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2006年07月12日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
映画館にはいま、ミニパンフとでも言うべき「ゲド戦記」の6Pたてのカラーチラシが置かれている。公開初日まではまだ日があるが、私は試写会などを見るすべをもっていないので、それまではこのパンフと一回見た「ゲド戦記」の予告編が唯一の私の情報源だ。このパンフを見る限りでの、私のこの映画に対する期待と不安を述べたい。

「ゲド戦記」は「指輪物語」「ナルニア物語」と並び称されるファンタジー文学の傑作だそうだ。私はまだ読んでいない。
gedo.jpg

期待する点は三つある。

一点目は、パンフから類推する限りでは、 テーマが非常に現代的である 、という点である。少年は満ち足りた生活をしているのになぜか息苦しい。父を刺し国を出た少年は「影」に追われていた。「少年の敵は、彼自身の中にいた」のだそうだ。物語の舞台は多島海世界、アースシー。西海域の果てに棲む竜が、突如人間の世界である東の海に現れ、それと呼応するように世界でさまざまな異変が起こり始めた。「世界の均衡が崩れつつある。」……これらは上手く作れば、現代世界を見る目を開かせてくれるかもしれない。あるいは、少年犯罪が続く現代の若者の世代が何らかの心の問題を解決する糸口を作るかもしれない。宮崎吾郎監督の演出ノートにはこのようなことが書かれてある。「今、私たちの暮らしている世界は、まるで第三巻に登場するホート・タウンやローバネリーのようです。みな、必死にせわしなく動き回っていますが、それは目的があってのことではないように見えます。目に見えるもの、見えないもの、それらを全て失うことを、ただただ恐れているようです。人々の頭がおかしくなってしまった感じです。」 実際いま現在の日本は「頭がおかしくなってしまっ」ている 様に思えるのだが、そのことについては一昨日に書いた。吾郎氏は現代情勢を予言している。優秀な作品にはしばしば起こることではある。今回の「ゲド戦記」は第三巻のエピソードが中心になるようだ。この監督の問題意識は全うである。まるで「風の谷のナウシカ」の続編の様にさえ、思える。父親の問題意識と重なるのか。その辺りを見極めたい。

二点目はその「見極めたい」ということに関連するのであるが、 宮崎吾郎監督が宮崎駿の息子であるという点である 。「ゲド戦記」は20年前、宮崎駿が映画化を打診して断られたという経緯がある。ところが、「千と千尋」を見た原作者が映画化を希望したそうだ。当然宮崎駿は自分で作ってみたいと思ったことだろう。しかし、詳しい経緯は分からないが、監督はアニメ畑で苦労をした経験がほとんど無い設計者の宮崎吾郎になった。一つにはどうも鈴木敏夫プロデューサーの意向があったらしい。「ジブリ美術館を作るにあたってオヤジと渡り合い、その強権を跳ねのけた吾郎君なら出来る。」……パンフにここまで書くとは、ジブリという会社も面白い。鈴木氏ならびにジブリの社員の中には、宮崎駿の「強権が育つ」ことに対する根深い恐怖があるのではないだろうか。私の推測ではあるが、それは前作「ハウルの動く城」で決定的になった、と見る。作品背景からしてこの映画は当然反戦映画になるのだろう、と予想された。しかし出来た作品は全然違っていた。物語は、いや物語るというベクトルさえ放棄しながら、不可解なハウルの増殖し巨大化する心を執拗に描いていたのである。もちろんそういう作品もアリだとは思う。宮崎駿という人間を理解するための映画というのも、一人の人間の側面を知るという点で、有意義ではある。しかし、そのときの観客の期待していたのは、監督を理解することではない。……映画自体は「宮崎ブランド」が作用して赤字にならずに済んだ。(つくづく鈴木プロデューサーは名プロデューサである。)しかし鈴木氏の中に(もしかしたら宮崎駿自身の中にも)「宮崎駿天皇化」がジブリ崩壊の原因になるのではないかと警戒しているのではないだろうか。だからアニメーターとしては未熟でも「宮崎ブランド」にすがりながら方向転換を図ったのが、この監督起用になったのではないか。宮崎駿を越えなくてもいい。方向だけ見出せばいい。だから目指すところは100点満点ではない。80点の合格点がもらえるかどうかなのだろう。

話が長くなったので、続きは明日へ。





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最終更新日  2006年07月12日 18時32分53秒
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