未完成のブログ

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Jul 1, 2024
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カテゴリ: DHHU
DHHUその19

 ケン達が入ったダンジョンの中は日本的な建築物が並ぶ空間であった。

「やけに静かだな」

 華月が言った。

「時代劇のセット見たいな感じだ……作り物感が凄い」

 ケンはいつでもカードを出せる構えで眺めている。

「用途も意味も無視して好きなものを集めて作りました、そんな感じですね。勘違い日本的な」

 ジークベルトは探知の魔法で周囲を警戒しながら呟く。

「派手ですね~」



「来ますよ!」

 ジークベルトの声と同時にいびつな日本式の建物の二階部分から黒い影が出現。

「斬り斬り斬り」「首刎ね首刎ね」

 刀を取り出した一人は縦回転、もう一人は横回転でケンに狙いを付け飛び掛かる。ケンは黒い影の出現とほぼ同時にミスリルの鎧と盾を装着し備えていた。

「……」

 華月は無言で人差し指から赤黒い弾丸を放って2体の影剣士を撃ち抜いた。

「残り45体ですね」

 ジークベルトは探知に掛かった影の数を伝える。

「その探知に引っかかった中にジンガがいるかどうかですね……」

 ケンは周囲を観察しながら言った。

「ザザザザザザーーーーーーン!!」「ヤヤヤヤヤー!!」



「ヤヤヤヤー!」

 大弓から発射される細身の武士。刺突剣を前に構えまたもやケンを狙う。華月は赤黒い網格子を出現させ細身の武士を受け止める。

「ヤヤッ!」

「徹底した勇者狙いか、分かりやすいな」

 網格子に衝突した細身の武士を蹴り飛ばす華月、木造の建物に衝突し砕け散る。



 華月に蹴り飛ばされ砕け散った細身の武者の破片は一つ一つが飛蝗となり飛翔を始める。

「ここは俺に任せて!『不死鳥の剣士』フェニックスフレアー!!」

「ザザザー……」「ヤヤー……」

 放射状に放たれた炎の波に飲み込まれる影の武士と飛蝗たち。周囲の建物に炎が移ったがケンが不死鳥の剣士が手をかざすとすぐに消えた。

「ほう、その剣士はそのように炎を操れるのか」

「うん、それほど範囲は広くないけどね」

「ケン少年、今のは良かったですよ。あのヒル大弓の矢を放たれていたら厄介でしたし、バッタも飛び回られては始末に困ったでしょう」

「うまくいって良かったよ」

「これで残り43体か」

 作り物感のある古い日本家屋の路を進む4人。十字路に差し掛かった所で複数の気配を感じ取る。

「8体居ますね」

「ファランクス!」

 ジークベルトの探知の声を聞き素早くファランクスをパーティーの周囲に展開するケン。滑田を自分の後ろに隠し円形の陣をとる。

「ハイイイイイイイイイイイイッ!」

 屋根から2体の槍持ちが飛び出してきた。ケンに狙いをつけている。冷静にミスリルの盾を構え2体を弾き返す。転倒した所にファランクスらが大楯で圧し掛かり手槍で串刺しにした。

「いい反応だ」

 華月はあえて手を出さずケンの動きを見ていた。

「チェエエエエエエエエエエエエエイ!!」

 続いて今度は4体が大太刀を蜻蛉の構えで現れ突進。ジークベルトが無詠唱で鮫の背ビレめいた闇の波動を飛ばし2体を切り裂いて始末。1体はケンが不死鳥の剣士の一撃で、もう一体は華月が横蹴りで吹き飛ばし爆裂させた。

「小出しにしおって面倒な!」

 華月は隠れている残り2体に向かって赤黒いオーラを噴出して飛び出す。建物の中で火縄銃を構えている影の兵士を掴んだ。

「ギャギャ!」「もう一体は向こうだな!」

 顔面を掴むと路を挟んで向かい側にいる火縄銃兵に向かって投げつける。

「ギャギャー!」

 投げつけられた火縄銃兵は赤黒い光と共に爆発四散、爆発に巻き込まれもう一体も爆散。

「……華月さん闘技場と少し戦い方違うような?」

 ケンはジークベルトを見て言った。

「ああそれは……色んな戦い方を君に見せつけているのですよ華月様は」

「そうなんだ……」

「効率だけでいけば圧縮した魔力弾を拳銃のように撃ち込むだけで終わりますからね。そうしないのはそれだけに慣れて対応力低下の防止や他の技術を忘れない為です。器用な者ほど慣れた時油断しますからね」

