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黒猫さん、だいぶ慣れてきました。 来てから2,3日は夜泣きをして、深夜や夜明けごろに起こされることもあったのですが、それもなくなり、夜は落ち着いてダンボールにタオルを敷いた臨時ベッドで寝ています。 朝下の部屋に下りてゆくと、足音でわかるのか起きてきて、まんまるい目でこちらを見ています。呼ぶと近寄ってきます。 スポイドでミルクを飲ませなくても、自分で飲んだり食べたりしています。チーズとキャットフードとミルクを食べていましたが、カニカマを小さく裂いて食べさせてみると、喜んでひとすじも残さず食べました。 このカニカマ、どこの猫さんもみんな好物のようです。 ・・・問題は名前です。 まだ決まりません。 新たに候補にあがったのが たどん・・・黒くて丸くて愛嬌があるいうのですが・・・今の季節にはなんとも暑苦しい おはぎ・・・上と同じ理由ですが・・・私どうもおはぎを好まないので・・・ それならば、というので・・・あんこ 続いて・・・きなこ さらに・・・だんご ・・・食べ物ばっかり・・・ そして、やまと・・・クロネコヤマト、ですか・・・う~ん こげぱん、黒糖、キャビア、巨峰、ブルーベリー、オリーブ、オニキス、・・・もうヤケクソ というわけで、まだ決まりません。 間に合わせに「くろちゃん」と呼んでいます。 決まったらここで披露させていただきます。 いつ決まるかしら・・・
2005.06.30
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日曜日、家の近くで高く透き通った仔猫の鳴き声・・・ どこだどこだ・・・表まで出て、お隣との間のすきまも透かしてみたけどいない・・・どこかご近所のお家が飼いはじめたのかもしれない、と家の中に入って・・・しばらくするとまた鳴き声・・・ 何度目かに屋上で花の手入れをしていた主人も降りてきました。 長男猫の「わさび」も気になるのか出てきました。 「どこにいるんだろう。家のまわりも見回ったんだけど、見えないのよ。」 すると、わさびが階段の横のゴミ箱の横においてあるブロックの後ろを覗き込んで「ここにいる・・・」と言いたそうな顔でふりむきました。 覗きこんでみるとゴミ箱を固定するためのブロックと後ろの壁のあいだに小さな黒猫がうずくまっています。 わさびが首をのばして顔を近づけると「フウッ~」と精一杯の威嚇をして引っかこうとします。 わさびが思わず後しだリをすると、仔猫はブロックを飛び越えて駐車場を横切り、お隣とのすきまに逃げ込もうとしました。 ここに逃げ込まれたらもうお終い。 必死で追いかけてやっと捕まえました。 仔猫は爪をだして逃げようと暴れます。 それを「逃げなくていいんだよ。怖くないからね・・・」と言いながら抱えて家の中に入りました。 抱いて静かになでているとようやく落ち着いて静かになりました。 ・・・全身真っ黒。耳が大きめでピンと張っています。目はまん丸。 「黒猫だ~」 「0山さんのところのクロちゃんみたいに賢い福猫かもしれない。」 「とにかく洗わないと・・・」 シャンプーで洗うと、毛は真っ黒でつやつやになりました。 ミルクやキャットフードを見せても興味を示しません。まだ興奮しているのでしょう。 ダンボールに古いタオルを敷いて臨時の寝床を作って、しばらくそっとしておきました。 夕方、ちょっと落ち着いたところで隣の母にご挨拶に連れて行き、あわび、わさび、すだれ、の先住猫にも対面させました。 それから2日・・・毎朝夕、スポイドでミルクを飲ませました。 だいぶ慣れて呼ぶと近寄ってくるようになりました。キャットフードも食べるようになり、ためしにチーズを口元に持ってゆくと気に入ったらしくアグアグと夢中で食べました。 名前をつけてやらなくてはいけないのですが・・・ これまでいた黒猫の名前は 「とんぼ」-おはぐろとんぼから 「うし」-大きかったので「きんぎょ」から改名 「ねず」-ねずみみ似ていたので 「さんくろう」-勝手に3階に住み着いていたので3階の黒猫、略してさんくろう さて、どんな名前をつければいいか・・・ 只今の候補・・・からす、くろまめ、くじら、ごまめ、あずき、たにし、こんぶ、わかめ、・・・ そのうちなにか思いつくでしょう 1匹増える、というのはたいへんなことです・・・
2005.06.28
