未完成のブログ

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Feb 12, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその4

「ズズウズッズ……ズズズズッズ~」

「うるっせえなぁ大池」

「すいやせんね坊ちゃん、麺はこうやって食うのが一番美味いもんで」

 大学の一室、ソファで寝転がる首領の息子ジンガとガラステーブルで麺をすする大池。

「侵入者がいたって?」

「ええ、ただのガキでした。ちょいと脅しておいたんでよほどの馬鹿じゃないかぎりもう来ないでしょう」

「財団の追手じゃねえよな?」

「さぁ? 財団だとしてもあれではどうにも出来ないでしょう妙な術使ってましたがあの程度では自分にも坊ちゃんにもとても及びません偵察か何かでは? 」



「ではあの怨霊怪獣も放つので?」

 大池の視線の先には部屋の隅で棒立ちしている全身棘の太い尻尾を生やした怨霊怪獣。

「ああ、予定よりチョイと早いが怨霊怪獣を放つ。場所はそうだな……お前の仮住まいのアパートから暴れさせるか」

「マジっすか、まだ食材残ってるんすけどまぁ仕方ないですな」

「ベガアアアアアアアアアアアアッ!!」

 怨霊怪獣が叫んだ。

「さぁ行って暴れて来い邪魔する奴は排除しろ」

「ベガアアアアアアアアッ!」

 5階窓から飛び出す怨霊怪獣、着地地点の石畳みを踏み割ってそのままアパート向かって走りだした。

「邪眼の完成度は60%………あと二日もかけてられんな、今夜から明日にかけて一気に完成まで持っていくぞ。多少強引だがパー券の連中を死ぬまで搾り取ればいけるだろう」

「へへ~パーティーナイト開催ですな!」



 呪符の束を取り出し発動させるジンガ、大学周辺に住むパー券を持った学生や若者が一気に目を覚まして「パーティ……パーティ……」などと呟きながら一斉にジンガの元を目指し始める。

「大池、今度は脅しなんかしねえで怪しい奴は全て始末しとけよ?」

「了解しました」

 麺をすすり終わった大池は大学の正門に向かう。

***


 目を付けていたアパートの前に到着していた。

「この反応……動いてるな」

 ケンはカードデッキから召喚したロボットの【モニターマン】の顔(旧時代のTV画面)に映し出された映像をターニャと共に眺めている。画面には周辺の地図、動いているマーカーは呪符の反応。