「そっか……」

 ケンはドキリとした。自分は兄のユウより優れていてなんでも器用にこなせる人間だと思っていたからである。

「我も当主になる前は色々と痛い目に会ってきたからな」

 華月が飛んで戻ってきた。

「昔は荒れに荒れておったぞ。母上も家の者も周囲の者も敵も人間も妖も全てが気に入らない時期があってな。それで全国行脚させられる事になりそこで色々と学んだのだ」

「私はまだ生まれても居ませんでした、残念です。華月様の荒れていた時期、見たかったですねぇ」

 ジークベルトは腕を組んで大きく頷きながら言った。

「え? そんなに昔の話なんですか?」

「100年以上前の事だと言っておこう」

「100年以上? え? 華月さんって……いつ生まれたの?」

「……言わせるな、想像しろ」

 ふいと視線を外して歩きはじめる華月。ケンは華月の後頭部にまとめられた団子髪と首筋を眺めながら100年前の姿を想像する。

「詳しくは言えませんが……華月様は7月生まれの獅子座です」

 ジークベルトが囁く。

「……なるほど」

 ケンはそれほど西洋占星術に詳しくなかったが納得した。

「ジークベルトさんあの、華月さんは闘技場で見せてくれた銀髪でキラキラの姿はもうならないのですか?」

 ケンは思わず頭で浮かんだことを口走ってしまった。

「ケン少年、華月様の本来の姿に魅了されたのは当然の事で求める気持ちは分かりますが……今は容易に成れないのです。華月様は強すぎる力故に自身を傷つけてしまうのです、少し前にあったグレイビースト大戦で限界を超えて力を使ってしまった結果今の幼い姿にならざるを得なくなったのですよ。華月様本人が一番戻りたいと思っているはずなのであまり言わない方がいいかと」

「す、すんません」

 華月には二人の会話が聞こえていたがそのまま流した。滑田はどうすればいいか分からず苦笑いを浮かべていた。


「……さて、気配は残り35体ですね」

 雑で不出来な武家屋敷に入るケン達。これまでとはうって変わり黒いビジネススーツを着た男達が拳銃を持ちゾロゾロと出てくる。胸には金の紋が入ったバッヂを着けていた。

「不快だな」

 華月は赤黒い魔力の波動放ち前方の5人を吹き飛ばした。

「正直こういった輩の相手はしたくない。昔を思い出すのでな」

 指先から次々と魔力弾を放ち正確にスーツ男らを撃ち抜いていく。

「……急にギャング……ヤクザみたいな敵になりましたね」

 ケンはファランクスを機動隊のように展開して銃弾を防ぐ。

「私が生まれる前の話ですが――昔の白峰家はヤクザめいた妖や人間とバチバチにやり合っていたと聞いています。一部を除いて全て壊滅解散に追い込んだのは華月様だと記録には残っています」

 ジークベルトは魔力のカーテンで銃弾を防ぎながら言った。

「昔話をしている場合か、このような場所さっさと攻略してしまうぞ」

「残り4体ですね」

 先頭を歩き襖を開けて進む華月。屋敷の一番奥には畳に大量の刀を刺し甲冑を身に着けた男と琵琶、琴、笛を引いている女が居た。

「お前がジンガか?」

 華月は魔力弾発射準備をした指で差しながら言った。

「ちょいちょいちょい! 人に尋ねる前に自分から名乗り上げるのが礼儀ってもんじゃあないかい?」

 男は刀を手に言う。それに合わせ楽器持ちの女が奏でる。

「黙れ極道崩れが。お前たちの口上に付き合うつもりはないぞ。だが名くらいは教えておいてやろう。我は白峰華月、お前がジンガでないのならすぐにでも始めるぞ」

「馬鹿みてえに強い殺気……こりゃあ舎弟共が手も足もでねえはずだ。俺は【凶】のヒットマン、人呼んで『人斬りのマサ』ってぇモンだ!」

 マサの言葉に合わせ女たちが楽器で盛り上げる。

「このダンジョンに色々と仕掛けを施してたんだがこう力づくで正面突破されちゃあどうにもなんねぇせめて最後の砦だけは盛り上げようとおもってねぇ」

 話をしている途中に後ろに僅かな気配を感じた華月は振り返る。すると黒い影が刀を持って振りかぶり今まさにケンに斬りかかろうとしていた。

「ケン!」

 華月は魔力弾を放ち黒い影を撃ち抜く。刀はケンの頬を掠めた。

「イヒヒヒヒヒー! おしいおしい! 凄いなぁ今の反応できるとは」

「これは不覚……私の探知にも引っかかりませんでした」

 ジークベルトがマサを睨みつける。

「イヒヒヒ! 俺は今まで893人を斬ってきたがサツにパクられたのは最後の一人を斬った件だけだ!! 俺の人斬りは見つからねぇ逃げられねぇ捕まえられねぇのだからよ」

「呪……の類か」

 華月は全身に赤黒いオーラを纏う。

「正解、俺の人斬りは刀で行うだけじゃあない『呪』を使う。人斬りに特化した呪でなぁ。だけども最後の一人だけはどうしてもこの手でバッサリやりたくて本物の刀で派手に斬り捨てちまったんだわ」