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ますみさんは母の短歌結社の古い友達です。 子供さんふたりは県外で就職と学生。定年退職したご主人と90歳近い姑さんの三人の静かな暮らしです。 その姑さんがこの体調を崩しました。 かかりつけのマキノセンセイも「ご高齢ですから・・・」 ご主人と相談して、病院には入れず、家で看取ることにしました。 ますみさんは静かに眠っている姑さんを看ながら歌を詠みました。・・・臨終近い姑を看取りながら自分がこの家に嫁いできていっしょに暮らし始めた頃のことを思い出している・・・・・・臨終近い姑がかすかに笑ったようだ、きっと夢に亡くなった舅や親兄弟が迎えに現れているのだろう・・・ 想像はエスカレートして・・・もう着ることのないお気に入りの着物を旅立ちに着せてあげようとタンスを開けたらかすかに香が匂った・・・ さらにエスカレートして・・・お棺に好きだった花を入れてあげようと花屋に行って白い百合とピンクの百合を選んだ・・・ 我ながらよく詠めた・・・ますみさんは満足してその4首を清書して短歌誌の事務局編集部に郵送しました・・・ 5日後、マキノセンセイは姑さんの枕頭で静かに 「ご臨終です・・・」と頭を下げました。 かねて覚悟のこと、ご主人はお寺へお葬式の依頼に行き、ますみさんは子供さん達と親戚に電話して、歩いて10分ほどの、葬儀屋さんに葬儀の相談に行きました。そのあいだお隣のヤモモトさんの奥さんが留守番をしてくれました。 いろいろな相談をし、「それでは後ほどうかがいます。」の挨拶に送られて家に帰ってみると・・・ 「ますみさん、おばあちゃん動いてるようなのよ・・・主人にも見てもらったんだけど、やっぱり動いてる、息してるようだ、っていうのよ・・・」 横からヤマモトさんのご主人も顔を出し、ちょっと頭を下げてから 「ますみさん、おばあちゃん、やっぱりまだ息してはりますよ。・・・さっきまた動きました・・・もういっぺんマキノセンセイに見てもらったほうが・・・なんでしたら呼んできましょうか。」 「お願いします。」 ・・・ヤマモトさんのご主人はすぐ車を出し、15分もすると「そんなはずないと思うんだけど・・・」とつぶやくマキノセンセイを乗せて戻ってきました。 3人が見守る中、マキノセンセイが「あちこちいじっている」-ますみさん談ーと姑さん、ぽっかり目を開けて 「いや、皆どうしたん・・・」 ますみさんはすぐに、子供さんや親戚の人達に「さっきのは間違い、帰らなくてもいいから」と電話をかけ、そのあいだにヤマモトさんは自分の家の電話で葬儀屋さんに「さっきのは間違い、取り消しです。」と伝えました。 そこへ帰ってきたご主人も、すぐお寺に取って返し、「すみません。生き返りました。」 ・・・住職さん、衣を着替えて、玄関を出るところだったそうです。 その日は夜中まで、訳の分からなくなった兄弟や親戚が次々に電話をかけてきて、最後には、ふたりとも声は枯れ、あごがくたびれて、ものを食べる元気もなくなってしまいました。 姑さんは順調に回復して1週間後にはもとどおりになりました。 短歌誌00の編集部ではヨシオカさんが、会員の投稿してきた歌を整理して、ひとまとめにして、主宰のタケムラセンセイに渡すことになっています。 会員の投稿歌に目を通していたヨシオカさんは驚きました。 「ますみさんのお姑さんが亡くなったんだ・・・」 ヨシオカさんはタケムラセンセイに相談しました。 「事務局には何も知らせてこないところをみると、あまり知らせたくないんでしょうね。でもこの歌が発表されたら皆に知られるし・・・これが載るのは0月号だから2ヶ月も先だし・・・お付き合いのある旧い人達だけには知らせてあげたらどうでしょう。」というのがタケムラセンセイの意見でした。 ヨシオカさんは、ウエタさんとヤマガミさんとサイトウさん、イノウエさん、コンドウさん、それに母に知らせました。 知らせを受けた人達は相談して、四十九日までにお香典を持って、お焼香に行こう、ということになりました。 家の遠い人や、車に弱い母を除いて、ウエタさんとサイトウさんとコンドウさんが代表になって、ヨシオカさんとタケムラセンセイのお香典も預かって、土曜日にお焼香に行くことになりました。 6人はお香典のほかにもお金を出し合ってお供えを持参することにしました。 サイトウさんのお隣が果物やさんなので、果物の籠盛りにしました。 果物やさんはお供えと聞くと、りんごを3つサービスして、大きな盛り籠に白黒のリボンをかけ、両側に金の蓮の造花を飾り、お供え、と書いた札をつけてくれました。 サイトウさんは車の後ろにウエタさんとコンドウさんを乗せ、ウエタさんとコンドウさんはふたりでお供えの大籠を支え、暑い最中に喪服を着た一行はますみさんの家に向かいました。 「ごめんください・・」 しばらくして 「はいはい・・・」 現れたのはお供えとお香典を受けるはずのお姑さん・・・ 「はっ」「うぎゃ」「どっどっ・・・ど」ー立ちすくむ一同。 そこへ「はい~」とますみさん・・・ 「あのあのあの・・・」「いや~あのこれ・・・」 1瞬後、ますみさんは 「あ、お義母さん、短歌の人のお葬式があるんだけど、私行けないから、お香典預かりに寄ってくださったのよ・・・」ー今までの生涯中で一番頭が働いた(ますみさん談) 「それは、お世話になりまして・・・」とお姑さんは奥に入りました。 「ほんとにすみません。取り紛れて編集部に歌止めてもらうの忘れてました。すみません、ごめんなさい、ほんとにすみません。」・・・玄関の前で頭下げっぱなしのますみさん。 三人は果物の大籠を抱えて近くの公園に行きました。 「お香典は返せばいいけど、これ、どうする・・・」 「籠は果物やさんに返しとくから、この中身、なんとかしなくちゃ」 果物籠は解体され、蓮の飾りのついた籠はサイトウさんの助手席に、そして果物はお金を出し合った人達に分配することにしました。 ・・・翌日、ウエタさんが母のところへ、お香典の熨斗包みといっしょにオレンジ2個とグレープフルーツを届けてくれました。
