未完成のブログ

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Sep 29, 2025
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ラビット・アンダーグラウンド 8 話

―――第二地区の裏路地にある小さな居酒屋。

「この居酒屋汚くて小さいけど焼き鳥がウメェんすよ!」

 七曲キョウヤは勝手に狐理子の分まで注文しながら言った。

「どうでもいい、盗撮男はシンヤってホストから闇バイトの話を聞いた、その辺を話しようか」

 狐理子はキョウヤを睨みつける。

「で、俺っちが何か関係あるとでも?」

「ホストのシンヤの兄というのはお前の事だろう。データベースで確認したぞ」

「確かに俺っちの弟はホストだ。だけどそれがなんで闇バイトと繋がんだよ? 弟の不始末を兄が何とかしろってのはちと強引すぎないかい?」

「盗撮男はお前にデータを送信したと言った。奴から回収した端末もある」

「ふぅん……それって俺っちも被害者じゃね? バカな弟に勝手にメッセージ送信先に使われてよぉ。あのバカは俺っちに送っとけば何とかしてくるとでも思ったんだろう」

「お前が被害者ぶるのは勝手だが盗撮問題に対処しなくてならないんだ解るだろう?」

「何をしろと?」

「……この流れにもっていく算段だったんだろう? 自分が話し相手で良かったな。ハートさんはお前で遊びたくてウズウズしてるんじゃないかな、すぐに呼ぼうか?」

「おーっとっと……あの人は勘弁して欲しいっすねぇ」

「お前の目的はなんだ?」

「そりゃあ探偵っすからネタ探しだよ。最近はシンヤのホストクラブの客も大したネタ持ってなくてねぇ」

「要するに……デカい仕事が欲しいのか。飼い主の院瀬見はどうした?」

「いやいやいや飼い主とかいねえって。報酬がデカイ上客ってだけだよ。 LOKI が院瀬見以上にくれるもんくれればめちゃくちゃ働くぜ?」

「駄目だ、お前に動きは知られるわけにはいかない。後、 LavaGerden に謝罪が無ければお前はこの街から消える事になるぞ」

「マジ? 俺は被害者なのに? 警察に通報しちゃおっかなぁ」

「バカが、その瞬間お前は死ぬことになるぞ。それとも今のは挑発か。本当にお前が警察を使うのなら安全にこの街を出れる準備が出来た時だろ?」

「あれれ~今日のフォックスさんやけに口が回りますねぇ~」

「黙れ軽口を叩くな。謝罪をしろ、出来なければお前のせいで盗撮男も弟のシンヤも消える事になる。いいか、『お前のせい』でな」

「謝罪を要求ね……ハイハイ。金だけじゃあ許してくれそうもないし……シンヤの始めた闇バイトのバックを知らせれば納得ですかねぇ?金額はどの位で納得してくれますクリムゾンさんは」

LOKI とクリムゾンの名前を聞いたとたん居酒屋のカウンターで焼き鳥を焼いている店主の顔が青くなっていく。

「なんだ? 店主の様子がおかしくないか?」

「ああ、しょうがないっすよ。 LOKI の手によって半グレ共が目の前で筆舌に尽くしがたい惨たらしい死に方したのを目撃しちまったんすからねぇ」

「一般人なら当然の反応だ。おかしいのはお前だ七曲キョウヤ」

「しょうがないっすよねぇ……俺っち恐怖心ってのが全然無いもんだからイカれちまってんのかもね。そのせいでこんな体になっちまったんすよ」

「お前に脅しは通用しない。そしてお前は自分の価値を売り込むのが得意」

「正解!」

「七曲キョウヤ、とりあえず 100 万だ。それから闇バイトのバックの情報を渡せ」

「了解~! じゃこの後すぐ振込ます。口座番号はどちらで?」

「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇だ。闇バイトのバックについては自分に知らせろ」

「あ、どもフォックスさんのメッセージアカウントあざっす!」

「あまりふざけた態度をとるとクリムゾンさんの機嫌を損ねるぞ?」

 狐理子は焼き鳥に手を付けずに立ち上がる。

「もったいねぇ……おっちゃん、この焼き鳥包んでくれる?俺っちの夜食にするわ」

***

――― LavaGerden 。

「はぁ~……フォックス忍法なりきりの術で歌劇団メンバーのジャッカルの真似してみたけどドキドキしました~」

 胸に手を当てる狐理子。その様子を椅子に座ったまま見つめる昊菜。

「ご苦労様フォックス」

「クリムゾン様、七曲キョウヤを始末しなくていいのですか?」

「今はまだいいのです、使い道を考えてありますのよ。この街であのような立ち振る舞いをできる男は多くのデータを取れます」

「わかりました」

「フォックス、あなたに七曲キョウヤから連絡が来るようにいいましたが転送して丹羽家に繋がるようにします。処理は SliME ネットワークに任せておきなさい、貴女は藺藤なゆかに付いて友人として一緒に行動しなさい」

