2004.06.28
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嫁が足を骨折した。
家を出て、駅まで急ごうと思って走り出した瞬間、サンダルがひっかかってコケてしまったらしい。家の、ほんの２メートル先の出来事だったという。
両膝をすりむき、左足くるぶしの下あたりが黒く内出血をしていた。
全く歩けないこともないし、転んだぐらいなら打ち身・打撲の類だろうとオレは勝手に診察し、そのまま会社へ出かけた。
彼女もその後なんとか自転車で駅まで行き、電車を乗り継いで出勤したらしい。
土曜の午後診察をしている病院が近くにあるという情報を入手した嫁は、歩くのは不自由だから自転車で病院に出かけた。
やがて、昼間から家でビールを飲み始め、ちょうど気持ちよくなってきた午後４時ごろ電話がかかってきた。
「骨折だって。だからチャリとりにきてくれない？」
急遽ふりかかった「災難」にオレは狼狽した。
松葉杖をついて、包帯で足をぐるぐる巻きにして嫁は帰ってきた。
帰ってきた嫁にオレは労いの言葉もかけることなく、必要以上に介護することなく、この災難にどう立ち向かうかということだけを考えていた。
「だいじょうぶ？」というような何の意味もない言葉をオレはいわない。だいじょうぶ、といって骨がくっつくのならいくらでも言ってやるし、向こう１ヶ月杖付きの生活を強いられる嫁につきっきりでいられるわけではないから、あまやかしてばかりてばかりいられない。
不自由ながらも日常生活はなんとかこなせる状態ではあるから、家の中へいるぶんには問題ない。買い物や簡単な家事等の手伝いはできるだろうが、最大の難関は嫁の「通勤」問題だった。
タクシーで毎日通うとしても往復で１万円。１ヶ月間毎日使ったとしたら２０万の散財となり、なんのために働いてるのかわからなくなってしまう。自宅から駅までだけタクシーを使うとしても、そうそうつかまらないだろうし、その後の電車の乗り降りも、松葉人間にとってはかなりの苦労を強いられるだろう。
クルマがあって、日々送り迎えできればいいのだろうが、駐車場の確保とか大変だろうし、そもそも家にはクルマがない。
幸い駐車場だけはあって、そこには４台の自転車が並べられている。例えば１ヶ月間、レンタカーを借りられないかどうか調べた。一日５千円以上かかるレンタル料であっても、長期の貸し出しなら割り引いてくれるサービスがあるかもしれないと思った。
我々の要求にぴったりなパッケージ商品が、あった。
マツダレンタカーの、「通勤週末RENT車スーパーパック」である。
http://www.mazda-rentacar.co.jp/open.html?service/menu=service/rentpack
お代は１ヶ月で、５７７５０円。
クルマを１ヶ月乗るにはやや割高な気もするが、たとえば２人分の交通費がういてなおかつ、新車を購入したときのローンや税金、それから勤務先周辺に用意しなければならない駐車場代などを差し引いて考えると、それほどべらぼうに高い額でもない。
会社の近くで嫁をひろい、銀座や日比谷や皇居前など、自転車では何度も通った道を、不慣れなクルマで帰ってきた。１時間程度。電車で通勤するのと時間的にはかわらない。が、やはり慣れないためかなりの疲労を強いられた。
家について、車庫の自転車を片付けて、何度かきリ返した挙句、なんとか駐車させることに成功した。１３００ｃｃのデミオごときで車庫スペースはいっぱいになってしまった。両側の隙間が５センチもない。
今朝も、いつもより１時間早く起きて出発した。
銀座で嫁を降ろして、八重洲地下駐車場にクルマをとめた。
地上。
朝日がまぶしい。
通勤の流れとは逆方向に歩き、会社を目指した。
こんなに早い時間に会社にいったら、不思議そうな顔でみられるだろう。でも早い朝は少し気持ちがいいかもしれない。ようするにさわやかな朝である。
この生活がこれから１ヶ月間続く。
オレにふりかかった一番の「災難」は、酒を飲んで帰れないということだ。