2005.06.26
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やえこ先生、産婦人科院長、70歳、165センチ87キロ・・・*町に産婦人科を開業して30年、確かな技術と豪放磊落な性格でファンも多く、親娘2代のお産にたちあうこともよくあります。ご主人をしばらく前に亡くしましたが、息子さんが後を継いで、やえこ先生は「おおせんせい」と呼ばれて、今も現役。学会出張にもひとりで参加されています。 その日も、やえこ先生、出張を終えて帰りの飛行機に乗ろうと00空港にやってきました。道路も空いていたので予定よりだいぶはやく到着したので、ぶらぶらと空港内のショッピングアーケードを散策していました。 ふと見ると、シュークリームの専門店が店を出しています。 やえこ先生、お家で待っているふたりの小学生の孫さんのことを思い出しました。孫さん達、ここのシュークリームが好物なのです。 ・・・あのこ達のおみやげにシュークリーム買ってかえろう。息子さん夫婦や病院の職員さん達にも・・・ ショーウインドウに見本が並んでいます。 ・・・1箱に4個ずつはいって・・・種類はカスタード、チョコ、コーヒー、ストロベリー、ヨーグルトに抹茶。 ・・・カスタードとチョコレートがいいな、カスタードとチョコレートが1箱ずつ入ってるのはAセットっていうのね・・・あの子達(孫さん)に10個ずつで20個、職員は4個ずつで40個、私達(やえこ先生と息子さん夫婦)は3人で10個もあればいいだろう・・・ そのときやえこ先生の頭の中の計算機がひとつ数式を飛ばしてしまいました。 「このAセット、70ください。」 「は?」とけげんな顔で聞き返す売り場の若い女の子。 聞こえなかったかと、こんどははっきり大きな声で 「Aセットをね、70」 「チョコとカスタードの組み合わせのでございますね。」 「そう。」・・・まだ気づかない・・・ 「70でございますか。ありがとうございます。ちょっとお待ちくださいませ。」・・・今なら間に合う 女の子が横にいたもうひとりの売り子さんに何か言い、ふたりは売り場を離れて従業員出入り口に消え、次に現れたときには大きなダンボール箱を抱えていました・・・あれ、なんだろう、なにしてるんだろう、とやえこ先生、思ったのですが自分に関係のあることだとは思わなかったそうです・・・ 大きなダンボールにはシュークリームの箱がぎっしり。ふたりがかりで数を読んで、 「たいへんおまたせいたしました。ご用意できました。ごいっしょにお持ちさせていただきます。」 ここでやっと気づいたやえこ先生 ・・・先生はシュークリーム70個のつもりでしたが、Aセットというと4個入りのシュークリームがチョコとカスタード1箱ずつ。つまり8個。それを70、ということは・・・8×70、シュークリーム560個ということ・・・ 心の中で「あちゃ~」と叫んだやえこ先生ですが、そこで持ち前の豪放磊落、わるくいえば大雑把、物に拘らないいつもの性格が出て 560個・・・なんとかなるでしょ、みんなの好きなシュークリームだし、・・・あの女の子たちも一生懸命詰めてくれたんだし・・・まあいいや。 シュークリーム560個入りの特大ダンボール箱を乗せた台車を押してくる女の子をつれて手荷物預かりのカウンターに向かうやえこ先生。 「生ものはお預かりできません。」という係員をシュークリーム屋の女の子とふたりで拝みたおしてなんとか預かってもらいました。 1時間後、飛行機は無事空港に到着しましたが、特大大箱の傍らで「さて、これどうしよう。」と思案にくれていると、 「やえこ先生、今お帰りですか?」 声のする方を見ると・・・出入りの薬会社の社員ウメモト君 天の助け・・・「あ、ウメモト君、いいところで・・・すまないけどこれ運んでくれない?」 「はい、いいですとも。お宅までお送りしますよ。」 ウメモト君の車の後部座席に大箱を押し込み、やえこ先生は前の助手席へ・・・ 「先生、大きなお買い物なさったんですね。配送にしてもらえばよろしいのに。」 「それがね、シュークリームだもんで・・・」 「え、コレ全部?」 「そう」 事態が理解できず、黙りこむウメモト君。 お家に到着。玄関まで運んでくれたウメモト君に、やえこ先生は 「ありがとう、これおみやげ。