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2006年07月13日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
「ゲド戦記」に期待する三点、そして不安について、続きを書く。

期待の三点目は、 どういう映像になるか 、とということである。
パンフの表紙を見てみる。ジブリらしいみごとな美術だ。北欧の港町を模したような入り組んだレンガの建物群、一人ひとりの群集に手を抜かない緻密さ、レンガと木々と海が一体になっている町の思想、そして大賢人ハイタカ(ゲド)と王子アレンが見つめる方向に、夕日に照らされた竜が飛んでいく。一言で言うと非常に「堅実な絵」だ。裏表紙の「見えぬものこそ」とキャッチコピーが印刷されている絵も、複雑な雲の動きと夕焼けの変化がわかるような絵である。ジブリの美術のすごさは健在である。ただ、これらの発表されている絵を見る限りは、父親がやった実験的な映像は期待できそうに無い。しかし実験性は必ずしも必要ないのかも知れない。要はこの絵がどこまでテーマに肉薄できるかであろう。
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しかし、不安がある。

それは全て三点の「期待」の裏返しである

パンフを見る限りは「もののけ姫」の森の神のまがまがしい変身、「千と千尋」の顔なしのような異型、そして「ハウル」のような闇の心は感じられない。アニメの特徴である変幻自在に動く絵は果たしてあるのだろうか。前期宮崎アニメの特徴だった「飛ぶ感覚」も竜の映像でどこまで現しているのだろうか。結局物語は「心の問題」に収斂していくのではないか。それはそれでいい。ただ、それを映像で表現せずにセリフで表現してしまったらどうしようもない。

吾郎監督の「演出ノート」にはこうある。
「こうして、わたしは「いま、まっとうに生きるとはどういうことか?」という自分自身の問いを「ゲド戦記」に投げかけ、ハイタカをはじめとする多くの登場人物たちの声に耳を傾け、再び問い返すということを続けてきました。それがこの映画の主題になっていることは間違いありません。」吾郎監督は駿監督よりよっぽど素直で生真面目な監督である。それは人間性としてはOKでも、監督の才能としてはマイナスに働かないだろうか心配だ。作品の中で、セリフだけでテーマを説明していないか。



どちらにせよ、「ゲド戦記」は「デスノート」を抜いて今年の邦画の最高の興行収入を稼ぐことがほぼ決まっている作品ではある。大きな期待と不安を抱えて初日を迎えたいと思う。





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最終更新日  2006年07月13日 07時49分59秒
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