( 承前 )
布勢の円山を後にして、野道を辿る。
振り返り 振り返り行く 銀輪の 足は進まず 布勢の円山
(偐家持)
農道を南へと下って行くと、県道296号線に出る。これを左に取って、堀田交差点を過ぎた辺りから坂道となる。どうやら「布勢の水海」から上陸したようである。古代には水海に突き出した半島になっていた部分に差し掛かっているのだろう。これを横断して向かいの岸辺に出れば藤波神社の筈(笑)。
坂道を上り切った処にもみぢの美しい処がありましたが、それは追って別にご紹介するとして、先を急ぎます。竹林の道を下ると藤波神社の前に出た。
本殿の裏に家持歌碑がある。
藤 奈美 能
影 成 海 之 底 清 美 之 都 久 石 乎 毛 珠 等 曽 吾 見 流 この歌は、天平勝宝2年(750年)4月12日に内蔵縄麻呂、久米広縄らと布勢の水海を遊覧した際の歌である。題詞に「船を多古湾に泊てて、藤の花を望み見て・・」とある通り、藤波神社のある此処、田子の地の辺りで船上から岸辺に咲く藤の花を望見して詠んだのであろう。
歌碑を見ていると20名余の団体さんがドヤドヤとやって来られて一気に賑やかになる。地元のウォークの方かとお聞きすると、東京からで、芭蕉の足跡を訪ね歩くことを目的としたグループだとのこと。今回は奥の細道コースからの寄り道か、大伴家持も訪ね見むとて氷見まで足を延ばされたようでした。
気が付けば、12時になっていました。国道160号線に出て、適当な店はないかと北上。店はあっても営業していないなど、なかなか見つからぬまま30分程走った処で、「うどん、そば。営業中」という表示が目に入り、此処で昼食と決める。
店に入ろうとしたら、見事なヤドリギの鉢植え (正確にはヤドリギに寄生されている桜か何かの木の鉢植えと言うべきか。)
が店先に飾ってありました。
よく目にするのは、上のヤドリギだが、店の方にお聞きすると下のもヤドリギだそうな。
この金色の実が人々に神聖なものを感じさせるのか、ヤドリギが信仰の対象となる聖なる木とする考え方は世界的な広がりを持ち、わが万葉人も、これを生命の木と見ていたようであります。
ヤドリギは、万葉では「ほよ(保与)」と言う。
あしひきの 山の
木末
の
寄生
取りて
插頭
しつらくは
千年
寿
ぐとぞ
(大伴家持 万葉集巻18-4136)
<あしひきの山の梢のヤドリギを取って髪に挿すのは千年の寿を祈
ってのことであります。>
昼食後、家持歌碑 <氷見銀輪散歩(1)参照> のある十二町潟排水機場まで国道160号線を北上し、ここで右(東)に入り、県道415号線に移って北上。氷見港の旧道の駅近くにある万葉歌碑を目指す。
この歌(万葉集巻17-4011)は、題詞、左注によると、狩の能力に優れた鷹を手違いで逃がしてしまい、残念に思っていたら、夢枕に娘子が立ち、近々その鷹を捕まえることが出来るであろうと告げたので、これを喜んで作った長歌とのこと。
タカがタカ、されどタカでありますな。それはさて置き、この歌に「氷見の江」という地名が登場するので、その部分だけを刻んで歌碑にしたよう。この句の直後に「多古の島」とあるから、この方式だと先程の田子の地にもこの歌の碑を建てること可能ですな。
本日はここまで。続きは明日です。( つづく
)
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