吟遊映人 【創作室 Y】
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【龍尾神社~ゆく河の流れ~】昭和に生まれた私が平成を経て令和を生きようとしている今、『方丈記』の冒頭の一節がよみがえります。「ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず」川の流れは絶えることはなく、それでいてそこを流れる水は同じもとの水ではない、と言う意味です。人や物を見て「変わらないなぁ」と思っても、実際には何かしら変わっていて、変わらないものなどないと言うことなのです。常に変化し、やがては朽ち果ててゆくと言う無常観。これは仏教思想です。私は高校生のころから歴史にまつわる神社、寺院、史跡などを巡るのが大好きです。いわゆる〝歴女〟と言う造語のない時から私はすでに〝歴女〟なわけです。度々訪れた神社やお寺などで、自分では変わらぬ風景とそのたたずまいを楽しんでいるつもりでも、樹齢何千年の巨木が台風によってなぎ倒されていたり、石の灯篭が割れていたり、住職不在のお寺になっていたりと、様々な変化がありました。私はそんな時、いつもこう思うのです。「ああ、神さま仏さまが身をもって無常を教えてくださっているなぁ」と。なので私は、己が自然に年を重ねていくことを恐れず、不安がらず、少しずつ受け入れていこうと言う気になりました。それは決してアンチエイジングに対する否定ではありません。「ゆく河の流れは絶えない」のだと言う心境だと思っていただければ幸いです。そんな中、私は遠州掛川の龍尾神社に出かけて来ました。大型連休初日5月27日は、晴天に恵まれ気分も上々。ちょっとそこまでお米を買いに出かけるつもりが掛川まで足を伸ばしてしまったと言うわけです。今月スマホデビューしたばかりの私は、ガラケーになかった機能を使って場所を検索し、その由来を確認し、周辺地域のおすすめスポットなどをチェックしました。掛川と言ったら掛川城。その掛川城をお守りしていたのがこの龍尾神社なのです。NHK大河ドラマ『功名が辻』における山内一豊はまだ記憶に新しいとは思いますが、その山内一豊が篤く信仰しておられた神社であると説明する方がわかりやすいかもしれません。その龍尾神社は、閑静な住宅に紛れてひっそりとたたずんでおりました。一時は大河ドラマの影響で大混雑した境内でしたが、今は参拝客も少なく、ドラえもんの石像が屈託のない笑顔で出迎えてくれます。なぜドラえもんの石像があるのかは不明ですが、未来のネコ型ロボットが安置されているのは何か明るい未来を予感させてくれますし、現世御利益がありそうで有難い限りです。御祭神の中にクシナダヒメノミコトがいらっしゃるので、「女性に幸運をもたらす」女神さまに、何かお願い事をされるのもよろしいのでは?いつも庶民とともにおられるような、優しく、静かな眼差しを向けていらっしゃる神社なのでした。
2019.04.29
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