奥さんにあげて。」と4箱渡しました。 ・・・これで後544個・・・ 玄関を塞いでいる大箱の中身が全部シュークリームで、しかもまだ544個ある、と知って絶句する息子さん夫婦、「すごい、すごい、」と喜んで跳ね回る孫さん2人・・・ 気を取り直した息子さんの奥さんのゆみこさんは、まず職員と自家用に30箱取り除け、後の36箱、144個分をまず自転車に積めるだけ積んで、ご町内の東側に配り、いったん帰って、こんどは西側とちょっとはなれたところにある親戚のお家に配りました。 ・・・全部配り終えたときにはもう午後6時。夕食をつくる気力もなく、出前を頼みました。 翌日、お礼を言う近所の人達にやえこ先生は 「いや、ちょっとした計算違いなんですワ」と答えて、いつものように「ワッハッハ」と天を仰いで笑いました。 ・・・ご近所の人達はちょっとした計算違いとシュークリームの関係がどうしてもわかりませんでした・・・
2005.06.22
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ほたるの里は県中央部、山の中の00村。 00村に峠ひとつ隔てた0川町でM子さんご夫妻と午後7時に待ち合わせました。 0川町からずんずんと川をさかのぼって、境界の長いトンネルを抜けたらいきなり両側に山が迫って、そこは00村。正面に幾重にも重なった山影。・・・一番奥にひときわ大きく険しく聳え立つのが、修験道でも名高い高0山。 「前に来たとき、ここの道をどんどん走って行ったら、もう、道路にもほたるがいっぱい飛んでいて・・・」とM子さんのご主人。・・・ドキドキワクワク・・・ 「でも、今年は、去年の台風で卵が流されたから、少ないそうです。」・・・え~そんな・・・でも1匹でもいい、ほたるが見たい・・・ 道の傍らに立て札が立っていて「ほたるの里」と言う文字と矢印が書いてあります。 「ここを真っ直ぐ行けばいいんだと思いますよ。」 車はどんどんと奥に向かって走る。・・・途中で「ほたる館」と書かれたコンクリート製の建物がありました。 「ここはほたるの資料館ですが、6時で閉まってますから。」と、車は奥へ奥へ・・・ 人家はますますまばらになり・・・2車線の道路は1車線になり・・・ 山間を走っていたのがなぜか山の斜面をぐるぐると登っているらしい・・・ 「ちょっとこれおかしいわよ。あなた道間違えたんじゃない・・・」 ・・・そういえばここのほたるは有名でシーズン中には遠くからも見物の人が押し寄せる、って聞いたのに・・・対向車にも全く会わないし、後続車も見えない・・・ どれほど走ったか・・・「ほたるの里」「あめごの里」という古びた木製の看板が目に入りました。道路もそこだけ広くなっています。 降りてみると・・・ どうどうという水音。真下に谷川が流れていてそこまでかなり急な坂道が作られています。 のめりそうになりながら降りてゆくと、途中で行き止まり。下は切り立った崖。 ふと上を見上げると、日も落ちて、薄紫から藍色になりつつある空にぼんやりと十三夜の赤い月・・・両側からのしかかるような暮れかかった山々・・・ 「こわいわ~ここじゃないわ。間違ったのよ。引き返しましょう。」とM子さん。 「こんなとこで、もし車が転落したら発見は明日になるよね・・・」 あわてて車に乗り込み、里に下りて、さっきの「ほたる館」の前を通ると、中には明かりがついて、車も何台か停まり中に人の姿も見えます。 「ごめんください」と入ってゆくと、観光客らしい一行に館の人が説明をしています。 「どうなさいました。」ともうひとり中年の男性が、カウンターの向こうから出てきてくれました。 「ほたるを見に来たのですが、どこへいったらよろしいのでしょうか?」 「あ、蛍ね、ここからもっと戻ってね、信号のあるところね、ここの村、信号あれひとつだから、すぐわかりますから、そこを右に曲がって10分も走れば、ほたる見えますから。あ、これ地図です。今いるのがここ、わかりますか?・・・え・・・山の中に入ったって・・・あれは夏のあいだキャンプ場に使ってるところですから・・・ほたるの里?それはキャンプ場の名前です・・・ほたる?そりゃ無理ですよ。あそこにはいません・・・」 地図を片手にうつむいてほたる館を出る3人 急な山道を上り下りしてがくがくする膝をかばいながらまた車に乗り込みます。 地図を見ながら走ること10分・・・どうも左側が谷のようです。ぼんやりと白いガードレールが浮かび上がります。 急にまわりに車が増えてきました。ガードレールや橋の上に黒いものが動いています・・・ほたる見物の人達のようです。 奥の広場が臨時の駐車場。 車を降りて黒いかたまりに混じりこみ、谷を覗き込むとシャラシャラと水の流れる音・・・ここがほんとのほたるの里・・・ 「あ、いた~」だれかが声をあげました。 見ると谷を覆う樹のあいだからふわり、とほたるが飛び立ちました。 岩の陰から、草の間から、あちらに2,3匹・・・こちらに3,4匹 「かそけき」という言葉がぴったりの、はかなく、もろく、繊細な光。 谷が呼吸しているかのようにほたるがわきあがってきます。 見ている人達も皆、息をひそめ、声をひそめて 「あ~あそこに」 「ここに・・・」 ・・・どのくらいそうしていたのか 後ろを走る車のヘッドライトにふと我に帰りました。 帰りの車のなかでも、帰って眠りに付く時も、そして今も目を閉じるとまぶたの下からほたるがわきあがってくるようです。 ほたるは今夜もあの谷で光っているのでしょうか・・・
