未完成のブログ

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Jan 20, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその2

 カバンを背負ったケンはターニャを連れて小屋を出ていく。残されたユウは頭をかきながらソファのある部屋に戻り自分の荷物からカードデッキを取り出した。

「【凶(マガツ)】の首領の息子ってうわぁマジか~……」

「ユウ様、質問等ございますか?」

 ドレスの女が言った。

「えっと……最後に目撃された場所が知りたいね。あとハオランの特技も」

 ユウが視線を送ると真っ白い歯を見せてサムズアップするハオラン。

「坊ちゃん! 俺の特技は獣化と近接戦闘! ハイエナ獣人だヨロシク!!」

「よ、よろしく!!」



 ドレスの女性が言った。

「姉貴たちにどやされて勇者様のパーティーに入って来いって言われてさぁ。面白そうだしいっちょやってみっかて参加したらこんな大仕事が待ってたとはなー」

「そうなんだ……」

「財団のシーア家・勇者候補と組む事なんて一生に一度あるかないかだしテンションあがるわ」

「ゴメンおれシーア家の長男なのに財団の皆の事あんまり知らなくて」

「気にすんなって! 俺はユウ坊ちゃまで良かったって思ってるぜ、ケン坊ちゃまは何か合わなさそうだし」

「がんばるよ、おれ!」

「さて何から始めるよユウ坊ちゃん」

「えっと……とりあえず坊ちゃんやめない?外で聞かれると恥ずかしいよ」

「ああ、分かった。じゃあユウ様……これじゃあ目立つか、ユウ君か?」

「ううん、呼び捨てでいいよ」「了解!」



「首領の息子が目撃されたのはどこ?」

「ここですね」

 ドレスの女がマーキングする。

「この猪名川の近くの公園です。橋を渡って西には行ってませんね」

「ありがとう、まずはここに行ってみる。この拠点にはいつ戻ってきても大丈夫なんだよね?」



「じゃあ荷物はここに置いておいて……必要なものだけもって街に向かうよ」

「はい」

***

「ククククク……」

 薄暗い講堂の壇上で笑みを浮かべる男。

「いいぞもっと絞り出せ……欲を……欲を満たすことだけを考えろ」

 数十人の若い男女が交わりあっている。天井にはどす黒い液体が浮いている。
 正気を失っている若い男女は狂ったように交わりあいつづけやがて力尽きて倒れていく。

「クククククク……単純な連中は楽でいいな……東京より人数は少ないがな」

 どす黒い液体が降り注ぎ倒れていた男女に生気が戻っていく。

「サークルは手っ取り早く若くて馬鹿な連中を集められる……」男は両手を叩く。

「オイ起きろ馬鹿共、今夜のテニスサークルの会合は終わりだ! ノルマのパー券一人3枚捌いてこい」

 機械的な動きで衣服を身に着け整列する若い男女。男からパー券と呼ばれるチケットを順番に受け取り講堂から出ていく。

「ククククク……快楽と欲の循環。一度でも俺様のミーティングに参加するともう抜け出せない。通常の300倍の快楽を脳に刻み込み場にいる全員分の快楽と共有する。人数が増えれば増えるほど快楽は増し止められねぇ、会合の為なら何でもするようになる」

 男の名前はジンガ。国際的犯罪組織【凶】の首領の息子。東京の本拠地を逃れ大阪に潜伏していた。
 ジンガがばら撒いているパー券(パーティー券)は呪符である。
 ジンガの術にかかった者は本人が解除するもしくは他の術で上書きする他にない。
 強力な呪符はジンガが自分より弱いと思った者にしか効果は無く失敗すれば全ての呪符は消滅、掛かっていた術も強制解除になる。

 操っている者に呪符を配らせて術を発動する事にリスクはあったが一度でもミーティングに参加したものはジンガに逆らう事はできず用意に呪符の罠に嵌る。

 娯楽に飢えた若者をおびき寄せ強烈な快楽で骨抜きにして呪符で操る。この方法で既に50人を下僕にしていた。

 空中に浮いていた黒い液体は首領が所有していた宝の一つである。ジンガは逃げる際にその宝を持ち去っていた。宝とは【邪眼】の事である。

「こいつ【邪眼】が完成すればこの国で一番妖の集まる京都に移動して、邪眼の持つ【完全魅了支配】の力で最強の妖を下僕とする! 既に最強陰陽師は倒れ九尾の体も滅ぼされた、だがそいつらを倒した奴らの中に俺様の求める妖が居るはずだ……」

 【凶】は【真邪王】と呼ばれる存在の邪体を所有している組織。
 【邪眼】【邪腕】【邪脚】【邪心臓】【邪頭骨】計5つに分かれていて、それぞれの邪体を完全覚醒させ集めると【真邪王】は復活し願いをかなえる奇跡を起こすと伝えられている。

