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2024年08月27日
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カテゴリ: 本にまあ
「わたくし大画報」(和田誠著 ポプラ社)を読みました。



和田誠さんは数年前に亡くなったイラストレーター。料理研究家の平野レミさんの旦那で和田明日香さんのお舅さんでもあった人ですが、私としては大好きなSF作家、星新一の本の挿絵画家としての印象が一番強くあります。もちろんそれ以外の仕事もたくさんなさっており、ひと目見ると「あ、和田誠の絵だ」とすぐに分かる特徴的なイラストを描く人でした。

この本は和田誠さんが1970~80年代にいくつかの雑誌に執筆されていたエッセイを集めた本の復刻版です。

そのため話題は当然、その頃の出来事に限定されます。再ブレイクする直前の中尾ミエのショーを見た話から、台湾の航空機事故で不慮の死を遂げた向田邦子と会談した話、ブレイクする前のタモリの話まで。今となってはどれもこれも芸能界や文壇の昔話の範疇に入ります。すでに鬼籍に入った人の話も多く出てきます。ご本人も5年前にそちらに行かれてしまいましたが。

4、50年ほど前の本ですから取り上げている人だけでなく、取り上げ方が昭和的です。

ハウス食品の「私ツクルヒト、僕タベルヒト」のCMをきっかけに始まる男女の家事分担の話やトイレの便座を上げておくか下げておくかの話、ご自身の子どもの誕生から子育ての話など、和田さんの率直なコメントが詰まっています。エスカレーターの片側をあけない人に腹を立てていたりもします。今なら「不適切」と思われることでも素直な性格の和田さんならではのストレートな物言いが見られます。

ただこう考えるのは和田さんだけでなく、そういう時代だったこともあるのでしょう。

よく昔の映画の再放送で最後に「この映画には現在では差別とされる言動が出てきますが、原作者の意図を忠実に描くためそのまま放送しました」と注意が出てくる場合があります。本書でも「これは今の時代にはどうだろう」という表現がままあり「大丈夫かな」と思いましたが、編集者はやはり「今日の観点から見ると差別的表現ととられかねない箇所がありますが、著者がすでに故人である等の事情に鑑み、原文どおりとしました」と断り書きをつけていました。

和田さんの広い交友シーンも含めて50年前の日本文化を記録したドキュメンタリーのような本でした。





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最終更新日  2024年08月27日 10時04分39秒
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