた事は現在の対象にも同様に起きる。過去に干渉する事で現在を改変するものである。

「試練クリアーだ!!」

 両手を上げて飛び上がるユウ、その様子を眺める父親とケン。

「ユウ、去年とは比べ物にならないほど成長したな」

 忍者のカードを持つ父親。試練の逃亡者は父親が忍者のカードから召喚したものであった。

「父さん! 俺やったよ!!」

 目の前に現れた父親に拳を突き出してグータッチを求めるユウ、父親は微笑んで応じる。それを面白くなさそうに見ているケン。

「ふん、実戦ではどうだか……実際の敵を攻撃できるのかユウは?」

 ケンは眉をひそめて父親の後ろから言った。

「で、できるさ!」「ふーん……」

「さぁ帰ろう。財団の皆に報告しなきゃな」

***

 ――8か月後。

「先方には話を通してある。現地に着いて案内人に話を聞いたら任務開始だ、協力するもよし個別で行動するもよし」

 ユウとケンの父親が行った。

「これで勇者が決まるのですね」「緊張してきた……」

「この8カ月でお前たちは成長した、財団はこの任務終了後勇者の称号を与えると約束した。ユウ、ケン父さんはお前たちが無事に帰ってくることを望んでいる無理はするな」

「任せてください!」「頑張るよ!」

 飛行機に乗り込むユウとケン。父親は見えなくなるまで二人を見送った。


 大阪国際空港に到着するユウとケン。迎えの車の前に深紅のドレスの女と細身で鋭い目つきの男が立っており手を上げた。

「お待ちしておりましたユウ様ケン様」「さぁどうぞこの車で現地に向かいます」

 細身の男は運転席にドレスの女は助手席、ユウとケンは後部座席に乗り込んだ。

「ここから流王山に向かいます」

「それだけ?」ユウが言った。

「はい、我々の拠点がある場所までお送りいたします。到着後任務をお教えしますのでそこからはご自身で情報を集め解決して下さい。1日1回の報告は必ずお願いいたします」

「あんた達は財団の監視役兼案内人であり手伝ってはくれないって訳ね」

 ケンが言った。

「パーティーを組むことは禁止されていません。ご自身を含めて4人まで、必ず財団に連絡を。違反があった場合ペナルティが課せられます」

「ふーん……じゃあアンタをパーティーに入れることは可能? 一番優秀そうだし」

 ケンはドレスの女に向かっていった。

「可能ですが全ての行動は財団に把握されていますのでリスクは大きいですよ?」

「それはめんどくさいな……パーティーに居れようと思ったけどいいや」

「拠点には後二人フリーの財団の人間を用意しています。その者でしたらどうぞ」

「じゃあそっちのがいいか」

 車は北へと向かう。

***

 ――流王山中の小屋。

「大阪っていってもここは完全に山の中だなぁ」ユウは小屋のソファに座って言った。

「監視カメラに結界、上空からも見えない山中の小屋か……成程」ケンは車から降ろされた荷物を確認しながら言った。

「じゃあ早速任務とパーティー組める人を見せてよ」

 くつろいでいるユウを無視してケンはドレスの女性に言った。

「では……ハオラン、ターニャ」

 作業服に長身の人懐っこそうな笑顔を浮かべた日焼けした男ハオラン。
 毛皮のコートで目の下にクマができた異常なほど肌が白い女ターニャ。

「見た感じハオランは前衛か……ターニャは後方支援……俺の魔眼に合わせやすいのは後方支援のターニャだな、前衛は巻き込んでしまうかもしれない」

 ケンはそう言ってターニャの前に立った。

「宜しくターニャ!」「宜しくお願いしますケン坊ちゃま」

 ユウを無視して話を進めるケン。それをみていたドレスの女性がユウに話しかける。

「ユウ様よろしいのですか?」

「え? ああ……いいよいいよ……着いたばっかりで落ち着かなくて頭回らないし」

「左様ですか」

 そのやり取りを聞いて鼻で笑うケン。

「時間は無駄にしたくないし任務の説明してよ」

「あ、ちょっと……」慌ててソファから立ち上がるユウ。

「ではこちらに」

 ドレスの女性は奥の部屋にあるモニター室に移動する。

「今回の任務は潜伏した【凶(マガツ)】の一人の始末です」

「む……」「えええええええっ!?」

「世界中で大暴れした【凶】は壊滅しましたが生き残りがこの近くに潜伏しているとの情報を掴みました」

「そんな大物を俺たちに始末させようだなんて父さんも財団もキツイな」

 ユウが呟いた。

「【凶】の4大幹部ならまだしも残党なら余裕だよ」

 ケンが言った。

「潜伏しているのは【凶】の首領の息子です」

「なんだと!」「ええええええええええええええええっ!?」

「この地で首領の息子は密かに勢力拡大して【凶】の復活を目指していると思われます」

「そ、そんなの俺たちに倒せる!?」思わず身を乗り出すユウ。

「ユウ! 倒せるかどうかじゃねえ、やるんだよ!」

 ケンはユウを睨みつけて言った。

「続き、よろしいでしょうか?」「ああ、続けて」

 モニターの画像を切り替えるドレスの女。

「財団は警察と協力して交通網を監視、最後に確認された首領の息子の姿がこれです」

 白いワゴン車から出てくる青年の姿、暗い青髪の他は何の変哲もなかった。

「【凶】は生贄を使う儀式をする者達です、行方不明者を調べるなどすれば良いかと」

「近くにいるとは限らないんだろう?」ケンが言った。

「ええ、最後に目撃されたのが街中だというだけです」

「なるほど……まずは情報収集からだ。ターニャ行くぞ」

「はい!」

続く





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Last updated  Jan 9, 2024 09:09:28 PM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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