「ベラベラと話しているのは呪の定着化だな。そうあるものと認識させ精度を高める。妖が伝承を人に語らせ恐れさせるのと同じ効果だ」

 華月は周囲を警戒する。

「この男、ヤクザのような風貌をしている術師ですか……」

 ジークベルトが珍しく魔法陣を全員の足元に展開し詠唱を始めた。

「ハ! 多重結界に解析魔術……だがそれだけで防げるかな?」

 滑田の目の前に刀を持った影が出現、ケンはミスリルの盾を突き出して防いだ。

「フェニックスフレアー!」

 待機させていた不死鳥の剣士を出し炎の必殺技を放つ。マサに向かって炎の波が迫る、しかし手前でモーゼの海割りの如く炎は裂かれマサと女達にはかすりもしなかった。

「イヒヒヒヒヒ、人斬り特化と言ったが応用もきくんでね。防御できなきゃ俺は今頃とっくに死んでるって訳だ」

「呪と言えば……グレイビースト・神名L咲夜を思い出すな」

 華月は当主の力を失っていたとはいえ全力で戦って仕留めきれなかった相手の事を思い出す。

「お前が奴と比べどれほどのものか試してやる」

 華月は畳をめくりあげ魔力を込めて投げつける。単純に質量の大きいものに魔力を込めて放つだけであったがその衝撃は単車が時速100kmで衝突するものに匹敵する。

「なんのなんの!」

 数回斬撃の音が聞こえ畳は散らばる。マサの周囲に突き刺さしていた刀は消えていた。

「イヒヒヒヒ! 47刀流のマサとも言われとりますわ!」

 そう言い終わると同時にケン達に16本の刀影が襲い掛かる。華月は反応し側宙返りで回避、ジークベルトは肩と両足、ケンは防御の姿勢を取るが鎧の隙間の顔と大腿の裏、滑田は全身に斬撃を受けた。

「滑田君!」 ケンが叫ぶ、しかし滑田は申し訳なさそうに苦笑いしながら傷を閉じていった。

「ケン君すまねえ……オイラは回復しか能がなくてよぅ」

「いや、それは凄い事だよ!」

 ケンの持つ回復系のカードのどれよりも速い回復速度。更に滑田は他者にも同じ事が出来ると言う。

「ファランクス、滑田君をがっちりガード!俺はミスリルの鎧と盾で耐える!」

 更に未来視の魔眼で攻撃を予測すれば致命傷を負う事は無いとケンは判断した。

「イヒヒヒヒヒ! 攻防一体の斬撃無双!! ダンジョンでの俺に隙は無い!!」

 マサが挑発する。

「それは無い、我はもうお前の攻略を思いついたぞ」

 華月はジークベルトにケン達をいつでも移動させられるように指示して更に赤黒いオーラを解放する。

「華月さん! あんな奴俺が必殺のゼクスミニアドで……」

「ケン、お前の切り札はまだ取っておけ。ダンジョン攻略はここで終わりではないぞ」

 華月が言い終わった直後にマサの影が出現し斬撃を放つ。今度は華月に集中した30本の斬撃。それに対し華月はハリセンボンめいて全身から魔力棘を突き出し影を貫いた。

「イヒヒ! 見事! だが防御ばかりでは勝てないぜ?」

「焦っているのか?」

 マサに向かってロケットダッシュする華月。斬撃のカウンターが襲い掛かるが――

「ここだ!」

 人差し指から針のように細い魔力弾を撃つ華月。マサの肩を貫通し肉を爆ぜさせる。

「ぐううわああああああああっ!!」

「なんだグレイビースト神名L咲夜とは違い体は脆いのだな」

「馬鹿な、俺のカウンター斬撃の発動は見えねえはずだ! それを避けて撃ち込むなど!」

「ああ、見えん。だが周囲の空気に自分の魔力を散布すれば動きは分かる。後は隙間に撃ち込むだけだ」

「なんだと……それができたとて反応してから間に合う訳が無い」

「慣れだ。限られた範囲であれば目で見るのと変わらんように出来る。お前と我では経験が違う」

「クソがあああああああ! 全47刀最速斬撃を食らえ!!」

 華月はマサから敢えて距離を取って47の同時斬撃を繰り出す全ての影を撃ち抜く。マサの斬撃は本人の届く範囲であればモーションの見えないものであるが、それ以上の範囲となると影を飛ばしてからの斬撃に変わるのを見切っていた。

「何……この短時間で俺の人斬り術の性質を見切るのか……」

 マサの術は所持する47刀が媒介となる術。普段であれば刀を抜かずに斬撃を放ちすれ違いざま、壁越し、車の移動中、または刀だけ対象の近くに設置しておいての発動などを行う恐るべき人斬り暗殺の術。見切った者は誰一人居なかった。

「残念だったな、我でなければお前はこんな思いをしなくても済んだであろう」

 華月は針のように細い魔力弾を三発、発動する斬撃の隙間からマサの両足と腹に撃ち込んだ。

「ぐぼぉ……す、すまねぇ若……俺はここまででさぁ……」

続く





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Last updated  Jul 1, 2024 12:00:28 AM
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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