「はい」

「ブラックヴァリーと秘伝書の事どちらも重要です、なゆかを育てれば解決は早くなるはずです。来夢に未来予想演算をさせたらなゆかを育てる方が良いとでましたの。七曲キョウヤについてはこちらに任せておきなさい」

「はい」

***

―――第二地区・ビジネスホテル廃墟。

「ふぃ~……ちょっちあぶねぇ橋だったかな」

「ア、アニキ……」

 下着姿で正座しているホストのシンヤ。目の前には七曲キョウヤ。

「お前はどれだけ馬鹿なんだ? 何をしたら何が起きるのか想像できねぇのか?」

「ゴ、ゴメンよ」

「いい加減お前のケツ拭くのにうんざりしてきてんだわ。売り上げも落ちてるそうじゃねえか、だから闇バイトなんかに手出すんだろ? 誰が持ちかけて来た?」

「客の女っす……えれぇマブで……金持ってて 100 万のホワイト案件っていうから」

「で?」

「店の売上じゃなくて女から 100 万貰えればかなりデケェしやるっきゃないと……でもパクられんのこえぇし後輩の知り合いの借金持ちに 2 万でやらせようと……」

「そこで何で俺の所にデータ送信させたんだ? マヌケがっ!」

 キョウヤはシンヤの腹を蹴る。

「ぐぇっ! 女がそうしろって……キョウヤのアニキなら絶対大丈夫だからって」

「女と 100 万はどうした?」

「今日この後会うつもりですそこで金も……アニキも一緒に?」

「あたりまえだろう(その女、俺を釣るためにシンヤにこの一連の動きを仕組んだか?)」

 廃墟のホテルを出るとシェアカーに乗り込むキョウヤとシンヤ。第二区北側の峠に向かった。

「あそこの売店で」

 自動販売機とトイレ、監視カメラだけの休憩所。そこに 1 台車が止まっていた。降りて車に近づく。

「ん?」

 物陰から 3 人の黒づくめの男が出てくる。車からはサイバーグラスをかけた女。

「只者じゃあねえな?」

「探偵の七曲キョウヤだな?」

「そーだけど? オタクら誰?」

「誰だっていい……お前はただ我々の為に動いてもらう」

「そいつは随分と都合のいい事で」

 七曲キョウヤは人工筋肉で強化した右腕でジャケットからショックガンを取り出して撃つ。軍用サイバネに匹敵する速度で動ける上に重量は半分以下の高級仕様である。

 放たれたのは非殺傷弾丸ではあるが全身に激痛が走りサイバネを一時停止できる強力なもの。警察の特殊部隊が使用している物と同じである。

「ぐぅ……」

 目の前の長身の男は体を硬直させて棒のように倒れる。

「おっと他の人も動かない方がいいんじゃないか? 俺っちの早撃ちは蒐魅には及ばないもののそこいらのサイバネには負けんぜ? さぁどちらさんか答えてくんねーかな?」

「やるな探偵……」

「いいだろう、教えよう。我らはブラックヴァリー」

「ああ、あのニンジャの……裏社会では有名な何でも屋だ。それがなんで俺っちに脅しをかけてくる? 仕事は自分らでやりゃあいいだろう?」

「お前の持っている知識経験人脈が欲しい」

「へぇそりゃあ嬉しい事で。それなら依頼って形でしてくんねーと」

「駄目だ、お前を独占し他の組織には使わせん」

「専属契約が希望って事? そりゃあできねーぜ」

「だからこういう事になっている」

「……ははぁ成程なぁ~今俺っちの評判は LOKI の中では最悪になってる。次は院瀬見、その次は G/T その次はって感じで追い詰めていくつもりなんだろう?」

「察しがいいな流石だな」

「古いやり方だが効果的だ……だけど俺っちを甘く見過ぎじゃないか?」

「なんだと? どういうことだ?」

「すぐわかる……その前に何をさせたいのか聞かせてくんねーかな?話を聞かない事には出来る事も出来ない事も判断できない」

 ショックガンを構えたままのキョウヤだったがサイバーシールドに包まれた顔面は端末に繋がっており視線操作できる。ブラックヴァリーの男と女を全員録画している。

「あああ、アニキ俺はどうすれば?」

「黙ってろシンヤ、車の運転席に座ってろ」

 振り向かずに後ろにキーを投げるキョウヤ。慌ててキーを拾うと車に駆けこむシンヤ。

「弟は関係ねぇ下がらせた」

「いいだろう」

「我々は LavaGerden の情報を得たい。なるべく詳しくな。狙いはあの店に所属している女だ。坂東狐理子、これがそいつの顔だ」

 写真を投げて寄こす筋肉質な黒づくめの男。

「ふ~ん……俺っちに頼むって事は普段何処にこの子がいて何処を寝床にしているのか解らないって事か。ニンジャなら得意でしょ?」