2005.06.20
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ダンスの全日本選手権に行ってきました。 0郎センセイとふみこさん、それに私の一行3人。 出発の3週間前、ふみこさんが 「あのね、吉祥天さん、私、歌舞伎座行ってみたいの。吉祥天さん歌舞伎好き、って聞いたから・・・つれてってくれない?」 え、実は、私歌舞伎大好き。学生時代は扇風機もテレビも買わずに歌舞伎座通ってました・・・上京したときは好きな演目がかかっていると、一人で見に行ってました・・・ 歌舞伎の昼の部は午前11時から午後4時まで・・・ダンスの準決勝が6時前・・・準準決勝から見ればいいや・・・よ~し行こう。 「いいよ~ふみこさん。昼の部ね。切符買っておくから。」 「きゃ~うれし~いっぺん見たかったの。」 さっそくインターネットで検索 歌舞伎座6月公演・・・昼の部・・・「信州川中島合戦輝虎配膳」・・・なんだろう、これはじめて聞く・・・33年振りの公演だって・・・舞踊「素襖落」・・・中村吉右衛門と中村富十郎・・・おもしろそう、・・・そして「恋飛脚大和往来」封印切、と新口村・・・市川染五郎と片岡幸太郎、秀太郎・・・そして片岡仁左衛門・・・これはいい~見たい~見なくては・・・ 5日後、web松竹から1等の切符が2枚到着。 そして当日、ふみこさんとふたりで歌舞伎座へ・・・ 歌舞伎座では、歌舞伎をはじめて見る人のために「イヤホンガイド」というのがあります。イヤホンを借りると舞台の進行にあわせてセリフや所作の説明をしてくれるもので、初めての人や若い人に人気です。 ふみこさんもイヤホンを借りて耳にかけて、さあ、準備完了。 カッチカッチときのね・・・ずっしりとした緞帳がゆるゆると上がり、定式幕が引き開けられる・・・ 「きゃ~きれい~」 「イヤホンでおしえてくれるからよくわかるわ~」・・・上機嫌のふみこさん 時代物の川中島も舞踊の素襖落も無事終わり、幕間には白玉あずきを食べいよいよ最後の「恋飛脚大和往来」・・・近松門左衛門作「冥途の飛脚」梅川忠兵衛、として知られています。 遊女の梅川に馴染んで、身請けしようと無理を重ね、恋敵の挑発に乗って、公金に手をつけてしまう飛脚屋の養子、忠兵衛。 公金に手を付けたら死罪・・・自分を身請けするために、大切な忠兵衛を罪人にしてしまったと知った梅川の嘆き。どうせ死ぬならふたりいっしょに・・・そして死ぬ前に一目だけでも実父に会いたい、嫁と名乗りたい、と雪の中を故郷の新口村に向かう二人。・・・そして事件を知って、養父に対する申し訳なさと息子に対する愛情に苦しむ実父孫右衛門・・・つかの間の再会・・・迫る追っ手・・・ふたりをすこしでも遠くへ逃がそうとする孫右衛門・・・ このあたりから客席はしん、と静まりかえり、3人の嘆きの声ばかりが響きます。そしてあちこちで涙をぬぐう人達のハンカチが目立ち始めます。 ヒックヒック・・・エッエッ・・・という声がすぐそばで聞こえました。 何事・・・と振り向くと、ともこさん、ハンカチを目に当てて大粒の涙・・・ やがて雪景色の中、逃げながら何度も振り返るふたりと、それを見送くる孫右衛門が雪の上に崩れるように座り込むところで幕になります。 ふみこさん、まだ涙をぬぐいながら、 「よかったわ~いいものを見たわ~吉祥天さんありがと~あのおとうさんかわいそうにね~子供があんなことしたらどんなにつらいかしら・・・パーよあの息子・・・顔はきれいだけど・・・」 そしてイヤホンを返して、こんどはダンス選手権・・・ああ、いそがし・・・ 銀座からタクシーに乗って武道館へ・・・ 準決勝はまだらしい・・・よかった・・・競技の合間、ざわめく武道館。 座席に向かうと、0郎センセイはもう前から到着してプログラムをチェックしています。 ふみこさん、センセイのとなりに腰を下ろすなり、 「センセイ、おとうさん気の毒なの。もう、私かわいそうで泣けて泣けて!息子がね、顔はきれいなんだけど、頭がパーで人のお金に手をつけて女と逃げたの・・・子供がそんなことしたら、親はどんなにつらいかしら・・・ほんとにもう・・・」 「え、なに?だれがそんなことしたの?」と0郎センセイ。 「あの、今まで歌舞伎座にいたんです。」小声で私 「あ~びっくりした。お芝居の話なの・・・知り合いのだれかがそんな事件おこしたのかと思った・・・」 やがてダンスの準決勝、決勝戦 群を抜く世界チャンピオンのダンスに拍手をおくりながら「歌舞伎偉い!近松門在門は偉大だ!仁左衛門はすごい!」と心の中で深くうなづいている私でした。