「大学の方に向かっていますね」

「こんな夜中に大学? ……もしかして敵はこちらに気が付いたのか?」

「どうしますかケン様」

「呪符の人間の動きは気になるけど……やっぱりアパートを調べたい。モニターマン、アパートの中の様子が見たい、温度感知に切り替えろ」

『BEEEEP』

 アンテナ状の手をアパートの部屋に向けるモニターマン。画面が切り替わりアパートの全体像、温度感知の様子が映し出される。

「このアパートの部屋数は6つ……今感知できている人間の数は3人か。1階に1人、2階の一部屋に2人……」

「人の居ない部屋から調べるぞ」

 ケンはカードデッキから蚊のロボット【カメラモスキート】を召喚、モニターマンと連動させると画面上部にワイプが表示される。

 エアコンの室外機ホースから部屋に侵入するカメラモスキート。

「ここは……当たりかもしれない。あまりにも家具が無さすぎる倉庫代わりにしてる怪しい部屋だ」

「ケン様!」「なんだ急に……」

 ターニャの声で振り返るケン、唸り声を上げながら接近してくる影が見えた。

「なんだあれは……」「備えましょう」

 遠めに見ても3m近くはある巨体、シルエットの異常さから日常目にするものではないと一瞬で解った。

 ターニャは鎖の付いた香炉を振り回し幻術を繰り出す。ケンは【ファランクス】大楯を構えた戦士の集団を召喚。

「ベガアアアアアアアアアア!」

 全身に棘を生やした二足歩行の怪物。恐竜と人を合わせたような見た目をしている。

「怪獣……だと」

 鼻を鳴らす怪獣、ターニャの香を存分に吸い込み幻術に掛かっている。

「幻術であの怪物には今誰も見えていません、先制攻撃を仕掛けるチャンスです」

「よし……あれが何かわからないけどとりあえず様子見の先制攻撃を仕掛けるか」

 ファランクスは一斉に槍を投げる。数十本の槍が怪獣に突き刺さった。

「ベルルルルルガアアアアッ!」

 体液をまき散らし倒れこむ怪獣、すぐに太い尾を使って立ち上がり大きく息を吸い込見始めた。

「効いた……が、何かやる気だぞ!?」「嫌な予感がします」

「ベジャアアアアアアアアアアアッ!!」

 口から青白い熱線を吐き出す怪獣、アパートの壁に直撃すると火柱を上げて爆発した。

「なんだって!?」「こんな街中で……」

 火柱は辺りを照らし、飛び散った炎は建物に火をつける。

「ベガァ……」

 まだ幻術の解けない怪獣、ゆっくりと鼻を鳴らしながら燃えるアパートに接近する。

「あんなの放っておけないぞ!」「ここで始末しましょう」

 ケンはファランクスに盾を構えさせて怪獣に向ける、ターニャは新しい香を炉に入れる。

「ベジュラアッ!」

 アパートを見ていたがファランクスに気が付いた怪獣、すぐさま熱線を放つ。ファランクスの盾に命中した熱線は水飛沫のように飛び散りる。

「は!」「ベグァ」

 ターニャの撒いた紫色の香は怪獣の表面に付着して煙を上げる。

「毒の香です、人間なら1分程度で絶滅する必殺の香」

「それはマジでヤバイな……」

 もがき苦しむ怪獣、ターニャに熱線を放つべく息を吸い込む、それが仇となり毒を大量に体内に入れてしまい更に大ダメージを受けた。

「グガァ……」

「このまま仕留められるか?」「わかりません……こんな怪獣に試すのは初めてなので」

「グガアア……」

 怪獣はしゃがみこんで丸まった。あっという間に球体へと変化した。

「あっ!」

 球体から棘が飛び出す。怪獣は棘を動かして器用に跳躍、そこから空中で高速回転。

「ベガアアアアアッ!」

 棘球体となった怪獣の高速回転突撃がターニャに命中。塀ごとなぎ倒して隣の家に突っ込んだ。

「ターニャ!」

 瓦礫となった塀の上に血みどろで倒れているターニャ。

「クソ! 怪獣め!!」

 ケンは【マシンカウボーイ】を召喚、ロープでターニャを回収して【癒し手木人】を召喚、応急処置を施す。

「まずいぞ……ここで仕留めなければどこまで被害が出るか……とりあえずターニャを回収して……」

 ケンはマシンカウボーイの馬にターニャと癒し手木人をのせて傷を回復させながらアジトに向かわせる。

「ファランクスで奴の動きを制限して【虎狩りの戦士】【石の処刑人】を召喚!更に……」

 ケンは前髪で隠していた片目の魔眼を発動。

「奴の動きを未来を見て攻撃を必中させる!」

 ケンは万全で備えた、しかし次の瞬間魔眼に映ったのは目の前に現れる怪獣の姿であった。

「馬鹿な!」

 突然現れる怪獣、虎狩りの戦士に抱えられ飛び上がるケン。

「超高速移動? それとも瞬間移動か?」

 石の処刑人の斧が怪獣に命中、肩から体液を飛び散らせる。

「熱線に瞬間移動に超耐久……どんなバケモノだよコイツ! 【凶】の刺客か?」

 再度魔眼を発動、熱線を未来視して虎狩りの戦士と石の処刑人を左右に移動。ケンはオーケストラの指揮者めいてカードモンスターを操る。

「俺は着装できなくてもカードモンスターを自在に操れる! サモナー勇者だってシーア家歴代勇者の中にも居たんだ! こんな怪獣に負けられない!!」

 怪獣の太い尾攻撃を大斧で受け止める石の処刑人、その隙に虎狩りの戦士の槍が怪獣の脇に突き刺さる。

「ベガアアアアアッ!」

 熱線を未来視するケン、自分を狙った攻撃を回避する。その隙に虎狩りの戦士と石の処刑人が攻撃を加える。

「よし! いける! 勝てる!!」

「ベベベガガガーッ!!」

 怪獣の体が餅のようにふくらみズルリと背中から分裂して落ちた。落ちた球体は棘のない怪獣の姿に変化する。

「増えただと……」

「ベジュ!」「ガジュ!」

 二体の怪獣は黄色いひも状の物を吐いた。虎狩りの戦士と石の処刑人は咄嗟に盾と斧でガード。

「ベガァァァ……」

「くそっ!なんだこのひも切れないぞ!!」