 ユウの父親セイ・シーア率いる財団の活躍で【凶】は壊滅、世界各地に散らばっている邪体を3つを封印した。残るは邪眼と邪腕。

 財団の失敗はジンガが邪眼を覚醒出来る力を持っているとは知らない事であった。首領を捕らえた時に回収した【邪心臓】は無事封印されたが邪眼の行方は掴めていない。

 ジンガはこれまで術師としての力を隠して生きてきたため財団の認識でも一般人に毛が生えた程度であった。実際は首領の父親を凌ぐ程の邪の力を持っている。

「力ってのは隠してなんぼ、いざって時にだけ見せつければいい。不用意に目立っていい事は無いからな」

 ジンガは最強の妖を下僕につけ、邪体を全て集めて覚醒させ【真邪王】の奇跡を起こして世界征服を目論んでいる。

「親父は魔王と呼ばれていたが俺様は大魔王を目指す!!」

 ジンガはパー券で配っている呪符とは違うものを取り出した。集まった者の中で一番体格の良い男の額に投げつける。

「グルううううううううううウオオオオオオオオオっ!?」

「クククク……怨霊を封じ込めた呪符を快楽で魂が弱まった肉体に貼り付ければ……」

 呪符は男の体に吸い込まれメキメキと音を立て肉体を変形させていく。頭頂部から腰にかけて無数の棘を生やし足よりも太い尾、つり上がった目、耳まで裂けた口に鋸歯、手足の爪は熊のように鋭く全身はこげ茶色に変わっていく。

「クククさぁ怨霊怪獣の完成だ」

「ベガアアアアアアアアアアアアッ!!」

「コイツで適当に街を荒らせば大学の些細な出来事なんて誰も気にしない。追手が気が付いたころには邪眼は完成、俺様はこの街にいない」

***

 公園のベンチにカバンを降ろすケン。

「明るい内に情報収集しておきたいな、ターニャはこの街でたまり場になりそうな場所を聞き込みだ、俺はカードを使って探索する」

「了解しました」

 日は少し傾き日没まで後1時間程であった。

「半径500mに絞って5体に探索させるか……」

 デッキから5枚の鳥系カードを取り出し実体化させる。

「奴がフラフラ外を歩いてるとは思わないけど念のために網を張らなくちゃね」

「では行ってまいります」

 ケンから離れ聞き込みを開始するターニャ。彼女は香水と声、動きで幻惑するダンサーアサシン。傍から見ればストリートダンサーに見える衣服である。
 ターニャは幻惑を使って警戒心の強い人間をものともせずに聞き込みを続ける。そして路地裏の古めかしいアパートの階段に座っている男を見つけた。

「パー券売らなきゃなんないんで~買ってもらえますかぁ~?」

 うすら笑いを浮かべる様子のおかしい若者。

「パー券?」「そう、パー券。ウチの学校の者じゃなくても若けりゃ全然OK!」

 パー券を見つめるターニャ。何かの手がかりになると思い買い取った。ターニャは念のために着けていた手袋で受け取る。アサシンの習慣で素手で物には触らない。

「ありがとね~じゃあ明日16時大学の講堂に集合~」

 ふらつきながらアパートの階段を登っていく若者。

 ――日没後公園。

「ケン様、怪しい男からこれを受け取りました」

 ターニャはパー券をケンに見せる。

「……へぇ、これは仕掛けがあるね。よく引っかからないで持ちかえってくれたよ」

 ケンは未来が視える魔眼でパー券を確認し自分が素手で触った状態を見た。どす黒い靄が発生し体に何らかの影響を与えていた。

「じゃあコイツだ【鷹の魔女】召喚!」

 カードから鷹の頭部をした白い衣の魔女が召喚される。

「ターニャの持ってるチケットを解析しろ」「了解」

 鷹の魔女が杖をパー券にかざす。紫色の光を放ち始めるパー券。

「これは……!」

 パー券から黒い手が伸び鷹の魔女の頭部を掴むのが未来視で見えた。ケンは慌てて鷹の魔女を解除する。

「もうちょっとで鷹の魔女を持っていかれる所だった……でもこれで術者のいる方角は分かったぞ」

 指をさすケン。

「東北東ですか」

「この方角に絞って調査しよう。ターニャにチケットを渡した男のアパートにも行ってみよう」

「現地に着いた初日でここまで……速いですね」

「初動が大事なんだよこういうのは。父さんも言ってた、逃げられたら意味が無いって」

「セイ様が?流石勇者ですね」

「そうさ、父さんは最高の勇者なんだ。財団が長年手を焼いていた【凶】を壊滅まで追い込んだんだから……あの傷さえなければまだまだ勇者を続けてたはずさ」

「【凶】の邪体の封印を続けるにも勇者の力が必要ですからセイ様の偉業には財団総員感謝しております」

「首領の息子を捕らえれば後は有象無象の残党だけ、残り二つの邪体もすぐ見つけて封印するだろうねこれでしばらくは安泰、俺が勇者に更に盤石さ」

 兄のユウとは違い着装がうまくできないケンであったが召喚術は既に父と並ぶレベルで最大10枚のカードを操ることが出来る。総合型の父と同じ勇者を目指したかったがサモナー型だと自分を納得さ鍛錬に励んでいた。戦士型のユウには絶対に負けたくなかった。