2005.06.16
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2泊3日東京 JALマイタウン東京という便利なものがあります。 ホテルと航空券がセットになっていて、往復JALを使えば随分安上がりになります。ホテルもワシントンホテルクラスのエコノミーから帝国、オークラ、ウェスティン、グランドハイアットクラスのエグゼクティブ、エクセレントまで140種類。うまく使うと、航空機の往復運賃の3割引の値段で往復航空券とホテル宿泊(朝食付き)ができますので、東京行きはいつもこれを使っています。 そして6月11日。搭乗手続きを済ませて案内を待つ我々一行3人・・・私とダンスの0郎センセイと同じ教室の仲間のふみこさん。・・・ダンスの日本選手権を見るのがメインの旅なので・・・ やがてアナウンス ・・・東京行き000便のご出発をお待ちの皆様にご案内申し上げます・・・本日もJALをご利用下さいましてまことにありがとうございます・・・当機にはより快適な空の旅をお楽しみいただくためにJクラスをご用意・・・ゆったりした広い座席・・・サービス・・・心地よい空の旅・・・くつろぎの空間・・・ ・・・そういえば、前部にシートの色もずっしりして高級そうな広い座席が並んでるところがあったな・・・アレJクラスっていうの・・・ファーストクラスみたいなものかな・・・東京まで1時間のことじゃない・・・お金持ちとか政治家とかお年寄りとか、肥満体の人が乗るのかな・・・ふ~ん・・・ アナウンスは続きます ただいま、Jクラスに空席がございます・・・より快適な空の旅をお楽しみいただくために・・・差額は1000円でございます・・・ えっ、センエン・・・思わず顔見合わせるふみこさんとワタシ・・・ 1000円でファーストクラス気分・・・そんなはずないのですが・・・ごく乗りやすいうえになんでも見たがりの我々ふたり・・・ アナウンスが「お手持ちの航空券をカウンターまでお持ちくだされば・・・」と続いたときには3枚の航空券と3000円をつかんで駆け出していたのでありました・・・ アナウンスを終えたばかりのカウンターの女性は満面の笑みで「ありがとうございます。ただいまキャンペーン中でお菓子のサービスもございます。」と言いながら、手持ちの航空券の座席番号を消して、新しい番号を入れ、「これがJクラスのチケットでございます。」と黄色いカードを渡してくれました。 「え、Jクラス?なに、それ」と訳のわからない0郎センセイに 「1000円でゆったり、くつろぎ空の旅・・・」 「お菓子も付くんだって~」はしゃぐふたり・・・ ・・・乗り込んでみると 最前列がJクラス。チケット片手にウロウロキョロキョロしなくてもすぐ座れる・・・なるほど、1000円 座席は普通のシートの約1.5倍の広さ。座席の前もゆったりしてらくらく足が伸ばせる・・・なるほど、1000円 座席の説明書があったのでながめてみると・・・ ひじかけの下のスイッチを引くと・・・座席の下からゆっくりと足載せがせりあがってくる・・・なるほど1000円 ひじかけを持ち上げるとなかから折りたたんだテーブルが出てくる・・・パタンパタンと座席の前を囲むように広がるこれは便利・・・なるほど1000円 機内放送サービスのイヤホン・・・ふつうのシートは聴診器型だけどJシートはヘッドホン型・・・これはどっちでもいいんだけど・・・ やがて航空機は滑走路で勢いをつけてどっこらしょと空に飛び立ち、15分後にはやれやれ、といった表情で水平飛行に移りました。 ヘッドホンを乗せて落語など聞いているとやがて機内サービスが始まりました。サービスはJクラスからです・・・なるほど1000円 隣の席の年配の女性がテーブルの出し方がわからずにまごまごしていたので出してあげました「ありがとうございました。」「どういたしまして」・・・この女性もさっきの「差額は1000円でございます」で航空券と1000円持って走ったクチかしら・・・ 緑茶を頼むといっしょに「ゆずケーキ」と書かれた焼き菓子をサービスしてくれました。 バターのよくきいたしっとりしたお菓子でほのかにゆずの香りがしました。 お茶を飲み、ゆずケーキを食べて落語が2席終わる頃、飛行機は羽田に到着しました。 降りるときも最初です・・・なるほど1000円降りた後で、如何でした?と聞くと 「あの足乗せ台がよかった。あれあると楽だね~」0郎センセイ 「お菓子おいしかった。・・・」ふみこさん 「ゆっくり足が伸ばせた。テーブルがよかった。」私。 そして3人の結論・・・「おもしろかった。」
2005.06.14
