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2023.06.16
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2023/06/16/金曜日/湿気の晴れ、やや黒雲


パラサイト を観る。


公開時に映画館で観た、あの、アカデミー作品賞パラサイトの劇場版。

とはいえ、鄭義信演出。

彼の芝居は  歌うシャイロック  しか観ていないけれど。

シェイクスピアが作品を世に出して以来、数えきれないほど地にまみれ、なし崩しにされた人物、シャイロック。

嫌われ蔑まされたシャイロックを掬い取ろう、救い上げようという演出が随所に感じられた。

なぜなら他者としてではなく、われら自身の中にいるシャイロックを呼び起こし、更にそれを慰撫しなくては、生き延びれない世の中ではないか、とそんな声が伝わる。


そんな演出家であろうと思う。





舞台化に際して、ポン・ジュノ監督がメッセージを寄せている。それによると、パラサイトは当初戯曲として構想したのだという。

なるほど!象徴的階段はまさに階層社会の視覚化なのだ。


それで思い出したのが、デザイン研究所で学んでいた時の、劇的な空間を作れ、的課題。

舞台の真ん中に回り階段を据えて、そこにライトが当たり、周囲は暗い。最終的に回り階段は一気に崩れて平面となる

みたいなスケッチの構想を私は提出した。


それが舞台やインテリアデザインもされる先生から高評価を得て食事か何かに数名で招かれ、演劇や音楽、建築などの会話を交わした事を思い出した。

思えば2年間で褒められたのはそれくらいだから、才能なんぞは無いのであった。

そこに込められたのはヒエラルキーの平準化とか、今なら後付けで何でも言えそうだが、そんな怒りや悲しみを芯に造形したものではなく、 ただただ階段というものが劇的なのだ 、という直感みたいなものに過ぎなかった。


それを思い出しながら舞台を眺めると、真に象徴的な比喩を持ち得るには、舞台の階段には熱量が不足だ。

ここでは階段よりも、むしろ高台の住宅リビングから見下ろす、神戸の夜景のステージワイドなスクリーンが存在感を放っていた。そのアングルの変位が劇的なのだ。

神戸淡路大震災の煙の上がる市内とお誕生日パーティーの庭の対比。この図は、マネキンを並べて撮影した作品を呼び覚ます。


まさに対岸の火事、それが飛び火したかのような祝祭の庭で繰り広げられた殺戮。


役者はどうか。


それぞれの持ち味がよく出ているのでは、或いはそれを軽く裏切るのでは?と期待が高まる。

私は真木よう子さんの演技が大変素晴らしいと思った。

そのキャラクターに従い、肉体まで軽く変容したような。それでいて、奥の奥に何かに膿んだようなものがチラリと現れて来る。

この人には 真夏の夜の夢のパックを演じてほしいなぁと何故か思った。或いは北欧神話のロキ、みたいな役。


この芝居を観ながら、一万某のお金を支払い客席の人となる自分は何か、を問わずにはいられない。

また演劇にしろミュージカルにしろ文化が大きなマネーを必要とし動かす事も。


生身の人間が演じる舞台は、それを観る者を揺さぶらないではいられない。





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最終更新日  2023.06.16 12:55:20
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