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2008.03.19
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カテゴリ: 映画/ヒューマン


「あなたは何を(待っているの)?」
「君だよ。君を待ってる。」

評論家の間では、スピルバーグ監督を「映画を肥大化、幼児化させた人物」として揶揄されることが多々あるものの、一般の視聴者サイドから捉えると、彼ほど優れたエンターテイメント追求している人はいないと思うのだ。
冒険ファンタジーを次々と生み出す一方で、対照的な戦争や差別をテーマにした作品を手掛け、その矛盾する資質に驚かされるのだが、それだけにスピルバーグという人が多才であることの証しでもある。
彼の作品には常に何らかのキーワードが隠されている。
「ターミナル」においては“待つ”という言葉がそれにあてはまるだろう。

舞台はニューヨークのケネディ国際空港の国際線ロビー。
入国手続ゲートで、ビクター・ナボルスキーが足止めされた。

そのため彼のパスポートは無効、入国ビザは取り消され、いわばビクターは無国籍の状態になってしまった。
彼はターミナルビルから一歩も出られず、かと言って母国に引き返すこともできずに、先の見通しのつかないままターミナルビルで寝泊りするはめになった。
当初は言葉の壁にぶつかりつつも、ビクターは持ち前の明るさと順応性でしだいに生活方法を習得していく。

脚本が非常におもしろいと思った。
またこれを選んだスピルバーグ監督のセンスも素晴らしいと思った。
スピルバーグとのコラボレーションでは、「プライベート・ライアン」でも定評のあるトム・ハンクス。
トム・ハンクスは、こういう野暮ったい素朴なキャラクターを演じさせたら天下一品なのだ。
何事にも流動的で、焦燥感を煽られる現代社会においては、“待つ”という単調な行為がややもすれば軽んじられ易い。
だが、純粋なまでにひたすら待ち続けるという行為は、誰にでもできそうで、その実、非常に難しく尊い行為であることが理解できる。
国際空港というある種無機質な空間で繰り広げられる人々とのふれ合い、別れ、多民族のせめぎ合いをこの作品から感じ取ることができれば、充分なのではなかろうか。

2004年公開

【出演】トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.03.19 06:43:55


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