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ちょっといってきま~す東京です。明日の朝の飛行機で発って、2泊して月曜日の午前中に帰ってきます。見たいもの、行きたいところ、あれもこれも・・・どのくらい行けるかな?台風の直撃はないようですが、雨と雲のマークが出ています。曇りなら涼しくていいのですが・・・それでは行ってきま~す。
2005.06.10
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野菜果物が新鮮で充実していると評判の**スーパー。 なるほど新鮮、種類も豊富。混雑する店内には白い上っ張りを着た近所の洋食屋さんや小料理屋さんの姿も見える。 そして「タイムサービス、本日のおすすめ」はスイカ。6分の1に切ったのが370円・・・おいしそ~安い。迷わず籠の中。 ずしっと重みが腕にかかる・・・さっきキャベツとダイコンとメロン買ったものね~ ・・・さらにそのうえに牛乳1リットル・・・重い・・・ 左手にすいか、右手にダイコンとメロンとキャベツと牛乳を入れたスーパーの袋とハンドバッグを下げて、よたよたと**スーパーを出る。 「ちょっと買いすぎた、重いものばっかり・・・」 時刻は六時前、空はどんより薄暗く今にも降りだしそう・・・ **スーパーの20メートル西に蕎麦やの0庵、 経営者が凝り性で、店の前に竹やぶを作った。蕎麦やへ来たお客は竹やぶの中の小道を通って0庵にたどり着くことになっていた・・・ 3年足らずで0庵は店を閉め、貸し店舗と書かれた札の下がった建物と薮はそのまま残った。 ・・・その薮の前にタクシーが停まっている。すかして見ると空車らしい・・・ 助かった~ 肘でドアをコツコツとノックするとドアを開けてくれたので、ダイコンとキャベツとメロンと牛乳といっしょになだれこむ。 運転手さん、前を向いたままで、押し殺したような声で 「どちらまで・・・」 「00町まで行ってください。信号を右に曲がったところで停めてくださいね。」 ・・・するすると車は動き始め、50メートル程行った所で 「お客さん、どこから乗られました?」 「はぁ?0庵の薮のところだけど・・・どうかしたの?」 「いえね・・・気、悪くしないでくださいよ、私あそこのところで、日誌つけてたんですわ、そした気がついたら知らないうちに後ろに髪の長い女の人が乗ってるでしょ・・・場所は薮の前だし・・・こんな天気にこんな時刻でしょ、黄昏時、って逢魔が時、っていうでしょ・・・これはてっきり・・・それで行く先聞いて、寺町、とか&&町(葬祭場がある)とか言われたら、お願いして降りてもらおうと思って・・・00町、って言われたのでひとまず安心して車出したんですよ・・・」 はぁ~幽霊かと思われたらしい・・・ 「でも、ドア、ノックしたら開けてくれたんですよ。」 「日誌書きながら考え事してたんで、どうも無意識に開けたらしくて・・・覚えないんですよ・・・」 「はぁ~でも、ほら、私そこの**スーパーの袋2つも提げて・・・スーパーの袋提げた幽霊なんていないでしょう?」 ・・・スイカとダイコンと牛乳の1リットルパック抱えて乗ったから、運転席からも見えるはず・・・ 「でもね、ほら、赤ん坊のために毎晩飴買いに来た、っていう有名な幽霊のはなしがあるじゃないですか・・・」 ・・・知ってますよ、・・・でもね・・・ダイコンとスイカと牛乳で何するの?それも赤い文字で「皆様の**スーパー」なんて書いてある袋提げて・・・ 「もし、夜遅くに寺町とか&&町って言われたらどうするの?」と聞くと 間髪をいれず 「そりゃ、断りますよ。海辺の崖の近くとか、##トンネル(出る、といううわさがある)なんかも断りますね。」 「はぁ~」・・・こればっかり・・・ 車はやがて00町に到着。 「ここの信号、右、ですね。」 「はい、そこです、ありがとう。ほら、人も車もたくさんだし、私も足あるでしょう?」 料金払って車を降りました。 街中に住んでいてよかった・・・ 降ろされるところだった・・・
2005.06.08
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玄関をでたところで、隣の母を訪ねてきた白蓮寺の住職さん(以下略して白蓮寺さんと呼びます)と会いました。 白蓮寺さんはお寺の住職を勤める傍ら、大学で教鞭も取っています。 飾り気がなく、誠実な人柄で檀家にも、学生さんにも慕われています。 「お久しぶりです。」と挨拶すると 「檀家の方から野菜をたくさん頂いたので、ちょっとおすそわけ、と思って・・・おでかけですか?」と聞かれたので 「はい、00町まで」と答えると、 「それじゃお送りしましょう。車はそこですから・・・」 そこですから、の車・・・ もとは何色だろう・・・サハラ砂漠3ヶ月くらい走り回ったら、こんなふうになるかな・・・塗装は剥げて、満遍なくめくりあがって・・・名付けてーウロコ逆立てたアルマジロ車ー 「どうぞどうぞ、このドアはちょっとコツありましてね。」