「奴は別人になりきる忍法を使う。目星をつけなければ ID を調べる事も出来ん」

「そうか……でもなぁ盗撮の事で LOKI に詰められてんだわ。犯人を突き出さなきゃ俺っちは LavaGerden の調査なんて無理だ」

「ホームレスに暗示をかけてお前に渡そう」

「そりゃあ無理だぜ。 LOKI はそんな甘くねえバレたら終わりだ。そこの俺っちのショック銃を喰らって倒れたにーさんを LOKI に突き出したらいいんじゃね?ニンジャなら捕まっても逃げられるし体内に GPS 仕込めば助けに行けるっしょ?」

 提案しながらそれは絶対に不可能だという事をキョウヤは知っている。 LOKI に捕まって帰ってきた者はいない。死体も見つからない。

「ふむ……タジマ。行ってくれるか?」

 倒れている男に声をかける筋肉質な男。

「あ、ああ……必ず助けに来てくれよな……」

「(コイツら本当にあのブラックヴァリーか? なんともマヌケな雰囲気が漂ってるぜ。マッチョ男の他は下っ端か?)」

「よし、じゃあ俺の車に乗ってくれるかな?あとそれと依頼料は前払いで 100 万、成功報酬で 100 万の合計 200 万で宜しく。前金はこの場で電子マネーで送信して欲しいな。契約書はここにある」

 ジャケットから封筒を取り出して地面に置くキョウヤ。

「特殊な紙とインクだからな偽造はできねえぜ」

「―――いいだろう。ヤギ、 100 万送信しろ。コマダ、書類にサインしてやれ」

「はい」「はい!」

「(院瀬見のエージェントにも G/T にも劣る下らねー連中だ。だが秘伝書とやらの話は気になるな……)」

 キョウヤの車にタジマを乗せ LavaGerden に向かう。店の前で狐理子に電話をかける。

「どーも、七曲キョウヤっす! 盗撮男のバックに居た奴連れてきましたわ」

『店の裏の駐車場で待っていろ』

 裏の駐車場に車を止める。シンヤは滝のような汗を流して震えている。タジマは拳を握りしめている。そこに長身細身の武装したバトルメイドが立っている。

「あ~フォックスさんは?」

「私が代わりだ」と言い放った。

MGM 歌劇団のメンバーであり丹羽家のバトルメイドのジャッカルである。

「そこの男か?」

「ええ、ブラックヴァリーの一人です」

「よく連れてこれたな」

「まー詫びを入れたいって事なんでしょう。 LOKI の恐ろしさをタップリ説明して上げましたからねぇ」

「ふん……」

 ゆっくり車から離れて前に出るタジマ。ジャッカルに近づいていく。

「ここで話をするのは良くない。移動してもらうぞ」

「ウム」

 タジマが返事すると同時にまるで水面に落ちるように地面に沈んでいく。

「何だ……これは……」

「(うわぁ……あれは LOKI のハートの錬金術……近くにいるんかよ)」

 キョウヤは後頭部をかきながらタジマが沈んでいくのを眺めていた。

「闇バイト指示役の引き渡し+ 100 万円っと、はい送金しましたよ~」

「確認した、もう用はない立ち去れ」

「んじゃ俺っちはこれで……」

「いや、そこのホストは置いていけ。大丈夫生きて帰す、だがお仕置きが必要だ」

「あ? シンヤはもういいっしょ十分反省してるっすよ」

「黙れ」

「……しゃあねえっすね。ちゃんと帰してくださいよ?」

「ああ」

続く






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Last updated  Sep 29, 2025 12:34:56 AM コメントを書く
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長月(ながつき) @ Re[1]:Fallout:NewVegas 第1話2話「目覚め」(11/19) Keyさんへ ありがとうございますがんばり…
久 遠@ Re:FalloutNewvegas121話「ストレンジトランスミッション!」(07/20) やほーい(=゚ω゚)ノ 何周遅れか分からないけ…
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久 遠@ Re:近況(12/30) あけましておめでとうございます。 今年…
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