家を出て、駅まで急ごうと思って走り出した瞬間、サンダルがひっかかってコケてしまったらしい。家の、ほんの２メートル先の出来事だったという。
両膝をすりむき、左足くるぶしの下あたりが黒く内出血をしていた。
全く歩けないこともないし、転んだぐらいなら打ち身・打撲の類だろうとオレは勝手に診察し、そのまま会社へ出かけた。
彼女もその後なんとか自転車で駅まで行き、電車を乗り継いで出勤したらしい。
土曜の午後診察をしている病院が近くにあるという情報を入手した嫁は、歩くのは不自由だから自転車で病院に出かけた。
やがて、昼間から家でビールを飲み始め、ちょうど気持ちよくなってきた午後４時ごろ電話がかかってきた。
「骨折だって。だからチャリとりにきてくれない？」
急遽ふりかかった「災難」にオレは狼狽した。
松葉杖をついて、包帯で足をぐるぐる巻きにして嫁は帰ってきた。
帰ってきた嫁にオレは労いの言葉もかけることなく、必要以上に介護することなく、この災難にどう立ち向かうかということだけを考えていた。
「だいじょうぶ？」というような何の意味もない言葉をオレはいわない。だいじょうぶ、といって骨がくっつくのならいくらでも言ってやるし、向こう１ヶ月杖付きの生活を強いられる嫁につきっきりでいられるわけではないから、あまやかしてばかりてばかりいられない。
不自由ながらも日常生活はなんとかこなせる状態ではあるから、家の中へいるぶんには問題ない。買い物や簡単な家事等の手伝いはできるだろうが、最大の難関は嫁の「通勤」問題だった。
タクシーで毎日通うとしても往復で１万円。１ヶ月間毎日使ったとしたら２０万の散財となり、なんのために働いてるのかわからなくなってしまう。自宅から駅までだけタクシーを使うとしても、そうそうつかまらないだろうし、その後の電車の乗り降りも、松葉人間にとってはかなりの苦労を強いられるだろう。
クルマがあって、日々送り迎えできればいいのだろうが、駐車場の確保とか大変だろうし、そもそも家にはクルマがない。
幸い駐車場だけはあって、そこには４台の自転車が並べられている。例えば１ヶ月間、レンタカーを借りられないかどうか調べた。一日５千円以上かかるレンタル料であっても、長期の貸し出しなら割り引いてくれるサービスがあるかもしれないと思った。
我々の要求にぴったりなパッケージ商品が、あった。
マツダレンタカーの、「通勤週末RENT車スーパーパック」である。
http://www.mazda-rentacar.co.jp/open.html?service/menu=service/rentpack
お代は１ヶ月で、５７７５０円。
クルマを１ヶ月乗るにはやや割高な気もするが、たとえば２人分の交通費がういてなおかつ、新車を購入したときのローンや税金、それから勤務先周辺に用意しなければならない駐車場代などを差し引いて考えると、それほどべらぼうに高い額でもない。
会社の近くで嫁をひろい、銀座や日比谷や皇居前など、自転車では何度も通った道を、不慣れなクルマで帰ってきた。１時間程度。電車で通勤するのと時間的にはかわらない。が、やはり慣れないためかなりの疲労を強いられた。
家について、車庫の自転車を片付けて、何度かきリ返した挙句、なんとか駐車させることに成功した。１３００ｃｃのデミオごときで車庫スペースはいっぱいになってしまった。両側の隙間が５センチもない。
今朝も、いつもより１時間早く起きて出発した。
銀座で嫁を降ろして、八重洲地下駐車場にクルマをとめた。
地上。
朝日がまぶしい。
通勤の流れとは逆方向に歩き、会社を目指した。
こんなに早い時間に会社にいったら、不思議そうな顔でみられるだろう。でも早い朝は少し気持ちがいいかもしれない。ようするにさわやかな朝である。
この生活がこれから１ヶ月間続く。
オレにふりかかった一番の「災難」は、酒を飲んで帰れないということだ。
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