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2006年04月17日
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症例A
「症例A」多島斗志之 角川文庫
推理小説の中には、謎解きそのものに重きをおく作品と、謎解きは話を面白くするツールであって、その背景説明の部分が一番書きたいところであるところの作品と二種類有る。松本清長の作品は後者であって、死かも社会背景を描くことに重きを置いている。しかし、後者はそれだけではない。哲学的なことに重きを置いたり、この作品のように、哲学ではなく、心理学の説明に重きをおく作品も有りうるだろう。もちろん、謎解きにも重きを置いて、『衝撃のエンターテイメント』を描くことも可能であろうが、心理学という分かったようで実はよく分かっていない世界を描くことも、北村薫のいう『ドキドキするような発見の喜び』があり、私はこれも充分「本格」だと思う。

小説だとどういうことが可能になるのかというと、まるで自分が精神科の医者になったかのように、同じ目で病を得ている人の「症例」を見ていくことが出来るのである。一人の人の病の診断がいかに難しいものなのかをこういう本を読むとつくづく感じる。鬱病なのか、分裂病なのか、境界性人格障害なのか、それとも乖離性同一性障害すなわち多重人格なのか、専門家が見てもその判断がいかに難しいかを読む人間は知るのである。医者でも人間だ。間違いも有るだろう。それでも主人公の榊医師は覚悟を持って真面目にそれに対処していくのである。エンターテイメントではないが、読んだ後の充実感は非常にあった。





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最終更新日  2006年04月18日 00時32分37秒
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