 黄色いひもは異常な弾力を持ち虎狩りの戦士と石の処刑人の武器では僅かに傷ついただけである。

「ベベベベガァ!」

 連続でひもを吐いて虎狩りの戦士と石の処刑人を覆っていく。

「クソ……常時魔眼発動をしながらの戦闘は無理だ……予測不能な事ばかりしやがって」

 左目を押さえるケン、虎狩りの戦士と石の処刑人をカードに戻してファランクスを横一列の陣形で怪獣らに突撃させる。

「【ミスリルの鎧】でファランクスを強化! 次は……」

 ファランクスの突撃に対し怪獣は二体の棘無し怪獣が互いに腕を組みその上に乗った怪獣を空中に打ち上げる。

「空中からの回転突撃か? 【大地の壁】を召喚!」

 ケンを覆うように地面から壁が現れる。

「ベガァァアアアッ!!」

 大きく体を反り返し全身を青白く輝かせる怪獣、そこから渾身の熱線を放つ。

「うわあああああああああっ」

 ケンの壁に命中した熱線は爆発、爆炎をまき散らし周囲は火の海と化した。

「あ、ああ……」

 燃える周囲の住宅、聞こえてくる悲鳴、火災報知機の音、遠くから聞こえる消防車のサイレン。

「クソクソクソクソクソ……何してやがんだこのクソ怪獣!!」

「ベガァァ~」

 本体の怪獣が笑ったように見えた。分身の怪獣と本体はそれぞれ別方向へと歩き出す。

「だ、駄目だこれ以上やらせるか!!」

 歯を食いしばるケン、絶望的な光景を目の当たりにしてもパニックを起こさず冷静に何ができるかを考える。
 十代の少年がこのような思考が出来るのには先代勇者で父セイ・シーアの存在があった。

「【伝書フクロウ】を召喚!アジトに連絡しろ!!」「ホロッホー!」

「ベガ~……」

「させない!」

 ミスリル鎧のファランクスで囲み槍で突く。怪獣の傷は浅く致命傷には至らない。

「ファランクスでは動きを封じるので精一杯か、ここはファランクスに任せて分身の怪獣を……いや駄目だ消防車の邪魔になるコイツをここから移動させなくては」

 ケンは自身の切り札となるカードを取り出す。

【不死鳥の剣士】

 盾を持った鎧の剣士が召喚される。剣は炎に包まれ鎧には赤と橙の羽毛の装飾。盾には不死鳥の紋章が装飾されている。

「行け! 不死鳥の剣士!! 」

 ファランクスで取り囲んだ怪獣目掛けて突進、炎の剣が頭部を狙う。

「ベガッ」

 身動きの取れない怪獣は回避することが出来ずまともに炎の剣を頭部に受けた。深々と刃が入り込んでいく。

「鉄骨も簡単に切り裂く不死鳥の剣士の炎剣だ!」

「べべべべべ……」

 頭部を真っ二つに切り裂かれる怪獣、全身が青白い光に包まれる。

「まさか自爆か!?」

ケンはファランクスを固め不死鳥の剣士を戻して自分の前で防御の姿勢。

「ベガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 強烈な光を放って爆発する怪獣。

「うわあああああああああああっ!!」

 その爆風範囲は半径100mにもおよび周囲2㎞まで窓ガラスが割れるなどの被害をもたらす。
咄嗟に覆いかぶさった不死鳥の剣士と特殊繊維で造られた衣服のおかげでケンは聴覚のダメージと軽度の火傷で済んだ。

「ううう……」

 少しの間気を失っていたケン、目を覚ますと辺りは黒煙に包まれアパートのあった場所にはクレーターが出来ていた。  

「そ、そんな……嘘だ……」

 怪獣を倒す事には成功した。しかし甚大な被害が出てしまった。その事を受け止めきれず現実だと認められないケン。

 爆音の影響で音は聞こえない。特殊繊維と不死鳥の剣士のおかげで黒焦げにはならなかったが水ぶくれになった左腕が痛む。

 ケンの魔眼が見たのは炎の剣が命中し怪獣の頭部を切り裂くところまでだった。

「俺が……もっと先まで魔眼で見ていれば……」

 見ている間も敵は動き状況は変わりつつあるのでより先まで見るという事は今現在に対して疎かになる危険がある。万能とも思える未来視の魔眼は扱いが難しい。

「シュウウウウウ」

 不死鳥の剣士は損傷した体を修復していく。その際にランダムでデッキから1枚カードを消費する。カードは使用者の能力に応じて持続時間、再召喚までの時間が決まる。不死鳥の剣士に消費された場合は例外なく24時間経過するまで使えない。
 カードを多く持つケンと相性の良い不死鳥の剣士だが安易に出すことはできない。ここぞという場面で出さなければ後に必要なカードを消費してしまって出せない事態に陥る。

「ああ……ああああああ……」

 座り込んだまま只々目の前の光景を眺めるケン。

 これまでは指示された場所に行って指示された怨霊やクリーチャーを始末するだけで良かった。
 勇者の試練で初めて調査から分析、戦闘、様々な事を考えなければなら無くなる。ケンは自信があった。
 目の前の惨状に自信は打ち砕かれた。

続く





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Last updated  Feb 12, 2024 09:59:25 AM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
長月(ながつき) @ Re[1]:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年も…
久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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くおん@ Re:FalloutNewvegas103話「Vault22」(07/09) やあ( ´ ▽ ` )ノ EDーEとの意思疎通方法、…

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