「ケン様、一度拠点に戻りますか?」

「そうだな……このチケットを財団に渡しておきたいしそうするか」

***

―日没前。

 ユウとハオランはジンガが最後に目撃された橋の周辺を調べていた。

「ユウ、もう何もないと思うがいつまでこの周辺を調べるんだ?臭いも覚えちまったぜ」

「もうちょっと待って……なんでここに来たのか気になって」

「逃げようとして警察の張り込みに気が付いたから引き返しただけなんじゃ?」

「だったらなんでここだけなのかなって。別の方角にも逃げようとすれば良かったのに」

「そりゃあ……そうだな」

「ここで誰かと会うつもりだったもしくは会った、何かを取りに来た……とか?」

「なるほどありえるねぇ。【凶】のボスの息子なら誰か支援しててもおかしくない」

「北から来てここで止まって東に向かった……」

「この周辺にあるのは公園と周囲の案内板だけだぜ。案内板も何もおかしなところは無い」

 作業服姿のハオランが案内板を調べていても違和感はなく周囲の人間が気にする様子はない。

「携帯を使えば済むから案内板なんて住宅地であんまり意味ねえよな……目印にはなるけど……」

 それを聞いたユウはハッとした。

「それだ! 目印!! 誰かと会ってたもしくは受けとった可能性は高まるよ!!」

「それじゃとりあえずこの辺りの靴底の臭いとワゴン車のタイヤの臭いを辿ってみるか」

 ハオランの姿がハイエナ獣人に変わっていく。

「背中に乗れよユウ」「うん!」

 ハオランに負ぶさるユウ、夜目がきき嗅覚が鋭いハイエナ獣人のハオランはワゴン車の臭いを辿って歩き出す。

「雨が降らないで良かったな」

 住宅街に入って行く二人。人通りも街灯も少ない。監視カメラの数もそれほど多くなくルートを調べれば殆ど映らずに移動できそうだとハオランは思った。タイヤの痕跡はアパートの見える路地裏の前で止まっていた。

「この車一台ギリギリ通れる幅の道……ユウ、見えるか?突き当りの塀の横にシートがかぶせてある。あれがワゴン車だ」

「凄いよハオラン!」

「こっからが本番だぜ、敵が近くにいるかもしれない」

「そうだよね……一旦ここは場所だけ覚えておいてワゴン車のタイヤの跡他にどこに続いてるか調べてもいいかも」

「あのワゴン車の様子だと頻繁で出てる様子じゃあないからな、他の場所にたどり着ける可能性はある。あのワゴン車自体も調べといた方がいいぜ」

「じゃあ……ここに一体待機させておくよ【怪盗コウモリ】」

 カードから召喚する。スーツを着た小さな蝙蝠が現れた。

「戦闘力はほぼ無いけど賢いし器用なんだ」

「いいねぇ」

 怪盗蝙蝠は電線にぶら下がって待機、ユウとハオランはワゴン車のタイヤ跡を追う。

「何重も重なってねぇから殆ど動かしてねぇなあの車。頻繁に動かしてる車だったら正直お手上げだった」

 またも監視カメラに映りにくいルートを選びワゴン車の跡は高台へ続いている。

「この先は……大学か……なんつうかうまい事見えにくい周囲の環境だな」

「建物がうまい事配置されてるのかな?道路から殆ど建物見えないね」

「こっから先がもう大学らしいが……寺、公園、池、の中に気付きにくいように配置された建屋が点々としてる。あのテニスコートも高台入り口からは見えないぜ」

「ギャハハハハハハ」「マジかよ」「バッカジャネーノ?」

 若者の声が聞こえてくる。

「大学生かな?」

「多分な、どうする?俺が見てこようか?」人間姿に戻るハオラン。

「いや、いいよ」

「首領の息子がいるかもしれないぜ?」

「自分のカードモンスターに行かせる。ハオランは周囲を警戒してて」

「なるほど、単独行動を避けるってのは敵地では大事だぜ」

 ユウは【ネコマタネコ】を召喚。

「そいつは?」

「人間の言葉を話せるネコ。声真似も出来るんだ」

「へぇ~便利そうだな」

 【ネコマタネコ】を召喚して若者たちに向かわせる。

「あ? 誰だ?」「野良猫かよ」「ビビッテンジャネーヨ」

 最初に声を発した若者がボルトレンチを取り出す。

「とりあえずヤっとくか……俺は弱い者いじめが好きでよー」「異常者かよ」「サイコパスジャネーノ」

 残りの二人も長いマイナスドライバーとクギヌキを手に取る。

続く





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Last updated  Jan 22, 2024 12:36:48 AM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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