と、逆立てアルマジロのドアの下をどん、と蹴飛ばすとドアが開きました。 中に乗り込んで腰を下ろすと「ストン・・・」座席のクッションは砂漠に捨ててきたらしい・・・ 足元には大きな穴があいて地面が見える・・・ ウィンドウのハンドルはちぎれてハンカチを結んである・・・ ・・・この車でここまで走ってきたの?・・・ 「すごいでしょう。でも安かったんです。教え子の中古車屋で3台10万円」 ・・・車の3つでいくら、なんて初めて聞きました・・・ ・・・後の2台が見たい・・・ 「でもちゃんと走るんですよ。後のは寺の境内に停めています。」 ・・・そうだった・・・お寺は広いんだ・・・ そして発車・・・ほんとだ、ちゃんと動く 走り出してふと見ると・・・ 足元に白い鼻緒の雪駄・・・となりにぐしゃぐしゃっと丸めてあるのはどうも衣らしい・・・衣の下からきらびやかなものが覗くのは袈裟、らしい・・・ 衣だけでもちょっとたたんでおこうかと手に取ろうとしたとき、車はカーブにさしかかり・・・ ガラガラッとうしろからなにかが雪崩れてきました。 見ると・・・卒塔婆・・・書きかけと白木と取り混ぜて30本くらいか・・・ 「センセ、卒塔婆が・・・」 「あ、どうも。後ろに積んであったんですが・・・気になさらないで・・・」 しますよ・・・梵字だの、00居士だの信女だの書いたのがそこらに散乱・・・ 拾い集めて立てかけても、カーブごとにガラガラと倒れ掛かる・・・ しかたがないので、そこらの信女や大姉や居士をひとまとめにして抱えました。 もし、これで事故にでもあったら、新聞になんて書かれるだろう・・・ 「住職の車大破、同乗の女性卒塔婆抱えて死亡・・・」 「住職の車崖から転落、散らばる卒塔婆・・・」 ウロコ逆立てアルマジロ車、改名して卒塔婆車・・・ なんとか無事に00町に到着しました。 ゆみさんの店に寄って「卒塔婆といっしょに乗ってきた。」と言うと、ゆみさんは「あちゃー」と叫んだ後でしばらく考えて、 「お墓の夢見たら縁起がいい、っていうから、卒塔婆もきっといいことあるよ。」と言いました。 でも、私白蓮寺さん好きです・・・
2005.06.05
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午後三時半、駅前バスターミナル・・・ 下校時刻にはまだちょっと早い・・・だから静かなはず ・・・なのにいっぱいの人、 ご高齢の方がほとんど、 女性が8割・・・みんなちょっとおしゃれして、お化粧も・・・ 中に花束抱えた人もいて、友達らしい人達に取り囲まれて、なんとなくうきうきと華やいだ雰囲気・・・ 駅の近所には文化会館、文化センター、公民館、などが集まっているので、どうもそこでなにかの催し物があったようです。 ・・・とすると。花束抱えた人は出演者らしい・・・ そこへバスが到着 一番前の一人掛けのシートに腰をおろしました。 たむろしていた人達もほとんどが乗り込んで、この時間にはめずらしく8割の乗車率です。 やがてバスは発車、 後ろの席の話し声が聞こえてきました。 「00ちゃん、よかったわ~きれいだったわよ~」 ・・・サラサラとセロファンのすれあう音がして、花の香りも漂ってきます。どうも出演者とその友達のようです。 「いやぁ~ほんとぅ?」00ちゃんの声 「ほんとよ~よかったわ~」 「&&ちゃん、あなたもしてみたら~」 ・・・00ちゃんが&&ちゃんを勧誘し始めました。 「え~・・・私なんか・・・」と逡巡する&&ちゃんに 「いっしょにしようよ。##ちゃんもこの前から始めたのよ。」 「え~・・・でも・・・」 「##ちゃんもしてるんだから・・・いっしょにしようよ・・・」 「でも・・・##ちゃんは若いじゃない、まだ83じゃない・・・」 ええぇぇぇ!!!はちじゅうさん~・・・若いぃぃぃ・・・!?*$☆・・・ 思わず後ろを振り向きそうになるのを、すんでのところで踏みとどまりました 83歳で若手・・・ よかった、とか、きれい、とか褒めてたからどうも舞台の上ですることらしい・・・いったいなんだったんだろう・・・ ・・・しかし、と、いうことはこの後ろの2人は83よりだいぶ年上のはず・・・すごい~・・・ しかし、83歳で若手・・・なんなんだろう・・・ 考えているうちに、バスは私の目的の停留所に着いてしまいました。 立ち上がって、料金箱にお金を入れるとき、すばやく振り返ってみました。 二人はもうひとつ後ろにも友達がいたらしく、ふたりとも後ろを向いて話し込んでいる様子で顔は見えませんでした。 心を残してそこで降りました。 83歳で若手・・・いったいなんだったんでしょう・・・ それが知りたいのです・・・
2005.06.02
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