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2022.02.07
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テーマ: 読書(8199)
カテゴリ: 本日読了
2022/01/31/月曜日/

〈DATA〉
株式会社岩波書店/岸惠子
2021年5月1日第1刷発行
〈私的読書メーター)
〈確かに伝記だが数奇な人生は映画世界のよう。バレエレッスン後に初めて観た映画「美女と野獣」。関心は映画に向かう。瞬く間の人気女優絶頂期、川端康成介添えでパリ御屋敷のマダムに‥は、やはり収まりきれない彼女の知的好奇心の疼き。思えば2.26事件の日の朝のラジオ、異様な緊張。幼い彼女の最も古い記憶は彼女の知らないユダヤパレスチナイラク訪問へ地続きだった。空襲下、大人に従わず命拾いした後の「もう大人の言うことは聴かない。十二歳.今日で子供をやめよう」の決意のきっぷの良さも雀百まで踊り忘れずの有り体で美貌と相乗効果。〉

本当に美しい魅力的な女性。パリの街角でこんな日本人女性に出会ったら、同国人である事に少しばかり誇りを持ちそう。バカバカしくあろうとも気持ちってそんなものなのだ。

ケンゾーが熱狂を持って迎えられたパリで、才能は才能ながら、矢張り三宅一生の登場に溜飲を下げたのは、娘さんのデルフィーヌさんではなかったかと記憶する。

そういう事を書いたりするのがこの方のストレートに正直で愉快なところだ。ケンゾーさんは不愉快だろうけれど。


川端康成の『花のワルツ』を読んでバレエをやりたいと思ったのも、「挫折してゆくバレリーナの切ない美しさに惹かれて」であって、決して舞台のスポットライトを一身に浴びる華やかさでないところが、私的共感度高い。

話は川端康成に飛ぶ。前回読書会のテキストが彼の『乙女の港』だったが、ついでに川端康成をいくつか読んだメンバーが彼はヤングケアラーの走りだよね、みたいな発見をしていて面白いと思った。文字化し共有されたのに普遍化はされてなかった、ということか?子どもは更に幼い子の世話を主に女の子たちが担っていたのに、当たり前過ぎて社会問題にさえならなかった、ついこの前の時代。老人の世話に倦む思春期の少年、しかも知的な。再度カワバタ読むべしかな。

閑話休題。

卵を割らなければ、の比喩は別れた夫イブのプロポーズの時の言葉でフランスの諺らしいが、トーマス・マンの『デミアン』「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」がやはり思い出される。
私の思春期、この言葉はいつも脳内に鳴り響いていた。

彼女は日本という卵から飛び出した。そして上流の家屋敷の卵からも飛び出し、アフリカや中東に飛んだ。そして娘家族とのメゾネットアパルトマンという卵からも飛び出し、再び横浜の家に戻ってきた。次に壊す卵の世界とは、この地上だろうか。

白州正子が韋駄天のお正なら、岸惠子は韋駄天のお惠といえる。おふた方とも自由である。自立している。突拍子もないけれど基層に小さきもの弱きものへの思いやりがある。曲がったことが許せず、権威など無縁。そしてどことなし両性具有の美がある。これぞ日本の女の美、ではなかろうか。





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最終更新日  2022.02.13 00:46:14
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